コンタクトセンターでCRMを効果的に活用する方法とは?導入から見直しまで解説

2024/02/25

CRMシステムの導入は、今やコールセンターにとって当たり前の存在ですが、中にはその活用方法にまだ上手く取り組んでいないセンターも存在します。

本記事では、CRMの基本的な知識から、コンタクトセンターでの具体的な活用法、さらにはリプレイスを検討する際のポイントまでを詳しく解説します。CRMシステムの効果的な活用により、顧客満足度の向上や業務効率化を実現しましょう。

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CRMとは?

CRM(Customer Relationship Management)とは、直訳すると「顧客関係管理」を指します。これは企業が顧客との長期的な関係を構築し、深化させるための戦略的アプローチであり、ビジネス目標の達成に不可欠なツールです。

その主な働きは、顧客情報の収集、管理、分析、そして活用です。CRMツールを活用することで、企業は顧客の購入傾向、嗜好、ニーズを把握し、それぞれの顧客にパーソナライズされたマーケティングやカスタマーサービスの提供を可能にします。これにより、顧客とのコミュニケーションやエンゲージメントが促進され、結果的に顧客ロイヤルティの向上や新規顧客の獲得につながります。

CRMの最終的な目的は、顧客満足度の向上、収益の増加、そして企業の競争力を強化することです。これにより、企業は持続的な成長を達成し、市場での競争優位性を維持することが可能となります。こうしたCRMの役割と機能性を理解した上で、具体的にコンタクトセンターでの活用方法について考えていきましょう。

言葉の定義

「CRM」という言葉は、一部では単にツールやシステムを指すものと誤解されることもあります。しかし、本来の意味は、企業と顧客との関係を最適化し、双方にとって価値ある関係を構築、維持するための全体的なアプローチや戦略を指します。

それを実現するためには、ツールやシステムの活用が必要であり、これらを効果的に用いることで、顧客のデータを収集・管理・分析し、パーソナライズされたサービスを提供できるようになります。近年では、このようなツールやシステムを総称して「CRM」と呼ぶこともあります。

本記事において「CRM」という言葉は、コンタクトセンターで用いられる「CRMシステム」という意味で利用します。

コンタクトセンターでの活用背景

CRMシステムがコンタクトセンターに導入される背景には、顧客との効果的なコミュニケーションを実現し、顧客満足度を向上させたいというニーズがあります。顧客からの問い合わせに対して、より迅速で適切な対応をするためには、その顧客がこれまでに何を購入したのか、どのような問い合わせをしたのかといった情報がすぐに手元にあることが重要です。

CRMシステムは、顧客情報を統合管理し、リアルタイムに情報にアクセスすることが可能です。これにより、オペレーターは各顧客に対して個別化されたサービスを提供することが可能となり、また迅速な問題解決を行うことができます。

CRMの重要性

Fortune Business Insightsによると、世界のCRMシステム市場規模は、2022年から2029年にかけて年平均成長率は12.5%、2029年に1457億9000万米ドルに達すると予測されています。この数値からもわかるように、CRMを導入する企業は年々増えてきております。

特にコンタクトセンターにおいてはオムニチャネルの対応などの要請もあり、CRMは益々重要になってきています。

オムニチャネルに関する記事はこちら:オムニチャネルとは?メリットやコールセンターでの推進方法や取り組み事例を解説

CRMの基本機能とコンタクトセンターでの活用法

現代のCRMは多機能化しており、一概に説明することは難しいですが、ここでは特にコンタクトセンターで活用が期待される基本機能について解説します。主に、顧客情報管理、問い合わせ管理、そしてデータ分析機能について、それぞれどのように活用することで業務効率と顧客満足度の向上につながるのかに焦点を当てていきます。

顧客情報管理機能

CRMの最も根本的な役割は「顧客情報管理」です。そのため、顧客の基本情報、購買履歴、その他の関連情報などを統合的に管理する機能はCRMの根幹とも言えます。

当然、この機能はコンタクトセンターにおいて、非常に重要な役割を果たします。オペレーターは顧客とのコミュニケーションを行う際に、これらの情報にリアルタイムでアクセスすることが可能になります。これにより、個々の顧客のニーズや問題に適応したカスタマイズされたサービスを提供することができるのです。

