クロスチャネルとは?オムニチャネルとの違いやメリット・導入方法を解説
2024/10/31
- コスト削減
- システム導入
- 品質向上
- 業務効率化
- 生産性向上
- 顧客満足度向上
クロスチャネルは、コンタクトセンターやECサイトなど、顧客と接点を持つビジネスにおいて、顧客体験を向上させる手法です。本記事では、クロスチャネルとは何か、その重要性や他のチャネル戦略との違い、メリット・デメリット、さらに導入のポイントについて詳しく解説します。 この記事をお読みいただくことで、コンタクトセンター運営担当者やBPO企業、ECサイト運営担当者の皆さまが、クロスチャネルをどのように活用できるか理解できるようになります。ぜひご一読ください。
クロスチャネルとは
クロスチャネルの定義
クロスチャネルとは、複数の顧客接点(チャネル)を連携させ、シームレスな顧客体験を提供するマーケティング手法です。例えば、オンラインで商品を注文した顧客が、電話やチャットを通じて注文内容の確認や変更をスムーズに行える仕組みを構築します。これにより、顧客は異なるチャネルを跨いでも一貫したサービスを受けることが可能になり、利便性の向上と企業への信頼感が強化されます。
クロスチャネルの重要性
クロスチャネルは、顧客とのエンゲージメントを深めるために重要です。異なるチャネルで顧客情報を統合し、購入履歴や問い合わせ履歴を基にした適切な提案を行うことで、顧客体験の向上を図ることができます。結果として、顧客満足度の向上やロイヤルティの強化に寄与します。特に、コンタクトセンターやECサイトでは、顧客の期待に応えるための不可欠な手法といえます。
マルチチャネルやオムニチャネルとの違い
マルチチャネルとは
マルチチャネルとは、クロスチャネルへ発展する前の形で、企業が複数のチャネルを通じて顧客と接点を持つ手法です。各チャネルは独立して運営されており、顧客データの共有がチャネル間で行われない場合が多いです。
▼マルチチャネルの解説記事はこちら
「マルチチャネルとは?オムニチャネルとの違い、メリット・デメリット、導入ステップを解説」
オムニチャネルとは
オムニチャネルはクロスチャネルのさらに進化した形で、すべてのチャネルを統合し、一貫した顧客体験を提供する手法です。クロスチャネルよりもチャネルが高度に統合され、顧客がどのチャネルを利用しても全く同じ情報とサービスを受けることができます。
例えば、オンラインでカートに追加した商品を、実店舗でスムーズに購入できるといった体験がオムニチャネルの典型です。
▼オムニチャネルの解説記事はこちら
「オムニチャネルとは?コールセンターでの推進方法・メリット・成功事例を解説」
このように、マルチチャネルからクロスチャネル、さらにオムニチャネルへと進化することで、顧客体験がより一貫したものへと進む点が大きな違いです。それぞれの戦略には段階があり、企業の成長や顧客ニーズに合わせた最適導入が求められます。
クロスチャネルのメリットとデメリット
メリット
クロスチャネルのメリットには、顧客満足度の向上、リピート率の向上、そしてデータを活用したマーケティングの効率化が挙げられます。
顧客満足度の向上
クロスチャネルを導入することで、顧客が異なるチャネルを跨いでも一貫したサービスを受けられるため、顧客の利便性が向上します。
例えば、ウェブサイトで開始した問い合わせを、後に電話で簡単に引き継ぐことができるため、顧客はストレスなく対応を受けられます。また、顧客がどのチャネルから問い合わせを行っても、過去のやり取りや購入履歴が共有されていることで、スムーズで効率的な対応が可能になります。これにより、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じることができ、満足度が向上します。
リピート率の向上
一貫した顧客体験により、顧客は企業への信頼感を持ちやすくなり、結果としてリピート率が向上します。スムーズな体験を提供することで、顧客は「この企業なら安心して取引できる」と感じ、リピートにつながります。さらに、クロスチャネルでは、顧客のニーズに応じたパーソナライズされた対応が可能となるため、顧客に対して期待以上の価値を提供することができ、リピート利用の動機を強化できるのです。
データ活用によるマーケティングの効率化
クロスチャネルでは、各チャネルから収集されたデータを統合的に活用できます。これにより、顧客の行動やニーズをより深く理解し、パーソナライズされたプロモーションを行うことが可能です。
例えば、顧客の購入履歴や問い合わせ内容を基に、適切なタイミングでのリマーケティングを実施することで、マーケティング活動の効率が向上します。さらに、顧客データを活用して、特定のセグメントに合わせたプロモーションやメッセージングを行うことで、より効果的なターゲティングが実現します。購買頻度の高い顧客には特別なオファーを提供するなど、個々の顧客ニーズに応じた施策を行うことで、顧客エンゲージメントをさらに高めることができます。こうしたデータドリブンなアプローチは、マーケティング活動のROI(投資対効果)を最大化し、企業全体の収益向上にも寄与します。
