ノンバーバルコミュニケーションとは?コールセンターでの活用法とその効果を解説

2025/01/28

コールセンターでは、顧客とのやり取りやチーム運営において、コミュニケーション力が成果を左右します。顧客が「話を聞いてもらえた」と感じる対応には、言葉だけでなく、声のトーンや間の取り方といった非言語的な要素が大きな役割を果たします。これが「ノンバーバルコミュニケーション」です。

本記事では、ノンバーバルコミュニケーションの基本的な概要からコールセンターでの実践的な活用法、さらには注意点までを解説します。顧客対応の質を高め、チーム全体の成果を向上させるためのヒントを探っていきましょう。

ノンバーバルコミュニケーションの概要

ノンバーバルコミュニケーションとは、言葉を介さずに情報や感情を伝達する手段のことです。視線、表情、ジェスチャー、声のトーンなどがこれに該当し、言語によるコミュニケーションを補完する重要な役割を果たします。
特にコールセンター業界では、顧客に対して表情や視線、ジェスチャーを直接伝えることが難しいため、声のトーンや間の取り方といった聴覚的な非言語表現が顧客満足度に大きな影響を与えます。

バーバルコミュニケーションとの違い

バーバルコミュニケーションは、言語を使用して情報を伝達する手段を指し、具体的には話すことや書くことが含まれます。一方、ノンバーバルコミュニケーションは、言語に頼らずに視覚的・聴覚的な手段を用いてメッセージを伝える方法です。

たとえば、クレーム対応の場面では、「申し訳ございません」と言葉だけで伝えるのでは不十分な場合があります。声のトーンを柔らかくし、話のペースを顧客に合わせることで、誠意や共感がより伝わりやすくなります。このように、ノンバーバルコミュニケーションは言語情報を補完し、相手の理解度や信頼感を高める効果があります

メラビアンの法則との関連性

ノンバーバルコミュニケーションの重要性を語る上でよく引用されるのが「メラビアンの法則」です。この法則によれば、人が他者から受け取る印象は、視覚情報が55%、聴覚情報が38%、言語情報が7%を占めるとされています。

ただし、この法則は「感情や態度が矛盾している場合」に限定された研究結果であり、すべてのコミュニケーションに当てはまるわけではありません。それでも、視覚や聴覚といった非言語的要素がメッセージの受け取り方に強い影響を与えることは事実です。 コールセンターでは視覚的要素を直接使えないため、声のトーンや間の取り方、言葉の選び方が特に重要です。顧客に信頼感を与えるためには、言葉と非言語的要素の一貫性が求められます。

ノンバーバルコミュニケーションの期待できる効果

ノンバーバルコミュニケーションは、顧客対応や職場内の関係構築において大きな効果を発揮します。 本章では、具体的な効果を4つの視点から解説します。

言語情報の補完

ノンバーバルコミュニケーションは、言葉だけでは伝えきれない意図や感情を補完できる強みがあります。
例えば、顧客が困惑している場合、穏やかで落ち着いた声のトーンで対応することで、不安を和らげることができます。また、話の途中で適度に間を置くことで、相手は「自分の話をしっかり聞いてもらえている」と感じやすくなります。
特に謝罪の場面では、「申し訳ございません」と伝えた後に間を置くことで、謝意を強調し、顧客に誠意を伝えることが可能です。

社内においても、リーダーが部下にフィードバックを行う際、表情や身振りを使うことで、言葉の信頼性が高まり、部下の理解や共感を得やすくなります。

安心してコミュニケーションが取れる

ノンバーバルコミュニケーションを活用することで、顧客や同僚に「この人に話しても大丈夫」と感じさせ、安心感を提供します。例えば、声のトーンを落ち着かせ、適度な抑揚をつけることで、顧客は「この人はしっかり対応してくれる」と思うことができます。 オペレーターの安定した話し方は顧客の緊張を和らげる効果があり、社内でも同様の効果を持ちます。リーダーや同僚が冷静に対応することで、組織内の安心感や信頼感が高まるでしょう。顧客対応においては、オペレーターが冷静であることが重要であり、相手への安心感を生むために、意識的に声や話し方を調整することが大切です。

