【実践ガイド】コールセンターマニュアル作成│重要性と手順を完全解説!

2024/04/20

コールセンターでは品質と効率の向上を図るために、優れたマニュアルの存在が不可欠です。マニュアルがあれば、オペレーターの対応を平準化できますし、優れたマニュアルの存在はオペレーターの安心感にも繋がります。

本記事ではコールセンターマニュアルの作成について解説します。マニュアル作成の必要性やマニュアルに何を含めるべきか、作成のステップ、さらには適切な活用法まで解説していきます。これからコールセンターマニュアル作成に取り組むみなさまの参考になれば幸いです。

コールセンター運営についてお悩みですか?

「コールセンターの立ち上げをするが、何から手をつければよいかわからない」「運営マニュアルの作り方が分からない」「コールセンターの運営の見直しや、古いマニュアルを更新したいが、手が回らない。」とお悩みのお客様、コールセンター専門特化25年のウィルオブ・ワークに相談してみませんか。お客様のコールセンター課題にカスタマイズのご提案をさせていただきます。下記ボタンよりお気軽にご相談ください。

30秒で簡単お問い合わせ

関連記事はこちら:コールセンター立ち上げのための基礎知識を解説!成功のポイントは?

コールセンターマニュアルとは何か?

コールセンターマニュアルとは、オペレーター全員が同じ基準の対応を提供できるように、業務手順、対応ルール、具体的なスクリプトなどをまとめたドキュメントです。一定の品質を確保しながら業務を遂行するためにはマニュアルが必須です。マニュアルは手引きや取扱説明書とは違い、一般的な操作方法を示すだけでなく、特定の状況での適切な対応方法も詳細に説明します。

多くのコールセンターでは、マニュアルは紙媒体だけでなく、デジタル形式でも提供されます。これにより、オペレーターは現場でリアルタイムで必要な情報にアクセスし、迅速かつ適切に顧客対応を行うことができます。

マニュアルの必要性とその役割

コールセンターにおいてマニュアルがなぜ必要になるのでしょうか。

その理由は「品質の標準化と向上」にあります。マニュアルがあることで、オペレーター間の業務の遂行方法や対応内容が統一され、サービスの一貫性が保たれます。また、マニュアルには様々な状況でのベストな対応方法が詳細に記載されています。それに従って対応することで、オペレーター全員が一定以上のサービスを提供することができ、コールセンター全体としての応対レベルが一段と向上します。

次に、「属人化の回避」が挙げられます。マニュアルがないと、各オペレーターが独自の対応方法を採用してしまいがちです。それはある程度は役立つかもしれませんが、一方で情報が属人化し、それに依存する状況が生じてしまう可能性があります。しかし、マニュアルがあれば、誰もが同じ情報に基づいて対応できるため、このようなリスクを避けることができます。

インバウンドとアウトバウンドマニュアルの違い

コールセンターの業務は大きく「インバウンド」と「アウトバウンド」の二つに分けられ、それぞれに対応したマニュアルが必要となります。以下にその違いを簡素な表で示します。

  インバウンド アウトバウンド
業務内容 ・顧客からの問い合わせ対応
・クレーム対応
・アフターサービス
・商品の販売
・マーケティングリサーチ
・リマインダーコール
重視する点 ・応対の品質
・問題解決能力
・営業スキル
・効果的なプレゼンテーション

インバウンドマニュアルでは、顧客からの問い合わせ対応やクレーム対応などをどのように行うか、応対の品質を確保するための方法や、問題解決能力の向上に繋がる情報が重要となります。

一方、アウトバウンドマニュアルでは、商品の販売やマーケティングリサーチ、リマインダーコールなど、積極的に顧客と接触を持つ業務に焦点を当て、営業スキルの磨き方や効果的なプレゼンテーションの方法などが重視されます。

これらの違いを理解し、業務に適したマニュアルを作成することが、効率的なコールセンター運営には欠かせません。

マニュアルの要素:どんな情報を含めるべきか?

