慢性的な人手不足や採用市場の激化に伴い、「求める人材が採用できない」とお困りの方も多いのではないでしょうか。

コンタクトセンター業界も人手不足という問題に直面しており、この数年の間にシステム導入やAI活用といった動きが見られるようになりました。

しかし、システム導入やAI活用は、コンタクトセンターの業務を代替するのに限界があります。 本稿は、採用課題をお持ちの方に向けて、「人材紹介サービス」を利用するメリットについて解説します。サービスを利用する際の注意点や必要なステップ、求人企業が意識すべきポイントや人材紹介サービスを展開する企業についてもご紹介します。

人材紹介サービスとは

人材紹介サービスは、企業が求める人材を効率的に採用できるよう支援するサービスです。求人企業からの依頼を受けた人材紹介会社が、求められるスキルや経験に基づいて候補者をスクリーニングし、企業に最適な人材を紹介します。人材紹介サービスは採用が決定した際に紹介料金が発生する仕組みとなっているため、企業はリスクを最小限に抑えることができるメリットがあります。

コンタクトセンター業界では、専門的なスキルを持つ人材の需要が高いため、人材紹介サービスは非常に有効です。このサービスを利用することで、短期間で必要なスキルを持つ人材を効率的に採用でき、コンタクトセンター運営の効率化に貢献します。

人材派遣との違い

人材紹介と人材派遣は似通ったサービスに見えますが、運営形態と雇用形態に大きな違いがあります。

	人材派遣	人材紹介
雇用契約	派遣会社と雇用契約を結び、派遣先企業にて勤務	求人企業の直接雇用社員として勤務
業務の種類・期間	・種類：イベントやキャンペーン、育休代替としての短期業務など コンタクトセンターでは派遣スタッフを長期勤務させる方針の企業も多い ・期間：短期・長期	・種類：企業の戦略的ポジションを埋めるため正社員や契約社員採用が多い ・期間：中長期
企業から支払われる費用	時給制 ※契約によっては月給として支払われる場合も有り	成功報酬型 ・年収の20%から30%と定めるのが一般的 ・スーパーバイザーやオペレーターの紹介料を定め、契約締結する場合も有り

雇用契約

•人材派遣：
人材派遣サービスは、派遣会社と派遣スタッフが雇用契約を結びます。派遣先企業で業務を行いますが、雇用契約は派遣会社との間にあり、派遣先企業は派遣スタッフに対して業務指示のみ行います。

•人材紹介：
人材紹介サービスでは、紹介会社が企業に候補者を紹介し、採用が決まれば候補者は企業と直接雇用契約を結び、企業の社員として従事します。

業務の種類と期間

•人材派遣：
顧客対応が増加する繁忙期やキャンペーンなど、短期的なプロジェクト向けの労働力補充に適しています。コンタクトセンターでは、長期勤務を前提とした派遣が行われるケースも多いです。

•人材紹介：
主に長期的な正社員採用を目的としています。中・長期的な視点で、企業の戦略的ポジションを埋めるための採用に適しています。

費用形態

•人材派遣：
企業が紹介会社へ支払う人材派遣費用は、一般的に時給制で派遣会社に支払われます。契約内容によっては月給で支払われる場合もあります。

•人材紹介：
企業が紹介会社へ支払う費用は、一般的に成功報酬型となっています。紹介された人材が実際に企業に採用された場合に紹介料が発生します。

人材紹介サービスの種類

人材紹介サービスの種類は主に「登録型」と「サーチ型」の2種類となります。それぞれの特徴について詳しく見ていきましょう。

登録型

登録型とは、人材紹介会社が保有する求職者のデータベースから、求人企業の要件に合った人材を紹介する方法です。このアプローチは、多くの候補者を短期間で紹介できる点が大きなメリットです。急募の求人や中小企業にとって非常に有用と言えるでしょう。

