コールセンターの稼働率とは?占有率との違いや適正値を維持する方法を解説

2025/03/27

コールセンターの運営において、稼働率は業務の効率性を示す重要な指標の1つです
稼働率が適正に保たれていないと、コストの無駄遣いやオペレーターの負担増加、応対品質の低下といったさまざまな問題が発生します。

稼働率が高すぎると、オペレーターの負担が過重になり、離職率が上昇する原因となります。一方で、低すぎると人員が過剰となり、コストがかさむリスクもあります。したがって、適正な稼働率を維持することが、コールセンターの効率的な運営には欠かせません。

本記事では、稼働率の定義や計算方法、適正値の目安を解説し、さらにその維持に向けた具体的な改善策を詳しく紹介します。人手不足やコスト管理に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

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コールセンターの稼働率とは?基礎知識と計算方法

コールセンターの稼働率は、オペレーターが実際に顧客対応に費やしている時間の割合を示す重要な指標です。
コールセンターの運営では、限られた人員の中で効率的に業務を行うことが求められます。稼働率が適正でない場合、オペレーターの負担が増加したり、コストが無駄になったり、応答率が低下するなど、さまざまな問題が発生します。

稼働率を適切に管理することで、オペレーターの業務負担を最適化し、コールセンター全体のパフォーマンス向上につながります。したがって、管理者は「稼働率が高すぎる」「逆に低すぎる」といった偏りを防ぎ、適正値を維持することが重要です。

稼働率の計算方法

稼働率は、以下の計算式で求められます。

例として、オペレーターが1日8時間勤務、そのうち顧客応対に5.5時間、待機に1時間を費やしていた場合は以下となります。
6.5(時間)÷8(時間)×100=81.25%

応答率・占有率との違いと関係性

コールセンターのパフォーマンスを評価する際、稼働率だけでなく応答率占有率も重要な指標です。
これらは似た概念に見えますが、それぞれ異なる意味を持ち、適切な運用には3つの指標のバランスが重要です。

占有率との違い

稼働率占有率は、どちらもオペレーターの業務時間に関する指標ですが、測定対象が異なります。

指標 定義 計算式 目的
稼働率 総労働時間のうち、オペレーターが顧客対応を行っている割合 (顧客応対の時間+待機時間)÷総労働時間×100 コールセンター全体のオペレーション効率を把握する
占有率 実働時間のうち、通話や後処理に費やした割合 顧客応対の時間÷実働時間×100 オペレーター1人あたりの業務負荷を測る

稼働率は、休憩時間を含むオペレーターの総労働時間を基準に計算し、「コールセンター全体の運営効率」を測る指標です。
一方、占有率は、「オペレーターが実際に業務を行っている時間」だけを対象に計算し、個々の業務負荷を示します。

例えば、1日8時間勤務のオペレーターが顧客応対6時間、待機時間1時間、休憩1時間に時間を費やしていた場合、次のように計算されます。

稼働率=(顧客応対時間+待機時間)÷(総労働時間)×100
→7時間÷8時間×100=87.5%

●占有率=(顧客応対の時間)÷(実働時間)×100
※実働時間=総労働時間-休憩時間
→6時間÷ 7時間×100=85.7%

占有率が高いとオペレーターの負担が大きくなり、稼働率が低すぎる場合は人員過剰の可能性があるため、適切なバランスを取ることが重要です。

応答率との関係性

応答率とは、着信した電話のうちオペレーターが対応できた割合を示す指標です。持続可能なコールセンターの運営には、この応答率と稼働率を適切に管理することが重要です。
では、実際にそれぞれの指標について、どのような値が適正といえるのでしょうか? 一般的に、応答率の適正値は90%以上とされています。一方で、稼働率の適正値については後の章で詳しく解説しますが、80~85%とされています。両者が適正でない場合、以下のようなリスクが生じる可能性があるため注意が必要です。

稼働率が低く、応答率も低い場合
オペレーターの配置が不適切であったり、業務フローが非効率的だったりする状態を示しています。結果として、顧客対応が滞り、放棄呼の増加や顧客満足度が低下するリスクがあります。

●稼働率が高く、応答率も高い場合
一見すると理想的な状況のように思えますが、実際にはオペレーターに過剰な負担がかかり、離職率が上昇するリスクがあります。適切な休憩時間の確保や業務の分散が必要です。

このように、応答率と稼働率は相互に影響を及ぼし合うため、両方の指標をバランス良く管理することが求められます。

コールセンターにおける稼働率の適正値とは?

コールセンターの運営において、オペレーターの負担を軽減しつつ業務効率を維持するためには、稼働率の適正水準を理解し、無理のない運営環境を整えることが重要です。

一般的に、稼働率の適正目安は80~85%とされています。これを超えて90%以上になると、オペレーターの負担が大きくなり、ストレスや離職率の上昇につながる可能性があります。一方、70%以下の場合は待機時間が増え、人員コストが無駄になるリスクがあるため、適正なバランスを維持することが求められます。

稼働率 センターの状況 リスク・課題
90%以上 オペレーターがほぼ常に業務を行っている 負担が大きくストレスが増加し、離職率が高くなる
85%前後
(適正値)
業務負担が適切に分散されている 特に問題なし。
ただし突発的な入電増加に注意
80%以下 余裕をもって対応できるが、人員が過剰な可能性あり 人件費が無駄になるリスクあり
70%以下 待機時間が多く、業務効率が低下 人員配置の最適化が必要