効果的なコールセンターマニュアル作成に必要な要素を説明します。主に下記の7つが挙げられます。

  • 会社の基本情報
  • オペレーターの職務内容
  • ビジネスマナーと社内ルール
  • トークスクリプト
  • ツールの操作方法
  • 商品やサービスの詳細情報
  • FAQとその対応策

会社の基本情報

オペレーターは、会社の「顔」として顧客と直接対話する重要な役割を担っています。そのため、会社の基本情報を把握していることが不可欠です。

ここで取り扱うべき情報としては、社長の名前、会社の歴史や沿革、ビジョン、経営方針やスローガン、事業内容などが含まれます。会社の歴史やビジョン、経営方針などは帰属意識を高めるだけでなく、顧客対応の考え方の基盤になります。

オペレーターの職務内容

従業員に対して、具体的な業務内容とそれに伴う責任を明確に理解しておくことは非常に重要です。職務内容が明確になることで、企業として従業員に求めることが明確になり、期待値のすり合わせが可能になります。

責任所在が曖昧だと、トラブルが発生した際に軋轢(あつれき)が生まれます。特にオペレーターとリーダー、SVの対応範囲・責任範囲を明確にすることで、事前にセンター内で起きる摩擦を軽減することができます。

ビジネスマナーと社内ルール

一般的にコールセンターでは企業を代表する立場として、高いビジネスマナーが求めらます。一貫した言葉遣いや敬語表現、社内での共有言語は、プロフェッショナルなコミュニケーションを保つための基本的なルールです。

また、社内ルールを従業員に理解してもらうことは、円滑なセンター運営やセンターのガバナンスにとって重要です。就業時間や休憩の取得、シフト提出のルール、適切な服装や髪型などの身だしなみ、オフィス利用に関するルールなどを理解してもらい、徹底していく必要があります。

また、セキュリティ対策としてセンター内への持ち込みルールや、その他のコンプライアンスルールの遵守も重要です。これら全ては一貫した高品質のサービスを提供するための基礎となる要素であり、マニュアルを通じて共通認識を持つことで、センター全体の規律が醸成されます。

トークスクリプト

トークスクリプトは、オペレーターが電話対応時に使用する言葉を事前にまとめたものです。顧客からの問い合わせを想定し、その対応策を詳細に記載します。トークスクリプトは、特定の「ペルソナ」、つまり顧客の代表的なタイプを想定したもので、それぞれのペルソナが抱える課題に対応する形で複数作成します。

トークスクリプトは主に2つの構成要素で作られます。一つは「スクリプト」で、オペレーターが顧客対応時に話す言葉です。もう一つは「フロー図」で、顧客対応の流れを視覚的に表したものです。

スクリプト作成の際は、スキルの高いオペレーターのトークを参考にします。その言葉を書き出し、顧客対応のベースとして定型化することで、新人オペレーターでも高品質な対応が可能になります。

ツールの操作方法

現代のコールセンターでは、さまざまなツールやアプリケーションの操作が必須となっています。しかしながら、全てのオペレーターがパソコン操作に慣れているわけではなく、操作につまずき、挫折するケースも少なくありません。

そこで、マニュアルにはツールの操作方法をステップバイステップで詳細に記載することが重要です。一つひとつの操作を省略せずに書き出し、操作の流れを分かりやすくします。

また、可能であれば実際の画面のスクリーンショットを用いて、具体的にどこをどう操作すれば良いかを説明します。特に重要な操作は強調し、操作ミスが生じないように配慮します。

特に最近では在宅勤務も増えてきており、初期のセットアップや、ツール操作等で問題が発生した際にタイムリーに解決できるようツール操作については充実させておく必要があります。

商品やサービスの詳細情報

オペレーターは取り扱う全商品やサービスの詳細情報を理解し、その情報を顧客に適切に伝えることが求められます。全て記憶してくことは難易度が高いため、マニュアルを充実させることでオペレーターがスムーズな顧客対応が出来る状態にします。