例えば、ある顧客が過去にどのような製品を購入したのか、どのような問題を持っていたのか、またそれらがどのように解決されたのかなどの情報がすぐに分かれば、それに対する適切な対応や提案ができます。このような迅速かつパーソナライズされたアプローチは、現代のコンタクトセンターにおいては必須要件といえます。

問い合わせ管理機能

「問い合わせ管理」を行うのもCRMの重要な役割です。CRMには顧客からの問い合わせや要望を一元的に管理・追跡し、適切に対応することを可能にする機能があります。

コンタクトセンターでは、顧客からの問い合わせや要望が日々多数寄せられます。これらを効率良く処理するためには、問い合わせの種類や顧客の問題、要望を適切に分類し、それぞれに対する優先度を設定することが重要です。CRMの問い合わせ管理機能は、これらのプロセスを助け、迅速かつ効率的な対応を可能にします。

具体的には、オペレーターはこの機能を使用して、顧客の問い合わせ履歴や 現在の問題の状況を把握し、それに基づいた適切な情報やソリューションを提供することが可能となります。また、問い合わせの進行状況を追跡し、未解決の問題が適時に対応されることを支援することができます。

データ分析機能

デジタル化が進んだ現代において、データを分析しインサイトを得ることは競争性を保つために重要です。CRMは、データ分析機能を搭載してロイ、顧客データから傾向やパターンを抽出し、それらを基に有益な洞察を提供します。

例えば、顧客の購買嗜好や問い合わせの内容、通話時間などの行動パターンを分析することで、顧客のニーズや優先事項を把握し、それに基づいたサービス改善やマーケティング戦略を策定することが可能となります。

また、顧客の満足度やエンゲージメントを測定し、顧客の反応に基づいた迅速な改善やターゲット指向のアプローチを行うこともできます。これにより、顧客との関係を強化し、ビジネスの成長を支えるための質の高い情報を得ることができます。

チャネルの統合機能

近年では電話だけではなく、メールやチャットなど、さまざまなチャネルで顧客とコミュニケーションがとられています。複数チャネルが存在する際に、情報を統合するCRMがないと顧客はチャネルごとに何度も同じことを繰り返さないといけなくなります。これは顧客体験を大きく損ねる原因になります。

CRMはこれらの複数のチャネルを統合するハブの役割を果たします。チャットでのやりとりや電話でのやりとりを1つのシステムで管理することができるので、チャネルが切り替わっても顧客に対してスムーズに案内することができます。

CRM活用のメリット

この章では、CRMを活用することによるメリットについて詳しく解説します。具体的には、顧客満足度の向上、業務効率化によるコスト削減、そしてターゲットマーケティングや機会損失の防止による売り上げ貢献の観点から見ていきます。

顧客満足度の向上

CRMを導入することによって期待される主な利点は、顧客満足度の向上です。以前述べたように、CRMは顧客と企業の関係を最適化するために使用されてきました。CRMがない状況では、個別の対応は困難であり、大多数に平均化された対応を行うしかありませんでした。しかし、CRMの導入により、顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズされた対応が可能になりました。

これにより、顧客のニーズに応じた提案やサービスが提供されるため、顧客満足度の向上が期待できます。顧客は自分に合った対応を受けられることで、より良い体験を得ることができます。また、顧客一人ひとりの情報や履歴を把握することで、より効果的なマーケティングや販売活動が可能になります。顧客との信頼関係も構築しやすくなり、長期的な顧客ロイヤルティの向上にもつながるでしょう。

効率化によるコスト削減

コンタクトセンターでは、CRMを活用することで業務効率化を図ることができ、結果的にコスト削減にも繋がります。

顧客の情報を一元的に管理することで、オペレーターが情報を迅速に把握し、顧客の問題を迅速かつ効果的に解決することが可能になり、ATT(平均通話時間)の削減が期待できます。また、FAQの自動応答、問い合わせの自動分類とルーティング、フォローアップのスケジューリングなど、多くのタスクを自動化することが可能です。

