クラウドPBX比較5選│機能やメリット・選定方法・各社の特徴を解説

2025/08/29

この記事を読んでわかること
 ✔ クラウドPBXの仕組みと、従来型PBXとの違い
 ✔ 導入におけるメリット・デメリット
 ✔ 国内主要ベンダー5社の特徴と比較ポイント
 ✔ 自社に合ったクラウドPBXを選ぶための判断基準

近年、コールセンター業界でも「PBXのクラウド化」が急速に進んでいます。従来のオンプレミス型では拠点ごとに機器を設置する必要があり、コストや柔軟性に課題を抱える企業も少なくありません。その解決策として注目されているのが、インターネット経由で利用できるクラウドPBXです。

本記事では、クラウドPBXの基本的な仕組みから、導入のメリット・デメリット、さらに国内主要ベンダーの特徴を比較して解説します。
既存PBXのリプレイスを検討中の方も、新規にコールセンターを立ち上げる方も、最適なシステム選定のヒントとしてぜひご覧ください。

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クラウドPBXとは

クラウドPBXとは、従来オフィスに設置していたPBX(電話交換機)の機能を、インターネット上のクラウドで利用できるようにしたサービスです。物理的な機器を自社で保有・管理する必要がなく、初期費用やメンテナンスコストを大幅に削減できます。

また、利用規模に応じて柔軟に拡張できるスケーラビリティの高さや、リモートワーク・複数拠点での利用に対応しやすい点も大きな特徴です。

▼クラウドとは
クラウドとは、インターネットを通じてデータの保存や処理、アプリケーション利用などを行えるサービスのことです。従来のように社内にサーバーを設置せず、必要なときに必要な分だけ利用できるのが特徴です。

▼PBXとは
PBX(Private Branch eXchange)は、企業内の電話を制御する「電話交換機」です。内線同士の通話や外線の振り分け、代表番号着信、転送などを一元管理できます。これがないと社内通話も外線経由になりコストがかかるため、規模の大きな企業やコールセンターでは欠かせない仕組みとなっています。

PBX|オンプレミス型とクラウド型の比較

PBXには、自社内にサーバーや機器を設置して運用する「オンプレミス型」と、インターネット経由で利用する「クラウド型」があります。オンプレミス型は初期費用や運用負担が大きい一方で、カスタマイズ性や安定した通話品質に優れているのが特徴です。
ここでは、両者の特徴を分かりやすく比較するため、7つの項目で違いをまとめました。

 

オンプレミス

クラウド

コスト形態

資産 経費

初期費用

高額(機器購入、設置費用など) 不要もしくは少額(設定費など)

ランニングコスト

運用・保守費用

ライセンス費用+オプション
※企業規模によっては高額になる

セキュリティ

外部からの侵入リスクが少ない 外部からの侵入リスクがある
※プライベートネットワークを使うことでリスクを軽減

導入スピード

運用開始まで数週間から数か月かかる 即日での導入が可能

カスタマイズ

要望に合わせて自由にカスタマイズ可能 事業者が提供可能なサービスに限られる

音質

ローカル回線のため安定している インターネット環境に品質が左右される

クラウドPBXが注目され始めた背景

クラウドPBXが注目され始めた背景には、主に次の2つの要因があります。

  • コスト削減のニーズに対する解決策
  • 働き方の多様化

コスト削減のニーズに対する解決策

従来の電話システムは初期投資や保守管理に多大なコストがかかっていました。クラウドPBXを導入すれば、これらの費用を大幅に抑えることができます。コールセンターにおいては、常に効率化・コスト削減が求められており、その解決策の一つとして注目されています。

働き方の多様化

コロナ禍をきっかけに、リモートワークや多拠点での業務が広がりました。クラウドPBXはインターネット環境さえあれば場所を問わず利用できるため、柔軟な働き方に対応可能です。拡張性にも優れていることから、企業の新しいコミュニケーション基盤として導入が進んでいます。

コールセンターにクラウドPBXを導入するメリット・デメリット

クラウドPBXにはメリットとデメリットの両面があります。メリットを理解しつつも、デメリットを理由に導入をためらうセンターも少なくありません。本章では、その特徴を整理します。

クラウドPBXのメリット

  • 初期費用がほとんどかからず、小規模センターでも導入しやすい。
  • 構築がスピーディで、サーバー増強やシステム変更、負荷分散などもクラウドなら低コストかつオンデマンドで対応可能。繁閑差が大きいセンターでもコストコントロールしやすい。
  • 自社で大規模なデータセンターを保有する必要がなく、ロケーションフリーで運用でき、メンテナンスの負担もない。

