ペルソナとは│重要性とカスタマーサポートを高度化させるポイントを解説

2024/10/30

カスタマーサポートの世界において、「顧客を理解する」ことは最も重要な土台とも言える要素です。しかし、顧客を深く理解するというのは、多岐にわたる情報やニーズの中で、なかなか簡単なことではありません。そこで注目されるのが「ペルソナ設計」です。ペルソナ設計を行うことで、顧客の行動や感情の変化を明確に捉え、それに合わせた効果的なサポートが実現できます。

本記事では、ペルソナ設計の基本的な概要から、その設計の手順やポイントについて詳しく解説します。カスタマーサポートを更に進化させ、顧客にとって最高のサポートを提供したい方々に、是非とも知っていただきたい情報をまとめています。

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ペルソナとは

ペルソナとは、具体的に年齢層や性別、居住地などの詳細を設定した典型的なユーザー像のことを指します。

出典:DESIGN α

この言葉はラテン語の「persona」に由来し、本来は「仮面」という意味合いを持っていました。その後、スイスの著名な心理学者カール・グスタフ・ユングによって心理学の領域で用語として使われるようになりました。

そして時代が進むにつれ、このペルソナはマーケティングの世界で一般的に利用されるようになりました。現代のマーケティングにおいて、ペルソナは商品やサービスを利用する典型的なユーザー像として位置づけられています。

例えば、ターゲット層を「30代前半の女性」と定める際、その女性がどのような趣味を持ち、どのような悩みや関心を持っているのかを具体的に捉えるためにペルソナが利用されます。ペルソナの設定は、ターゲット層の興味・関心や悩みを深掘りし、それを基にマーケティング戦略を組み立てるための非常に強力なツールとして用いられています。

また、ターゲット層とペルソナの大きな違いは、前者が特定の範囲(30代女性など)を示すのに対し、後者は1人の具体的な顧客のプロフィールを設定する点にあります。このようにして、ペルソナを用いることで企業は顧客の真のニーズや要望を捉え、より適切な商品やサービスを提供することが可能となります。

カスタマーサポートにおけるペルソナ設計の重要性

マーケティング分野でよく耳にするペルソナですが、カスタマーサポートの領域での活用も注目されています。カスタマーサポートが顧客満足度を追求する過程で、顧客を深く理解することは施策の全ての起点となります。そこで、ペルソナ設計の重要性が浮き彫りになります。

ペルソナを正確に設定することは、カスタマーサポートの成功への鍵となる要素です。なぜなら、ペルソナを通じて、顧客の行動や思考、接点ポイントなどの細かな情報を掴むことができるからです。例えば、特定の商品やサービスに対する疑問や悩み、使用中に感じる不便や不満など、顧客が抱えるリアルな声を明確に捉えることができます。

カスタマージャーニーマップとペルソナ設計との関係

カスタマージャーニーマップは、消費者が自社の商品やサービスを初めて認知し、最終的に購入するまでの道筋を可視化したものです。消費者はこのジャーニーの中で様々なプロセスを通過します。それぞれのプロセスでの消費者の行動や思考を正確に捉えることで、企業は消費者のニーズを明確に理解し、適切なアクションを起こすことができます。

出典:ウェブ部

このカスタマージャーニーマップを作成する際に、ペルソナ設計は非常に重要な役割を果たします。ペルソナは、典型的な顧客の具体的なプロフィールを明確にするものであり、これをもとにカスタマージャーニーマップを構築することで、よりリアルで具体的な消費者の行動や思考を捉えることができます。

ペルソナ設定が不明確やあいまいな場合、カスタマージャーニーマップも正確なものとは言えなくなります。つまり、ペルソナ設計はカスタマージャーニーマップの質を左右する要因となるのです。正確なペルソナ設定を行うことで、企業は消費者の真のニーズを正確に捉え、最適なサポートやサービス提供を行うことが可能となります。

