コンタクトセンターにおける属人化解消法とは│具体的施策を解説

2024/12/02

多くの企業が抱える厄介な問題として、「属人化」が挙げられます。コンタクトセンターの現場においても、特定の担当者でなければ対応できない業務や、マニュアルが整備されておらず専門知識を持つスタッフに依頼せざるを得ないといった問題が起こっています。
本記事では、属人化の定義から発生原因、デメリット、そして具体的な解決策について詳しく解説しますので、ぜひ業務の効率化に向けてお役立てください。

属人化とは

属人化とは、特定の業務や知識が特定の個人に依存している状態を指します。この状態では、その人がいないと業務が滞ったり、業務品質が低下したりと、リスクが増大します。特にコンタクトセンターにおいては、属人化は顧客対応やトラブル対応の質と効率に大きな影響を与える恐れがあります。

例えば、ある特定のオペレーターだけが重要な顧客対応スキルを持っている場合、そのオペレーターが不在の時に他のスタッフが対応できず、顧客満足度が低下するリスクが考えられます。

また、特定のシステムやツールの操作方法が一部のスタッフにしか分からない場合、そのスタッフが休暇したり退職したりした場合に業務が停止する恐れがあります。

他にも、特定のクライアント対応を一人のオペレーターに任せていると、そのオペレーターが退職した際に、クライアントとの信頼関係が損なわれることも考えられます。

属人化の原因

コンタクトセンターでなぜ属人化という問題が発生するのでしょうか?さまざまな要因が考えられますが、根本的な問題は「人手不足」に起因しています。

本章では主に環境要因に焦点を当てて解説します。

人手不足による特定の人への依存

コンタクトセンターの人手不足は、対応できる人を特定のオペレーターに限定してしまいます。これにより少数の熟練オペレーターに過度な負担がかかり、結果として彼らへの依存が深まります。

リソース不足でマニュアル整備や情報共有が遅れる

忙しい業務環境では、マニュアルの整備や情報の共有が後回しにされがちです。その結果、知識やノウハウは特定の個人に集中し、組織全体に広がらない傾向があります。

属人化の硬直化と企業文化への影響

特定のオペレーターに依存することで属人化が進行し、新しいオペレーターがスムーズに業務に参加できなくなります。これにより組織全体のノウハウの浸透が阻害され、属人化がさらに硬直化します。この状態が続くと、ノウハウを社内へ共有しようという文化が形成されず、悪循環に陥ります。

その他にも、業務の難易度の高さが対応できる社員を制限する場合や、「この業務は自分が対応すべきだ」といった保身による動機が属人化を引き起こすこともあります。

次の章では、業務の属人化によって発生するデメリットについて詳しく見ていきましょう。

属人化のリスクやデメリット

従業員満足度の低下

属人化が進むと、特定の業務が特定の個人に依存する状況が生まれます。これにより、不公平感が生じ、他のオペレーターのモチベーションが低下する可能性があります。また、業務負担が一部の従業員に集中することで、フラストレーションを感じるオペレーターが増え、全体の士気に悪影響を及ぼす恐れもあります。

業務効率と品質の低下

特定の担当者に依存することで、その人が不在時には業務が滞りがちになり、全体の業務効率が低下します。さらに、他のオペレーターが業務を引き継ぐことができなければ、対応が遅れ、サービス品質も悪化します。

顧客満足度の低下

顧客対応スキルが特定の個人に集中している場合、担当者不在時に迅速な対応ができず、顧客満足度が低下するリスクがあります。顧客の問い合わせやトラブルに適切に対応できないことで、顧客の信頼を損なう危険性も考えられます。

ナレッジ・ノウハウの蓄積が困難であること

知識やノウハウが特定の個人に依存していると、組織全体でそのスキルを共有することが難しくなります。このため、組織全体でナレッジやノウハウの蓄積が進まず、新人オペレーターの育成も遅れます。

属人化が進行すると、組織全体の健全な運営にさまざまな悪影響を及ぼします。従業員満足度の低下、業務効率や品質の低下、顧客満足度の低下など、これらは組織のパフォーマンスに対し重大なリスクをもたらすのです。