ターゲットマーケティングや機会損失の防止による売り上げ貢献

CRMは、コンタクトセンターの売り上げにも大きく寄与します。その一つの要因は、データ分析機能を利用したターゲットマーケティングです。CRMのデータ分析機能を用いて顧客の行動パターンや嗜好を把握することで、顧客個々のニーズに対応したターゲットマーケティングを実行することが可能となります。これにより、企業は顧客の関心に合わせた情報やサービスを提供することが可能になり、顧客とのエンゲージメントを深めることができます。

さらに、CRMを活用することで、顧客の潜在的なニーズやクロスセル・アップセルの機会を逃すことなく、売り上げの増加に直接貢献することができます。これは、顧客の購入履歴や問い合わせ履歴から顧客のニーズや傾向を見つけ出し、それに基づいた商品やサービスを提案することが可能となるからです。

これらの要素は、「クロスセル率」や「売上増加率」などのKPIを向上させ、売り上げ貢献に直接つながると言えます。これにより、コンタクトセンターは顧客満足度の向上だけでなく、業績向上にも寄与することが可能となります。

CRMリプレイスを検討するポイント

この章では、コンタクトセンターでのCRMリプレイスを検討する際の重要な要素を紹介します。

現在のCRMの課題と改善点

CRMのリプレイスを検討する際には、現行CRMの課題や不足点を深堀りすることが必要不可欠です。まず、顧客情報の精度、操作性、機能の不足など、具体的な課題を特定しましょう。例えば、顧客データが古く、更新が困難であったり、操作性が低くオペレーターが使いこなせていない場合、これらは大きな課題となります。

課題を明確にした上で、それぞれに対する改善点を洗い出します。次期CRMで改善すべき点は何か、それが実現した場合にどのような結果を期待できるかを理解し、リプレイスに向けた準備を進めましょう。これらの情報は、新しいCRMを選定する際の重要な基準となります。

必要な機能と拡張性の確認

CRMのリプレイスを検討する際、現在の業務要件と将来の成長戦略に照らして必要な機能を洗い出すことが大切です。具体的には、オムニチャネル対応や顧客分析機能、自動化ツールなど、コールセンターの運用をよりスムーズかつ効率的にするための機能を確認しましょう。

また、単に現状の業務に対応するだけでなく、将来的なビジネスニーズや目標にも適応できるCRMを選択することが重要です。業務や市場環境の変化に対応可能な拡張性、独自のニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟性などを持つCRMを選ぶことで、長期的なビジネス戦略にも対応できます。

以上のように、現行のCRMの課題を解決するための機能はもちろん、将来的な拡張性やカスタマイズ可能性を評価し、全体的なビジネス戦略に沿ったCRMを選択しましょう。

予算とROIの検討

CRMの導入・リプレイスを検討する際には、予算の設定とその対効果、すなわちROI(投資対効果)の評価が重要となります。具体的には、導入コスト、運用コスト、そしてそれらがもたらす効率向上やビジネス成果等の効果を見積もり、コストと効果のバランスを検討します。

CRMの導入にかかる費用は一部であり、運用に伴うコストも考慮に入れる必要があります。しかし、それらのコストを超える価値をCRMが提供できるかどうかが重要です。顧客満足度の向上や効率化による時間節約、売上向上などの経済的な利益が期待できるかを検討することで、ROIを評価します。

予算設定とROIの評価は、CRMリプレイスの成功を左右する要素です。これらを考慮に入れた上で、コスト効果の高いCRMリプレイスを選択しましょう。この段階で慎重な検討を行うことで、長期的な視点での成功につながるでしょう。

成功するCRM導入・リプレイスのためのステップ

この章では、CRMの導入やリプレイスを成功に導くための具体的なステップについて解説します。目標設定とKPIの明確化、ステークホルダーのコミットメント、必要なトレーニングと教育、そして導入後のフォローアップと改善を行うことが、長期的なCRM活用の成功につながります。

目標設定とKPIの明確化

CRM導入またはリプレイスを成功させるためには、まずその目的と期待する成果を明確にすることが必要です。これらはビジネス目標に密接に連動しているべきで、顧客満足度の向上、センターの生産性の向上、売上の増加など、具体的な目標を設定することが重要です。