▼カスタマージャーニーマップについて解説している記事はこちら
カスタマージャーニーマップとは|カスタマーサポート強化の活用方法を徹底解説

ペルソナ設計の手順

ここでは、ペルソナ設計を進める上での基本的なステップを紹介します。これらの手順を踏むことで、より顧客のニーズや課題を深く理解し、効果的なサポートを提供するための指針を明確にすることができます。

ペルソナの項目を設定する

ペルソナを具体的に設計する際の最初のステップは、どの項目を設定するかを明確にすることです。

まず、基本情報として年齢、性別、職種、趣味、家族構成などのデモグラフィックデータを収集します。これだけでは、実際の顧客の行動やニーズ、痛点を正確に捉えることは難しいため、ペルソナの「ストーリー」も追加します。

例えば、彼らの日常、情報収集の手段、価値観や悩みなど、実際のライフスタイルを浮き彫りにする要素を組み込むことが重要です。

特に、BtoBとBtoCのターゲットでは、必要とする情報が異なるため、収集する項目に違いが出る点に留意が必要です。BtoBの場合は、企業の規模、業界、部署、役職、課題など、ビジネスの背景に関連する情報を中心に収集することが求められます。

BtoC

BtoB
基本情報 業種
趣味 事業規模
習慣 所属部署
生活パターン 役職
休日の過ごし方 業務上の役割と目標
人間関係や交流 意志決定への関与
情報収集手段(メディア、デバイスなど) ITリテラシーの度合い
流行感度 会社や所属部署の課題
金銭感覚 自分自身の課題
理想のライフスタイルや目標 1日の仕事スケジュール
悩みや課題 情報収集の手段やプロセス

情報を収集する

必要な項目の設定ができたら、次のステップは情報の収集です。この際、自社の主観や先入観を持ち込むことなく、客観的な事実ベースでの情報を収集することが求められます。

情報収集の対象は、明確に自社のターゲットと定義される層であるべきです。具体的には、既存の顧客や見込み客からの情報を中心に集めることが求められます。情報には大きく定量情報と定性情報がありうますが、どちらか一方ではなく、これらを組み合わせることで、より詳細で現実的なペルソナを設計することが可能です。(具体的な調査方法については後述します)

情報を分類・整理する

情報収集の段階を経た後、次はその情報を分類・整理する作業が待っています。まず、収集した情報の中から共通する特徴や動向を見つけ、それに基づきペルソナを分類します。

時として、具体的なレベルでの共通点の抽出が難しい場合があります。そのような時には抽象度を上げ、一歩引いて考えることで、新たな共通性を見つけることができることもあります。具体と抽象、この二つの視点を行き来しながら情報を整理していくことが大切です。

また、収集した情報の中にはペルソナ設計に必要ないものも含まれています。すべての情報を使わなくても良いのです。ポイントは、その中から最も自社にとって有効と思われるペルソナを絞り込み、それを中心に設計を進めることです。この段階でペルソナの情報を箇条書きの形にして整理し、ペルソナ設計の骨格を完成させる作業が必要になります。

ペルソナにストーリーを付与する

ペルソナ設計の次のステップとして、作成されたペルソナの骨格にストーリーを付与することで、その人物像をより鮮明にします。

例えば、彼や彼女がどのような背景や動機を持っているのか、日常の生活はどのようなものなのか、といった具体的なエピソードまで落とし込むことで、リアルな存在としてのペルソナが浮かび上がります。それに伴い、どのようなコミュニケーションや接点作りが効果的かという点も具体的にイメージしやすくなります。

ペルソナには顔写真を付与することも効果的です。人間は視覚的な情報を通じて強く印象を受けるため、選定された顔写真を基にして、ペルソナの性格や趣味、生活習慣などの情報を想像することができます。これにより、ペルソナとのコミュニケーションやアプローチ方法の計画立案がより具体的に行えるようになります。