信頼関係の構築

顧客や同僚との信頼関係を築く上で、ノンバーバルコミュニケーションは欠かせません。顧客対応の場面では、言葉だけでなく声のトーンや間の取り方を駆使することで、共感を伝える効果があります。 社内においても、ノンバーバルコミュニケーションが信頼関係を強化します。部下に対してフィードバックをする際に、言葉の選び方や態度が一致していれば、より強い信頼感を生むことができます。
たとえ謝罪の言葉を述べていても、冷たい声や急いでいるような話し方では誠意が伝わりません。ノンバーバル要素に注意を払うことで、顧客と社内の信頼感を高め、リピート利用を促すことができます。

相手の気持ちや状況を理解できる

ノンバーバルコミュニケーションを活用することで、相手の感情やニーズをより深く理解できるようになります。顧客の声のトーンや話す速度、言葉の選び方から感情を察知し、それに応じた適切な対応が求められます。 たとえば、顧客が不安そうなトーンで話している場合は、穏やかでゆっくりした声で対応することで、不安を軽減できます。
社内コミュニケーションにおいても、視線や簡単なジェスチャーを活用することで連携がスムーズになります。このように、ノンバーバルコミュニケーションは顧客対応だけでなく、職場内のコミュニケーション改善にも非常に役立つのです。

ノンバーバルコミュニケーションの種類

ノンバーバルコミュニケーションにはさまざまな種類があり、それぞれが異なる形で相手との関係構築や情報伝達をサポートします。
特にコールセンター業務では視覚的要素よりも聴覚的要素が中心となりますが、それ以外の非言語的な要素も含めて理解することが重要です。以下では、代表的な種類を具体例とともに解説します。

視覚的な要素

視覚的な要素は、対面でのコミュニケーションにおいて重要な役割を果たします。
コールセンター業務では直接顧客に見せることはできませんが、チーム内や社内コミュニケーションで活用されます。

●表情
表情は感情を最も端的に伝える手段です。笑顔は安心感を与え、一方で無表情や険しい表情は相手を緊張させることがあります。オペレーター間のコミュニケーションでも、明るい表情がチームの雰囲気を和らげることに寄与します。

●姿勢やジェスチャー
立ち姿や手の動きなどのジェスチャーは、自信や積極性を示す手段です。たとえば、プレゼンや社内会議では、背筋を伸ばした姿勢やはっきりとしたジェスチャーが説得力を高めます。

聴覚的な要素

コールセンターでは顧客とのやり取りが音声のみで行われるため、聴覚的な要素が非常に重要です。また、社内コミュニケーションにおいても、声のトーンや話し方がメンバー間の信頼関係に影響を与えます。

●声のトーン
声のトーンは、相手に与える印象を大きく左右します。落ち着いたトーンは信頼感を与え、急いでいるようなトーンは不安を招く可能性があります。

●話す速度と間
顧客に安心感を与えるには、話す速度をゆっくりと調整し、適切な間を取ることが大切です。たとえば、顧客が困っている場面では、急がずに丁寧に話すことで、解決への信頼感を与えます。

空間的な要素

空間的な要素は、対面での距離感や位置関係を指します。電話対応には直接関係しませんが、社内コミュニケーションでは適切な距離感を保つことで、リラックスした雰囲気を作り出し、メンバー同士のコミュニケーションを円滑にすることができます。

●パーソナルスペース
個々の文化や性格によって、他人と適切な距離感を保つことが求められます。近すぎる距離は相手に緊張を与え、遠すぎる距離は冷たさを感じさせる場合があります。

●立ち位置や動き
上司が部下に話しかける際には、過度な近さが威圧感を与えないよう、目線を合わせることが重要です。

接触的な要素

接触的な要素とは、握手や肩に手を置くなど、触覚を通じたコミュニケーションのことを指します。直接的な顧客対応が音声のみで行われるコールセンターではこの要素はほとんど活用されませんが、以下のような場面では一定の効果が期待できます。
ただし、触れる行為は個人差や文化的背景によって受け取り方が異なるため、相手に不快感を与えないよう特に注意が必要です。

