近年、企業にとって優秀な人材の確保は競争力向上の鍵となっており、採用活動の重要性がますます高まっています。しかし、複雑化する採用プロセスや候補者の多様化に対応するのは容易ではありません。そこで注目されているのが、自社に最適な人材を見つけ、採用活動の効率化をサポートする「採用支援サービス」です。

本記事では、採用支援サービスの特徴や、自社に最適なパートナーとなる採用支援会社の選び方を解説します。採用活動の成功に向け、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

採用支援サービスとは？

採用支援サービスとは、企業の採用活動をサポートするために提供される一連のサービスを指します。以下は、採用支援サービスに含まれる一般的な支援内容の一部です。

採用支援サービスを利用することで、企業は抱えていた採用課題を解決するだけでなく、採用活動の効率化や品質向上を図ることができます。また、企業のリソースをコア業務に集中させることができるため、結果として効果的かつ効率的な採用活動が実現するでしょう。

採用支援サービスの種類・内容

では、実際に採用支援として受けられるサービスを見ていきましょう。
本記事では、【母集団形成の支援】【採用活動の支援】の2カテゴリに分けてご紹介します。

母集団形成の支援

母集団形成とは、企業が採用活動を行う際に、選考対象となる応募者を集める活動であり、採用成功の鍵となる重要なステップになります。

▼母集団形成に関する記事はこちら
「【成功する採用戦略】母集団形成とは│メリットと手法を徹底解説」

主な母集団形成の支援サービスとして、以下が挙げられます。

求人媒体の掲載

求人媒体の掲載とは、企業の求めるターゲットに効果的な求人媒体を選定し、アプローチを行う手法です。この手法は、後ほど説明する「採用代行（RPO）」のサービス内容に含まれていることも多いです。

採用のプロがターゲットに合わせて効果的な求人広告の掲載を行い、スケジュール管理や効果分析も行ってくれるため、応募者の質と量を向上させることが期待できます。

また、採用単価や応募単価も把握できるため、費用対効果がわかりやすい支援サービスのひとつです。

人材紹介

人材紹介とは、人材紹介会社が企業にマッチする人材を紹介するサービスです。人材紹介会社が自社に最適な人材を紹介するため、企業は高い確度でマッチする候補者の面接に専念することができます。

正社員・契約社員・アルバイトなど、さまざまな雇用形態での紹介が可能であり、企業は採用した人材が入社後に、人材紹介会社へ人材紹介料を支払います。

成功報酬型で初期費用がかからずに採用活動が行えるため、「人員補充が急務な場合」「ハイクラスや即戦力人材を採用したい場合」「コスト面のリスクを抑えて採用活動を行いたい場合」に人材紹介サービスを活用するとよいでしょう。

▼人材紹介サービスに関する記事はこちら
「コールセンター人材紹介6社│メリット・デメリット│必要手続きや選定ポイントを紹介」
「人材紹介サービスのメリット│コンタクトセンター採用成功の秘訣を徹底解説」

人材派遣

人材派遣とは、人材派遣会社と雇用契約を結んでいる人材を、企業に派遣するサービスです。業務の指揮命令は派遣先である企業が行いますが、雇用主は派遣会社となり、給与の支払いも派遣会社が行います。

企業は必要な時期だけ派遣社員に働いてもらうことができるため、雇用リスクを抑えつつ、必要な人材を柔軟に確保できます。派遣社員にとっては、様々な職場で経験を積むチャンスとなります。

基本的には期間の定めがある有期雇用契約となりますが、企業の直接雇用を前提に派遣会社と労働者が有期雇用契約を結ぶ「紹介予定派遣」もあります。紹介予定派遣は企業の直接雇用が前提となるため、企業側での書類選考や面接が可能な点がポイントです。