カスタマーサポートにおけるペルソナ設計のポイント

カスタマーサポートにおけるペルソナ設計の最大の目的は、ユーザーの実際のニーズや課題を正確に把握し、より質の高いサポートを提供することです。

この設計の際、重要なのは客観的なデータとユーザーの生の声、両方の情報をバランスよく取り入れることが大切です。定量調査により多くのユーザーからのデータを取得し、定性調査でそれを詳しく掘り下げることで、ユーザーの真の要望を掴み取ることができます。

定量調査で客観的に把握する

ペルソナ設計において、ユーザーの大まかな特徴や傾向を的確に捉えるためには、定量調査が不可欠です。定量調査とは、数値化されたデータを取得・分析する手法のことを指します。

例えば、アンケート結果の集計やサイトのアクセスデータなど、具体的な数字として得られる情報がこれに該当します。これらのデータを元に、ペルソナの属性(年齢、性別、居住地など)や行動(サポートページの訪問回数、問い合わせの頻度など)の傾向を客観的に把握することができます。このような事実ベースの情報は、ペルソナの骨格を形成する際の基盤となり、誤った主観や偏見を排除することができます。

アンケート

アンケート調査では、ターゲット層に合わせて、必要項目を基盤に質問を設定することで、彼らの意見やニーズ、行動パターンを把握することができます。

アンケートはただ設問を並べるだけではなく、回答者が答えやすい形式や内容とすることが求められます。近年では、Webアンケートが主流となっており、多くの人々に気軽に回答してもらえるメリットがあります。統計的に有意な結果を得るためには、ある程度の回答数が必要です。そのため、アンケートの長さの調整や、インセンティブの提供など、回答を促す工夫が欠かせません。

また、専門的なアンケート設計や回答数の確保が難しい場合は、リサーチ会社を活用して外部に調査を依頼することも一つの選択肢となります。専門家の意見やサポートを取り入れることで、より質の高いデータ収集が期待できます。

サイト/SNSでの行動分析

自社のウェブサイトやSNSから得られる情報は、定量調査の材料として役立ちます。

SNSを運営している場合、例えばフォロワーの年齢や性別、居住地などの基本的な属性から、どのような投稿に高い反応が見られるかなどの興味・関心を反映するデータまで、多岐にわたる情報を収集・分析できます。これらは特別なツールを入れなくても、SNSを運営するプラットフォームから提供されている場合が多く、調査を進めやすいのも利点です。

自社サイトでは、アクセス解析ツールを利用して訪問者の行動を詳細に追うことができます。どの経路でサイトを訪れたのか、サイト内での閲覧ページや滞在時間、離脱率などの情報は、カスタマージャーニーの理解を深める手助けとなります。

統計情報

定量調査では、社内で得られる情報だけなく、一般的に公開されている統計情報も活用できます。これらの情報は、客観的かつ信頼性が高く、ペルソナの設計や市場分析の際の大切な参考資料となります。特に、国や自治体が実施している公式の統計調査は、幅広いジャンルにわたる詳細なデータが得られます。

特に、厚生労働省の統計調査結果は多岐にわたる統計情報が簡単にアクセス可能です。これらの結果は年単位や月単位で公表されており、最新の社会の動向やニーズを掴むのに役立ちます。

厚生労働省の統計情報についてはこちらから基本的には誰でも閲覧可能です。

定性調査でペルソナの理解を深める

ペルソナを完全に理解するためには、数字やグラフだけでなく、その背後にある「なぜ」という思考や心理を探る必要があります。このための手法として、定性調査があります。定性調査とは、数値や固定の選択肢での回答ではなく、実際の言葉や行動、感じたことを深く探る調査方法です。

例えば、アンケートでは「どれが好きですか?」という質問と並行して「その理由は?」という質問を行い、その背後にある動機や感情を知ることができます。このようなフリーコメントは、定性的なデータとして非常に価値があります。

定量調査でのデータだけでは掴むことが難しい、ペルソナの深い部分、例えば彼らの感じる痛みや喜び、購買の背後にある真の動機などを、定性調査を通して理解することができます。

