BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは?対象となる業務やメリット、導入事例を解説

2025/09/19

この記事を読んでわかること
 ✔ BPOの定義と、アウトソーシング・BPRとの違い
 ✔ BPOに向いている業務の特徴と具体例
 ✔ BPO導入による主なメリット・デメリット
 ✔ BPOベンダーを選ぶ際の重要な比較ポイント

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、人手不足や業務の複雑化が進む現代において、企業の生産性向上やコスト削減を実現する手段として注目されています。しかし「BPOとは何か?」「どんな業務が向いているのか?」という疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

本記事では、BPOの基本的な意味から導入のメリット・注意点、実際の事例までをわかりやすく解説します。自社の業務効率化を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

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BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは

BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスを一括または部分的に、外部の専門企業に委託するビジネス手法です。委託先は「BPOベンダー」と呼ばれ、経理・人事・総務といったバックオフィス業務から、コールセンター業務やカスタマーサポートまで、幅広い分野の業務に対応しています。

BPOの特徴は、単なる作業の外注にとどまらず、業務の設計や運用、改善に至るまでプロセス全体を外部パートナーが担う点にあります。これにより企業は、定型的で時間や労力のかかる業務を外部に任せ、自社の人材や資源を戦略的なコア業務へ集中させることが可能になります。

アウトソーシングとBPR、BPOの違い

「BPO」と「アウトソーシング」は、しばしば同じ意味で使われがちですが、実際には異なる概念です。BPOはアウトソーシングの一種ではありますが、業務範囲や目的において明確な違いがあります。
また、BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)も混同されることがありますが、こちらは企業内部の業務を根本から見直す手法です。以下で、それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。

アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、業務の一部や特定のタスクを外部の企業に委託することです。たとえば、コンタクトセンター業務や庶務・事務処理など、日常的で定型的な業務を委託するケースが多くあります。

BPRとは

BPR(Business Process Reengineering)とは、企業内の業務プロセスを根本から見直し、必要に応じて再設計を行うことで、抜本的な業務改革を目指す手法です。委託するかどうかに関係なく、組織内のパフォーマンス向上に主眼を置きます。

  目的 概要
アウトソーシング 一部の業務や作業を外部に委託し、業務効率やコストを改善する

コールセンターや事務作業など、定型業務を外注することで業務負荷を軽減する

BPR 業務フローや体制を抜本的に見直し、組織全体の効率を高める

現在の業務プロセスを分析し、再設計・最適化することで業務改善を図る

BPO 業務プロセス全体を外部委託し、戦略的リソース活用と生産性向上を目指す

人事、経理、カスタマーサポートなどの業務を一括で専門業者に委託し、運用を任せる

なぜ今BPOが注目されているのか

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の需要が高まっている背景には、深刻な人材不足と急速に変化するビジネス環境があります。

少子高齢化の影響により労働力の確保が難しくなり、限られた人材をコア業務に集中させる必要性が高まっています。経理や人事、カスタマーサポートといったノンコア業務を外部に委託することで、業務効率化とコスト最適化が図れる点が評価されています。

また、デジタル技術の進展やDXの加速により、従来は内製が前提だった業務も外部化しやすくなりました。VUCAと呼ばれる先行き不透明な時代において、必要な機能や人材を柔軟に取り入れられるBPOは、経営のスピードと柔軟性を高める手段として注目されています。

BPOに向いている業務の特徴と具体例

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)に向いている業務には、いくつかの共通した特徴があります。
代表的なのは、定型化されていてマニュアルに沿った対応が可能な業務や、高頻度で繰り返される事務的業務です。

◎BPOに適した業務の特徴

  • 業務プロセスが明確で標準化されている
  • 属人化を避けられる(特定の人に依存していない)
  • 業務量が多く、人的リソースが足りていない
  • 専門的なノウハウやツールの外部活用で効率化が期待できる

◎具体的な業務例

カテゴリ 主な業務内容
バックオフィス 経理、請求処理、給与計算、人事労務、総務事務など
カスタマーサポート インバウンド・アウトバウンド、チャット対応、FAQ管理など
マーケティング メールマーケティング運用、リード管理、データ分析など
IT・デジタル系 データ入力、簡易なRPA運用、Web更新・管理など