重要なのは、稼働率ばかりを追い求めるのではなく、オペレーターの働きやすさや応対品質も考慮することです。最終的には、バランスの取れたアプローチがコールセンターの持続的な成長と顧客満足度の向上につながるのです。

稼働率の適正値を維持する4つのポイント

適正な稼働率を維持するためには、オペレーターの数を単に増やすだけでなく、業務管理やシフト調整、オペレーターへのケアなど、多面的な対策が必要です。
本章では、特に重要な4つのポイントについて解説します。

オペレーターのステータス管理をこまめに実施

オペレーターの業務状況をリアルタイムで把握することで、ムダな待機時間を減らし、必要なときに適切な人員の配置が可能です。ステータス管理を徹底することで、稼働率の急な変動を防ぎ、安定した業務運営が実現できるでしょう。
コールセンターでは、オペレーターの業務状態を以下のようなステータスで分類します。

  • 通話中:顧客対応を行っている時間
  • 後処理中:通話終了後に記録作業をしている時間
  • 待機中:着信を待っている時間
  • 離席中:休憩や研修などで業務を離れている時間

後処理時間」や「待機時間」、「離席中の時間」が長すぎると、稼働率が適正値から逸脱する原因になります。
そのため、定期的にデータ分析を行い、無駄な時間が発生していないか確認することが重要です。

人員調整の最適化

繁忙期と閑散期では必要なオペレーターの数が変動するため、適正なシフト管理が求められます。
最近では、ワークフォースマネジメント(WFM)を活用し、曜日や時間帯ごとの入電データをもとに最適な人員配置を行う企業が増えています。ワークフォースマネジメント(WFM)とは、業務量の予測に基づいて適正な人員配置を行う手法のことです。

また、短時間勤務や週3~4日勤務のシフトを導入することで、細かな人員調整が可能になります。たとえば、「ピークタイムのみ勤務するスタッフを確保する」や「曜日ごとに勤務日を調整する」といった柔軟なシフト管理が無駄なく必要な人員の確保につながるでしょう。

さらに、稼働率は日・週・月ごとに確認し、定期的に調整することが効果的です。シフトを固定化しすぎず、実際の入電状況に応じて調整することで、無駄のない運営が可能になります。 急な欠勤に備え、他の業務を兼務できるオペレーターを育成することも、シフトの柔軟性を高める手段として有効です。

待機時間を有効活用する

コールセンターには、入電が集中する時間帯とそうでない時間帯があります。待機時間が長くなりすぎると、稼働率が下がる原因となるため、稼働率を維持するために待機時間を有効に活用することも重要です。
オペレーターが待機時間を最大限に活用できる施策として、以下のような方法があります。

  • FAQやナレッジベースの更新:オペレーターが応対品質を向上させるための学習時間として活用する
  • トレーニング・研修やフィードバック:上司やSVがオペレーターの対応を振り返る機会を設ける
  • マルチタスクの導入:入電が少ない時間帯は、チャットやメール対応など、別の業務を行う
  • 面談の実施:定期的な個別面談を通じてオペレーターとのコミュニケーションを深め、ニーズや課題を把握する
  • 連絡・周知事項の共有

待機時間をうまく活用することで、オペレーターのスキル向上につながり、結果として業務効率や稼働率の改善に貢献します。

オペレーターへのサポートを強化する

稼働率が高すぎると、オペレーターの負担が増加し、ストレスが蓄積しやすくなります。無理な業務負担は、離職率の上昇や応対品質の低下につながるため、適切なケアが欠かせません。
以下の施策を取り入れることで、オペレーターのモチベーションを維持しながら、安定した業務運営が可能になります。

  • 適切な休憩時間を確保する:業務が立て込んでいる場合でも、計画的に休憩を取れるようにする
  • メンタルケアの実施:定期的な面談やコミュニケーション、ストレス管理の研修を導入し、オペレーターの心の健康をサポートする
  • フィードバックを積極的に行う:オペレーターの努力を評価し、ポジティブなフィードバックを通じてモチベーション向上につなげる

オペレーターが健康的に働ける環境を整えることで、結果として稼働率を安定させ、コールセンター全体のパフォーマンスを向上させることができるのです。

まとめ|適正な稼働率を維持し、業務効率を高めよう

コールセンターの稼働率は、業務効率とオペレーターの満足度を左右する重要な指標です。適正な稼働率を維持することで、オペレーターの負担を軽減し、コスト削減やサービス品質の向上を両立できます。
効果的な管理には、オペレーターのステータスをリアルタイムで把握し、柔軟なシフト調整を行うことが欠かせません。また、待機時間を有効に活用し、オペレーターへのサポートを強化することで、スキル向上を図ることも重要です。

高い稼働率を維持しながら、オペレーターの働きやすさと顧客満足を追求することが、優れたコールセンター運営への鍵となるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    従業員1万人以上の企業の5社に1社が導入している採用支援・求人広告会社にて、アルバイト・パート採用や中途採用を中心に、約3年間にわたり企業の採用支援に従事。
    2019年9月より株式会社ウィルオブ・ワークに入社し、コールセンター・オフィスワークに特化した人材サービスの事業部でキャリアアドバイザーを担当。現場で培った知見をもとに、コンタクトセンター領域はもちろん、採用・人材分野に関する実践的かつリアルな情報発信を心がけている。

    現在は子育てと仕事を両立しながら、日々奮闘中!

    趣味:音楽、ゲーム、ディズニー、お酒
    特技:タスク管理

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