また、幅広い求職者から求人に適した人材を迅速に見つける能力があり、突然の欠員や一時的なプロジェクト対応など、短期的な採用ニーズに応えやすいと言えます。企業と求職者のニーズがマッチすれば、長期的な就業にも対応できます。

サーチ型

サーチ型とは、特定のスキルや経験を持つ人材を紹介会社のリクルーターが直接探し出す方法です。この方法では、業界ネットワークやプロフェッショナルコミュニティ、さらにはSNS（XやLinkedInなど）や専門的な求人サイト（AMBI、ビズリーチなど）を活用します。

サーチ型は、専門知識や高いスキルが求められるポジションやエグゼクティブ層の採用に特化しており、マッチング精度が高いのが特徴です。一般的な求人広告では見つけにくい優れた人材に接触できるため、企業のニーズに適した候補者を見つけ出せる点がメリットと言えるでしょう。

人材紹介サービスを選ぶ際には、企業のニーズや求人ポジションの特性に応じて、サービスを活用することが重要です。それぞれの特徴について、ぜひ覚えておきましょう。

人材紹介のメリットとデメリット

人材紹介サービスは、求人企業のさまざまな課題を解決してくれるソリューションですが、デメリットについても理解した上で利用を検討する必要があります。
この章では、コンタクトセンター業界における人材紹介サービスの利点と注意点を詳しく解説します。

人材紹介のメリット

成功報酬型のため初期費用がかからないこと

人材紹介サービスは成功報酬型のため、初期費用が発生しません。紹介された人材が実際に採用された時点で初めて費用が発生します。このため、企業は採用における初期投資リスクを大幅に軽減することができ、効率的なコスト管理が可能となります。

企業担当者の業務効率化

人材紹介サービスを利用することで、採用に関わる企業担当者の業務が大幅に効率化されます。企業が求める人材の条件やスキルを紹介会社に伝えることで、事前スクリーニングが行われ、企業にとって適切な候補者のみが紹介されます。求人の掲載や求人票の作成、さらには面接前の書類選考や候補者との面接日程調整も人材紹介会社が代行するため、企業担当者は時間と労力を削減することができ、重要な面接や最終選考に集中することが可能になります。

高いマッチング精度による採用成功率の向上

企業が人材紹介会社に対して明確に人選基準を伝えることで、紹介される候補者の精度が高まり、採用成功率が向上します。さらに、書類選考や面接ごとにフィードバックを行うことで、紹介会社の人材選定プロセスが改善され、より精度の高いマッチングが実現します。この結果、企業は求める人材を迅速に採用できるため、採用活動の効率が向上し、採用の成功率が大幅に向上します。

人材紹介会社から採用市場に関する情報収集ができること

人材紹介会社は、幅広いネットワークとデータベースを持ち、最新の採用市場動向や業界特有の情報を保有しています。紹介会社から情報提供をしてもらうことで、企業は採用市場のトレンドを把握し、競争力のある採用戦略を構築することが可能となります。 例えば、給与相場、採用難易度、競合企業の動向といった具体的なデータを活用することで、企業は自社の魅力を強化でき、効果的な採用計画を立案できるようになるでしょう。

人材紹介のデメリット

採用ノウハウが蓄積されない恐れがあること

人材紹介サービスに依存すると、自社での採用ノウハウが蓄積されないリスクがあります。これにより、将来的に自社採用の能力が低下する恐れがあります。

解決策としては、人材紹介サービスを利用しながらも、自社での採用活動を平行して行い、内部での採用プロセスを整備・強化することです。例えば、面接官のトレーニングや自社採用ポータルの整備を進めるなどが考えられます。

人材紹介費用が高額になる場合があること

人材紹介サービスは成功報酬型であるため、特に専門性の高い人材採用では、高額な費用が発生することがあります。年間給与の20%から30%に相当する紹介手数料がかかり、採用予算を圧迫するリスクがあります。