デメリット
一方で、クロスチャネルの導入にはシステム連携のコストや、データ管理の複雑さといった課題があります。また、チャネル間のデータ共有にはセキュリティ対策も必要です。そのため、導入には十分な準備とコストの見積もりが求められます。また、組織内での部門間連携が不十分だと、データの統合がうまくいかず、顧客に一貫した体験を提供できないリスクもあります。
解決策:
・システム連携のコストを抑える方法として、クラウドベースの統合プラットフォームの活用に加え、段階的な導入を行うことで負担を分散させ、初期投資を抑えることが可能です。また、パートナー企業との協力により、システム開発コストを抑えることが可能となります。
・データ管理の複雑さをカバーする施策として、データ統合ツールやETL(Extract, Transform, Load)プロセスの導入を検討します。また、AIを活用し、データの整理や異常値検出を自動化して効率化を図りましょう。
・セキュリティ対策としては、最新の暗号化技術を採用し、ゼロトラストモデルによるアクセス管理、従業員への継続的なセキュリティトレーニングを行い、情報保護の体制を強化します。
・部門間連携の課題解決のため、全社的に共通の目標を設定し、部門間での協力体制を強化しましょう。各部門からリーダーを集めチームを形成し、部門間の成果共有会議を設け、透明性を高めます。全体で協力する体制を維持することが大切です。
クロスチャネル導入ポイント
最後にクロスチャネルを導入する際のポイントを段階的に解説します。
顧客データの統合
顧客データを一元化することがクロスチャネル導入の基礎となります。まずは既存のデータソースを整理し、顧客情報を統合できるプラットフォームを導入します。これにより、顧客の問い合わせ履歴や購入履歴をチャネル間で共有し、一貫した体験を提供する準備が整います。
適切なチャネルの選定
すべてのチャネルを一度に統合するのではなく、自社のビジネスにとって最も効果的なチャネルを選び、段階的に統合していきます。たとえば、まずオンラインチャットと電話サポートを統合し、その後メールやSNSなどのチャネルを追加することで、リスクを分散して段階的に導入します。
システム基盤の整備
各チャネルで同じ顧客情報を共有するために、システム基盤の整備が必要です。クラウドベースのCRM(顧客関係管理)システムを活用することで、どのチャネルからでも一貫した情報にアクセスできるようになります。これにより、顧客対応の効率と品質が向上します。
部門間の連携強化
クロスチャネルの成功には、各部門間の連携が欠かせません。各部門の担当者が顧客データにアクセスし、必要な情報を共有できる体制を整えることで、顧客へスムーズな体験を提供します。部門間の連携を強化するため、定期的なミーティングや情報共有のためのプラットフォームを設けることが効果的です。
導入プロセスの段階的実施
クロスチャネルの導入は、一度にすべてを実施するのではなく、段階的に進めることでリスクを最小限に抑えられます。まずは小規模なテスト導入を行い、得られたフィードバックを基に改善を加えた後、全社的に展開することで、スムーズかつ確実な導入を目指していきましょう。
トレーニングとサポート
最後に、システムを利用する従業員に対してトレーニングを実施します。各チャネルの操作方法や顧客対応の一貫性を保つためのポイントを学ぶことで、システム導入後のスムーズな運用を支援します。また、サポート体制を整え、従業員が疑問や問題に直面した際にすぐに解決できるようにしておくことが重要です。
まとめ
クロスチャネルは、複数のチャネルを連携させることで、顧客にシームレスで一貫した体験を提供するマーケティング手法です。顧客満足度を向上させ、企業の成長を促すために、その重要性はますます高まっています。
導入の際にはメリットとデメリットを理解し、計画的に進めることが成功の鍵となります。クロスチャネルを効果的に活用することで、顧客の期待に応え、競争優位性を高めていくことができるのです。 本記事が、ご担当者様の課題解決の一助となれば幸いです。
コンタクトセンター運営の課題解決はウィルオブ・ワークにご相談ください。
「クロスチャネル化を進めたいが最適な方法が分からない」「実店舗、ECともに売上が伸び悩んでいる」「顧客満足度向上のために新たな施策を打ち出したいが時間が足りない」とお悩みのご担当者様、ウィルオブ・ワークにお気軽にご相談ください。25年のコンタクトセンター運営経験をもとに、顧客課題に合わせたカスタマイズ提案をさせていただきます。
Writer編集者情報
-
コネナビ編集部 小林 弘明
新卒1年半は銀行にて勤務。その後 株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)にキャリアチェンジし、営業職と支店長を経験。
その後4年間は教育担当者として従事し、本部営業を1年間経験。現在は営業推進部マネージャとしてスタッフキャリア支援を担当。
・趣味:北海道の田舎で育ったので、自然アクティビティが大好き!特にシュノーケリング、川遊び。
・特技:飲み屋でだれとでもすぐ仲良くなること。