▼人材派遣サービスに関する記事はこちら
「【法人向け】コールセンターに強い派遣会社9選｜選び方・活用メリットも解説」

ヘッドハンティング

ヘッドハンティングとは、企業が求める人材をヘッドハンティング会社が探し、アプローチする手法です。一見すると人材紹介サービスと似ていますが、ヘッドハンティングではビジネス市場にいる全ての人材が対象となるため、転職意向の有無を問わず人材を発掘できる点が特徴です。

ヘッドハンティングを活用することで、企業は通常の求人広告や人材紹介サービスでは出会えないような優れた人材とも接触することができます。候補者にとっては、現在の職場では得られない新たなキャリアチャンスを提案される機会となり、自身のスキルや経験を活かせる職務に転職することが可能です。

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングとは、企業の担当者が自社に合いそうな人材に直接アプローチし、自社に引き入れる採用手法です。企業は求職者データベースやキャリアイベントを活用して、特定のスキルや経験を持つ優秀な候補者を見つけ、スカウトメールなどで直接連絡を取ります。これにより、企業は仲介会社を介さず、迅速かつターゲットを絞った採用活動が可能になります。

ダイレクトリクルーティングを活用することで、企業は求める人材をピンポイントで採用でき、採用コストを削減できるでしょう。しかし、候補者からの反応が必ずしも高くない場合があるため、企業のブランド力や適切なアプローチが重要となります。

採用活動の支援

採用活動の支援とは、企業が効率的かつ効果的に人材を確保するためにサポートすることを指します。
具体的なサービスとして、以下が挙げられます。

採用代行（RPO）

採用代行（Recruitment Process Outsourcing）とは、企業の採用活動全体または一部を外部の採用代行会社に委託するサービスです。具体的には、求人広告の作成・掲載、応募者対応・管理、面接設定、データ分析などが含まれており、企業は必要な部分だけを依頼することも、採用業務全体を一貫して任せることもできます。

採用代行を活用することで、採用業務の効率化、自社のリソース最適化、採用のプロによる品質向上、適切な求人広告掲載によるコスト削減が期待できます。また、採用代行会社は最新の採用トレンドにも精通しているため、企業は常に最適な採用戦略を実行できるようになるでしょう。

▼採用代行（RPO）に関する記事はこちら
「採用代行（RPO）10社比較｜各社のおすすめポイント・選び方を解説」
「採用代行（RPO）のメリットとは？|採用活動成功のカギを徹底解説」

採用コンサルティング

採用コンサルティングとは、企業の採用活動における課題解決や採用活動を成功させるための戦略を提案・実行支援するサービスです。具体的には、現状分析、採用戦略の立案、求人要項の策定、面接プロセスの最適化、評価基準の設定、採用ブランディングの強化、データ分析による改善提案などが含まれます。

採用コンサルタントの専門知識と経験に基づいたアドバイスを受けることで、企業は自社の採用力を強化し、採用活動の質を向上させることができます。また、採用コンサルティング会社のアドバイスにより、採用活動の効率化が進み、人材確保の成功率も上がるでしょう。

▼採用コンサルティングに関する記事はこちら
「採用コンサルティング会社11選｜活用メリットや注意点・選び方を解説」

採用管理システム（ATS）・ツール導入

採用支援サービスとして、採用管理システム（Applicant Tracking System）やツールの導入サポートも可能です。具体的には、システム選定のアドバイス・提案、導入スケジュールの管理、データ移行のサポートなどが含まれます。

企業は採用管理システムやツールを導入することで、応募者管理、面接スケジュールの調整管理、採用活動の可視化、採用データ分析など、データの一元管理が可能になります。
「自社に最適のツールがわからない」「自社だけでの導入は不安」といった企業は、採用管理システム・ツール導入支援を利用することで、自社のニーズに合った最適なツールの導入や運用サポートを受け、安心して利用することができるでしょう。

契約事務サポート

契約事務サポートとは、企業に入社が決まった社員に対する契約関連の事務業務を採用支援会社が代行・支援するサービスです。具体的には、労働契約書の作成・送付、内定書類の作成・送付、契約更新・終了手続きなどのサポート業務が含まれます。

