COPC規格とは?|概要やメリット、取得までの流れを解説

2024/10/08

本記事ではコンタクトセンターの国際的な規格であるCOPCについて、その概要や取得メリット、取得までの流れを解説します。

COPCとは

COPCとは、アメリカのCOPC社が定めているコンタクトセンターにおける運営マネジメントの規格です。一般的には「COPC CX規格」と呼ばれ、世界的に活用されている業界標準の規格です。

世界銀行によると「COPC標準と認証は、顧客満足度、コンピュータインフラ、応答の正確さなどの分野におけるコンプライアンスパラメータを提供する業界固有の標準です」と紹介されています。

COPCの歴史は長く、1996年にアメリカでコンタクトセンターを運営する大手企業が集まり、初版が策定されています。以来、現在まで多くの企業で運用されており、世界的にも信頼度が高いです。コンタクトセンターの規格にはCOPC以外にもHDIなど6つほど世界的に運用されているものがあります。

最新バージョン7.0の特徴(2023/01 時点)

COPCは常に社会の変化に伴い更新が検討されています。COPC規格委員会は年2回の会議を開催しグローバルの最新トレンドを踏まえた検討が行われます。現在は2021年11月に公開されたバージョン7.0が最新となります。主に以下の内容がアップデートされました。

https://www.copc.com/copc-standards/

また、大きな変更点としてスタンダードからクライテリアへのパフォーマンス規定の方針変更が行われています。

  • スタンダード    = やるべきことを定める項目を規定
  • クライテリア   = 各センターの熟慮と実行を促す項目を規定(リリース7.0の方針)

これはCOPCに限らず、多くの業界で起こっている変化です。VUCAの時代と呼ばれる現代にあってビジネス環境の変化が早く、やるべきことはすぐに変わってしまう可能性があるためです。変化に対し、柔軟に対応することが求められるため、自律型組織運営が求められるというのが最新のトレンドになりつつあります。

COPCに関連する組織

COPC規格に関連するのは主にCOPC社とCOPC取得企業のメンバーで構成されるCOPC規格委員会の2つがあります。

COPC社

フロリダ州に拠点を置く非公開の経営コンサルティング会社で、顧客体験の変革を専門としています。認定を受けるために、企業にコンサルティングサービスやトレーニングを提供し、企業が継続的にコンタクトセンターのパフォーマンスを測定できるよう設計されたプロセスを提供します。

日本では株式会社プロシードが日本で唯一のCOPC総代理店として活動しています。

COPC規格委員会

COPC標準化委員会は、COPC標準を実装している組織からボランティアで構成されています。規格委員会のメンバーは、COPC CX規格の改善提案とCOPC CX規格の実施促進を担当しています。委員会は年2回開催されます。

COPCの種類

COPCはそれぞれ運用目的や主体の違いによって3種類に分かれます。
「CSP(Customer Service Provider)」「OSP(Outsource Service Providers)」「VMO(Vendor Management Organizations)」の区分でしたが、最新バージョン7.0より以下の区分になっています。

COPC CX 規格 Customer Operations版

COPC CX規格 カスタマーオペレーション版は、主に自社センターの運営組織に向けた内容です。CSPは自社センターの運営に焦点を当てており、CX業務全体と全てのサービスジャーニーを通じて高いパフォーマンスを実現するための柔軟なフレームワークを提供しています。

最新版7.0では、顧客サービスジャーニー、デジタルアシスタントチャネル、EXの拡大といった項目が更新されています。人での対応だけではなく、デジタルを利用して自己解決するために用意されたチャネルなども対象としている点がポイントで、ここ数年の変化も包括した内容になっています。

COPC CX 規格 Contact Centers版

COPC CX規格コンタクトセンター版は、CSPとOSPどちらも包括した内容です。OSPはコールセンターとカスタマーエクスペリエンスのアウトソーシングサービスを提供する企業向けの基準です。

顧客のサービスジャーニーを向上させるために不可欠なコンタクトセンターサービスに焦点を当て、ハイパーフォマンスのOSPに対して認定・評価することや高いパフォーマンスを達成するために設計された詳細なフレームワークを提供することが主眼になっています。

COPC CX 規格 VMOs版

COPC CX規格VMOs版は、コンタクトセンターの発注側に対して定められた内容です。VMOとは「Vendor Management Organization」の略で、コンタクトセンター(コールセンター)運用の管理責任を持っているクライアントや組織を指します。

