アルムナイ採用とは?導入メリットと成功のポイントを解説

2024/11/27

現代の企業が直面する採用課題として、労働力不足採用コストの増加が挙げられます。このような状況の中で注目を集めているのが、「アルムナイ採用」です。 

アルムナイ採用とは、一度退職した元社員を再雇用する手法で、即戦力の確保や採用コスト削減、組織の活性化にもつながります。 

本記事では、アルムナイ採用の定義や注目される背景、具体的なメリットや課題、活用ポイントについて詳しく解説します。アルムナイ採用を効果的に活用し、企業の成長につなげていきましょう。 

アルムナイ採用とは?

アルムナイ採用は、以前自社で働いていた元社員(アルムナイ)を再び採用する手法です。この手法では、過去の勤務経験を活かし、即戦力として組織に貢献できる人材を迎え入れることができます。 

なぜ今アルムナイ採用が注目されるのか

アルムナイ採用が注目されている背景として、以下の要因が考えられます。 
順番に見ていきましょう。 

生産年齢人口の減少 

【出典:内閣府/「令和4年版高齢社会白書」】 

令和4年版高齢社会白書」によると、2021年時点で7,450万人いる生産年齢人口は、2050年には29.2%減の5,275万人まで減少する見通しとされています。 
このような人口減少の背景から、企業は労働力不足への対応が急務となっています。 

慢性的な人材不足

【出典:株式会社帝国データバンク/「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」】 

株式会社帝国データバンクによる「人手不足に対する企業の動向調査(2024年7月)」によると、正社員の人手不足を感じている企業が51.0%高止まりが続いている状況です。 

このように、現在多くの業界で慢性的な人材不足が続いており、新規採用だけでは人材需要を満たすことが困難になっています。特に専門知識や経験が求められるポジションでは、即戦力となる人材を迅速に確保する必要性が高まっています。 

労働市場の流動性

現代の労働市場は以前に比べて流動性が高まっており、転職することが一般的になっています。特に若年層や高度なスキルを持つ専門職において、自らのキャリアを積極的に形成するための転職が増えています。 

このような要因から、アルムナイ採用が注目されています。 
アルムナイ採用は、かつて自社で働いた経験のある元社員を再び迎えることで、即戦力として活躍してもらうことができます。元社員は企業の文化や業務に既に精通しているため、新たな採用に比べて迅速に高いパフォーマンスを発揮することに期待できるでしょう。 

アルムナイ採用のメリット

即戦力の確保 

アルムナイ(元社員)は企業文化や業務内容を理解しているため、新しい社員と比べて短期間で業務に馴染むことができます。
また、既存の社員と既に信頼関係が築かれている場合が多く、コミュニケーションの円滑化にもつながるでしょう。 

採用コストの削減 

アルムナイ採用では、求人広告費や人材紹介手数料など、一般的な採用活動で必要となる費用が削減できます。
さらに、研修コストやOJTにかかる時間も最小限に抑えられるため、採用から戦力化までのトータルコストが低くなります。 

新たな知識やスキルの導入 

アルムナイは退職後に他社や異業界で新たな経験を積んでいる場合が多く、その知識やスキルを企業に還元できます。
また、他社で培ったネットワークを活用し、新しいビジネスチャンスの創出にも期待できるでしょう。 

企業ブランディングの強化 

アルムナイが再雇用を望む背景には、企業文化や職場環境への好印象があります。これは企業の外部評価を高め、優秀な人材を引きつける要因となるでしょう。
また、退職後も企業と良好な関係を維持することで、他の候補者にポジティブな印象を伝え、企業価値を高める効果があります。

アルムナイ採用のデメリットと課題 

在籍社員への影響

アルムナイが再雇用される際の待遇や役職が在籍社員よりも優遇される場合、現社員のモチベーションが低下するリスクがあります。「退職後の方が良い条件で戻れる」という認識が広まると、社員の定着率に悪影響を及ぼしかねません。 

