今注目のリファラル採用とは?メリット・デメリット・導入の流れを簡単解説!
2025/04/15
- 人材採用
- 定着率向上
- 離職率改善

人材採用は企業にとって重要な課題ですが、優秀な人材を見つけるのは簡単ではありません。このような中、注目されているのが「リファラル採用」です。
既存社員のつながりを活用し、信頼性の高い候補者を効率的に採用できるこの方法は、多くの成功事例が報告されています。
本記事では、リファラル採用の基本や導入のメリット・デメリットをはじめ、成功のための手順や注意点について詳しく解説します。ぜひご参考ください。
リファラル採用とは?
リファラル採用とは、社員が知人や友人などの人材を企業に紹介し、選考・採用につなげる手法です。「リファラル(Referral)」は英語で「推薦」や「紹介」を意味し、信頼できる人からの推薦によって、よりマッチ度の高い人材の採用が期待できる点が特徴です。
近年では、単なる「社員紹介制度」ではなく、企業全体で制度化・仕組み化された採用戦略として注目されており、正社員・契約社員に限らず、アルバイトやパートなど幅広い雇用形態で導入が進んでいます。
リファラル採用が注目される社会的背景
リファラル採用が注目を集めている背景には、以下のような社会的・構造的な課題があります。

まず、日本社会全体で進行する少子高齢化の影響により、生産年齢人口が年々減少しています。「令和4年版高齢社会白書」によれば、2021年時点で7,450万人だった生産年齢人口は、2050年には約5,275万人まで減少すると予測されています。
このような状況下では、企業が限られた労働力の中から、いかに効率的に優秀な人材を確保できるかが重要な課題となっています。
加えて、求人広告や人材紹介サービスなどを通じた従来型の採用手法では、1人あたりの採用コストが高騰する傾向にあります。特に採用活動の長期化や母集団形成の難化により、採用の費用対効果に課題を抱える企業も少なくありません。
こうした背景から、「社内のネットワークを活用して、転職市場には現れていない優秀な人材にアプローチできる」「求人広告に頼らず低コストで採用できる」手法として、リファラル採用の活用が拡大しています。
リファラル採用|4つのメリット
採用コストの削減
リファラル採用では、求人媒体への掲載費用や人材紹介会社への紹介手数料が不要なため、採用1人あたりのコストを大幅に抑えることができます。特に中途採用においては、大きなコスト削減につながるでしょう。
また、社員へのインセンティブを設けた場合でも、全体としては外部チャネルよりもコストパフォーマンスが良いケースが多く見られます。
高い定着率とミスマッチの防止
リファラル採用は、既存社員が「自分と一緒に働きたい」と思う人物を推薦するため、企業風土やチームとの相性が合いやすい傾向にあります。
そのため、入社後のミスマッチが少なく、早期離職につながりにくいとされています。
紹介者である社員も、信頼関係のある知人を推薦しているため、「紹介したからにはきちんとフォローしたい」という意識が生まれ、入社後のサポート体制が自然と整う点も、定着につながる一因です。
応募者のスキル・人物像が事前にわかる
紹介者の推薦によって、「どのような人か」「どんなスキルを持っているか」といった情報を、採用担当者が事前に把握できるのも大きな利点です。
履歴書や職務経歴書だけでは見えにくい人間性やカルチャーフィット、コミュニケーション能力などを事前に知ることができるため、選考精度を高めることができます。
また、書類選考や面接の設計も、より個別対応型にすることで効果的に進めることが可能です。
即戦力人材が採用できる可能性がある
リファラル採用では、社員が信頼する元同僚や知人を紹介するため、実務経験がありスキルの高い即戦力人材と出会える可能性が高まります。
また、推薦にあたって「自社で活躍できるか」を意識するため、企業文化との親和性も高く、早期の戦力化が期待できます。
さらに、社員が自社を「人に紹介したい」と思う背景には、職場への信頼や満足度=従業員エンゲージメントの高さが関係しています。紹介活動そのものが、社員のエンゲージメントの可視化や強化にもつながります。
▼従業員エンゲージメントに関する記事はこちら
「従業員エンゲージメントとは?企業成長に与える影響と効果的な施策を解説」
リファラル採用|デメリットと注意点
紹介が集まらないケースがある
リファラル採用は「社員からの紹介」が前提となるため、制度を整えても必ずしも応募が集まるわけではありません。
社員が積極的に紹介したくなるような仕組みづくりやインセンティブ制度がない場合、「知人に声をかけづらい」「そもそも紹介できる人材がいない」といった声も出やすく、制度だけ整えても成果に結びつかないケースもあります。
そのため、リファラル採用は制度設計だけでなく、社内浸透と運用の工夫が欠かせません。
社内の人間関係に影響を及ぼすことがある
紹介者と被紹介者が同じ部署に配属されるなど、日常的に関わる環境下では、人間関係のトラブルが発生した際に対応が難しくなることがあります。
また、紹介者に対して「責任」を感じさせすぎると、心理的な負担を与える結果にもなりかねません。
このようなリスクを避けるためには、配属先の分離や人事からのサポート体制、フォローアップ面談の実施などが重要になります。
採用の多様性が損なわれる可能性がある
リファラル採用は「社員の知人・友人」を中心に応募者が集まるため、価値観や経歴の似通った人材が集まりやすい傾向があります。
