コールセンターのワークフォースマネジメント(WFM)徹底比較:最適なシステムの選び方
2024/11/29
- コスト削減
- システム導入
- 品質向上
- 従業員満足度向上
- 業務効率化
- 顧客満足度向上
コールセンターの運営には、効率的なワークフォースマネジメント(WFM)システムが欠かせません。人員の適切な配置や稼働効率の最適化は、顧客対応の質を左右し、運営コストにも大きく影響します。しかし、多種多様なシステムから自社に最適なシステムを選ぶのは容易ではありません。
本記事では、国内外の代表的なWFMシステムを比較し、選定のポイントや成功事例をもとに効果的な導入方法を解説します。WFM導入における具体的な課題や、導入後の実際の効果を知りたい方にとって、実践的なヒントが得られる内容となっておりますので、ぜひご一読ください。
ワークフォースマネジメント(WFM)とは
ワークフォースマネジメント(Workforce Management:WFM)は、業務効率を最適化し、リソースの活用を最大化するための方法およびツールの総称です。特にコールセンター業界においては、シフト管理、人員計画、パフォーマンス追跡などの複雑な要素を管理する役割を担っています。
WFMの最大のメリットは、オペレーターの勤務時間や応答時間の最適化です。業務時間が多すぎると人件費が増加し、少なすぎると顧客対応の質が低下します。さらに、WFMはシフト希望を反映しつつ、過重労働を避けることで従業員の満足度やエンゲージメントを向上させます。これにより、顧客満足度が上がり、オペレーションの質も向上します。
WFMシステムの主な機能
WFMシステムは、コールセンターの運営を効率化するために必要な多彩な機能を提供しています。代表的な機能を以下に詳しく解説します。
シフト管理と自動スケジューリング
シフト管理は、WFMシステムの基盤となる機能です。自動スケジューリングでは、勤務希望や稼働実績を反映し、最適なシフトパターンを作成できます。特に、シフトの自動化によって、シフト作成の時間や人為的なミスが削減され、管理者の負担が軽減されます。
人員計画と需要予測
過去の通話量データを分析して未来の需要を予測し、適切な人員を配置するのが人員計画機能です。需要予測の精度が高まると、過剰な人員配置や人手不足が避けられるため、運営コストの削減と顧客対応の効率化に貢献します。繁忙期や閑散期に応じた柔軟な対応が可能です。
パフォーマンス管理とレポート機能
パフォーマンス管理では、各オペレーターの応答速度や対応件数などをリアルタイムで追跡し、データをもとに改善点を把握できます。加えて、豊富なレポート機能により、集計データを視覚化して組織のパフォーマンスを分析できます。これにより、長期的な運営戦略を構築するための情報が得られます。
WFMシステム選びのポイント
WFMシステムの導入を検討する際には、システムの特長と自社のニーズを踏まえて慎重に選ぶ必要があります。ここでは、選定の際に重要となるポイントを紹介します。
自社の要件に合った機能が揃っているか
コールセンター業務に必要な機能が揃っているか確認が必要です。自動スケジューリング、人員計画、パフォーマンス管理などの基本機能に加え、応用機能やカスタマイズ性が豊富なシステムを選ぶと、業務の多様なニーズに対応できます。
簡単に拡張やカスタマイズができるか
コールセンターの規模や成長に合わせてシステムを拡張できるスケーラビリティも重要です。柔軟なカスタマイズが可能なシステムであれば、規模の変化や新しい業務ニーズにも対応しやすく、長期的な運用が可能となります。
他システムと連携しやすく使いやすいか
既存のCRMや勤怠管理システムとの連携は、データの一元管理や重複入力の削減に有効です。また、UIの分かりやすさや操作性も考慮すべきポイントです。操作が複雑すぎるとオペレーターや管理者の負担が増えるため、使いやすいシステムが理想的です。
代表的なWFMシステムの比較
ここでは、国内外の主要なWFMシステムを取り上げ、各ツールの詳細な特長や差別化ポイントを解説します。
Zendesk WFM(株式会社Zendesk)
株式会社Zendeskは、世界的なカスタマーサポートソリューションの提供企業です。カスタマーエンゲージメントの最適化に力を入れており、WFMを含む多機能な製品ラインを展開しています。
Zendesk WFMは、ユーザーに配慮した直感的なインターフェースを特徴としており、専門知識がなくても簡単に操作できる点が評価されています。シンプルな操作性に加えて、シフト管理や人員計画の自動化が可能で、リソースの効率的な活用をサポートします。また、Zendeskが提供する他のサービスやツールとの高い統合性を持ち、CRMやカスタマーサポートシステムとのスムーズな連携が実現可能です。
さらに、AI(人工知能)や機械学習の機能を活用した予測分析機能も取り入れており、未来の需要予測を通じて最適なリソース配分が可能となっています。これにより、混雑が予想される時間帯やシフト不足のリスクを事前に把握し、効率的なシフト管理が行えるため、オペレーションの無駄が大幅に削減されます。
Casting Table4.0(株式会社ミライト・ワン・システムズ)
ミライト・ワン・システムズは、日本企業向けにITソリューションを提供する企業で、特にシフト管理システムで高い実績を持っています。