対策として、再雇用時の給与や待遇を設定する際には、まず在籍社員とのバランスを慎重に考慮しましょう。あわせて、社内コミュニケーションを強化し、再雇用の目的や条件について全社員が理解できるようにしましょう。 

採用基準の明確化の重要性 

アルムナイ採用が過去の実績や感情的なつながりだけで決まると、他の社員から不満が生じる可能性があります。その結果、社内の士気の低下や信頼関係の崩壊につながりかねません。 

対策として、公平な採用基準の明確化と透明性の確保が重要です。具体的には、再雇用の基準を公開し、評価のプロセスを透明にすることで、社員間の不満を防ぎ、公正で信頼性のある採用プロセスを実現できるでしょう。 

短期的な効果に頼りすぎるリスク

アルムナイ採用は即戦力としても期待できますが、あくまで長期的なネットワークの維持を前提とした手法です。短期的な問題解決だけを目的とすると、アルムナイに対して「一時的な労働力としか見られていない」という印象を与えてしまい、再離職につながるリスクがあります。 

長期的に企業文化に再適応させ、持続的な関係を築くための情報交換やパートナーシップを育むようにしましょう。 

アルムナイ採用を成功させる4つのポイント

本章では、アルムナイ採用を成功させるための4つの重要なポイントをご紹介します。 
いずれも成功の鍵となる要素ですので、ぜひチェックしてください。

社内の合意形成 

アルムナイ採用を導入する際には、現社員に制度の意義を説明し、理解を得ることが重要です。退職者を再雇用するメリットを共有し、社内全体で受け入れる姿勢を醸成することで、アルムナイ採用の成功確率が高まります。 

明文化された制度として運用することで、社員間の合意形成をスムーズに進めることができるでしょう。 

イグジットマネジメントを心掛ける 

イグジットマネジメントとは、企業が退職者と円満な関係を維持し、将来的な再雇用やビジネス機会を創出するための戦略的な人事マネジメント手法です。 

退職時に感謝を伝え、今後のキャリア支援を約束することで、退職後も良好な関係を維持できます。円満な退職は、将来的な再雇用だけでなく、アルムナイが企業のブランドアンバサダーとして活躍するきっかけにもなるでしょう。

長期的視点でのネットワーク運用

アルムナイネットワークを構築し、再雇用以外にも情報交換やコラボレーションを可能にする仕組みを整えることがポイントです。定期的な情報発信や交流イベントを通じて、退職者が企業と関わりを持ち続ける場を提供するようにしましょう。 

さらに、オンラインプラットフォームを活用して、アルムナイ同士や現社員との交流を促進し、新しいビジネスチャンスやプロジェクトへの参加機会を提供することで、持続的で有益なネットワークを維持します。 

多様な雇用形態の確保

正社員だけでなく、契約社員やプロジェクト単位での雇用形態を検討することで、アルムナイの柔軟な活用が可能になります。専門的なスキルが必要とされる特定のプロジェクトに短期間だけ参加してもらったり、一定期間の契約社員として再雇用したりすることで、企業とアルムナイの双方にとって最適な働き方を実現できるでしょう。 

また、パートタイムやリモートワークなど、様々なライフスタイルに対応した雇用形態の導入も効果的です。 

まとめ 

アルムナイ採用は、即戦力の確保、採用コストの削減、企業イメージの向上など、さまざまなメリットがあります。しかし、一方で公平性の確保や在籍社員の理解促進といった課題にも注意が必要です。 

再雇用時には、公平な採用基準と透明性を確保し、社員間の信頼関係を維持することが重要です。
また、長期的な視点でアルムナイネットワークを活用し、定期的な情報交換や交流イベントを通じて退職者との関係を維持することで、企業の持続的な成長を支えます。 

多様な雇用形態を取り入れることで、アルムナイの柔軟な活用が可能になり、企業と個人の双方にとって最適な働き方を実現します。 
これらのポイントを押さえたアルムナイ採用は、企業の競争力強化につながる有益な戦略となるでしょう。 

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
    産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
    ・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
    ・特技:タスク管理

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