VOC(Voice of Customer)とは│今や必須のコンタクトセンター活用法を徹底解説!

2024/10/21

近年、顧客の声(Voice of Customer)を分析し、サービス改善に活用するのは当たり前になりました。顧客接点の最前線であるコンタクトセンターは顧客の声の収集、分析、活用において重要な役割を担っています。

この記事では、VOCについて概要の解説、今VOC活用が必要とされている背景・理由、コンタクトセンターでの活用ステップについて解説します。

VOC(Voice of Customer)とは

VOCとは、サービスや商品、企業に対する顧客の意見や品評などを総称したものです。

一般的にはコンタクトセンターなど、顧客と直接接点をもつ部署にお客様の声は集まります。最近ではTwitterをはじめとするSNSや口コミサイトなど企業には直接コンタクトはないものの、インターネット上に寄せられる声もあります。

VOC分析ではこれらのお客様の声を分析し、サービスの改善や新商品の開発、マーケティングへと活用されます。

VOCが重要視されるようになった背景

VOCが重要になってきた背景には、インターネットやSNSの普及によって、顧客が気軽に意見を発信できるようになったことが挙げられます。

インターネット上での評判は企業ブランドにとって重要な意味を持ちます。そして、商品やサービスのコモディティ化が進んでいる今、企業ブランディングを行うことは競合他社と差別化するための重要なポイントです。VOCを取り込むことで顧客満足度を改善し、顧客のロイヤルティを上げていくことは現代のビジネスにおいては大切な課題です。

また、顧客が求めるニーズや購買行動も多様になり、日々変化しています。これらの顧客ニーズにスピーディに対応していくため、企業側では顧客側の意見を素早く取り入れていく必要があり、VOCが重視されるようになりました。

コンタクトセンターにおけるVOC活動のステップ

コンタクトセンターでのVOC活動には大きく分けると「収集」「分析」「活用」の3ステップがあります。それぞれ解説します。

VOCの収集方法

一般的なVOCの収集方法としては主に以下の3つです。

コンタクトセンター

コンタクトセンターには日々数多くの声が寄せられます。従来は電話がメインでしたが、最近ではチャットやメールのようなテキストによるコミュニケーションも増えてきました。

コンタクトセンターに寄せられる顧客の声は、ポジティブなものもあれば、ネガティブなものもあります。コンタクトセンターに直接声を寄せる顧客は企業へ思いを届けたいというモチベーションの高い顧客のため、いずれにしても貴重な意見である可能性が高いです。

また、コンタクトセンターでは双方向のやりとりを行うことができるため、顧客が抱えている問題を深掘りすることができます。真因を探ると実は当初の内容とは違ったところに問題があることは多々あります。深掘りすることで得られる意見から大きな改善やヒット商品が生まれた例は枚挙にいとまがありません。SNSなどが発展した今もコンタクトセンターはVOC収集の最前線です。

SNS・口コミサイト等

最近では、SNS上で企業やサービスに対する意見を発信する顧客も増えています。特に、Twitterなどは拡散力もあり、さまざまな意見が投稿されています。
匿名性が高いSNSでの投稿は、自社製品への率直な意見を把握できる一方、匿名性ゆえに信頼性にかける投稿もあるため、個別具体にどこまで収集するかは注意が必要です。

また、最近では口コミサイトや比較サイトも増えています。これらは統計的な手法によって、顧客からの評価が定量化され、他社競合製品と比較されていることが多いです。最近では口コミサイトでの評価を確認してから購買行動をとる顧客も増えているため、企業としても考慮が必要です。

アンケート調査

アンケート調査は、顧客の情報を集めるために昔から活用されてきた手法の一つです。これまで紹介してきた2つの手法が顧客からの意見をリアクティブに受け取るのに対し、アンケートは企業から顧客へ意見を求めにいくという点が大きな違いです。そのため、企業側はあらかじめ調査したい内容をピンポイントに収集することができます。