商品やサービスの情報は全てを同じ情報粒度で扱うのではなく、問い合わせが多い、人気のある商品やサービスについてはより詳細な情報を提供することが望ましいです。

具体的な情報としては、商品名、特徴(カラー、販売時期、価格)、利用方法、注意点(契約期間、保守可能期間など)を含むことが基本となります。

商品点数が多い場合は情報をデータベース化し、簡単に検索できるようにすることでオペレーターが迅速に情報を取り出せる環境を整備します。これにより、顧客の問い合わせに即時かつ正確に対応することが可能となります。

FAQとその対応策

コールセンターでは、顧客から同様の質問が繰り返されることが多くあります。そのような場合、FAQを準備することで、オペレーターが効率的に対応することが可能となります。

FAQとは、頻繁に出る質問とその回答をまとめたものです。具体的な問い合わせ内容とその対応策、また、どのような言葉遣いで対応すべきかといった点を記述します。

オペレーターはこのFAQを参照することで、顧客からの問い合わせに対して即時、かつ一貫性を持った回答を提供することが可能となります。

近年ではFAQを適切に管理するシステムもあり、マニュアルの中に含めるのか、別途管理するのかは業務の複雑さや対応範囲の広さによって異なります。

FAQシステムについてはこちら:FAQシステム5選徹底比較!機能や導入ポイントも解説   

マニュアル作成の5つのステップ

本章では、コールセンターマニュアルを効果的に作成するための具体的な5つのステップを解説します。

ステップ1:マニュアル作成の責任者の選定

第一ステップは、責任者を選定することです。これにより、進行状況を一元管理し修正や変更を即座に行うことが可能になります。

また、マニュアルの浸透具合を把握し、必要な修正プロセスを効率的に行うための施策も責任者の手に委ねられます。マニュアル作成の初めの一歩は、この重要な役割を果たす責任者の選定から始まります。

ステップ2:マニュアルに記載する情報の洗い出し

次のステップはマニュアルに記載すべき情報の洗い出しです。情報が重複しないように、また全ての必要な情報がカバーされるように、MECE(モレなくダブりなく)の原則に従って進めます。

情報の洗い出しにあたっては責任者のみが行うのではなく、日常的に業務にあたっているオペレーターの力を借りるなど、第三者の視点で抜け漏れがないかを話し合うのがよいでしょう。まずは情報を出揃えた上で、その粒度の整理や関連性の整理などを責任者が実施していきます。

ステップ3:マニュアルの作成とレイアウト設計

第三ステップはマニュアルの具体的な作成とレイアウト設計です。マニュアルは分かりやすさが重要で、そのためには構成と内容が明確であることが求められます。また、コールセンターのオペレーターが理解しやすい言葉を使い、必要に応じて図を用いて直感的に理解できるようにします。

また、マニュアルは情報が膨大になることが多いため、検索性を確保することが大切です。そのためには、業務内容をカテゴリーや時系列に分けて整理し、画像や図を取り入れて視覚的にも理解しやすくすることが有効です。

また、更新頻度が高いトークスクリプトやFAQは、別ファイルにして管理し、それぞれが独立して更新・利用できるようにすると、マニュアル全体の運用がスムーズになります。

ステップ4:マニュアルのシミュレーションとフィードバック収集

次のステップは完成したマニュアルを実際にオペレーターに読ませ、シミュレーションを行うことです。正式な運用開始前に、実際の現場で適切に機能するかをチェックします。

シミュレーションの結果を元に、オペレーターからのフィードバックを積極的に収集します。彼らの声はマニュアルが現場のニーズに適合しているかを確認するのに非常に重要です。フィードバックを反映し、修正を加えることで、より現場に即した効果的なマニュアルを作り上げていきましょう。

ステップ5:マニュアルの運用と改善

マニュアル作成の最終ステップは、マニュアルの運用とその改善です。一度作成したマニュアルは固定的なものではなく、常に更新され適切に運用されることが重要です。

管理者が改善活動の主導をとる一方で、オペレーターからの意見やフィードバックも大切にします。マニュアルを実際に利用しているのは現場で働くオペレーターです。その経験から得られる視点や意見は、マニュアルの改善にとって非常に貴重なものとなります。改善は継続的に行うことで、より効率的で使いやすいマニュアルに育て上げることができます。

