プレディクティブ・ダイヤラーとは|概要やメリット、導入ポイントをご紹介

2024/10/09

プレディクティブ・ダイヤラーは、アウトバウンドセンターの運営に欠かせない重要なシステムです。

アウトバウンドコールを高度化する機能が備わっており、効率的な業務運営を実現することができます。昨今では従来のアウトバウンドセンターだけでなく、コールバック受付などを行うインバウンドセンターにおいても広く活用されており、その導入事例は増加しています。

本記事では、プレディクティブ・ダイヤラーが求められる背景や、類似システムとの違いを踏まえながら、その概要について分かりやすく解説します。また、プレディクティブ・ダイヤラーの主な機能やメリット、導入時の注意点やポイントについても詳しく触れていきます。これから導入をご検討される方や、既に導入されている方にとって、業務設計の参考になる情報が満載です。ぜひ最後までご一読ください。

プレディクティブ・ダイヤラーとは

プレディクティブ・ダイヤラーは、電話番号リストに基づき自動で一斉に架電するシステムです。メーカーによってはプレディクティブ・コールやプレディクティブダイヤリングシステム(PDS)とも呼ばれています。

プレディクティブ・ダイヤラーは、高度なアルゴリズムを用いてオペレーターの稼働状況や顧客データを分析し、最適なタイミングで自動発信を行うことにより、オペレーターの待ち時間を最小限に抑えつつ、コンタクト率の向上を実現します。

また、通話履歴や顧客情報を自動的に記録・管理することで、業務の可視化とデータ活用にも役立ちます。プレディクティブ・ダイヤラーは、単なる自動発信システムではなく、アウトバウンドコールを効率化する総合的なソリューションといえます。

プレディクティブ・ダイヤラーが求められる背景

コールセンター業界では、人件費の高騰や人材確保の難化が大きな課題となっており、業務の効率化と生産性向上が急務となっています。そんな中で、従来のアウトバウンド方法では、オペレーターが手動で1件ずつ電話をかけていたため、顧客が必ずしも電話に出るとは限らず、接続率の低さが課題となっていました。この非効率な状況を改善するために、プレディクティブ・ダイヤラーが求められるようになりました。

プレディクティブ・ダイヤラーでは、オペレーターの稼働人数に対して2〜3倍の件数を一斉に複数架電し、つながったコールのみをオペレーターに接続します。これにより、オペレーターの待ち時間を最小限に抑え、効率的な業務運営が可能になります。特に、督促業務やアウトバウンドセールスなど、架電数が成果に直結する業務において、プレディクティブ・ダイヤラーの活用が進んでいます。

また、昨今ではインバウンド業務においても、溢れた呼のコールバック受付を行う企業が増加しています。その際のコールバックにプレディクティブ・ダイヤラーなどの自動発信システムを利用するケースも増えてきました。

主なアウトバウンドダイヤラーは3種類ある

コールセンターの現場で利用される主なアウトバウンド・ダイヤラーは「プレディクティブ・ダイヤラー」以外に「プレビュー・ダイヤラー」「プログレッシブ・ダイヤラー」があります。それぞれ、アウトバウンドの業務効率化を目指したものであることは共通しますが、発信の仕組みが違います。それぞれのメリットとデメリットを理解し、業務内容に合わせて適切に選択・活用することが重要です。

プレビュー・ダイヤラーとの違い

プレビュー・ダイヤラーは、オペレーターが自分で発信の操作を行い、発信することができるシステムです。そのため、顧客情報やコンタクト履歴等を確認しながら丁寧に架電が可能ですが、オペレーター自身のペースで架電が行われるため、プレディクティブ・ダイヤラーに比べ稼働率が低くなります。1回1回の発信を慎重に行わないといけない業務に向いているでしょう。

