【事例】オムニチャネル活用│業界別に3社の成功事例をご紹介

2024/10/10

消費者の購買行動が多様化する中、企業はオンラインとオフラインの境界をなくし、一貫した顧客体験を提供する「オムニチャネル」戦略が求められています。 

本記事では、小売業、ファッション・アパレル業、卸売業において成功している企業の事例を紹介します。各社が直面した課題、そして取り組んだ施策と成果について詳しく解説しますので、オムニチャネル化成功のヒントを一緒に学んでいきましょう。 

オムニチャネルとは 

オムニチャネルとは、複数の販売チャネルをシームレスに結びつけ、どのチャネルを通じても一貫した顧客体験を提供する戦略のことを指します。オンラインのECサイトやモバイルアプリ、実店舗、カスタマーサポートセンター等を統合し、顧客がどのチャネルを利用しても同様の情報やサービスを受けられるようにします。これにより、顧客の利便性が向上し、企業にとっては売り上げや顧客満足度の向上が期待できます。 

オムニチャネル注目の背景 

近年、インターネットの普及により、消費者の購買行動は多様化し、オンラインとオフラインを行き来する「クロスチャネル」(※)な購買行動が一般的になっています。 

例えば、オンラインで商品を調べ、実店舗で実際に試した後に購入する、といった行動が増加しています。また、新型コロナウイルスの影響で、デジタルチャネルの利用が急速に拡大したこともオムニチャネルの重要性を高めています。これを受けて、多くの企業がオムニチャネル戦略を採用し、顧客体験を向上させ、競争力の強化に取り組んでいるのです。 

※複数のチャネルを連携させ、顧客が自由にチャネルを行き来しながら購入プロセスを進める戦略のこと 

▼オムニチャネルについて詳しく解説している記事はこちら 
オムニチャネルとは?メリットやコールセンターでの推進方法を解説」 

【業界別】オムニチャネルの成功事例をご紹介

本章では、オムニチャネル戦略の具体的な成功事例を業界別にご紹介します。各社の取り組みについて、詳しく見ていきましょう。 

カメラのキタムラ(小売業) 

公式サイト

カメラのキタムラは、日本全国に約1,300店舗を展開する小売企業です。カメラや写真サービスに特化しています。主力商品のカメラ販売のほか、「スタジオマリオ」という写真館や、「Apple正規サービスプロバイダ」としてApple製品の修理も行っている企業です。 

・課題 

カメラのキタムラは、EC事業と全国に展開する1,300店舗との連携が不十分で、特に利益率の高いプリント商品の売上が伸び悩んでいました。このため、顧客満足度の向上と売上拡大に向けた課題が浮き彫りにり、価格競争からの脱却と、サービスを重視した事業転換が求められました。加えて、EC商品の店舗受け取り体制や接客力が整備されておらず、顧客体験の一貫性が欠けており、スマホアプリと実店舗の連携も不十分だったため、全体的な顧客体験の向上が急務となっていました。 

・施策 

1.ECと店舗の統合 
ECと店舗データを連携させ、顧客に最適なサービスを提供し、店舗での受け取りやオンラインサポートを強化しました。 

2.アプリ導入 
スマホアプリでプリント注文・受け取りを簡便化し、クーポン配布や会員向け特典を提供できるようにしました。 

3.コンテンツマーケティング 
ブログやSNSで情報発信し、新規ユーザー獲得を狙いました。 

4.店頭タブレットの活用 
タブレットで商品情報を提供し、顧客が自ら商品を探せる仕組みを導入しました。 

5.コールセンターの利用 
専門スタッフによる電話対応で、EC注文や問い合わせをサポートし、高齢者層にも対応できるよう整えました。 

・成果 

カメラのキタムラは、この一連の取り組みにより顕著な成果を収めました。まず、EC事業が全社売上の3分の1を占めるまでに拡大し、売上と収益性の大幅な向上を実現しています。同時に、ネット会員数が680万人に達し、顧客基盤を拡大するとともに、LTV(顧客生涯価値)の向上にも成功しました。 

さらに、プリント写真の約9割が店舗受け取りとなり、顧客満足度の大幅な向上に寄与しました。全EC購入のうち72%が店舗受け取りを選択するなど、ECと実店舗のシームレスな連携が進み、店舗への送客も効果的に行われています。 

また、店頭決済を通じてクロスセルが促進され、関連商品の購入率が増加。この結果、オムニチャネル戦略が全体の経営成績に大きく寄与しています。 

【参考記事】
専門店ならではのサービスでオムニチャネルを実践(キタムラ)
キタムラの再生と成長の背景にある3つのDXとオムニチャネル施策」】 

ドゥクラッセ(ファッション・アパレル業) 

公式サイト

ドゥクラッセ(DoCLASSE)は、40代以上の大人向けファッションブランドを展開する企業です。実店舗、カタログ通販、Web(EC)サイトの3つのチャネルを有し、特にECの強化に力を入れています。 

・課題 

ドゥクラッセは、複数のマーケティングツールにデータが分散しており、それがデータの管理と施策の実行を非効率化させる要因となっていました。この問題により、迅速な施策の実施が難しく、施策を断念せざるを得ない場面もありました。また、ツールの複雑さや社内のコミュニケーションも障害となっていました。 