ただし、アンケート調査にはいくつか注意点があります。アンケートの設計を間違えると、本当に知りたかった顧客の声を収集することは難しくなります。意図せず誘導してしまうような設計になっていたり、解答のしやすさを重視し簡略化しすぎると知りたかった情報が抜け落ちることがあります。また、アンケート調査をする母集団の数や特性にも気をつけないと意図しないバイアスがかかることがあります。

アンケート方法には、メールやSMS等を利用して収集するものから調査会社にお願いをして大規模に行うもので様々な方法があります。自社の目的にあった方法で行うことが大切です。

アンケートにより、顧客の満足度を測る方法の代表的な指標としてNPS®等があります。
(NPSに関する詳しい内容はこちら:NPS®(ネットプロモータースコア)とは?コンタクトセンターでの計算方法や運用方法を解説

VOCの分析方法

次にVOC分析の具体的な方法についてご紹介します。分析するためにはいくつかのフェーズがあります。

分析の目的を明確にする

VOC分析を行うためには、まず分析する目的を明確にする必要があります。

VOC活動のゴールは分析にありません。分析から得られた仮説をもとに、ビジネスを良い方向に持っていくことがゴールです。ここでいうビジネスの良い方向には様々なものが当てはまります。例えば、企業の売上をあげるために企業ブランディングを確立するということもあれば、コストを下げるため問い合わせ傾向を分析し、問い合わせを減らすための施策に役立てるということもあるでしょう。

いずれにしても、目的を最上流に設定し、そこからどのようなデータを集めるのか、どのように分析するのか、最終的にどのようなアウトプットとしてまとめるのかをイメージすることが大切です。

分析の方針を明確にする

分析の方針も初期段階で明確にしておきましょう。

対局的に捉えるためにマクロの情報(統計情報など)が欲しいのか、詳細な改善点を把握するためにミクロの情報(クレームの内容やSNSでの投稿内容など)が欲しいのか、どちらに注目するかによっても目的へのアプローチは変わってきますし、収集するべきデータは変わります。また、具体的な分析手法の違いによっても、手法ごとに適切なデータの形は違ってくるので、収集前に分析の手法まで決めておきましょう。

データを収集する

目的や分析方針が決まったら、それらに沿うデータを収集します。

収集方法については前述したとおりになります。ここで本当に仮説通り、目的に沿ったデータ収集ができているかを見極める必要があります。データを精査した結果、思うようなデータが収集できていない場合は収集方法を見直すか、そもそもの分析手法の見直しが必要です。

データを分析可能な状態にする

集めてきたVOCデータを分析するためには、分析可能な状態に加工する必要があります。ものによってはそのままでは分析が難しい、扱いにくいデータもあります。

例えば、コールセンターなどに入ってくる音声情報はそのままでは定量情報になっていないため分析するには扱いづらいです。そのため、最近では音声認識システムなどを活用して、まずは扱いやすいテキストデータにする、さらにそこからテキストマイニングを行うことで示唆が得られるという風に、データを分析可能な状態にすることが大切です。

分析をする

具体的な分析方法には様々なものがありますが、大きくは「類似」「対比」が基本です。

類似は、AとBの共通点を見出す分析手法です。例えば、テキストマイニングなどを活用し、顧客の声に多く含まれる単語を分析することで、問い合わせの共通点・傾向を掴むことができます。

対比は、AとBの相違点を見出す分析手法です。対比するものは様々なケースが考えられますが、例えば、満足度の高い顧客と低い顧客との対比や、過去と現在の対比、製品Aと製品Bの対比などを行うことで、それぞれの特徴などを分析することができます。

いずれの分析手法を用いる場合も、重要なのは「分析結果が信頼に足るか」ということと「分析結果から次に繋がるアクションが検討できるか」の2つです。分析結果の信頼性については、統計的な知識が必要になるかもしれません。特に、間違った分析結果はビジネスにおいてミスリードとなるため、注意が必要です。

VOCの活用方法

VOC分析の結果を以下のような目的に繋げることができます。

顧客満足度やNPSの向上に繋げる

VOCを分析しサービスや商品改善を行うことで、顧客満足度やNPSといった指標を向上させることができます。NPSはサービスや企業のブランディングに関わる重要な指標で、近年コンタクトセンターでも重要指標として利用されています。