クラウドPBXのデメリット

  • 長期的には運用コストがかさみ、規模によってはオンプレミスより高額になる場合がある。
  • 音質がインターネット環境に依存するため、事業者によっては品質に不安が残る。
  • セキュリティは現在の技術でほぼ担保されているものの、「クラウド=不安」と感じる企業は依然多く、心理的ハードルになっている。
  • そのほか、110番や119番といった特殊番号に発信できない、停電時に弱いといった制約もある。

このようにクラウドPBXは、すべてにおいて優れているわけではありません。コスト面や運用方針、事業継続性などを総合的に判断し、自社に合った導入方針を決めることが重要です。

【コールセンター向け】クラウドPBXの国内ベンダー比較5選

次にコールセンター向けにクラウドPBXを展開している国内主要ベンダー5社を比較してみました。

  1. コラボス【@nyplace/ COLLABOS PHONE】
  2. リンク【BIZTELコールセンター】
  3. コムデザイン【CT-e1/SaaS】
  4. 楽天コミュニケーションズ株式会社【コネクト2.0】
  5. ジェネシス【PureCloud】

コラボス【@nyplace/ COLLABOS PHONE】

[特徴]

  • 国内におけるクラウド型コールセンターシステムのパイオニア、導入実績は750拠点以上
  • お客様の運用に併せて、ソフトフォンのみ、ハードフォンソフトフォンセットで提供可能
  • 信頼度の高いAVAYA社製のIP電話交換機システムをクラウドで提供

コラボスは2001年からコールセンター向けクラウドサービスを提供している、国内でもパイオニア的な存在のベンダーです。手厚いサポート体制により解約率が低い点も特徴です。

提供するPBXは大きく二つに分かれます。

  • @nyplace
    オンプレミスで国内シェアNo.1を誇るAVAYA社製システムをベースとしており、信頼性の高さが強みです。AVAYAのシステムを安価に利用したい企業に適しています。
  • COLLABOS PHONE
    Asteriskをベースに自社開発したソフトフォンで、低価格かつ短納期で導入可能。小規模センターに向いた製品です。

また、他社サービスとの連携や柔軟な導入支援にも積極的で、課題解決型の提案を行える点もコラボスならではの強みといえます。

リンク【BIZTEL】

[特徴]

  • 国内シェア6年連続No.1
  • 複数のCRMと連携実績あり(特にSalesforceとの連携に定評あり)
  • クラウドCTIで国内唯一、FISC・PCI DSSに対応

BIZTELはクラウドPBX国内ナンバー1の導入実績があるクラウドPBXです。導入企業は大手から中小企業まで幅広く、低コストが特徴です。一貫して独自の開発を行っており、ユーザーからのフィードバックをもとに「顧客目線」を徹底追求したUIなどが強みになります。セールスフォースをはじめとしたCRMとの連携実績が多数あるのも選ばれるポイントの一つになります。

また、国内のクラウドCTIで国内唯一、FISC・PCI DSSを取得しており、金融機関でも採用するセキュリティプランを備えています。

コムデザイン【CT-e1/SaaS】

[特徴]

  • 自社開発した技術をベースにしたシステムを持ち、1,550テナント 31,000席の導入実績
  • 運用性が高い自由なカスタマイズと自由な構成が行え、カスタマイズは基本0円で提供
  • CCP(Converged Communications Platform )として多様なDXソリューションとの連携を実現

コムデザインはすべて自社開発を行っており、カスタマイズ性に強みをもつベンダーです。

自社開発の強みとして、市場からのフィードバックと対応のラグが小さく、新しい機能の開発・実装や保守などスピード感がある対応が特徴です。また通常連携には高額の開発費用が掛かるケースがありますが、相対的に見て安価で開発を行っております。

これまでにない機能も「基本0円」で開発、提供をしており、各社の要望に対しても丁寧に対応を行うところも魅力になります。CCP(Converged Communications Platform )として多様なDXソリューションとの連携を実現しており、近年ではAIソリューションとの連携も積極的に行っています。

アマゾン ウェブ サービス【Amazon Connect】

[特徴]

  • 従量課金制のため最低月額料金、長期契約、前払いライセンス料が不要
  • AI と ML を搭載したオールインワンのコンタクトセンター構築が可能
  • 世界最高水準のクラウドサービスであるAWSのあらゆる機能と連携