・施策 

1.データとツールの一元化 
Rtoasterの導入により、複数のツールとデータを統合し、一元管理を実現しました。これにより、データを柔軟に活用できる環境を構築しました。 

2.Webサイトのリニューアル 
2019年8月にWebサイトをリニューアルし、ユーザビリティを向上。ECサイトの役割を強化し、オンラインとオフラインの暫定的な連携を目指しました。 

3.新たなマーケティングツールの導入 
Web接客ツールやレコメンド機能を導入することで、パーソナライズされた顧客体験を提供し、対応の幅を広げました。 

4.社内コミュニケーションの改善 
データの一元化により、マーケティングに対する心理的テンポが下がり、社内での妥協実行がスムーズになりました。これにより、チーム全体で積極的に新たな一歩に挑戦する文化が生まれました。 

5. カスタマーサービスセンターの対応 
ドゥクラッセのカスタマーサービスセンターは、試着代行サービスを提供。スタッフが顧客の代わりに試着して感想を伝えることで、オンラインショッピングでも実店舗に近い体験を提供しています。 

・成果 

ドゥクラッセは、Rtoasterの導入とデータの一元化により多大な成果を上げました。施策の実施数が2倍以上に増加し、施策におけるアイデアがより実行しやすくなりました。また、施策の回数が増加することで、PDCAサイクルが高速化され、定量的なデータを用いた説得力のある提案やフィードバックが可能となりました。社内のコミュニケーションも改善され、Web上のデータをカタログ配布にも利活用するなど、OMOマーケティングの深化に向けての基盤が整いました。 

【参考記事】
マーケティング施策の実施数が2倍以上に!施策数増加のための業務改善と社内コミュニケーションの変化を生み出した “データ・ツール一元化プロジェクト”」  

ジョインテックス(卸売業)

公式サイト

ジョインテックスは、2003年にスマートオフィス事業を立ち上げた流通カンパニーで、法人向けにコスト削減などの提案営業を行い急成長している企業です。取扱いアイテムは文具やOA用品、オフィス家具、インテリア、学校教材、食品、家電製品など、多岐に渡ります。 

・課題 

ジョインテックスは、顧客に提供する商品やサービスの種類が膨大であるため、データの管理や適切な商品提案、また効率的な受発注システムの構築が必要でした。また、オンラインとオフラインを融合させた効果的な顧客対応が求められていました。 

・施策 

1.データベース管理 
約4万アイテムの豊富な商品データベースを管理し、顧客からの発注に応じて翌日配送を実現しました。 

2.スマートオフィス事業
環境に配慮した製品への切り替えなどのサービスを文具小売店に提案し、効率的な調達を可能にしました。 

3.O2O戦略 
対面販売機能と通販機能を融合。営業員による現状分析やコンサルティングを通じて、顧客に的確な商品提案を行い、コスト削減を目指しました。 

4.ジムリエ資格制度
営業員に専門資格「ジムリエ」を付与し、モチベーションと専門知識向上を図りました。 

5.コールセンター運営とWEBサイトの融合
コールセンターを重要なチャネルに位置づけ、平日日中に営業活動を実施。加えて、24時間365日受注可能なシステムを構築し、WebサイトやFAX、Eメールでの受付を可能にしました。 

・成果 

ジョインテックスは、オンラインとオフラインを融合させたオムニチャネル戦略を実現し、顧客の期待に応える最適化されたカスタマージャーニー (CJ) を提供しました。専門知識を持つスタッフやコールセンターによるコンサルティングとリアルタイムな顧客対応により、顧客満足度 (CS) を高めています。また、適切な商品提案と効率的な受発注システムにより、効率的な業務運営とコスト削減を実現しました。 

【参考:オムニチャネル戦略 ― オムニチャネルニュービジネスモデル ― 熊 倉 雅 仁】 

各社成功の共通項とは 

各社成功の共通項として、まずデータの一元化とその有効活用が挙げられます。分散していたデータをまとめることで、効率的な運営とマーケティング施策の強化が可能になりました。

また、オンラインとオフラインを融合させたO2O戦略により、顧客とのシームレスな接点を実現しています。

さらに、個別最適化されたアプローチを重視し、最適な商品提案やサービスを提供しました。これらの取り組みにより、効率性と顧客満足度を同時に向上させることができたのです。 

まとめ 

オムニチャネル戦略の導入は、複数のチャネルをシームレスに結びつけ、顧客に一貫した体験を提供することにあります。この記事でご紹介した企業の成功事例から学ぶことは、自社の課題や特性に合わせたオムニチャネル戦略の構築が重要であるということです。

統合されたシステムと顧客中心のサービス設計によって、企業は顧客満足度を向上させ、最終的には売上の増加を実現できます。ぜひ、この機会にオムニチャネル戦略を検討してみてください。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。フィールドサポータや営業コーディネータ、キャリアアドバイザー、新規営業、人材紹介(転職支援)などを経験。
    2020年 人材紹介にて自己最高売上を記録、時短勤務×妊娠中での実績が評価され全社月間MVPにノミネート。現在5歳と2歳を育てるパワフルワーママ!

    ・趣味:断捨離、森林浴、岩盤浴
    ・特技:細かい事に気が付く点

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