派遣の社会保険とは?加入条件・メリット・手続きをわかりやすく解説
2026/01/09
- 働き方・ライフ
派遣社員として働く際、「自分は社会保険の加入対象になるの?」「扶養は外れる?手取りは減る?」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
派遣登録しただけで社会保険には加入することはありません。実際のお仕事が決まり、一定の勤務条件を満たしたタイミングで加入対象となります。
この記事では、社会保険の基礎知識や加入条件、メリット・デメリット、年収の壁、手続きの流れをわかりやすく解説します。
社会保険とは?
社会保険とは、病気やケガ、失業、老後など、生活上のさまざまなリスクに備えるための公的な保障制度です。主に、健康保険、介護保険、厚生年金、雇用保険、労災保険の5つがあります。
社会保険は雇用形態に関係なく、派遣社員として働く場合でも、一定の条件を満たせば加入対象となります。
派遣社員が加入できる社会保険の種類と加入条件
本章では、派遣社員として働く場合に加入する社会保険と、加入条件をわかりやすく解説します。
健康保険
概要
病気やケガ、出産時の医療費負担を軽減する保険です。高額療養費制度や傷病手当金、出産育児一時金に加え、休業中の生活を支える「出産手当金」などの制度があります。
保険料の負担
会社と本人で折半し負担します。
加入条件
以下のいずれかに当てはまる場合に加入対象となります。
【原則の基準】
以下の2点をすべて満たす場合
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(更新の可能性がある場合も含む)
・週の所定労働時間および月の所定労働日数が派遣先で常時雇用されている従業員(正社員など)の4分の3以上
【短時間勤務者の加入条件】
上記2点に当てはまらなくても、以下のすべて満たす場合は加入対象となります。
・週の労働時間が20時間以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある(更新の可能性がある場合も含む)
・月額賃金が8.8万円以上である(残業代や交通費を除く)
・学生ではない(※夜間・通信制などは除く)
・従業員数が51人以上の派遣会社で働いている(50人以下でも労使合意があれば対象)
介護保険
概要
将来、介護が必要になったときに介護サービスを原則1〜3割の自己負担で利用できる保険です。以下の2つの区分に分かれます。
・第1号被保険者:65歳以上
・第2号被保険者:40歳以上65歳未満
第1号被保険者は原因を問わず利用できますが、第2号被保険者は、厚生労働省が定める特定疾病が原因の場合に限り利用できます。
保険料の負担
第1号被保険者(65歳以上):会社負担はなく全額自己負担となります。
第2号被保険者(40〜64歳):会社と本人で折半し負担します。
加入条件
40歳以上の方が対象となります。
厚生年金
概要
老後の年金に加え、病気やケガで働けなくなった場合の障害年金、万が一の際の遺族年金も含まれる公的年金制度です。
保険料の負担
会社と本人で折半し負担します。
加入条件
健康保険と同様です。
健康保険とセットで加入手続きを行い、70歳未満の方が対象となります。
雇用保険
概要
失業時や、育児・介護で休業する際の生活を支える保険です。
再就職を支援する制度や、資格取得などの費用を一部補助する「教育訓練給付」など、キャリア形成を支える仕組みも充実しています。
保険料の負担
会社と本人で負担しますが、会社側の負担割合が大きくなっています。
加入条件
以下の条件をすべて満たす場合に加入対象となります。
・31日以上の雇用見込みがある
・週の労働時間が20時間以上である
・学生ではない(※夜間・通信制などは除く)
労働者災害補償保険
概要
労働者災害補償保険(労災保険)は、仕事中や通勤中のケガ・病気・事故などに対して、必要な給付が行われる制度です。
保険料の負担
会社が全額負担します。
加入条件
就業しているすべての方が加入対象となります。
派遣社員として働く前に知っておきたい「年収の壁」と扶養の関係
一般的に「年収の壁」とは、収入が一定額を超えたことで「扶養を外れる」「社会保険に入る」「税金がかかる」といった変化が起きるラインを指します。
本章では、派遣社員として働くうえで知っておきたい「年収の壁」について、わかりやすく解説します。
社会保険に関する年収の壁
106万円の壁(社会保険の加入基準)
ご本人の月収が8.8万円(年収換算で約106万円)以上、週の労働時間が20時間以上など、一定の条件を満たした場合に勤務先(派遣会社)の健康保険・厚生年金保険への加入義務が発生する基準となります。
厚生労働省は、2025年の年金制度改正法に基づき、106万円の壁(賃金要件)の見直しを進める方針を示しています。2025年6月から3年以内に撤廃されるとともに、従業員50人超えの企業を対象とする企業規模要件についても、段階的に縮小・撤廃される予定です。
参照元:厚生労働省「年収の壁」への対応
130万円の壁(扶養の最終基準)
ご本人が、ご家族(配偶者など)の健康保険の扶養に入れるかどうかの最終基準です。
年収が130万円以上になると、勤務先の規模に関わらず扶養を外れ、ご自身で国民年金・国民健康保険を支払う必要があります。
ただし、年収が130万円未満であっても、一定の条件を満たす場合、勤務先の社会保険に加入し、扶養から外れるケースもあります。
参照元:日本年金機構のホームページ
▼ご自身にとってベストな働き方を確認したい方は、以下の資料をご覧ください。
参考資料:厚生労働省『年収の壁について知ろう』あなたにベストな働き方とは?