アンケート

アンケートは定量調査、定性調査どちらでも有効な手段です。定性調査においては、アンケートの中に記述式の設問を設置することで調査が可能です。記述式の設問とは、回答者が自由に感じたことや思ったことを書き込む部分です。これにより、単に「はい」や「いいえ」といった選択肢だけでなく、その背後にある思考や心理、微妙なニュアンスまで汲み取ることができます。

たとえば、新商品のフィードバックや、サービスの改善点など、顧客が実際に感じたこと、考えたことを直接知ることができます。これは、製品やサービスの改善、または新しい施策を考える際の大きな手助けとなります。

インタビュー

ユーザーインタビューは、直接顧客とコミュニケーションを取ることで、思考や感じていることを把握する方法です。アンケートが文章でのフィードバックを収集するのに対して、インタビューは生の声、反応、感情を直接捉えることが可能です。

インタビューを行う際の対象者数は、ペルソナの種類や目的に応じて変わることがありますが、一つのペルソナに対して3人から5人をインタビューするのが一般的な目安とされます。この数は、特定のペルソナが持つ特徴や意見の幅をしっかりと捉える上で十分です。

重要なのは、インタビューの質です。適切な質問を設計し、顧客の本当の意見やニーズに深く触れることが求められます。そのため、事前の準備や質問の検討は欠かせません。十分な準備を行うことで、顧客の深い部分にまでアクセスすることができるのです。

VOC

VOC(Voice of Customer)は、サービスや商品、企業に対する顧客の声としての意見や品評を集めたものです。これは、商品の改善やサービスの向上のための大切な情報源となります。多くの場合、これらの声はカスタマーサポートや問い合わせ窓口などに直接寄せられるものです。

これらのVOCを適切に収集・分析することで、顧客が本当に思っていることや、サービス・商品に何を期待しているのか、どのような課題や困りごとを持っているのかを直接的に知ることができます。カスタマーサポートが蓄積しているVOCは、企業にとって宝の山とも言える情報が詰まっています。

近年、技術の進展により、これらのVOCを自然言語処理技術を利用して、大量のテキスト情報を効率的に分析することが可能になってきました。これにより、顧客の声を定量的にも捉えることができるようになりました。VOCを定量的データと定性的データの両方からアプローチすることで、より深い顧客理解を得ることができ、より良いサービスや商品の提供を目指すことが可能となります。

▼VOCについて解説している記事はこちら
VOC(Voice of Customer)とは│今や必須のコンタクトセンター活用法を徹底解説!

まとめ

本記事では、カスタマーサポートの更なる高度化を目指すための「ペルソナ設計」について詳しく解説しました。ペルソナとは、顧客の代表的な特徴やニーズをもとにした仮想の顧客像であり、このペルソナを設計することで、カスタマーサポートがターゲットとする顧客の思考や心理をより深く理解することができます。

ビジネスの世界において、時代や業界を問わず顧客理解は常に最も重要な要素であり続けます。特に、顧客満足を追求するカスタマーサポートの場面においては、顧客が何を求めているのか、どのような思考や心理を持って接しているのかを深く知ることが欠かせません。

そして、ペルソナ設計はこの顧客理解の第一歩として、非常に有効な方法として取り入れることができます。ペルソナを正確に設定し活用することで、カスタマーサポートのサービス提供や運営の精度が格段に上がり、顧客からの満足度も向上することでしょう。

今回の知識を元に、カスタマーサポートの更なる進化と顧客満足の向上を目指してください。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 丸山 実咲季

    2022年4月に入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。
    営業推進部にてインサイドセールスに従事し、テレアポからメールマーケティングなどのプル型施策によりリード獲得に貢献。
    2022年5月からTwitterアカウントの運用も担当。2022年度のグループ全体「新卒新人賞」にノミネートされる実力者。市場価値爆上がり中の2年目社員!
    ・趣味:お洒落なカフェの空間を探したり、自然の中をお散歩することが好きです!その他、バスケ 料理 音楽など多趣味です。
    ・特技:相手の表情を汲み取って行動や発言ができる点。

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