【2022年】コールセンター/CRM デモ&コンファレンス イベントレポート
2024/07/11
- システム導入
- 在宅勤務
- 生産性向上
コールセンター/カスタマーサポート業界における一大イベント「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2022 in 東京」についてレポートします。
コールセンター業界に関わる方なら一度は耳にしたことがあるであろう同イベント。
コールセンターの最新システムやノウハウが一同に会するイベントだけあって、全国から多くのコールセンター関係者が参加されます。システムベンダーもマーケティング効果の高いイベントとして、このイベントに合わせて様々な準備をしてくる企業も少なくありません。
本記事ではイベント概要、イベントから見えてきた現在のトレンドと 少し未来のテクノロジーについて、独自レポートとしてご紹介します。当日参加できなかったや最新トレンドを知りたい方向けの記事となっておりますのでぜひご一読ください。
コールセンター/CRM デモ&コンファレンスとは
毎年6月に大阪で、11月に東京で行われる同イベント。主にコールセンター、カスタマーサポート向けにシステムやサービスを展開する企業による最新ソリューションの展示やセンター運用事例、有識者によるセミナー形式での講演、パネルディスカッションなど、多数のプログラムが展開されます。
第23回となった今年のテーマは「『感動』を『成長』に変えるCX戦略」。
ここ数年はコロナの発生により、在宅センターの普及や、デジタル技術を活用した自動化など、この先数年かけて進むはずだったものが一気に加速して、国内のコールセンター業界も大きな変化が迫られました。
しかし、それらの変化が必ずしも「顧客」にとって良いものだったかは検証が必要です。今回のイベントでは改めて「現有のリソースで最高の顧客体験」を考察、実施に移すためのヒントを得るというのがテーマに込められた思いです。
本イベント「4つの見どころ」
以下は主催者より提示された4つの見どころです。
1. IT、人材育成、顧客戦略立案など、すべての企業が追及する「CS経営」に必要な情報を一挙に紹介 |
2. 創刊24年の「月刊コールセンタージャパン」編集部が選定した最新事例の取り組みを紹介 |
3. AIを含めた最新ITソリューションのデモンストレーションの体験 |
4.「コンタクトセンター・アワード」「問い合わせ窓口格付け調査」など、客観的な評価に基づくベストプラクティスの分析と紹介 |
本イベントでは、業界に精通するIT、BPOベンダー約100社が出展し、各ブースで最新事例、機能を紹介しておりました。またCS業界のリーディングカンパニーによる最新トレンド・センター運営事例などをセミナー形式で約90セッション開催。センターを運営している企業からは自社での取り組み事例やリアルな課題などが、ITベンダー等からは最新のテクノロジーや解決ノウハウ等が発表されました。
イベント概要
イベントの概要については以下になります。
名 称:コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2022 in 東京 (第23回) |
⽇ 程:2022年11月10日(木)・11日(金) 10:00-17:30 |
会 場:サンシャインシティ・文化会館ビル |
主 催:株式会社リックテレコム月刊コールセンタージャパン,インフォーママーケッツジャパン株式会社 |
イベントプログラム:展示会、事例&ソリューションセミナー、実践研修講座、基調講演、特別講演、コールセンタージャパン編集部企画『ITの選び方&使い方』、5年後のコンタクトセンター研究会 |
(参照:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000112.000011263.html)
引き続き「在宅」「AI」がキーワード
ここからは当日イベントに参加した筆者が感じた今年のトレンドについて解説していきます。
ブースには今年104社が出展。CTI、CRM、通話録音、FAQなど定番のITソリューションから、チャット/ボイスボット、RPA、WFM、音声認識/合成など、最近普及が進んできたものなど、様々なソリューションが紹介されておりましたが、ブース全体を見渡すと「在宅」と「AI」をキーワードとしている企業が増えたのが印象的でした。どちらもコールセンター業界にとって無視できないメガトレンドになりつつありますが、本イベントでも注目度の高いキーワードです。それぞれ簡単に解説します。
在宅センターの実現には