VOC活動と企業ブランディングにおける関係で重要なのはダウンサイドのリスクをいかに抑えるかです。最近ではSNSでの炎上などに端を発し、サービス停止に追い込まれることが少なくありません。このようなレピュテーションリスク(企業の信頼に関するリスク)を適切に管理するためにも、VOC分析は非常に重要な役割を担っています。

市場のニーズを素早く捉えるのに役立てる

VOC分析をリアルタイムに行うことができれば、市場のニーズを機微に捉えることができ、それらを素早く商品やサービスにフィードバックすることができます。

特にここ最近ではIT業界におけるクラウドサービスのように、一度リリースをすれば終わりではなく、時代に合わせてどんどん商品やサービスを改善していくことが求められます。これはIT業界に限らず多くの業界で起きている現象で、そのためにも市場のニーズを素早く捉えていくことが重要です。

マーケティング活動の戦略に役立てる

VOC活動を行うことで、商品やサービスの改善だけではなく、企業としてどのように市場とコミュニケーションを取っていくかの戦略が立てやすくなります。マーケティング活動では、企業がどのように市場に認知をしてもらうと良いかが重要ですが、VOC分析を行うことで実際の市場の反応を見ることができ、適切なマーケティング施策ができるようになります。

このようにVOC分析を行うことで、「スピーディー」に「正しい方向」へとサービスや商品、マーケティング等を修正、改善できる点がVOC活動のメリットになります。

VOC活動における注意点

さまざまなメリットのあるVOC活動ですが、いくつか注意点もあります。

工数やコストがかかる

VOC分析を行うためには、企画からデータ収集、分析、実際の活用まで、それぞれのフェーズでリソースが必要です。また、部門を跨った活動になると、部門間の調整やコミュニケーションといった可視化はされにくいものの、確実に存在するコストも発生してきます。

VOC活動はただやれば良いというものではなく、工数をかけた分の見合った成果が求められます。再三この記事でも申し上げてきたとおり、目的をもった活動が重要です。

スキル・経験を持った人材が必要になる

先ほどはリソースの問題に触れましたが、リソースをかければ、VOC活動ができるというわけではありません。各フェーズにおいて、スキルや経験のあった人材が必要になります。

例えば、アンケートを設計する際にはアンケートの正しい手法を知っていないと、バイアスがかかる可能性があります。また、集めてきたVOC分析からインサイトを引き出すには統計的な知識も必要になるかもしれませんし、VOC分析の結果からサービス・商品開発に繋げるにはUX設計のスキルなども求められるかもしれません。

必ずしもスキルや経験がないとできない訳ではありませんが、自社で利用可能なリソースや人材のスキルを把握した上で正しい企画が行われないと、ただデータを集めてきただけで何も得られないVOC活動になる可能性があるので注意が必要です。

まとめ

本記事ではVOCについて、概要や求められている背景、コンタクトセンターでの活用ステップについて解説しました。

顧客の声は現代のビジネスにおいて貴重な宝です。これまではコールセンターに寄せられる一部の顧客の声しか収集することができませんでしたが、今はさまざまな角度で収集することができ、よりリアルな顧客の声が浮き彫りになってきています。また、最新のテクノロジーと組み合わせることで、これまでは気づかなかったインサイト(洞察)も発見することができるようになってきました。

VOC活動は多くの部署を跨いで会社として取り組んでいく必要があります。経営層も経営課題としてVOCを捉え、適切に組織を連携させていく必要がありますが、その際コンタクトセンターは最前線の部署になることになります。まずはコンタクトセンター内でVOC活動ができ、それらを波及していけるような仕組み作りが求められています。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 小林 弘明

    新卒1年半は銀行にて勤務。その後 株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)にキャリアチェンジし、営業職と支店長を経験。
    その後4年間は教育担当者として従事し、本部営業を1年間経験。現在は営業推進部マネージャとしてスタッフキャリア支援を担当。

    ・趣味:北海道の田舎で育ったので、自然アクティビティが大好き!特にシュノーケリング、川遊び。
    ・特技:飲み屋でだれとでもすぐ仲良くなること。

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