コンタクトセンター検定(コン検)とは?|概要や取得メリット・勉強方法を解説

2024/08/19

本記事では、コンタクトセンター検定(コン検)について解説します。

「コンタクトセンター検定を受けようと思っているが概要を知りたい」
「社員の教育について何から始めればいいか分からない」
「社員のレベルにばらつきがあり、センターとしての効率や品質が安定しない」
「スキルや知識を体系的に学んだことがなく、今のやり方があっているか不安だ」

上記のようなお悩みを持つ方におすすめです。コンタクトセンター検定をこれから受けようと考えている方も、資格について知らなかった方に対しても有益な情報となっておりますのでぜひご一読ください。

コンタクトセンター検定(コン検)とは

「コンタクトセンター検定(以下、コン検)」とは、日本コンタクトセンター教育検定教会が認定する民間資格のことです。

コン検は、レベルごとに5つの資格から構成されています。
(業務経験はあくまで目安となり、年数が満たない方も受験可能です)

コンタクトセンター未経験者を対象としたエントリー資格から、コンタクトセンターで責任者を務める方を対象としたオペレーションマネジメント資格まで、顧客対応力や管理者としてのマネジメントスキル、センターの構築に関わる知識など、幅広い範囲を扱っています。

資格制度の柱となるのは、「CMBOK(シンボック)」と呼ばれるコンタクトセンターマネジメントの知識を体系化したガイドブックです。現在のバージョンはVer3.0で、2022年10月以降はVer3.0に準拠した出題が行われます。

オペレーションレベルの検定資格については、認定申請は不要で一度取得すれば更新不要です。プロフェッショナル資格については、検定試験に合格することに加え、所定の「認定基準」を満たしているかどうかを審査するための申請が必要です。また、資格認定後3年ごとに資格の更新が必要です。

活用のメリット

顧客対応力など定量化しづらいスキルを資格という形で証明、可視化できるコン検ですが、企業側から見た時にどのようなメリットがあるのでしょうか。

以下は日本コンタクトセンター教育検定協会の公式HPに記載されている活用メリットです。

 

コン検活用のメリット

運営の円滑化 

センター戦略から運用のノウハウ、必須職能スキルまでが体系的に整理されているため、それぞれのセンターの実態と比較することで運用の改善や円滑化に役立ちます。

モチベーション向上

CMBOKでは役割ごとのコンピテンシーレベルが明確なため、スタッフに対して期待する内容をわかりやすく伝えることができます。また、評価制度や福利厚生に活用することでセンター全体のモチベーション向上に役立ちます。

顧客対応力の向上

必要とされる知識、スキルが明確であるため、教育訓練計画が立てやすく、新人教育や社員教育に活用することで顧客応対力を上げることに役立ちます。

品質の向上

CMBOKをセンターの共通言語として活用することで拠点が離れていても統一レベルでの人材育成、品質管理マネジメントに役立ちます。

事業の拡大

電話応対、ビジネスマナーだけでなく、運営マネジメント力まで踏み込んだハイエンドプレイヤーを育成、活用することでコンタクトセンター事業の拡大に役立ちます。

【参照:一般社団法人 日本コンタクトセンター教育検定協会】

コンタクトセンターでは、管理者のレベルや経験によって教育方法が異なり、オペレーターの品質にばらつきが出ることがあります。特に多拠点展開をしている企業では、拠点間のレベルにばらつきがあると、全体での施策展開に遅れがでたり、システム導入の調整に時間がかかるなどの問題が発生します。また、共通言語がないと拠点間でのコミュニケーションに齟齬が生じ、全体の業務効率が悪化します。コン検に企業として取り組むメリットは、体系化された知識・スキルを学ぶことで、これらのばらつきを防ぎ、品質の標準化ができることです。

個人単位で取得すれば、スキルや知識の証明となり、実務に活かせるだけでなく、昇格や転職で有利になることもあり、キャリアアップに繋がる資格といえるでしょう。

取得難易度

キャリアアップやコンタクトセンターの品質向上に繋がるコン検ですが、取得難易度はどうでしょうか。公式HPでは過去14年間(2010〜2023年)の受験者数と合格率が発表されています。各レベル別の平均合格率は以下です。