在宅に関してはコロナによる急激な状況変化により、2年前から一気にコールセンター業界でも注目されてきたテーマです。コロナ禍では密を避けるという緊急の課題のため、臨時的に在宅センターへの移行が必要でした。しかし、アフターコロナとなった今も人材不足やBCP観点から在宅が有効な対策となりうるため、本格的な在宅センターの立ち上げを検討している企業も増えてきました。
在宅センターの立ち上げにはクラウドPBXやセキュリティソフト等が必須になってきます。また、集中管理できる物理センターとは違い、マネジメントの難易度が高く、様々なシステムを組み合わせることで効率化しているセンターも多くあります。特に、物理センターのように紙ベースで共有できないため、ナレッジを共有するためのシステム等も有効になってきます。
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「コールセンターにおけるテレワーク(在宅勤務)化の導入方法と課題の分析」
着実に進むAI活用。今年はボイスボットが注目
AIについては着実に現場での活用が進んでいます。チャットボットはもちろん、音声認識や音声合成など、数年前までは限られたベンダーが提供していた製品も多くのベンダーで扱われるようになりました。以前は機械学習モデルを持っているベンダーしか提供が難しかったものが、AWSやGoogleのAPIが提供されたことで安価に高品質の音声認識を利用できるようになりました。
その結果、通話録音システムやCTIの1機能として音声認識を提供する企業も増えるなど、気軽に利用できるようになってきた印象です。
すでに現場で成果を上げているチャットボットや音声認識ソリューションに続いて、ここ数年注目を集めているのがボイスボットです。
今年はコールセンター専門誌でもボイスボットの特集が組まれるなど注目度が高く、コールセンター展でも出展企業が非常に増えました。セミナーではLINE社やPKSHA Communication社(旧BEDORE社)などが、すでに呼量削減を実現している事例などを紹介していました。
ボイスボットはダイレクトに呼量を削減できる可能性が高く、人材不足のコールセンターにとっては有用なソリューションです。運輸会社での集荷受付や、飲食店の予約業務など、いわゆる手続のフローが定型化できるものについてはボイスボットだけでの完結ができます。また金融業界での本人確認など、必ずどの通話でも確認が必要なものを一部ボイスボットで対応し、全体のAHTを短くするといった事例なども見られました。
また今後注目したい事例として、IVRの代替をボイスボットで実現している事例などもありました。従来のIVRでは階層が深くなればなるほど煩雑になり、通話時間も長くなるなど、UXを損ねる原因になっていました。
ボイスボットではユーザーの自由発話に対し、AIが自動で振り分けを行い、適切な窓口につなぐことができるため、大幅なUX改善に繋がります。また、IVRでは振り分けできる窓口の数は限定的(増えれば増えるほど階層が深くなり、煩雑になるため)ですが、ボイスボットを活用すると、より細かく窓口を分けても対応できる可能性があります。まずは振り分けをボイスボットで行い、さらにその中でも定型フローで対応できるものはボイスボット内で完結、人が対応する必要があるものについては転送するなどの対応ができれば、徐々にAIで対応できる範囲を広げて効率化していくことができます。更なる事例に注目していきたいソリューションです。
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ボイスボットの活用事例や国内主要ベンダーの比較については別記事でも解説していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
「コールセンターボイスボットの活用事例|各社システムも比較!」
ネクストコンタクトセンターのキーワードは「生成AI」「バーチャルオペレーター」
ここまではすでに製品化され、実際に現場で活用されているテクノロジーの紹介でしたが、セミナー等では少し未来のコンタクトセンターの姿を示唆するようなテクノロジーの紹介もありました。
その中で筆者が注目した2つのキーワードは「生成AI」と「バーチャルアシスタント」です。それぞれ解説します。
AIは「認識の時代」から「生成の時代」に
これまでのAIが得意としていたのは「認識」で、コールセンター業界でいうとチャットボットや音声認識はまさに認識の世界の話です。ユーザーがなんと言っているかを音声認識したり、ユーザーの質問を識別して回答とマッチングするなど、元々ある学習データをもとに認識・識別するのがこれまでのAIです。