コールセンター業務のBPO成功事例

シャープ株式会社では、問い合わせ対応の増加により、人員負担や応対品質の安定化が大きな課題となっていました。
そこでコールセンター業務をBPOベンダーに委託したところ、効率的な運営体制が整い、顧客満足度の向上にもつながりました。現在では長期的なパートナーシップとして機能しており、BPOの有効性を示す好例といえます。

BPOサービス導入のメリット

BPOを導入することで、企業は単に業務を外注する以上の多くのメリットを享受できます。
本章では、実務に直結する4つの観点から、その効果を解説します。

BPOサービスを活用するメリットについて説明している画像です。
1.業務効率向上
2.品質向上
3.コスト削減
4.BCP対策

業務効率の向上

ノンコア業務を専門のBPOベンダーに委託することで、社内リソースの最適化が実現します。日々のルーティン業務や細かな管理業務から解放されることで、社員は本来注力すべきコア業務に集中でき、戦略的判断や新規事業の推進にエネルギーを投じることが可能になります。

さらに、BPOベンダーは標準化された業務フローや専用ツールを駆使して作業を進めるため、作業効率が高く、ミスも抑制されます。結果として、生産性の向上や業務スピードの改善が期待できます。

サービス品質の向上

BPOベンダーは、カスタマーサポートやバックオフィス業務など、特定業務に特化した専門知識と経験を持っています。そのため、自社では難しい高品質なオペレーションを実現しやすく、対応の正確性やスピードの面でも優位性があります。

たとえば、顧客対応業務では、専門チームによるきめ細かな対応によって、顧客満足度の向上やクレーム減少といった効果が見込め、ブランド価値の維持・向上にも寄与します。

コスト削減

BPOを活用することで、人件費や採用・教育コスト、設備投資などの固定費を削減できます。特に、間接部門における業務を外部に任せることで、無駄のないスリムな組織運営が可能になります。

また、BPOベンダーはスケールメリットを活かして業務を効率的に処理できるため、自社単独で行うよりも低コストでの運用が実現しやすくなります。削減できた予算は、事業投資や成長領域への再配分が可能となり、経営資源の最適化につながります。

BCP対策・事業継続性の強化

自然災害や感染症、システム障害といったリスクが増す中、事業を止めずに継続できる体制の構築は企業にとって重要な課題です。BPOを導入することで、業務の一部が外部に分散され、リモート環境や複数拠点での運用体制が整えられ、事業停止リスクの軽減につながります。

多くのBPOベンダーはBCPを前提とした運用体制を整えており、緊急時にも迅速かつ安定的な対応が可能です。こうした体制を社外に確保することは、リスク管理の観点からも大きな安心材料となります。

BPOのデメリットと解消方法

BPOは多くのメリットをもたらす一方で、導入に際しては注意すべき点やデメリットも存在します。
本章では、BPOを検討する際に押さえておきたい代表的なリスクとその対策について解説します。

自社内へノウハウが蓄積されにくい点

業務を外部に委託することで、その業務に関する知識や経験が社内に蓄積されにくくなるという問題があります。長期的に外部任せにしすぎると、担当部門が業務の詳細を把握できず、いざというときに内製に戻すのが難しくなる可能性もあります。

このリスクを回避するためには、定期的な報告・共有体制の整備や、業務マニュアルの可視化、KPI管理によるプロセスの見える化が重要です。委託先との連携を密に保ち、社内でも最低限の知見を維持する体制づくりが求められます。

コストが見合わない場合があること

BPOはコスト削減を目的に導入されることが多いものの、初期費用や運用費用が想定以上にかかる場合があります。特に、業務調査やシステム構築といった準備段階でコストが膨らみ、短期的には予算を圧迫する可能性もあります。

こうしたリスクを避けるには、複数のベンダーから初期費用とランニングコストを比較検討し、実際に成果が見込める一部業務から段階的に導入を進めることが有効です。小さな成功事例を積み重ねながら委託範囲を広げていくことで、中長期的に投資効果を回収しやすくなります。

導入に時間がかかる

BPOを導入するには、業務内容の調査や委託範囲の整理、システム連携といった準備が必要になるため、実際にサービスが稼働するまで数カ月を要することも珍しくありません。スピード感を重視する企業にとっては、この導入までの期間がデメリットとなり得ます。

そのため、まずは緊急性の高い業務から優先的に外部化し、スモールスタートで早期に効果を得る方法が現実的です。また、導入スケジュールは逆算して計画を立て、ベンダー比較や調整の時間も含めて余裕を持った準備が求められます。