信頼を示す握手
面談や社内での挨拶の際、しっかりとした握手は相手に信頼感や誠実さを伝えます。特に新しいメンバーを迎える場面では、握手を通じて親近感やチームへの歓迎の気持ちを示すことができます。

●安心感を与える軽いタッチ
部下がストレスや困難を感じているとき、肩に軽く手を置くことで安心感や支援の意図を伝えることができます。

●研修やイベントでの交流場面
コミュニケーション研修やイベントで、握手やハイタッチなどの接触的な行動を取り入れることで、参加者同士の距離を縮める効果があります。オペレーターの研修では、ロールプレイの一環として取り入れることでチームワークを育むことができます。

ノンバーバルコミュニケーションを活用できるシーン

ノンバーバルコミュニケーションは、顧客対応から社内コミュニケーションまで、さまざまな場面で活用できます。
本章では、4つの活用シーンに分けて活用ポイントをご紹介します。

コンタクトセンターでの顧客対応

顧客対応において、ノンバーバルコミュニケーションは重要な役割を果たします。電話でのやり取りでは視覚的な要素が使えないため、声のトーンや話す速度、間の取り方が顧客満足度に大きく影響します。

●クレーム対応
怒りや不満を抱える顧客には、落ち着いた声のトーンで対応することで緊張感を和らげられます。また、顧客が感情的になっている場合でも、オペレーターが焦らずに間を取って冷静に話すことで、顧客が自分の意見を話しやすい雰囲気を作ります。

●情報提供や説明
顧客が問い合わせた内容を説明する際、言葉に加えて声に抑揚をつけることで重要なポイントを強調できます。これにより、顧客が情報をより正確に理解しやすくなります。

社内でのコミュニケーション

社内でのコミュニケーションにおいても、非言語的な要素が信頼関係を構築する鍵となります。具体的には、以下のようなシーンで活用できます。

1on1などの面談
部下との面談では、部下が話しやすいようにリラックスした姿勢を保ち、共感を示す声のトーンを心掛けることが重要です。例えば、「それは大変だったね」と穏やかに共感することで、部下は安心して自分の意見や悩みを話しやすくなります。

チームミーティング
チームミーティングでも、オープンな雰囲気を作るために、積極的にアイコンタクトを取り、ポジティブな表情を持つことが大切です。これにより、参加者が自由に意見を述べやすくなり、より活発な議論が促進されます。

●フィードバック時
部下に改善点を伝える際には、厳しい言葉を使わなくても、落ち着いた声のトーンや穏やかな表情がポジティブな印象を与えます。こうした工夫により、フィードバックが受け入れられやすくなります。

取引先や顧客との商談

商談の場では、言葉だけでなく非言語的な要素が相手に与える印象を大きく左右します。特に、以下のようなポイントで活用できます。

●第一印象を良くする
取引先と初めて会う際は、明るい表情や自信を持った姿勢が信頼感を高めます。商談の際に、相手の目をしっかりと見ることで、誠実さや関心を示すことができます。

●交渉の場での声の使い方
冷静で説得力のある声のトーンを使用することで、提案内容の信頼性を高めることができます。また、相手の反応を観察しながら適切な間を取ることで、相手に安心感を与え、交渉をスムーズに進められます。

社内会議やプレゼンテーション

社内での会議やプレゼンテーションでは、視覚的要素と聴覚的要素を組み合わせることで、情報の伝達が大きく向上します。以下のポイントに留意しましょう。

視覚的要素と聴覚的要素の組み合わせ
会議では明確なジェスチャーや表情を用いることで、発言内容をより強調できます。さらに、声のトーンを変化させることで参加者の集中力を維持しやすくなります。

●聞き手とのアイコンタクト
プレゼンテーションでは、適度にアイコンタクトを取ることで、参加者に「自分に話しかけられている」と感じさせ、内容への関心を引きつけることができます。

