チャットボットとは│基礎知識と導入ステップ・メリットを簡単に解説
2024/10/02
- システム導入
- 生産性向上
本記事ではコンタクトセンター業務に携わる方向けにチャットボットについて基礎から解説します。
- 今さらチャットボットについて聞けない
- コンタクトセンターにチャットボットの導入を考えているが効果を知りたい
- チャットボットを導入しているけど、あまり仕組みは理解していない
上記のようなお悩みを持つ方におすすめです。この記事を一読すれば、チャットボットの基礎と世の中にあるチャットボットの仕組みや種類が理解できるようになります。
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チャットボット(chatbot)とは
チャットボットとは、「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、一般的にはテキストでの会話を自動化するシステムを指します。
それぞれの言葉を分解して説明すると、チャットはインターネットを介してテキストで双方向のやりとりができる仕組みのことで、身近なものだとLINEやSlackなどが有名です。また、ボットはロボットのことで、人間の代わりにタスクやコミュニケーションを自動的に遂行する仕組みのことを指しております。
日本では2016年以降から急速に発展しており、人材不足などが顕著なコンタクトセンター部署などで導入が進んでいます。実際、グローバルインフォメーションが調査した「チャットボット市場規模・シェア分析- 成長動向と予測(2023年~2028年)」によると、世界のチャットボット市場規模は2023年に58億6,000万米ドルと推定され、2028年には210億8,000万米ドルに達すると予測されています。
最近はマーケティングやセールスでの活用も進んでおり、顧客体験の向上やレコメンドなどで活用されています。
チャットボットの種類(作り方の違い)
作り方や答え方によって、チャットボットはいくつかの種類に分けることができます。それぞれに特徴があり、できることも変わってくるため、コンタクトセンターでの導入時には理解しておく必要があります。
まずは作り方によって2種類に分けることができます。
ルールベース型 |
機械学習型 | |
概要 |
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メリット |
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デメリット |
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ルールベース型
ルールベース型は、質問に対してどのような回答をすれば適切なのかを手動で設定します。想定される質問に対し回答を用意しておき、「AならばB」というようにルールに沿って回答していきます。ユーザーからの想定質問については、キーワードで判定するパターンや、こちらから選択肢を提示し誘導していくパターンなどがあります。
ルール通りであれば、正確に、確実に処理することができるメリットがある一方、人間がルールやシナリオを定義する必要があるため、多大な工数と業務理解が必要です。また、新しいシナリオなどを追加する際に既存のルールと矛盾しないかを考慮しないといけないなど、メンテナンスが容易ではないというデメリットがあります。
機械学習型
機械学習型は、いわゆる人工知能(AI)の一種である機械学習の技術を用いて、どのように回答をすれば適切なのかをコンピュータ自らが学習します。予め質問と回答のデータを準備し、コンピュータに学習させることで、言葉の揺らぎにも対応できたりと、ユーザからの質問に対し、ルールベースよりも柔軟に対応ができます。
一度学習をすれば、その後はユーザーのフィードバックを元に、自律的に改善することができる一方、間違ったフィードバックによる学習が行われると回答率が大幅に下がるなどの正確性に問題があります。また、ルールベースとは違い、回答結果のコントロールができないというデメリットがあります。
チャットボットの種類(答え方の違い)
続いて、チャットボットで解決したいタスク別にどう答えさせるかで種別する方法を紹介します。
どれが優れているとかではなく、チャットボットで対応したい業務や目的によって変わってくるため、それぞれの性質を理解して、適切なものを選ぶことが重要です。
シナリオ型
イエス・ノーで答えられるような分岐に従い、シナリオに沿って回答をする方法です。ユーザーに選択肢を選んでもらい、選択肢によってシナリオが進んでいきます。シナリオで分岐し、予め準備してあるFAQや応答文で回答を行ったり、手続きを行うための情報をヒアリングします。
一問一答型
ユーザーの発話に対し、自然言語処理の技術を使って質問の意図を解釈したり、あらかじめ登録されたキーワードから質問意図を推測し、回答を提示する方法です。先ほどのシナリオ型と同じく、あらかじめ準備してあるFAQ等を使って応答するため、製品やサービスに関する問い合わせなど、幅広い回答が想定されている場合に用いられます。
スロット型
ユーザーに確認したい項目(スロット)を埋めるまで質問を繰り返す方法です。通販の受注や予約受付など、確認したい項目が決まっている場合などに効果を発揮します。
導入までのステップ
チャットボットの導入までのステップを見ていきましょう。作り方によって各ステップでやらなければいけないことが異なります。
作り方 |
ルールベース型 |
機械学習型 |
STEP1: |
ルールの定義・シナリオ設計 |
教師データ作成・データクレンジング |
STEP2: |
チャットボット構築・キーワード設定 |
モデル構築・学習・検証・チューニング |
STEP3: |
チャットボットリリース | チャットボットリリース |
STEP4: |
ルールの再定義・シナリオ改修 | 追加学習・チューニング |
ルールベース型
