CPH・ATT・AHTとは?コールセンターの生産性指標と改善方法を徹底解説

2024/03/25

コールセンターの生産性を測る指標として最も多く使われているのがCPHです。

CPHが向上すると多くの顧客のコールに対応できるようになり、コールセンター全体の生産性が向上します。とはいえ、CPHだけでコールセンターを評価するのは適切ではなく、他にもATTやAHTといった指標を用いた評価が必要です。

本記事では、CPH・ATT・AHTという3つの評価指標はどのような意味を持ち、どうすれば改善できるのかについて詳しく解説いたします。

WILLOFの高知センター・生産性向上プロジェクトの記事はこちら!

コンタクトセンター運営にお困りのご担当者様

「コールセンター運営について課題がある」「人材採用・定着について悩んでいる」とお困りのお客様、まずはお気軽にウィルオブ・ワークにご相談ください。コールセンター専門特化、支援実績25年以上のウィルオブ・ワークがお客様のコンタクトセンター運営課題にカスタマイズのご提案をさせていただきます。ご相談・お見積りは無料です!下記からWILLOFのサービス概要をご確認いただけます。お気軽にご相談ください。

WILLOFについて知る

コールセンターのCPHとは

CPHとは「Call Per Hour」の略で、ひとりのオペレーターが1時間当たり対応したコールの本数を示す指標です。数値が高いほど効率の良いコールセンターであると評価します。

コール対応は、電話越しに顧客と対応するだけではありません。その後の入力作業や事務処理も伴います。そういった付随業務を含めて「1本」とカウントするため、オペレーターの能力やシステムの使いやすさ、ワークスペースの働きやすさなどもCPHに反映されます。

CPHの算出方法

CPHの算出方法は以下の計算式になります。

例えば、Aというオペレーターが勤務時間7時間の間に30本のコール対応を行った場合、AさんのCPHは4.29となります。つまり、1時間当たり4.29本のコール対応を行ったということです。

また、コールセンター全体で50名のオペレーターがひとり6時間勤務し、合計1,200のコール対応を行ったとした場合、そのコールセンター全体のCPHは4.0ということになります。

このように、オペレーター個人単位で算出しパフォーマンスを評価する使い方もあれば、コールセンター全体のパフォーマンスを図る際にも用いられます。ただし、CPHだけではコールセンターのパフォーマンスを評価するには十分ではありません。ATTやAHTといった指標も含め、総合的に判断することが重要です。

コールセンターのATTとは

ATTとは「Average Talk Time」の略で、1コール当たりの平均通話時間を示す指標です。

前述したCPHはコール後の処理まで含めた指標ですが、ATTは純粋に顧客との通話時間を基に算出される指標です。ATTでは、コールを受けてから切断するまでにどの程度の時間を要したかを測定します。

ATTの算出方法

ATTの算出方法は以下の計算式になります。

例えば、Aさんの通話時間が1回目は3分、2回目は5分、3回目は10分だった場合、AさんのATTは6分となります。

一般的にATTは短い方が効率は良いといえますが、ただ短ければよいわけではありません。ATTを気にするあまり、オペレーターが早口で話したり、顧客の要望にしっかり回答することなくコールを切断したりすると当然ながら顧客満足度は下がるため、顧客満足度とのバランスを見ながら適切な水準に持っていくことが大切です。

コールセンターのAHTとは

AHTとは「Average Handling Time」の略で、1コールあたりの平均処理時間を示す指標です。

ATTとの違いは、ATTが平均通話時間だけを対象とするのに対し、AHTはその後の通話後の処理までを包括している点です。通話終了後の処理時間を示す指標はACW(After Call Work)といい、顧客との通話終了後に対応記録を入力したり、他部署へ申し送りをしたりといった顧客とコールした結果を受けて作業する時間を基準として算出されます。

つまり、AHTは「コール開始」→「コール終了」→「後処理開始」→「後処理終了」という一連の業務フローを、どれくらいの時間で完結できているかを測定しています。

AHTの算出方法

AHTの算出方法は以下の計算式になります。

例えば、Aさんの通話時間が1回目は3分、2回目は5分で、後処理時間に1回目は1分、2回目は2分とかかったとすると、1回目は4分(3分+1分)、2回目は7分(5分+2分)後処理かかっており、AHTは5.5分となります。

AHTも効率性を測る指標のため、基本的には短い方が良いとされています。構成要素ごとに見ると、ATTは前述した通り、ただ短ければ良いわけではありませんが、ACWに関しては短ければ短いほどよいとされています。そのため、分析、改善する場合は必ず構成要素ごとに分解してみましょう。

なぜこれらの生産性指標は重要なのか

なぜこれらの生産性指標をコールセンターでは重視すべきなのでしょうか。それはコストの問題だけではなく、顧客満足度にも直結するためです。

こちらは大手BPO企業であるトランス・コスモス社のアンケートで、電話でストレスを感じたことがある顧客に対し、どのような状況でストレス(不満・不快・不便)を感じたかを質問した結果です。

当然、応対そのものに対する不満というのも上位にありますが、最もストレスを感じやすいのは「電話がつながりにくい」という状況に対するものです。これらはどれだけ応対が素晴らしいものでも、そもそもセンターとしての生産性が悪いと、顧客満足度も上がりづらいということを示唆しています。