品質・セキュリティ管理の難しさ

BPOの委託先によっては、業務品質にばらつきがあったり、情報漏洩やセキュリティ事故のリスクが生じることがあります。特に顧客情報や機密データを扱う業務では、委託先のセキュリティ体制や管理能力が非常に重要です。

契約段階でのチェック項目として、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証の有無、個人情報保護への対応状況、BCP・災害時対応の体制などを確認するようにしましょう。また、定期的な業務監査や評価制度を設けることで、継続的な品質維持にもつながります。

自社に合ったBPOベンダーの選び方

BPOを成功させるためには、適切なBPOベンダーを選ぶことが重要です。以下の選定ポイントを確認していきましょう。

実績と評判

BPOベンダーがどのような業務を得意としているかは、導入実績や評判から把握できます。特に、自社が委託を検討している業務と類似した事例を持っているかどうかを確認すると安心です。導入事例やクライアントの声を参考に、信頼できる実績があるかを見極めましょう。

専門性

対象業務に精通しているかどうかも重要な判断基準です。専門知識や資格を持つスタッフが在籍しているか、業務特化型のチーム体制が整っているかを確認することで、安心して業務を任せられるかどうかが判断できます。

拡張性・柔軟性

企業のニーズは時間とともに変化します。BPOベンダーが業務範囲を柔軟に拡張できるか、あるいは将来的に業務を社内へ戻す場合に適切なサポートが可能かも確認しておきましょう。マニュアルの共有や体制変更に柔軟に対応できるベンダーであれば、長期的なパートナーとして信頼できます。

セキュリティ対策

顧客情報や機密データを外部に渡す以上、セキュリティ対策は欠かせません。情報管理の仕組み、オペレーターや社員への教育・研修体制、認証の有無(例:ISMS)などを確認し、情報漏洩リスクを最小限に抑えられる体制を持つベンダーを選びましょう。

担当者とのコミュニケーション

委託先の担当者が信頼できるかどうかも重要な要素です。業務進捗や課題を丁寧に共有してくれるか、柔軟に対応してくれるかといった姿勢は、長期的なパートナーシップを築くうえで欠かせません。営業担当者や窓口の対応からも、ベンダーの姿勢を見極めることができます。

▼おすすめのBPOベンダーを知りたい方はこちらをご覧ください
【最新】コールセンターBPO8選│概要や選定時のポイント、ステップを解説

まとめ

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)は、企業が業務効率を最適化し、コア業務に集中できるようにする戦略的アプローチです。ノンコア業務を外部のBPOベンダーに任せることで、企業は本来の潜在能力を引き出し、成長を促進させることが可能になります。

しかし、BPOを成功させ実りあるものにするためには、BPOベンダーの選定、綿密な計画が欠かせません。BPOを賢く導入すれば、事業課題を克服し、生産性を向上させることが可能になるでしょう。
本記事が、BPOを検討されているご担当者様のお役に立てれば幸いです。

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BPOに関する「よくある質問」

BPOとは何ですか?

BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業の業務プロセスの一部を一括して外部の専門企業に委託することを指します。コールセンター業務や経理・人事・総務など、定型的で時間のかかる業務をBPOベンダーに任せることで、業務効率化やコスト削減を図ることができます。企業はリソースをコア業務に集中できるため、経営の最適化にもつながります。

BPOとアウトソーシング・BPRの違いは何ですか?

BPOは、業務プロセス全体を一括して外部に委託する手法であり、継続的かつ包括的な業務支援が特徴です。アウトソーシングはその一形態で、特定の業務単位のみを外部に依頼するケースが一般的です。
一方、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)は、業務を外注するのではなく、社内の業務フローや体制を抜本的に見直し、再設計する取り組みです。
つまり、BPOとアウトソーシングは「外部への業務委託」に焦点があるのに対し、BPRは「業務そのものの改革」に焦点を当てているという点で目的と手法が異なります。

Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービス事業部に配属。大手携帯キャリアのコンタクトセンターにて、カスタマーサポートを行いながら、自社派遣社員のサポートやフォローに努める。CSを2年経験した後、営業コーディネーターやキャリアアドバイザー、転職支援など幅広い業務を経験。現在は、2人のこどもを育てるワーキングマザー。

    ・趣味:森林浴、神社巡り、アートに触れること
    ・特技:細かい点に気が付くところ

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