税金に関する年収の壁
2025年12月1日の税制改正により、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が⾏われました。
110万円の壁(旧100万円の壁)
「住民税」が発生し始めるラインです。ただし、お住まいの市区町村によっては年収110万円以下でも課税対象となる場合があります。
123万円の壁(扶養控除の壁)
大学生の子などの扶養家族がいる場合の所得税が発生するラインです。
扶養されている方の年収が123万円を超えると、世帯主(養っている人)の税金の負担がかかる可能性があり、扶養される側は所得税が発生するため、世帯の手取りが減るボーダーラインです。
160万円の壁
160万円の壁とは、次の2つの意味を持つ基準です。
1.ご本人に「所得税」負担が始まる基準(旧103万円の壁:配偶者控除)
主に配偶者がパートやアルバイトで勤務する場合、年収が160万円を超えると所得税がかかるラインとなります。
2.配偶者特別控除が減り始める基準(旧150万円の壁)
ご家族(配偶者など)の扶養に入っている場合、この金額を超えるとご家族側の税金優遇(配偶者特別控除)が段階的に減少します。配偶者の年収が160万円までだと、最大限の控除を受け続けることができます。
201万円の壁
ご家族(配偶者など)の扶養に入っている場合、原則、この金額を超えると配偶者特別控除は受けられなくなります。160万円を超えた時点から控除額は段階的に減少し、201万円(厳密には201万6,000円)で完全に消滅する仕組みです。
なお、税金に関する年収の基準には原則として交通費(非課税限度額内※公共交通機関は月15万円、マイカー通勤は距離に応じた限度額までが非課税)を含みません。残業代や賞与は対象となります。
▼税金に関する年収の壁については、国税庁ホームページをご確認ください。
社会保険加入のメリット・デメリット
社会保険に加入することで、どのようなメリット・デメリットがあるのかをわかりやすく解説します。派遣社員として勤務をご検討される際に参考にしてください。
社会保険に加入するメリット
将来の年金が安定する
厚生年金に加入すると、国民年金のみに加入している場合に比べて、将来受け取れる年金額が増えます。そのため、老後の生活資金をより安定させることができます。
病気・ケガ・出産時の保障がある
健康保険に加入していれば、病気やケガ、出産などで一時的に働けなくなった場合でも、生活を支えるための収入補償制度を利用できます。
自己負担を抑えて手厚い保障を受けられる
社会保険(健康保険・厚生年金)の保険料は、会社と本人が半分ずつ負担します。
そのため、全額自己負担となる国民健康保険や国民年金に比べて、ご自身の負担を抑えながら、将来の年金や医療面の保障をより手厚く充実させることができます。
手続きの負担が少ない
社会保険の加入や保険証の発行、更新、脱退などの手続きは、基本的に派遣会社が対応します。
ご自身で役所や年金事務所へ何度も出向く必要がなく、スムーズに手続きを進めることができる点は、大きなメリットです。
社会保険に加入するデメリット
保険料が引かれて手取りが減る
社会保険に加入すると、健康保険・厚生年金・雇用保険の保険料として、月収の15%前後が毎月の給与から天引きされます(2025年度・一般的な保険料率に基づいた目安)。
40~64歳の方は、これに介護保険料が上乗せされるため、本人負担は15%台半ばになるのが一般的です。そのため、加入前と比べて手元に残る金額が少し減ったと感じる場合があります。
ただし、保険料を支払うことで、将来の年金や医療・休業時の保障を受けられるため、損をしているわけではありません。
保険料の割合はお住まいの地域や加入している健康保険、年齢によって異なります。正確な金額は、勤務先の給与明細や加入している保険の公式サイトで確認しましょう。
参考:全国健康保険協会
扶養(被扶養者)を外れる
ご自身で社会保険に加入すると、ご家族(配偶者など)の健康保険の扶養からは外れることになります。
社会保険上の扶養(被扶養者)と税法上の扶養(配偶者控除・配偶者特別控除)は別の制度です。社会保険に加入しても、収入条件によっては税法上の扶養は引き続き適用されるケースがあります。
税法上の扶養については国税庁のホームページをご参照ください。
社会保険の手続きについて
派遣社員の社会保険の加入・喪失手続きの流れを解説します。
社会保険加入手続きの流れ
①就業条件が決定
就業開始日、勤務時間、契約期間など勤務条件が確定します。
②派遣会社が加入対象か確認
派遣会社が社会保険の加入対象かどうか、就業条件に基づき確認し判断します。
③必要書類を提出する
社会保険の手続きに必要な情報を、派遣会社に提出します。
<主に提出するもの>
・マイナンバー
・基礎年金番号(年金手帳や通知書)
・雇用保険被保険者番号(過去に雇用保険に加入したことがある場合)
・扶養に関する書類(配偶者や子どもを扶養に入れる場合)
本人確認書類や印鑑は、派遣会社によって不要なケースもあります。詳細は派遣会社からの案内に従って準備しましょう。
④派遣会社が手続きを実施
派遣会社が各機関への加入申請を行います。
⑤保険の資格が付与される