コンタクトセンター業務は、発注側にも知識がないとコストや品質を適切に管理することは難しいです。どのようなベンダーを選べば良いのか、そのベンダーをどのように評価すればよいのかを体系的に整理することができます。また、最近ではコール以外にもチャットやメールのように複数チャネルがあり、それらを別々のベンダーに依頼していることも少なくありません。複数ベンダーがいても統一感をもって対応するためにどのような調整が必要なのかが体系化されています。

COPC取得の3つのメリット

COPCを取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは3つのメリットを紹介します。

自社センターの現状がわかる

COPCの取得に向けてはさまざまな対応が求められます。COPCは取得すること自体にも価値はありますが、取得までの過程で自社センターをアセスメントできることにも大きな価値があります。

COPCではコンタクトセンター運営するためには欠かせない項目が網羅されています。コストや品質管理はもちろん、オペレーターの教育や採用、パフォーマンスをどのように計測するかなど多岐に渡ります。COPCが提供する最新のコンタクトセンター運営基準と比較することで、自社センターは何ができていて、何ができていないのかを明らかにすることができます。

コンタクトセンターのレベルアップができる

COPCを取得することの最大のメリットはコンタクトセンターのパフォーマンスを向上できることです。そもそも、COPCが目指しているのは以下の3つです。

  1. 顧客体験(CX)や顧客満足度(CS)の向上
  2. コスト削減や生産性の向上
  3. 応答率や返答速度、解決率の向上

COPCの基準を満たすことで、これらの効果を得ることが期待できます。世界標準のノウハウやプロセスを身につけることで自社のコンタクトセンターをレベルアップすることができます。

信頼できる第三者からの評価を得ることができる

COPCを取得することができれば、世界標準から見ても顧客満足度や生産性が高い運営ができていることが第三者機関から認められた証となります。

これはアウトソーサーであれば、発注側の顧客へアピールできる強みになりますし、自社センターであっても社内や社外に自社の顧客サービスの品質や生産性の高さを示すことができます。また、COPCを取得することで、センターやそこで働く従業員としても自信や誇りを持つことができ、モチベーションアップにも繋がります。

COPC取得までの流れ

COPCを取得するためには以下のプロセスを経る必要があります。

STEP1:データ収集開始

最初のステップは「データ収集」になります。現状を把握するためにベースラインアセスメントを実施します。ベースラインアセスメントとは、COPC取得活動を始めるにあたり、組織の現状とCOPCの規格要求における乖離を具体的に把握するために行う診断のことを指します。診断結果に基づき認証取得までのマスタープランの設定、スコープの定義や指標を定めます。

一般的には1ヶ月ほどの期間で行われ、この診断結果によって取得までのプロセス全体のスケジュールが決まってきます。

STEP2:規格要求の構築

次のステップは「規格要求の構築」で、規格が要求するマネジメントの仕組みを構築します。業務プロセスの設計・改善や、人材育成に着手するとともにパフォーマンス指標データ測定を開始します。

このフェーズは一般的には3~4ヶ月ほどかかります。

STEP3:プロセス改善

次のステップは「プロセス改善」です。継続的に収集されたパフォーマンス指標データを基に目標達成の為の客観的な分析と改善活動を推進します。

このフェーズはセンターによって差がありますがおおよそ6~9ヶ月ほどかかります。

STEP4:申請と審査

最後のステップは「申請と審査」です。構築されたマネジメントシステムを運用し、組織の体質改善の結果、パフォーマンスが向上してきた段階で認証審査を受けます。

一般的には申請と審査終了までで1~3ヶ月ほどの時間がかかります。ここで審査が完了し、基準を満たしていれば見事COPC取得となります。

まとめ

本記事ではCOPCについて、概要や取得メリット、取得までの流れを解説しました。

世界的な標準として活用されている規格なだけに取得の基準やプロセスは厳格に決まっています。取得するのは大変ですが、取得までの過程で自社のコンタクトセンターのレベルアップができます。

弊社ウィルオブワークでもCOPC取得者による高い基準での運営を実施しております。COPC取得に興味がある方、COPCを活用したコンタクトセンターの運営にご興味がある方は気軽にご相談ください。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 吉田 章孝

    2011年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)に入社。
    3年目に支店長として支店の新規立ち上げを経験。その後は札幌支店長として着任し、2年間で売上倍増に貢献する。
    その後、首都圏管轄マネージャに着任し、営業推進部へ異動。営業推進部では、金融系プロジェクトチームの立ち上げや、部内重点顧客の本部営業などを担当。
    2020年4月より、営業推進部 部長として、本部営業や社員教育、求人広告や転職支援チームなどを担当。現在は本部営業をメインに担当。

    ・趣味:散歩、語学
    ・特技:料理

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