しかし、今年になり画像生成AIというのがAI界隈を騒がせました。ネットやニュースでも「AIが神絵を描き始めた」と話題になったので、画像生成AIについては聞いたことがある方も多いと思います。ネットでは「呪文」と呼ばれる指示文をAIに出すと、それに沿った画像をAIが生成するというものです。ほんの数秒で高精度な画像をいくつでも作成することができます。この生成AIが今後コールセンターにも大きな変化をもたらす可能性が今回のイベントでは示唆されました。
画像生成ができるということはもちろん文章の生成もできます。実際に海外ではGPT-3というAIモデルが高精度な文章を生成して話題になりました。文章が生成できれば、コンタクトセンターでも様々な用途での利用が予測されます。
例えば、FAQ・サポートページの文章生成、音声認識で全文テキスト化した文章の要約生成、チャットやメールなどの文章生成などで活用できるのが容易に想像できます。また、制御の問題等はあるものの、チャットボットもより柔軟な会話(例えば、方言に合わせた会話など)ができる可能性もあります。
すでに日本語でも商用化に向けた動きが加速しており、今回のコールセンター展の2日目の基調講演を担当した野口 竜司 氏が所属するELYZA社が提供するELYZA Pencilやブース出展やセミナーを担当したLINE社が開発中のHyperCLOVAなど、有望なサービスが発表されています。
今後コンタクトセンターで生成AIがどのように活用されるかはまだまだ未知数ですが、注目のテクノロジーです。
バーチャルオペレーターが対応する時代へ
もう一つ注目したいのは「バーチャルオペレーター」の可能性です。バーチャルオペレーターとはWEB画面などでCGなどで作成したキャラクター(アバター)が顧客への案内をする新しい顧客接点です。裏側はオペレーターやAIが遠隔で操作をし、顧客へのインターフェイスとしてはキャラクターが対応することで、オペレーターごとの印象で企業イメージがブレることはありません。コールセンターでは合成音声を利用して音声だけでもバーチャルオペレーターが対応することができます。
数年前から駅や大きな商業施設などで、サイネージで活用される事例はありましたが、いよいよコンタクトセンターでも活用が広がりそうな気配を今回のイベントから感じることができました。
またビジュアルIVRの普及など、音声・画像を組み合わせたマルチモーダルな案内も広がっており、その中でアバターがバーチャルアシスタントとして案内役になるなどの組み合わせが実現できそうです。
バーチャルオペレーターの活用はまだまだ業界的には事例が少ないですが、これから注目したい取り組みです。
まとめ
本記事ではコールセンター業界注目のイベント「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス 2022 in 東京」についてレポートしました。また、そこから見えてきた最新トレンド、また近い将来普及が期待されるテクノロジーをピックアップし、解説させていただきました。
すでに現場で活躍し始めたAIについては真剣に取り組むべきテーマとして各センター検討を始めていくべきでしょう。特に、AIは一部のエンタープライズ企業だけが先進的に導入するものというこれまでのイメージはなくなり、PBXやCRMのように必須でコールセンターには必要なものになりつつある印象を受けました。AIは従来のテクノロジーと違い、直接人の代替ができる可能性を秘めたテクノロジーです。人材不足が深刻化していくことが予測されるコールセンター業界にとって救世主になるのではないかと思います。
また、今回の記事では将来的に変化をもたらすであろうテクノロジーについてもご紹介しました。これらが実際の現場で活用され始める時期については明確には分かりません。
しかし、技術はいつも指数関数的な成長をしており、我々の予想を超えて発展していきます。日々テクノロジーの進化をキャッチアップしていくことが重要です。
Writer編集者情報
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コネナビ編集部 小林 弘明
新卒1年半は銀行にて勤務。その後 株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)にキャリアチェンジし、営業職と支店長を経験。
その後4年間は教育担当者として従事し、本部営業を1年間経験。現在は営業推進部マネージャとしてスタッフキャリア支援を担当。
・趣味:北海道の田舎で育ったので、自然アクティビティが大好き!特にシュノーケリング、川遊び。
・特技:飲み屋でだれとでもすぐ仲良くなること。
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