 試験別

合格率 
エントリー資格 

78% 

オペレーター資格 

72%

スーパーバイザー資格 

79%

プロフェッショナル資格

44% 

合格率だけを見ると、オペレーションレベルの3資格についてはそこまで難易度は高くないといえます。プロフェッショナル資格については50%を切るため、十分な対策が望まれます。

ちなみに、各年度別で合格率を見ても、毎年同じぐらいの合格率になっています。これはコンタクトセンター検定が項目応答理論に基づく評価方法を採用しているためです。
TOEICなどの試験でも用いられる方法で、素点や順位など試験毎の難易度や受検者集団によって値が変わる内容で評価するのではなく、問題の難易度と識別力の関係性から能力の絶対値を測り評価します。
そのため、受験する年が違っても、受検者は同じ能力を持っているとみなすことができるため、公平な試験の実施ができます。

効果的な勉強方法

最後に効果的な勉強方法について紹介します。

出題範囲と目安の勉強時間

取得難易度はそれほど高くありませんが、もちろん対策は必要です。特にプロフェッショナル資格では、日常的にコンタクトセンターに関わる方でも、資格取得のための勉強が求められるでしょう。

コン検はすべての試験共通で、CMBOKから出題されます。最新のCMBOK Ver3.0は12の分野に分かれており、幅広く勉強する必要があります。

 大項目

 分野

戦略

コンタクトセンター戦略 (ST)

カスタマーサービス

サービスマネジメント (SM)
カスタマエクスペリエンス (CX)
CRM コンタクトセンター戦略の実践 (CR)

運営 

オペレーション (OP)
ヒューマン・リソース・マネジメント (HR)

構築 

センターアーキテクチャー (AR)
ICT マネジメント (IC)

監査

コンタクトセンターの監査 (AU)

ベース

コンタクトセンターの職能スキル (PE)
PC スキルの基礎 (PC)
職業人としての個人の資質と行動 (PA)

目安となる勉強時間は前提となる経験や知識量によりますが、オペレーションレベルで10~50時間程度、プロフェッショナル資格で50~100時間程度が目安となります。

合格者の勉強方法

次に、合格者の声から効果的な勉強方法をご紹介します。合格者の勉強方法としてはおおむね以下の4つがあります。

  1. CMBOKをはじめとした公式テキスト、認定教材の熟読
  2. 試験対策テキストでの演習
  3. 実務業務と関連づけて学習
  4. コンタクトセンター関連書籍などの熟読

最もオーソドックスな方法は、公式テキストを熟読し、試験対策テキストで演習するやり方でしょう。また、すでにコンタクトセンター業務に従事している方からは、実務業務と関連づけて学習することでより効率的に学習できたとの声もありました。

まとめ

本記事ではコンタクトセンター検定の概要やメリット、取得難易度や勉強方法について解説しました。

富士通コミュニケーションサービス株式会社やリコージャパン株式会社、株式会社日立システムズなど大手企業がコン検を社員の教育として活用しています。コン検を導入した企業からは、「社員の評価基準が一元化できる」「共通言語の理解が深まり、業務運営が効率化する」「個人のスキル向上意識やセンター全体の品質向上意識の改革につながった」などの効果が挙げられています。

幅広いレベルで受験することが可能なため、管理者のレベルアップやオペレーターの初期研修にも活用できます。日本コンタクトセンター教育検定協会の公式HPでは、サンプル問題が掲載されていますので、まずはそちらでどのような問題が出題されるのかを確認されてみてはいかがでしょうか。

この記事が、コンタクトセンター業務の改善やスキル向上に役立つことを願っています。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 濱松 浩志

    2020年4月ウィルオブ・ワークに新卒入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部の福岡支店に新卒配属。
    携帯キャリアのコールセンター半年、営業コーディネーター2年半経験。
    2023年4月から営業推進部へ異動し、新規営業を担当。
    休日は地元の少年野球チームのコーチを行っている。

    趣味:野球観戦、ボードゲーム、ビールを飲むこと
    特技:子供や動物になつかれること

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