Amazon Connectは米国アマゾンが展開するAWS(Amazon Web Service)上で展開されているCTIシステムです。

2018年ごろに日本に上陸してから、徐々にローカライズを進めており、ここ数年で日本国内でも利用社数が急激に増えています。費用は従量課金で利用した分を支払う形態になっており、センターによっては大幅にコストを削減できます。また、AWSは世界中で最も利用されているクラウドサービスの一つで最高水準の技術を持っています。AIを中心に日々進化する機能がアップデートされていき、高度なコンタクトセンターを目指すことができます。

ジェネシス【Genesys Cloud CX】

[特徴]

  • 世界7000社以上で採用されるデジタルカスタマーサービス
  • 複数チャネルを統合管理でき、様々なビジネスツールと連携可能
  • 週単位で新機能をリリース

ジェネシスはオンプレミスで世界の名だたる企業への導入実績や高いシェアをもつ外資系ベンダーですが、ここ数年最も力を入れているのがクラウドサービス「Genesys Cloud CX」です。

これまでに紹介してきたベンダーとは違い、オンプレミス時代からコールセンターシステムを提供してきた実績があり、高機能に加えクラウドの特徴を活かした週単位の機能実装や利用数の柔軟な変更ができます。

また、コールだけではなく、SMSやメール、チャットといった複数のチャネルを統合することもでき、オムニチャネル化の実現等が可能です。

クラウドPBXの選定ポイント

各社の特徴を見てきましたが、最後に選定のポイントをまとめたいと思います。

ポイント

コストと機能のバランス

自社が実現したいことを満たせる機能か
それに見合ったコストであるか

規模

自社のセンター規模にあったシステムはどれか

操作性/使いやすさ(UI)

自社スタッフにとって使いやすいものであるか

既存で運用しているシステムとの連携

既存システムとの連携ができるか

サポート

求めるレベルのサポートを受けられるか

コストと機能のバランス

結局、コストをかけて高機能のものを利用しても、使いこなせるオペレーションや人材がいないと意味がありません。コストパフォーマンスを上げるには、自社にとって本当に必要な機能、使いこなせる機能に絞って、選んでいくことが重要です。

規模

各ベンダー得意とする規模感があります。例えば、大企業向けに高機能、手厚いサポートを特徴としているベンダーもあれば、中小企業向けに、低コストで手軽に導入できることを特徴としているベンダーもあります。自社の規模に合ったベンダーを選びましょう。

操作性/使いやすさ(UI)

さまざまな年齢の方が活躍されるコールセンターでは、限られた時間の中で受電業務を早く覚える必要があります。通常のビジネスフォン等にはない機能をいかに分かりやすく短時間でご活用頂けるかがポイントになりますので、自社センターのスタッフにとって直感的に使いやすいUIになっているかを確認する必要があります。これは実際に触ってみないとわからない部分があるので、デモなどで現場の方に触ってもらう機会を設けましょう。

存で運用しているシステムとの連携

すでにCRMや基幹システムを利用している企業にとってはシステム連携が可能かどうかもポイントになります。連携したことのない機能だと、連携に開発費がかかることがあります。自社既存製品と連携が可能なPBX、もしくは開発費用が安価なものを選ぶとよいでしょう。

サポート

PBXは通常導入すると、オペレーション構築やスタッフの慣れも含めて短期で入れ替えの発生するシステムではございません。そのため、一度導入をするとベンダーとも長期間のお付き合いになることが多いです。長期間使うものなのでサポート体制は重要になります。

また、多くのセンターにとってPBXはセンター運営において重大な役割を担っており、安定稼働が不可欠なシステムになります。そのため、有事の際にどのようなサポートを受けられるかもポイントになります。

まとめ

本記事では、クラウドPBXについて概要やメリット・デメリット、国内主要ベンダーの特徴と選定時のポイントをご紹介しました。

クラウドPBXへの移行は急速に進んでおり、すでにオンプレミス型を越える勢いです。これまで、クラウドPBXの欠点とされてきたセキュリティや音声品質についてもIT技術の発展とともに克服されつつあります。

また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進において、通信インフラもクラウド化することが、その一環として進められています。今後、AI活用なども期待される中でクラウド化は必須になってくるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 吉田 章孝

    2011年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)に入社。
    3年目に支店長として支店の新規立ち上げを経験。その後は札幌支店長として着任し、2年間で売上倍増に貢献する。
    その後、首都圏管轄マネージャに着任し、営業推進部へ異動。営業推進部では、金融系プロジェクトチームの立ち上げや、部内重点顧客の本部営業などを担当。
    2020年4月より、営業推進部 部長として、本部営業や社員教育、求人広告や転職支援チームなどを担当。現在は本部営業をメインに担当。

    ・趣味:散歩、語学
    ・特技:料理

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