このリスクに対処するためには予算管理を徹底し、複数の人材紹介会社と契約してコストを比較することが重要です。さらに、内部採用を強化し、リファラル採用やインターンシップを活用することで、総合的な採用コストを抑えることができます。

人材紹介サービスの流れ

コンタクトセンター業界で人材紹介サービスを初めて利用される際には、その具体的なプロセスを理解することが重要です。以下に、人材紹介サービスの一般的な流れを説明します。

ニーズのヒアリング

人材紹介サービスの利用を開始する第一歩は、企業の採用ニーズを詳細に紹介会社へ伝えることです。企業が求める具体的なスキルセットや業務内容、チームの文化、そして企業が目指す方針（GOAL）について打ち合わせを行います。これにより、紹介会社は企業の長期的な戦略や目標を理解し、最適な人材を見つけ出す基盤を構築します。

求人票の作成

ヒアリング結果に基づいて、求人票が作成されます。この求人票には、業務内容や必要なスキル、経験、雇用条件などが具体的に記載されます。求人票は、候補者に企業のニーズを正確に伝えるための重要なツールのため、常に情報を最新にする必要があります。

候補者のリサーチとスクリーニング

紹介会社は、自社のデータベースやネットワークを活用して、企業の要件に合った候補者をリサーチします。必要なスキルや経験を持つ候補者を特定し、さらに詳細なスクリーニングを行います。この過程で、候補者の経歴や能力、業界での実績などが精査されます。

書類選考と面接調整

紹介会社によるスクリーニングを通過した候補者の書類が企業に提供されます。企業は提供された候補者の中から面接したい人材を選び、紹介会社へ伝えます。この際、紹介会社の担当者が候補者と企業の面接日の調整を行うため、スムーズなやり取りをサポートしてくれます。

面接と選考プロセス

企業は候補者との面接を実施します。ここでは、候補者のスキルだけでなく、チームや企業文化との適合性も確認することが大切です。場合によっては、人事担当者を変えて複数回の面接を行い、候補者の多角的な面を評価することも有効です。 面接終了後は、紹介会社に面接結果を共有し、候補者が企業の基準にどの程度合致しているかをフィードバックします。人選基準がずれていた場合は、その点を明確に伝え、マッチング精度を向上させます。このプロセスが、高精度の人材マッチングに繋がるのです。

内定とオファー

最終選考の結果、企業は候補者に内定を出します。内定通知書は紹介会社を通じて候補者に提供され、給与や待遇条件の確認や交渉が行われます。この段階でも、人材紹介会社が仲介することで、スムーズなコミュニケーションが可能となります。

入社とフォローアップ

候補者が内定を承諾し、入社準備が整います。入社後も、紹介会社はフォローアップを行い、候補者が新しい職場に順応できるようサポートします。また、企業からのフィードバックを受け取ることで、今後の紹介精度の向上にも役立てます。

これらのプロセスにより、コンタクトセンター業界で効果的な人材採用が実現されます。初めて人材紹介サービスを利用する企業にとって、各ステップを理解し、スムーズに協力することが成功の鍵です。

人材紹介サービスを利用して採用を成功させるポイント

人材紹介サービスを効果的に利用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。この章では、人材紹介サービスを利用して採用を成功させるための具体的な方法を解説します。

明確な採用ニーズを設定する

採用したい人材のスキルセットや経験、業務内容を明確に定義しましょう。長期的な目標や企業の成長戦略もあわせて設定します。人材紹介会社と詳細な打ち合わせを行い、求人企業のニーズを正確に伝え、目指すべき方向の目線を合わせることで、最適な人選ができる基盤が整います。

定期的なコミュニケーションを維持する

人材紹介会社とのコミュニケーションを定期的に行い、求人内容や人選基準の変更点を迅速に伝えることが大切です。これにより、よく起こりうる「募集要項と異なる」という不一致を防ぐことができます。双方がリアルタイムで情報を共有することで、無駄な時間を削減しスムーズな採用プロセスが実現します。
求人企業のスタンスとして大切なことは、人材紹介会社の担当者も採用活動を共に成功させるパートナーであるという意識を持つことです。