結果として、チームや組織内での多様性が損なわれ、イノベーションや新たな発想が生まれにくくなるリスクも指摘されています。
リファラル採用はあくまで採用チャネルのひとつと捉え、求人媒体やダイレクトリクルーティングなどとバランス良く併用することが大切です。
リファラル採用|成功させるための導入手順
リファラル採用を効果的に運用するには、ただ「紹介してください」と声をかけるだけでは不十分です。社員の協力を得ながら、制度として社内に定着させるための仕組みづくりが重要です。
本章では、リファラル採用の一般的な導入ステップを4段階に分けて解説します。
社内への周知・制度設計
まずは、社員がリファラル採用を正しく理解し、自発的に参加できるようにするための社内周知が必要です。
その際には「どのような人材を求めているか」「紹介方法」「報酬の有無」など、制度のルールを明確に設定し、説明会や資料などで丁寧に伝えることが大切です。
特に、報酬制度の設計は参加率に大きく影響します。現金だけでなく、社内ポイントや特別休暇といったインセンティブを柔軟に設計する企業も増えています。
金銭報酬を支給する場合は、職業安定法・労働基準法に抵触しないよう、次のポイントに注意しましょう。
- リファラル採用の報酬は就業規則へ明記の上、「賃金・給与」として支払うこと
- 人材紹介会社に支払う報酬(人材紹介手数料)より低い金額に抑えること
- 被紹介者へ「就職お祝い金」は支給しないこと
▼リファラル採用の報酬(インセンティブ)に関する記事はこちら
「リファラル採用の報酬(インセンティブ)相場|設計のポイントと違法リスクの回避策」
紹介者の負担を減らす仕組みづくり
社員が紹介しやすい仕組みを整えることも成功のカギです。
例えば、候補者に送るメッセージテンプレートや紹介フォームの提供、専用の紹介窓口の設置など、紹介活動のハードルを下げる工夫が有効です。
また、「紹介したいけど、どう声をかければいいかわからない」といった声に対応できるよう、社内向けのFAQやチャットサポートを設ける企業もあります。
候補者への丁寧な対応とフィードバック
紹介された候補者には、丁寧かつ迅速な対応を心がけましょう。リファラル採用では、候補者の印象が社員の信頼にも直結します。
また、紹介した社員に対しても、選考状況や結果のフィードバックを行うことで、制度への納得感と信頼が高まり、次回以降の紹介にもつながります。
効果測定と改善
導入後は、リファラル採用による応募数や選考通過率、定着率などを定期的にモニタリングし、制度の改善につなげましょう。
制度を導入するだけで終わりにせず、PDCAを回して「紹介したくなる環境づくり」を継続することが、リファラル採用を根付かせるポイントです。
リファラル採用|導入時に気をつけるポイント
選考前の面談と事前調整
リファラル採用では、候補者が本当に自社に適しているかを確認するために、カジュアルな面談を設定するのが効果的です。推薦を通じて応募した候補者は、企業について十分に理解していない可能性があります。
そのため、選考に進む前に、自社の文化や求める人物像を説明し、互いの期待を調整することが重要です。これにより、採用後のミスマッチを防ぎ、候補者の納得感を高めることができます。
社内コミュニケーションとフィードバックの徹底
リファラル採用を円滑に進めるためには、社内のコミュニケーションを密にし、フィードバックを徹底することが大切です。採用基準や評価の透明性を確保し、社員が積極的に紹介活動に参加できる環境を整えることで、リファラル採用の効果が最大化します。
また、候補者の選考結果やフィードバックを紹介者に適切に伝えることで、リファラル採用の理解が深まり、次の採用活動にもつながりやすくなります。
労働条件と採用基準の明確化
リファラル採用の成功には、労働条件と採用基準の明確化が重要です。あいまいな労働条件のまま進めると、社員間での不公平感や候補者に対する誤解を招く可能性があります。
労働条件や評価基準を明確にし、紹介者にも共有することで、候補者とのミスマッチを防げるでしょう。これにより、採用プロセス全体の透明性が高まり、公正な選考が実現します。
まとめ|リファラル採用で採用活動を成功させよう
リファラル採用は、コスト削減や高い定着率を実現できる手法として多くの企業で注目されています。企業文化に適応しやすい人材を効率よく採用するために、社内インセンティブ制度や明確な採用基準の整備が重要です。
一方で、リファラル採用には特有のデメリットもあるため、導入に際してはトラブル回避のための準備が欠かせません。リファラル採用を効果的に活用し、優秀な人材確保と組織の活性化につなげていきましょう。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 上原 美由紀
従業員1万人以上の企業の5社に1社が導入している採用支援・求人広告会社にて、アルバイト・パート採用や中途採用を中心に、約3年間にわたり企業の採用支援に従事。
2019年9月より株式会社ウィルオブ・ワークに入社し、コールセンター・オフィスワークに特化した人材サービスの事業部でキャリアアドバイザーを担当。現場で培った知見をもとに、コンタクトセンター領域はもちろん、採用・人材分野に関する実践的かつリアルな情報発信を心がけている。
現在は子育てと仕事を両立しながら、日々奮闘中!
趣味:音楽、ゲーム、ディズニー、お酒
特技:タスク管理