Casting Table4.0は、ミライト・ワン・システムズが開発したシフト管理システムで、特に国内のコールセンター業務に最適化されています。業界では唯一の待ち時間シミュレーション評価を付加したSA(Simulated Annealing)最適化手法による適正なシフト表作成機能を備え、従業員の勤務状況やシフト希望、過去の勤務実績などを詳細に管理することで、柔軟かつ効率的なシフト調整が可能です。
また、シフトパターンのシミュレーション機能も搭載されており、繁忙期や特殊なイベントに対応するための人員配置を事前に計画できるため、急な変動にも柔軟に対応できます。
さらに、「座席表」「エージェント評価」「スマートフォン対応」といったオプションが追加できる他、導入先の職場環境に合わせて各機能のカスタマイズができるのも特徴です。
CTBASE/WFM Cloud(NTTテクノクロス株式会社)
NTTテクノクロスはNTTグループの一員で、通信技術とクラウド技術に強みを持っています。
CTBASE/WFM Cloudは、NTTテクノクロスが提供するクラウドベースのワークフォースマネジメント(WFM)システムで、NTTテクノクロスの豊富な経験・ノウハウを生かしたコールセンター向けソリューション群の一つです。クラウド型であるため、社内に特別な設備を用意することなく、短期間で導入・立ち上げが可能な点が大きな特徴です。また、クラウドを活用することで、場所にとらわれずにリアルタイムでシフト管理や人員調整ができるため、全国の拠点を持つ企業や在宅オペレーションを運営する企業にとっても大きなメリットとなります。
さらに、NTTテクノクロスのサポート体制も充実しています。旧NTTソフトウェア時代を含め、20年以上にわたりコールセンター関連ビジネスに取り組んでいる同社が導入から運用までの手厚いサポートを提供しています。システムの初期設定やデータ移行、操作トレーニングなど、企業のシステム管理者やオペレーターがスムーズに利用を開始できるよう支援しており、迅速な導入とスムーズな運用立ち上げが可能です。
また、データセキュリティについても高い基準で管理されており、データの暗号化やアクセス管理など、セキュリティリスクを最小限に抑えた設計がなされています。こうした特長により、CTBASE/WFM Cloudは信頼性が求められる金融機関や医療機関など、特に高いセキュリティ基準を必要とする企業にとっても、安心して導入できるソリューションです。
楽天コネクト Storm(楽天コミュニケーションズ株式会社)
楽天コミュニケーションズは楽天グループの一員として、通信インフラと企業向けサービスを提供しています。
楽天コネクト Stormは、楽天コミュニケーションズが提供するコストパフォーマンスに優れたクラウド型オムニチャネルプラットフォームで、その一機能としてWFMを提供しています。楽天コネクト Stormの中に組み込まれているため、3rdパーティのWFMを導入することなく、stormネイティブにてWFMを活用できます。
このシステムは、基本的なシフト管理機能に絞った軽量な設計で、複雑な設定が不要なため、システム管理者やオペレーターが簡単に操作できるよう配慮されています。また、画面の操作性も直感的でわかりやすいため、ITスキルに不安があるユーザーでもスムーズに活用できる点が魅力です。これにより、専用のトレーニングを必要とせずに、迅速な導入が可能で、初期費用を抑えたい企業に適したソリューションといえます。
楽天コネクト Stormは、小規模から中規模のコールセンターを主なターゲットとし、基本機能に特化することで、導入・運用にかかるコストを削減しています。シフト管理や需要予測の精度は、過去の通話量やオペレーターのスケジュールデータをもとに最適化されており、需要変動に柔軟に対応できるのが特徴です。これにより、過剰な人員配置や人手不足のリスクを低減し、無駄のない人員計画が可能となります。
WFMシステム導入の成功事例
WFMシステムを効果的に導入することで、多くの企業が運営効率の向上や顧客対応の改善を実現しています。ここでは、大手企業がWFM導入によって得た成果を紹介します。
スプレットシートからWFMシステムへ切り替え業務効率化
ある大手企業Aでは、WFMシステムの導入前、従業員データをスプレッドシートにまとめ、業績数値や従業員の傾向を手作業で入力する作業に膨大な作業時間を費やしていました。また、データ収集が適切に整理できておらず、データ不足からスタッフのスケジューリングが正確でないことが多々ありました。
そこで、WFMを採用したところ、手入力する作業が大幅に減り、またスケジュールの正確性が上がったことで生産性が急激に高まりました。WFMを導入する前は、管理者が週に30%以上の時間をシフト作成や従業員データの入力作業に時間を費やしていたが、現在は10%近くの作業になったといいます。
このように、WFMシステムを活用することで、管理者は日々の業務から解放され、スタッフとの1on1やトレーニングなど、より生産的な業務へ集中することができます。
まとめ
コールセンター業界におけるWFMシステムの導入は、効率的な人員管理とコスト削減に大きく貢献します。本記事で紹介した各システムには、それぞれ特徴やメリットがあり、企業のニーズに合わせた選択が可能です。適切なWFMシステムの選定と導入により、オペレーションの質を向上させ、顧客満足度を向上させることで、企業の競争力を強化することができます。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 上原 美由紀
採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
・特技:タスク管理