契約に関する業務では、専門的な知識が必要であるだけでなく、正社員・契約社員・アルバイト・派遣社員・業務委託などの雇用形態によって対応が異なります。契約業務に精通した支援会社に依頼することで、自社の工数削減や業務効率化が期待できるでしょう。

面接官トレーニング

面接官トレーニングでは、面接のポイントや求職者の行動特性・志向といった座学から面接ロールプレイング、学びのアウトプットまで、自社の課題に合わせてカスタマイズしたプログラムを実施します。

昨今、「面接」「人事面談」のタイミングで入社を決める求職者が増加傾向にあります。

どれだけ自社にマッチする人材だと見極められても、動機づけや自社の魅力を訴求できなければ、内定辞退につながってしまう可能性があります。
そのため、面接では求職者が自社にマッチするかどうかの「見極め」だけでなく、辞退なく入社してもらえるための「動機づけ」が非常に重要です。

面接官トレーニングを活用することで、面接担当者の面接品質（見極め）のばらつき解消や、求職者の感情を踏まえたコミュニケーションによる動機づけ・内定承諾率の向上が期待できるでしょう。

自社に合った採用支援会社を選ぶポイント

本章では、採用支援会社を選ぶ際に重要な３つのポイントを解説します。
以下より、順番に見ていきましょう。

採用課題を明確にして、依頼内容を決める

まず、現在の採用プロセスでどの部分が問題となっているのかを洗い出し、採用課題を明確にすることが重要です。例えば、「応募者数が少ない」「適任者が見つからない」「採用に時間がかかる」など具体的な問題を洗い出します。その上で、採用支援会社にどのようなサポートを依頼したいのかを明確にしましょう。

例えば、母集団形成だけを依頼するのか、採用プロセス全体の代行を依頼するのか、あるいはシステム導入と運用サポートを求めるのかなど、具体的な依頼内容を決めることで、適切な支援会社を選ぶ基準が明確になります。

予算を決めた上で費用対効果を考える

採用支援サービスでは依頼するサービス内容によって費用が大きく変わるため、事前に予算を決めることが重要です。１つの支援会社に依頼するとどれだけの費用がかかるのかを見積もり、他社との比較も行いましょう。その際には、単に費用だけを比較するのではなく、費用対効果も考慮します。

例えば、サービスの質が高く、短期間で適切な人材を確保できるのであれば、コストパフォーマンスが良いと言えます。安価なサービスでも希望する成果が得られなかったり、追加費用がかかったりする場合もあるため、長期的な視野で費用対効果を評価することが大切です。

コミュニケーションやサポート体制の確認

採用支援会社との円滑なコミュニケーションとサポート体制は、採用活動を成功させるカギといっても過言ではありません。採用支援サービスの効果を高めるためにも、定期的なコミュニケーションが重要です。

例えば、採用代行を利用する場合、応募状況や進捗報告を定期的に共有してもらうことで、企業と支援会社の間で認識のずれがあっても迅速に修正できます。さらに、定期的な情報共有を受けることで、自社内に採用ノウハウを蓄積させることができ、将来の採用活動にも役立てることができます。定期的な共有ミーティングの有無や連絡方法、頻度についても事前に確認しておきましょう。

▼おすすめの採用支援会社に関する記事はこちら
「おすすめの採用支援会社10選│サービス内容や4つのメリットを解説」

まとめ

採用支援サービスは、企業が求める優秀な人材を迅速かつ効率的に確保するための強力なサポートになります。本記事で紹介した各種支援サービスを活用することで、採用活動の課題解決やプロセスの効率化が可能となります。

自社のニーズや課題に合った採用支援会社を見つけることで、自社の長期的な成長と発展を支える優れた人材を確保することができるでしょう。ぜひ、本記事を参考にしながら、最適な採用支援サービスを選び、成功する採用活動を実現してください。