プログレッシブ・ダイヤラーとの違い

プログレッシブ・ダイヤラーは、オペレーターが応対可能かどうかステータスを見ながら、自動発信することができるシステムです。電話番号リストに基づき自動で一斉に架電ができるという点ではプレディクティブ・ダイヤラーと同じですが、一斉自動発信できる上限が「オペレーター数」までに制限されています。このため、プログレッシブ・ダイヤラーでは、発信先の応答状況によっては手の空いているオペレーターが出てしまう可能性があります。

プレディクティブ・ダイヤラーの主な機能

プレディクティブ・ダイヤラーには、効率的なアウトバウンド業務を実現するための様々な機能が搭載されています。ここでは、通話分配機能、スケジュール管理機能、絞り込み機能、自動録音機能、発信禁止機能の5つの主要な機能について詳しく説明します。

通話分配機能

通話分配機能は、オペレーターの稼働状況や顧客データを分析し、最適なタイミングで自動発信ができるように通話を分配します。この機能により、オペレーターの待ち時間を最小限に抑えつつ、コンタクト率の向上を実現します。また、スキルベースのルーティング機能を用いることで、顧客のニーズに合ったオペレーターに通話を振り分けることも可能です。

スケジュール管理機能

スケジュール管理機能は、顧客データと過去の通話履歴を元に、最適な発信スケジュールを自動的に作成します。この機能により、顧客の都合に合わせた発信が可能となり、コンタクト率の向上につながります。また、オペレーターのシフト管理機能と連携することで、効率的な人員配置も実現します。

絞り込み機能

絞り込み機能は、顧客データを様々な条件で絞り込むことができます。例えば、年齢、性別、居住地域、購買履歴などの情報を元に、ターゲットとなる顧客リストを自動的に生成することが可能です。この機能を活用することで、マーケティング施策の精度向上や、効果的なキャンペーンの実施が可能となります。

発信制御機能

発信制御機能は、顧客からの発信拒否要求や、法規制に基づく発信禁止リストに対応します。この機能により、顧客の意向を尊重しつつ、コンプライアンス上の問題を防ぐことができます。また、無駄な発信を防ぐことで、オペレーターの生産性向上にもつながりますし、健全なアウトバウンド業務を実現することができます。

自動録音機能

自動録音機能は、通話内容を自動的に録音・保存します。この機能により、通話品質のモニタリングやオペレーターの教育・研修に活用することができます。また、通話録音データは、顧客ニーズの分析やサービス改善にも役立ちます。法的な観点からも、通話録音は重要な機能といえます。

プレディクティブ・ダイヤラーのメリット

プレディクティブ・ダイヤラーは、アウトバウンド業務の効率化と最適化を実現するシステムです。オペレーターの生産性向上やデータ活用による業務改善など、様々なメリットが期待できます。

発信数の増加・稼働率の改善

プレディクティブ・ダイヤラーを活用すれば、出勤しているオペレーターの数よりも多くの架電が可能となり、オペレーターの待機時間も減らすことができます。これにより、短期間で成果を高めることが期待できます。また、オペレーターはダイヤル操作が必要なくなるため、トークに集中しやすくなります。トークに集中することで成約率が高くなることも期待できます。

通話数・オペレーター負担の均一化

人間が架電を行う場合、ダイヤルのスピードや押し間違いの率、あるいは心理的な負担によるラグなど、時間当たりに架電できる架電数にばらつきが発生します。プレディクティブ・ダイヤラーを使えば、オペレーターに均一に通話を分配できます。均一に分配できれば、特定のオペレーターに架電が偏ってしまうことがなくなり公平性が生まれます。これにより、オペレーターの不満の軽減、それに伴う離職率の低下が期待できます。

発信データ分析による生産性改善

プレディクティブ・ダイヤラーを使えば、大量の録音データを蓄積することができ、それらを分析に活用できます。例えば、応答なしの不在記録とCRMを付き合わせて分析し、業界・業種でつながりやすい日時、つながりにくい日時を予測するなどが可能です。また、絞り込み機能で成約する可能性が高いグループに優先的に架電することで、成約率を高める効果も見込めます。