柔軟な対応を心がける

企業が採用基準に過度にこだわりすぎると、優秀な候補者を見送るリスクが生じます。売り手市場である昨今においては、競合他社にすぐ候補者をとられてしまう恐れがあります。時には候補者が求める採用条件に応じたり、人材紹介会社の提案に耳を傾けたりと、企業は柔軟な対応を心がけましょう。必要に応じて紹介会社へ相談し、採用基準を見直すことで、より多くの優秀な候補者に出会えるようになります。企業と紹介会社が協力しながら基準を調整することが成功の鍵です。

迅速な意思決定

採用プロセスを迅速に進めることも成功の鍵です。候補者は複数の企業からオファーを受けることが多いため、スピーディーな意思決定が求められます。面接後は速やかに結果を伝え、内定が決まった場合には即座にオファーを出すよう心がけましょう。

候補者のフォローアップ

候補者が内定を承諾した後も、フォローアップを行うことで長期的な成功が期待できます。人材紹介会社と協力して、候補者が新しい職場にスムーズに適応できるようサポートを続けることが大切です。これにより、早期離職を防ぎ、企業にとっても持続可能な採用活動を実現することができます。

人材紹介サービス会社を紹介

最後に、コンタクトセンター業界で活躍している人材紹介会社を6社ご紹介します。 弊社ウィルオブ・ワークを含め、実績が豊富な会社を選定しましたので、ぜひご参考ください。

ウィルオブ・ワーク

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東証プライム市場上場企業グループのウィルオブ・ワークは、コールセンター人材特化25年以上の経験を活かして質の高い人材を紹介しています。全国に拠点を持ち、低コストかつ迅速な採用を提供します。85万人以上の登録者を活用し、企業のニーズに合ったカスタマイズ対応が可能です。

JAC Recruitment

JACリクルートメントは、30年以上の歴史を持ち、企業と求職者双方に対応する「両面型」ビジネスモデルを採用している紹介会社です。管理職やエグゼクティブ、専門職の採用に特化し、国内外に強力なネットワークを持っています​。

パーソルキャリア

パーソルキャリアのdoda人材紹介サービスは、業界ごとに専門の担当者が対応する専門特化型の紹介サービスを提供しています。応募者のスクリーニングや面接調整を代行するため、効率的な採用活動が期待できる企業です。

リクルート

リクルートが展開するリクルートエージェントは、日本最大級の人材データベースを持ち、全国20拠点で幅広い企業ニーズに対応します。初期費用が無料の完全成功報酬型を採用しており、若手から管理職層まで、あらゆる人材を紹介しています。

マンパワーグループ

マンパワーグループは、登録型とサーチ型の人材紹介サービスを提供しています。業界に特化したコンサルタントが、企業のニーズに合わせた人材を紹介し、採用成功率87％を誇る高水準のサービスを提供します。

キャスティングロード

キャスティングロードは、幅広い年齢層の人材を集客し、全国9拠点でサービスを展開しています。コールセンターSVや専門職に対応し、リスク軽減のための紹介予定派遣も行っています。

「人材紹介サービスのメリット」についてのまとめ

人材紹介サービスには、多くのメリットがあります。特にコンタクトセンター業界においては、専門性の高い人材を効率よく見つけることができ、採用プロセス全体をサポートしてくれる強力なサービスです。

しかし、サービスの効果を最大限に引き出すためには、求人企業と人材紹介会社の共通理解と協力が不可欠です。互いに成功を目指すパートナーとして協力し、コミュニケーションをとりあいながら支援する姿勢でいることが採用成功の秘訣となります。 人材紹介サービスの多くのメリットを活かし、人材採用の成功へ繋げましょう。