マニュアルの適切な活用法と継続的改善

最後に、マニュアルを運用するにあたって注意すべき点をご紹介します。柔軟にマニュアルを活用する方法と、マニュアルの定期更新がなぜ重要なのかを詳しく解説します。

柔軟なマニュアルの活用

マニュアルは重要なガイドラインであり、業務効率化や顧客対応の品質向上に大いに貢献します。しかし、マニュアルに過度に依存すると、オペレーターの対応に柔軟性が欠け、顧客対応に機械的な感じを与えてしまう危険性があります。

そのため、マニュアルの活用は「守破離」の考え方が参考になります。初めの段階ではマニュアルに忠実に沿って業務を行い、基本的な知識や技術を身に付けます。慣れていくうちに、より対応品質を高めていくため、自分の経験や知識を活かしてよりブラッシュアップしていきます。

これらの段階を経ることで、マニュアルに対する理解とともに、オペレーターの柔軟性が育っていきます。

定期的なマニュアル更新の重要性

マニュアルは一度作成したら終わり、というものではありません。なぜなら、社内の新サービスや経営方針、社会情勢といった内外の変化に対応しなければならないからです。古くなった情報や誤った情報が残ることで、顧客に正しくない情報を提供するリスクが生じ、コンタクトセンターの信頼性を低下させる可能性があります。更新のタイミングや頻度を明確にし、更新のルール化を進めることで、マニュアルの正確性を保つことができます。

ただ気をつけないといけないのは、単に情報を更新するだけで終わらないことです。新たな情報をオペレーター全員が理解し、適切に活用できるようにするために共有し、理解してもらうことが重要です。

社内のイントラで通達するだけではなく、朝礼や研修を通じて全員に「腹落ち」してもらうことが大切です。そのためには、更新箇所を管理者が理解し、変更の要諦を抑えておくことが大切です。

まとめ:効果的なコールセンターマニュアル作成への道筋

コールセンターマニュアルの作成は、一貫した顧客対応を実現し、業務効率化を図る重要なステップです。必要な情報の洗い出しから始め、役割と利用者に合わせたレイアウト設計、適切な運用と継続的な改善へと繋げることが大切です。

また、マニュアルは柔軟に利用し、定期的な更新を行うことが求められます。これらの手順を経て、真の顧客満足と高品質なサービス提供を目指しましょう。

関連記事はこちら:コールセンター立ち上げのための基礎知識を解説!成功のポイントは?

コールセンターマニュアルの作成が難しいと感じている方へ。

「コールセンターの立ち上げをするが、何から手をつければよいかわからない」「運営マニュアルの作り方が分からない」「コールセンターの運営の見直しや、古いマニュアルを更新したいが、手が回らない。」とお悩みのお客様、コールセンター専門特化25年のウィルオブ・ワークに相談してみませんか。お客様のコールセンター課題にカスタマイズのご提案をさせていただきます。下記ボタンよりお気軽にご相談ください。

30秒で簡単お問い合わせ

Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 丸山 実咲季

    2022年4月に入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。
    営業推進部にてインサイドセールスに従事し、テレアポからメールマーケティングなどのプル型施策によりリード獲得に貢献。
    2022年5月からTwitterアカウントの運用も担当。2022年度のグループ全体「新卒新人賞」にノミネートされる実力者。市場価値爆上がり中の2年目社員!
    ・趣味:お洒落なカフェの空間を探したり、自然の中をお散歩することが好きです!その他、バスケ 料理 音楽など多趣味です。
    ・特技:相手の表情を汲み取って行動や発言ができる点。

Related article関連記事

法人お問合わせ・資料ダウンロード

コンタクトセンターの採用・運営に関してお悩みの方、お仕事探しの方はお気軽にお問合せください。