また、目標の進捗を測定するためKPIを設定することも重要なステップです。コールセンターでは、例えば「顧客満足度」や「CPC(コスト・パー・コール)」などのKPIを設定し、CRMの導入効果を定量的に評価することが大切です。

目標とKPIを明確にすることで、CRMプロジェクトの方向性が明確になり、具体的な成果を可視化し評価することが可能となります。

ステークホルダーのコミットメント

CRMの導入・リプレイスを成功に導くためには、関与する全てのステークホルダー(経営層、エージェント、IT部門など)の積極的な参画とコミットメントが欠かせません。それぞれがプロジェクトの目標に賛同し、積極的に取り組むことで、成功につながります。

特に最近のCRMはマーケティング部門や営業部門、カスタマーサポート部門と部門間を跨ぐプロジェクトになることがあります。この場合、それぞれの期待値をすり合わせて、CRM導入の目的を達成するためにどのような形が良いかを合意しておくことが大切です。部門間をまたがるプロジェクトでは経営層のコミットメントがより重要になります。具体的には、適切なリソースの割り当て、プロジェクトに対する理解と協力、問題が生じたときの迅速な対応などが期待されます。

トレーニングと教育

CRM導入・リプレイスの成功の鍵となるのが、オペレーターや関係者に対する十分なトレーニングと教育です。CRMシステムの使い方を熟知し、その活用法を理解することで効果を最大化できます。

特に重要なのはオンボーディングのタイミングです。最初の導入でつまづくと、なかなか現場での浸透や活用が進みません。逆に、最初の導入がスムーズで効果が出始めると、より活発な活用が行われます。最近ではオンボーディングをベンダー側が積極的に支援するようになってきたのでうまく活用することと、ベンダーに任せきりにするのではなく、社内で伝道師的な立ち位置となる人間を設け、積極的に啓蒙や立ち上がりの支援を行うことが大切です。

さらに、継続的なトレーニングや知識共有の場の提供も重要です。CRMシステムは進化し続けるものです。特にクラウド化が進んだ現代では、ソフトウェアのアップデートが頻繁に行われています。最新の情報を共有し、常に最良の方法でCRMを活用するためには、定期的な学習と情報更新が必要です。

導入後のフォローアップと改善

CRMの導入やリプレイスは、一度終わったら終了ではありません。むしろ、導入後のフォローアップと改善活動がその成果を最大化する重要なステップとなります。

導入後、CRMシステムの使用状況やオペレーターのパフォーマンスを定期的にモニタリングすることで、システムや業務フローに問題がないか確認します。また、KPIの達成状況を検討し、目標に対する進捗を把握します。

さらに、オペレーターや他のユーザーからのフィードバックを収集し、それを基にシステムやプロセスの改善を進めます。実際の利用者の声を活用することで、より現場に即した改善が可能となります。

これらの継続的なフォローアップと改善活動により、CRMの利用効果を最大化し、長期的なビジネス成果を実現することが可能となります。CRMはビジネス成長の道具であり、その活用と進化が止まらない限り、その価値も増していくでしょう。

まとめ

CRMはコンタクトセンターの顧客対応を効率化し、顧客満足度を向上させる強力なツールです。しかし、その効果を最大限に引き出すためには、目標設定とKPIの明確化、ステークホルダーのコミットメント、適切なトレーニングと教育、そして導入後の定期的なフォローアップと改善が必要です。

CRMの導入やリプレイスを検討する際は現在のCRMの課題と改善点をリストアップし、それに対する解決策を見つけることから始めてみてください。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 丸山 実咲季

    2022年4月に入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。
    営業推進部にてインサイドセールスに従事し、テレアポからメールマーケティングなどのプル型施策によりリード獲得に貢献。
    2022年5月からTwitterアカウントの運用も担当。2022年度のグループ全体「新卒新人賞」にノミネートされる実力者。市場価値爆上がり中の2年目社員!
    ・趣味:お洒落なカフェの空間を探したり、自然の中をお散歩することが好きです!その他、バスケ 料理 音楽など多趣味です。
    ・特技:相手の表情を汲み取って行動や発言ができる点。

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