手続き完了後、健康保険の資格が有効になります。
マイナンバーカードを健康保険証(マイナ保険証)として登録している方は、そのまま医療機関を受診できます。登録していない方には「資格確認書」が交付されます。
なお、国民健康保険に加入していた方は、ご自身で役所へ脱退届を提出する必要があります。
社会保険喪失手続きの流れ
①保険証、資格確認書などの返却
保険証や資格確認書が交付されていた場合は、速やかに派遣会社へ返却します。マイナ保険証(マイナンバーカード本体)は返却不要ですが、退職日の翌日から旧保険の資格は利用できなくなります。
②派遣会社による喪失手続き
社会保険の資格喪失手続きは派遣会社が行います。
退職するタイミングや給与の支払いサイクルによっては、最後の給与から前月分と当月分の保険料がまとめて天引きされる場合があります。最終の手取り額をあらかじめ確認しておくと安心です。
③新しい保険へ切り替える
退職後はできるだけ早めに「国民健康保険への加入」「家族の扶養に入る」「現在の保険を任意継続する」のいずれかを選び、ご自身で手続きを行います。
手続きには派遣会社が発行する資格喪失証明書が必要です。手元に届くまでに日数がかかる場合もあるため、事前に発行時期を確認しておきましょう。
ウィルオブでご就業いただく際に加入する社会保険
ウィルオブでは、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保険に加入していただきます。
厚生年金保険・雇用保険・労災保険も完備しており、加入条件を満たすすべての方が対象となります。
ご就業手続きの際には、専任のコーディネーターが丁寧にサポートいたします。
ウィルオブアプリからいつでも保険に関する相談ができるため、派遣で働くことが初めての方でも安心です。
まとめ
派遣社員として働く場合、一定の条件を満たすと社会保険の加入対象となります。
社会保険制度をあらかじめ理解しておくことで、不安が解消され、自分に合った働き方を選ぶことができます。
加入条件や手続きについて不安がある場合は、派遣会社がサポートしてくれるため、まずは気軽に相談してみましょう。
派遣で働くときの社会保険について不安な方へ
ウィルオブでは、社会保険の対象となる安定した派遣のお仕事を中心にご紹介しています。扶養との関係や加入条件、手続きについても一つひとつ丁寧にご説明しますので、派遣が初めての方でも安心してご相談いただけます。「自分は社会保険に入ることになるの?」といった段階のご相談でも問題ありません。お気軽にお問い合わせください。
よくある質問
派遣の社会保険について、よくある質問をまとめました。ぜひ参考にしてください。
派遣登録しただけで社会保険に加入しますか?
派遣会社に登録しただけでは社会保険には加入することはありません。
派遣先で就業を開始し、勤務条件が加入基準を満たした場合に加入対象となり、派遣会社を通じて加入手続きが行われます。加入手続きは派遣会社が行うため、原則としてご自身で複雑な手続きを行う必要はありません。
派遣社員でも、社会保険への加入は必要ですか?
雇用形態に関わらず、加入条件を満たしている場合は社会保険への加入が必須となります。
扶養内で働きたい場合は、週の労働時間を20時間未満に抑えるなど、社会保険の加入条件にあてはまらない働き方を選ぶ必要があります。希望する働き方がある場合は、就業前に派遣会社の担当者へ相談しておくと安心です。
就業後に社会保険へ加入するケースはありますか?
就業開始時は社会保険の加入条件を満たしていなくても、勤務時間が増えたり、契約期間が延長されたりするなど、加入条件を満たす働き方になった場合は、途中から加入対象になることがあります。
加入対象になるかどうかは、派遣会社が条件を確認したうえで案内してくれるため、不安な場合は早めに派遣会社の担当者へ相談してみましょう。
社会保険料はいつから引かれますか?
原則として、社会保険に加入した月分から保険料が発生します。
給与の締め日や支払いのタイミングによって、加入月の給与から引かれることもあれば、翌月にまとめて引かれる場合もあります。
実際の控除タイミングは派遣会社から案内されるため、事前に確認しておくと安心です。
社会保険料は毎月どのくらいかかりますか?
社会保険料は、月々の給与額によって異なりますが、目安としては、健康保険・厚生年金・雇用保険を合わせて、月収の15%前後が本人負担となることが多いです。
例えば、月収20万円の方であれば、毎月3万円ほどが天引きされるイメージです。40〜64歳の方は介護保険料が上乗せされるため、本人負担は15%台半ば程度になることがあります。
実際の負担割合は、お住まいの地域(都道府県)や加入している健康保険の種類によって異なるため、詳しい金額を知りたい場合は、派遣会社に確認するか、給与明細をチェックすると安心です。
Writer編集者情報
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コネワク編集部
WILLOF(ウィルオブ) コネワク編集部です。
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