プレディクティブ・ダイヤラーの注意点

プレディクティブ・ダイヤラーを導入する際は、オペレーターの稼働状況の把握や心理的負担へのケアなど、いくつかの注意点があります。システムの特性を理解し、適切に運用することが重要です。

オペレーターの稼働状況を把握する必要がある

プレディクティブ・ダイヤラーはオペレーター以上の架電ができる点で効率的ですが、一斉架電の結果、電話がつながったにも関わらずオペレーターの人数が足りず、電話が自動切断される「放棄呼」が起きる可能性があります。着信を受けた顧客から見るとかかってきた(つながった)電話が突然切れた状態となり、今はすぐに番号からどこの企業の番号かが分かるのでレピュテーションリスクがあります。放棄呼が発生しないためには、オペレーターの稼働状況を把握して、発信倍率を適切に設定し、許容量を超える通話が発生しないようにすることが重要です。

オペレーターの心理的負担へのケアが必要がある

プレディクティブ・ダイヤラーでは、オペレーターの作業量を減らすことはできますが、待機時間の減少や顧客対応の増加で精神的負担が増えることもあります。コールセンターの稼働率は必ずしも100%が望ましいわけではなく、待機時間によって、気持ちの切り替えができたり、コールの振り返りができます。そのため、プレディクティブ・ダイヤラーを活用する場合は待機時間がない分、意図的に休憩を設けるなどの工夫が必要です。

また、アウトバウンドはインバウンドと違い、自身のペースで仕事ができることに魅力を感じているオペレーターもいます。そのオペレーターにとって自分のタイミングで仕事ができなくなるのは、ストレスになるため、採用時や研修時からマインドセットすることが大切です。

プレディクティブ・ダイヤラー導入のポイント

プレディクティブ・ダイヤラーを導入する際は、導入効果が見込めるか人員数を踏まえて検討することや、導入時と導入後のサポート体制を確保することなど、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。

導入効果が見込めるか人員数を踏まえて検討する

プレディクティブ・ダイヤラーの導入を進めるにはツールの選定からオペレーターへの研修等、導入を推進する担当者が必要です。そのため、誰が導入を進めるのか担当者を明確にすることが大切です。

また、導入時には稟議等に備えて、導入目的や想定される導入効果を明確にしておくことが重要です。導入効果を適切に見積もるためには、現状の業務量やオペレーターの稼働状況を分析し、期待される効果と必要なコストを比較検討することが必要不可欠です。

導入時と導入後のサポート体制を確保する

長く安定的にツールを利用していくためには、ツールを提供している会社のサポート体制も確認することが重要です。サポート体制が充実していると、ツールを使用中にトラブルが発生したり、使い方がわからなかったりしたときに対応してもらえます。

また、導入後も、システムの維持管理やオペレーターの教育・研修など、継続的なサポートが欠かせません。これらのサポート体制を確保するために、社内の人的リソースを確保することはもちろん、システムベンダーや外部の専門家と連携することも検討すべきでしょう。

まとめ

本記事ではプレディクティブ・ダイヤラーがについて解説しました。

プレディクティブ・ダイヤラーは、アウトバウンド業務の効率化と最適化を実現する高度なシステムです。オペレーターの稼働状況や顧客データを分析し、最適なタイミングで自動発信を行うことで、オペレーターの生産性向上とコンタクト率の向上を同時に実現します。一方で、オペレーターの稼働状況の把握や心理的負担へのケアなど、注意点もあります。導入時は、効果の見積もりとサポート体制の確保が重要です。プレディクティブ・ダイヤラーを適切に活用することで、アウトバウンド業務の効率化と顧客満足度の向上を実現できるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 小林 弘明

    新卒1年半は銀行にて勤務。その後 株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)にキャリアチェンジし、営業職と支店長を経験。
    その後4年間は教育担当者として従事し、本部営業を1年間経験。現在は営業推進部マネージャとしてスタッフキャリア支援を担当。

    ・趣味:北海道の田舎で育ったので、自然アクティビティが大好き!特にシュノーケリング、川遊び。
    ・特技:飲み屋でだれとでもすぐ仲良くなること。

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