ルールベース型では、導入したい業務のフローを整理し、チャットボットでどのように回答するかのシナリオを設計するところから始めます。その際に、曖昧な部分があるとうまくシナリオ通りに進まなくなるため、フロー図を作成し、ユーザーの期待発話は何かどのように発話を誘導するかなど、ルールを定義しておく必要があります。
設計ができたらチャットボットを構築していきます。最近では、チャットボットを画面操作からプログラミングの知識なしで作成できるツールを提供している企業も増えてきています。その場合はフローチャートのように会話を繋いでいき、会話に矛盾がないかなどを確認しながら構築を進めていきます。
また、AIがどのように返答するかなど応答文を作成したり、条件の分岐となるキーワードを設定することも必要です。また、作成したシナリオが想定通り動くのか、動作確認のテストを経て、問題なければリリースします。
リリース後は、新しい対応が増えるたび、シナリオを追加していきます。その際、現在のルールと矛盾しないかなど、ルールの整理、再定義が必要です。
機械学習型
機械学習型では、まずは学習に利用する教師データを作成します。一般的にはすでにオペレーターで対応している対応履歴やWEBフォームの入力履歴などから問い合わせと回答のデータセットを作成します。
また、そのままのデータを利用すると、学習がうまくいかない可能性があるため、データクレンジングというデータを綺麗にする作業が必要です。フィラーを削除したり、データが足りていないところは追加の学習データを用意したりします。
データの準備ができたらモデル構築を行っていきます。少し前までは社内に機械学習エンジニアがいないとモデル構築ができなかったのですが、現在はMicrosoftやAmazonなど、大手IT企業がすぐに使えるモデルを公開しています。これらはAzureやAWSを契約することで利用することができます。これらのモデルに準備した学習データを学習させ、うまくいくかどうかを検証し、学習データ量の調整など、チューニングを行います。ある程度の精度が出るようになってきたらリリース判定を行い、リリースします。
リリース後は、新しい業務が増えると、学習データを追加します。また、ユーザー利用後に正誤確認のアンケートを行い、それらをフィードバックとし、自律的に学習できるようにしておきます。放っておくと精度が悪くなることもあるので、精度を見ながら定期的にチューニングすることが大切です。
導入効果とは
最後にチャットボット導入による効果をまとめたいと思います。最近ではチャットボットで商品の紹介を行うチャットコマースなど、マーケティングやセールスでもチャットボットは活用されています。今回はコンタクトセンターの担当者向けの記事になりますので、コンタクトセンターでの主な導入効果を3つにまとめたいと思います。
ユーザー体験の向上
コンタクトセンターでは電話に繋がらないというのが最もユーザー体験を損ねる原因になります。しかし、オペレーターの採用難などによって常時繋がるコンタクトセンターの実現は難しくなってきています。そのようなコンタクトセンターにおいてチャットボットは常に回答ができる頼もしい存在になります。人間に比べて回答できる範囲は狭いですが、ちょっとした質問ならチャットボットで解決できますし、顧客がマニュアルを見たり、FAQページを探すような顧客努力を軽減することができます。また、問い合わせ対応時間の拡大など、利用者の利便性の向上ができます。
タッチポイントの増加
「ちょっと聞きたいことがあるけど、電話するのは大袈裟、、」そのような質問も、チャットボットだと気軽に質問することができます。気軽に質問ができることでサイレントカスタマーも防ぐ効果が期待できます。また、スマホネイティブな世代は電話が苦手でチャットコミュニケーションに慣れている方が多いため、そのような年齢層の方々の貴重なタッチポイントにもなります。
業務の効率化
問い合わせを分析すると、ほとんどの会話が同様の内容で同じ回答を繰り返しているということもコンタクトセンターではよくある光景です。このような単純な質問はチャットボットで対応することで、大幅に業務を効率化することができます。そうすることで、オペレーターは人しか対応できない問い合わせに集中して取り組むことができます。また、繁忙期に増加する問い合わせなどに対し、チャットボットを構築しておけば、繁閑差による人員調整なども軽減できます。
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まとめ
今回はコンタクトセンター担当者向けにチャットボットについて解説しました。
チャットボットは非常に便利なツールで、今後もどんどん導入が進んでいくと思いますが、全能ではありません。現状では人間に近い対話能力を持ったチャットボットは存在しておらず(かなり近いところまで研究レベルでは進んでいます)、回答できる範囲は限られています。また、人間のように臨機応変に案内を変えたり、おすすめをすることができません。
チャットボットをはじめ、テクノロジーはあくまで手段です。チャットボットができること、人間しかできないことを理解して、目的を達成するために適切に活用していきましょう。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 丸山 実咲季
2022年4月に入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。
営業推進部にてインサイドセールスに従事し、テレアポからメールマーケティングなどのプル型施策によりリード獲得に貢献。
2022年5月からTwitterアカウントの運用も担当。2022年度のグループ全体「新卒新人賞」にノミネートされる実力者。市場価値爆上がり中の2年目社員!
・趣味:お洒落なカフェの空間を探したり、自然の中をお散歩することが好きです!その他、バスケ 料理 音楽など多趣味です。
・特技:相手の表情を汲み取って行動や発言ができる点。