そのため、コスト観点だけではなく、顧客満足度を上げるという観点からも、この生産性指標には注目する必要があります。

CPH・ATT・AHTの改善方法

CPH・ATT・AHTそれぞれの指標について、どのようにすれば改善されるのかを具体的に解説します。

CPHの改善方法

まず、CPHを改善する場合、オペレーター個々の能力とセンター全体のシステムやオペレーション等センターの能力と2つの側面で見ていく必要があります。どちらか、もしくはその両方に問題があるのか課題を見極めてから対応します。

また、自社センターのフェーズにも注目が必要です。立ち上がったばかりのコールセンターであれば、マニュアルやシステムなどが最適化されていないケースもあるでしょう。その場合のCPH改善には、オペレーターと管理者側双方のスキルアップとインフラ整備に努めることが必要です。

既に安定した運営を行っているコールセンターであれば、ATTやACWの数値を参照し、コール対応のどの部分に時間を要しているのかを確認するようにしましょう。特に時間のかかっているボトルネックを発見し、それぞれに対して打ち手を考えるのが定石です。

ATTの改善方法

ATTの改善方法は、顧客との応対内容の見直しがスタートです。トークスクリプトや対応チャートの中で冗長的なところがないか、無駄なパスが存在しないかを見直します。このとき、パフォーマンスのよいオペレーターがどのように案内しているのかを確認しましょう。パフォーマンスの良いオペレーターはトークスクリプトや対応チャートを工夫して利用していることが多く、そこに改善の糸口があるかもしれません。

また、コールセンターのトークには一連の流れがあります。多くのコールセンターでは、着信後に本人確認を行い、そこから要件を伺うという対応フローが多いでしょう。その時点でどのような問い合わせなのかコールリーズンを判断し、個別対応することになります。

この場合、着信前に顧客要件がある程度判明していれば、要件を伺うプロセスを簡略化してコール時間を短縮できるでしょう。IVR(自動応答システム)の導入により、オペレーター対応前に要件を絞り込むことでATTを改善するという方法もあります。

このようなシステム導入なくして単にオペレーターにスピードアップを義務付けるというやり方だと、通話品質が低下し、かえって顧客の心証を悪くしかねません。品質を維持しつつ、IVRなどのシステム導入で効率化するのがATT改善の理想です。

IVRについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

AHTの改善方法

AHTを改善するためには、まずは構成要素であるATTとACWに分けて分析する必要があります。どちらにボトルネックがあるのかを分析しましょう。

改善方法については、ATTについては前述の通りですが、ACWの改善には「オペレーターのスキルアップ」と「システムの見直し」、「業務フローの見直し」という3通りの方法があります。

「オペレーターのスキルアップ」では特にパソコン操作のスキルを向上させることが効果的です。タイピングスキルや文章構成能力、適切なコールリーズンを選択する力などが肝になります。これらは研修や日々の業務の中でのフィードバックを通じて養うことができます。

次に「システムの見直し」では、入力システムのユーザーインターフェースを改善し入力しやすい画面にするといった工夫や、システム連携させて入力項目を減らすといった工夫が必要でしょう。また、最近ではAI技術を活用した音声認識システムにより、入力を短縮することもできます。
(音声認識システムについての詳しい解説はこちら

最後に「業務フローの見直し」では、コール内容の処理を分担して行うといった策があります。オペレーターがすべてを行うのではなく、後処理の一部は業務処理専門のスタッフで対応するといった具合に業務フローを変更すると、オペレーターの電話応対にかけられる時間が増え、CPHが上昇します。

各数値を定期的に見直してサービスレベルを向上

このように、CPH・ATT・AHTの指標には確認すべきポイントがあり、単一指標でなく複数の指標を照合して改善ポイントを探すことが重要です。

コールセンターの生産性を測る指標はいくつもありますが、どれかひとつだけで測定するのではなく、複数の指標の数値を見比べながら「どこにボトルネックがあるのか」を把握した上で改善に取り組みましょう。

まとめ

コールセンターの生産性向上は非常に重要なテーマです。

しかし、生産性向上にばかり気を取られていると、顧客満足度が下がるというマイナスの結果を招きかねません。また、オペレーターにばかり無理を強いると定着率悪化につながることもあります。

CPH、ATT、AHTそれぞれの指標の意味を正しく理解し、それぞれの指標の数値を見比べ、どこに問題があるのかを冷静に分析しましょう。

コンタクトセンターの運営課題をお持ちのご担当者様へ

「コンタクトセンターの人材採用がなかなかうまくいかない」「定着率をあげたい」「生産性を高めたい」とお悩みのご担当者様、まずはお気軽にウィルオブ・ワークにご相談ください。コールセンター専門特化25年以上、実績多数のウィルオブ・ワークが、お客様の運営課題にカスタマイズのご提案をさせていただきます。ご相談・お見積りは無料!下記ボタンよりお気軽にご相談ください。

30秒でカンタンお問い合わせ

Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 野上 紗恵

    2021年11月に入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。人材コーディネーターとしてのクライアント営業やスタッフサポート、またキャリアアドバイザーとして仕事紹介などの業務に従事。
    その後営業推進部にてインサイドセールスに従事し、テレアポからメールマーケティングなどのプル型施策によりリード獲得に貢献。
    ・趣味:温泉旅行や漫画、ゲーム、音楽、映画鑑賞など多趣味です。
    ・その他:動物が大好きです。実家では犬と猫を、家では蛇を2匹飼っています。

Related article関連記事

関連記事がありません。

法人お問合わせ・資料ダウンロード

コンタクトセンターの採用・運営に関してお悩みの方、お仕事探しの方はお気軽にお問合せください。