次の章では、これらの問題に対する解決策について詳しく解説します。

属人化を解消するための具体的な方法や対策

コンタクトセンターにおける属人化を解消するために、以下ステップにて進めていきましょう。

業務実態の把握と分析

現在の業務フローを詳細に調査し、特定の業務が特定のオペレーターに集中している箇所を特定します。データ収集や従業員へのヒアリングを通じて、属人化が発生している原因とその影響を明確にします。これにより、属人化の具体的な問題点を把握し、対策の基盤を築くことができます。

改善のため優先すべきプロセスの選定

把握した業務実態に基づき、改善すべきプロセスの優先順位を設定します。影響が大きい業務や改善の効果が即座に現れるプロセスを選定することで、効果的な解決策を早期に策定することができ、全体の業務効率向上につながります。

業務フローの整理とマニュアル作成

選定した業務プロセスについて、業務フローを整理し標準化します。業務手順のわかりやすいマニュアルを作成することで、誰でも同じ品質で業務が遂行できるようになります。作成時のポイントは「誰が見てもわかりやすく」することです。マニュアルの格納先や共有フォルダも明確にし、「属人化を解消する」という目的で行っていることを常に忘れないように取り組みましょう。

知識共有の促進

社内のナレッジ共有を促進するため、定期的な勉強会を実施したり共有の場を設けたりするなど取り組みましょう。一度きりで終わらず、社内のデジタルプラットフォームやナレッジベースを活用し、情報を持続的に共有します。これにより、全オペレーターが必要な知識を得ることができ、属人化のリスクを低減します。

継続的なモニタリングと見直し

属人化解消の進捗を継続的にモニタリングします。定期的に業務フローやマニュアルを見直し、再発防止のための改善を繰り返します。また、従業員からのフィードバックを収集することも大事なポイントです。リアルな現場からの声を収集して、実際の運用状況に応じた最適な改善策を導入します。

このプロセスを通じて、特定の個人に依存しない持続可能な業務体制を構築し、属人化の問題を効果的に解消することにつながるでしょう。

コンタクトセンターサービス利用による属人化解消

前章で述べた施策でも解決が難しい場合、コンタクトセンターのアウトソーシングを利用することもひとつの手段となります。アウトソーシングのメリットには、専門知識と高いスキルセットの提供、標準化されたプロセスの導入、継続的なトレーニングによるスキルアップが挙げられます。特定の個人への業務依存を減らすことに加え、組織全体のパフォーマンス向上にもつながるため、有効な手段です。

また、多様なリソースが確保されているため、急な欠員や繁忙期にも柔軟に対応してくれるでしょう。人的リスクの分散によって、安定した業務運営が可能になったり、コスト効率の向上にもつながったりとメリットが多いサービスです。

自社内で属人化の問題が解決できない場合は、ぜひ専門のプロに相談してみることも視野に入れてみてください。

「コンタクトセンター属人化問題」のまとめ

属人化は、コンタクトセンターにおいて顧客対応の質や業務効率に深刻な影響をもたらす重大な問題です。本記事では、属人化の概念や原因、リスク、そして具体的な解消策について、詳細に解説しました。

属人化を解消するためには、まず業務の実態を正確に把握し、改善すべきプロセスを優先順位付けする必要があります。業務フローの整理と標準化、マニュアル作成を進めることで、誰でも同じ品質で業務が遂行できるようになります。さらに、定期的な知識共有の促進や継続的なモニタリングを行うことで、属人化の再発を防ぎ、持続可能な業務体制を構築することができます。

自社で解決するのが困難な場合は、コンタクトセンターのアウトソーシングサービスを活用することもひとつの手段です。

ぜひ本稿の内容を参考にして、貴社の属人化問題に対する具体的な改善策を導入していただければ幸いです。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。フィールドサポータや営業コーディネータ、キャリアアドバイザー、新規営業、人材紹介(転職支援)などを経験。
    2020年 人材紹介にて自己最高売上を記録、時短勤務×妊娠中での実績が評価され全社月間MVPにノミネート。現在5歳と2歳を育てるパワフルワーママ!

    ・趣味:断捨離、森林浴、岩盤浴
    ・特技:細かい事に気が付く点

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