ノンバーバルコミュニケーションを取り入れるポイント

声のトーンや話す速度を調整する

声のトーンや話す速度は、顧客や同僚に与える印象を大きく左右します。特に、コールセンター業務においては音声が唯一のコミュニケーション手段となるため、その重要性はさらに高まります。 たとえば、顧客が不安や怒りを抱えている場合には、落ち着いた低めのトーンを意識することで、相手の感情を和らげることができます。また、話す速度を相手に合わせることも大切です。高齢の顧客や初めて問い合わせをする顧客には、ゆっくりとしたペースで話すことで、安心感を与えることができるでしょう。
一方で、急いでいる顧客には簡潔かつ迅速な対応が求められます。声や速度を状況に応じて調整することで、より効果的なコミュニケーションが可能となります。

言語情報と非言語情報を一致させる

言葉と非言語的な要素(声のトーン、表情、姿勢など)が一致していない場合、相手に誤解や不信感を与える原因となります。一貫性のあるメッセージを伝えることが信頼構築の鍵となります。

たとえば、謝罪の場面で「申し訳ございません」と言いながら、冷たい声のトーンやそっけない態度では、顧客に誠意が伝わりません。一方、言葉と態度を一致させて「本気で謝罪している」という印象を与えれば、顧客との信頼関係を築くことができます。 社内コミュニケーションでも同様です。リーダーが「問題ない」と言葉で伝えていても、不安そうな表情や落ち着きのない姿勢では、部下に迷いや緊張感を与えてしまいます。言語情報と非言語情報の一貫性を意識することで、メッセージの信頼性が高まります。

相手の状況を観察して柔軟に対応する

ノンバーバルコミュニケーションを効果的に活用するには、相手の状況や理解度を観察し、それに応じた柔軟な対応を行うことが重要です。

たとえば、顧客がゆっくりと話している場合には、こちらもペースを合わせることで、相手に寄り添っている印象を与えることができます。一方で、顧客が急いでいる場合には、スムーズで迅速な対応を心掛けることが大切です。 また、職場内では、同僚や部下が困惑している場合に、視線や軽い頷きで「大丈夫ですよ」というサインを送ることで、安心感を与えることができます。相手の反応をよく観察し、その状況に合った非言語的な表現を選ぶ柔軟性が求められます。

状況に応じた非言語表現を選ぶ

ノンバーバルコミュニケーションを成功させるには、場面ごとに適切な表現を選ぶことが求められます。

たとえば、コールセンター業務では、声のトーンや抑揚、間の取り方が重要な要素となります。特にクレーム対応では、落ち着いた声のトーンや丁寧な話し方を意識することで、顧客に安心感を与え、トラブルのエスカレートを防ぐことができます。

一方、対面での会議やプレゼンテーションでは、視覚的要素が重要になります。明るい表情やしっかりとした姿勢、ジェスチャーを用いることで、メッセージを強調し、相手の関心を引きつけることが可能です。それぞれの場面に応じたノンバーバル表現を使い分けることが、コミュニケーションの成功を支える要素となります。

文化や個人差に注意を払う

ノンバーバルコミュニケーションは、文化や個人の価値観によって解釈が大きく異なるため、その点に配慮することが重要です。

たとえば、ある文化では視線を合わせる行為が信頼感を示すとされる一方、別の文化では失礼とされる場合があります。また、ジェスチャーや身体的な距離感も、国や文化によって受け取り方が異なるため、多国籍の顧客やチームメンバーと接する際には特に注意が必要です。

さらに、個人差にも目を向ける必要があります。ある人には親しみを感じさせるジェスチャーが、別の人には馴れ馴れしく感じられることもあります。相手の反応をよく観察しながら柔軟に対応することで、信頼関係を深めることができるでしょう。

まとめ

ノンバーバルコミュニケーションは、顧客や同僚との信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを実現するために重要なスキルです。声のトーンや話す速度、間の取り方などの非言語的要素を意識することで、顧客満足度の向上やクレーム対応の効率化、職場環境の改善につながります。

ただし、言葉との一貫性、相手の状況への配慮、文化的な違いへの理解が欠かせません。本記事で紹介したポイントを実践することで、非言語の力を活用し、顧客対応や職場のコミュニケーションをさらに向上させることができるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
    産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
    ・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
    ・特技:タスク管理

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