コールセンター向けナレッジマネジメントツールの活用方法とおすすめ製品6選の比較
2025/01/28
- システム導入
- 品質向上
- 業務効率化
- 生産性向上
- 顧客満足度向上
コールセンター業務において、ナレッジマネジメントツールは欠かせない存在です。顧客対応に必要な情報を効率的に共有し、オペレーターの対応速度を向上させるだけでなく、FAQを通じて顧客からの問い合わせを削減する役割も果たします。また、生成AIを活用する上でも、ナレッジマネジメントの重要性が注目されています。
本記事では、コールセンターの課題を解決するために役立つ「社内向けナレッジマネジメントツール」と「社外向けナレッジマネジメントツール」のナレッジマネジメントツールを3選ずつご紹介します。それぞれの特徴や導入事例を参考に、業務効率化に最適なツールを見つけてください。
▼関連記事はこちら
「ナレッジマネジメントとは│コンタクトセンターにおける最適な導入ステップを解説」
ナレッジマネジメントツールとは?
ナレッジマネジメントツールとは、企業や組織内で蓄積された経験や知識を一元管理し、必要な時に必要な人が簡単にアクセスできる仕組みを提供するソフトウェアです。このツールを導入することで、業務の属人化を防ぎ、情報共有の効率化を実現できます。たとえば、従業員が同じ質問や課題に何度も対応する手間を省き、新しい業務に集中できる環境を構築します。
特にコールセンターにおいては、日々膨大な問い合わせに対応する中で、迅速かつ正確な回答を提供することが求められます。ナレッジマネジメントツールは、このような現場での課題を解決し、顧客満足度を向上させるための強力なサポートとなります。また、ナレッジの共有を促進することで、チーム全体の効率的な連携が可能となり、業務品質の向上に寄与します。
さらに、このツールは単なる情報の格納庫にとどまらず、情報を更新・整理する機能を備えているため、常に最新かつ正確な情報を提供することが可能です。これにより、企業全体の運営効率が向上し、長期的な競争力の確保にも繋がります。
コールセンター業務におけるナレッジマネジメントの役割
ナレッジマネジメントツールは、コールセンター業務において以下のような重要な役割を果たします。
迅速な回答提供
ナレッジマネジメントツールは、よくある質問や課題の解決方法をまとめたデータベースを構築し、スタッフが迅速に回答を見つけられるよう支援します。これにより、応対時間を短縮し、顧客満足度を向上させることができます。
情報の一元化と可視化
過去の問い合わせ履歴や解決策を一元管理し、情報をチーム全体で共有することで、担当者間の情報格差を解消します。これにより、新人スタッフもベテランスタッフと同じように質の高い対応が可能になります。
トレーニングとスキル向上
蓄積されたナレッジは、スタッフの教育やスキル向上にも活用できます。定期的な更新とメンテナンスにより、最新の情報を提供し続けることで、チーム全体の成長を促します。
ナレッジマネジメントツールの種類
ナレッジマネジメントツールは、その用途に応じて大きく2種類に分類されます。一つは社内向けで、主に従業員間の効率的な情報共有や業務支援に適しています。もう一つは社外向けで、顧客の自己解決を促進するためのFAQやチャットボット機能を中心に設計されています。詳細を解説します。
社内向けナレッジマネジメント
社内向けのナレッジマネジメントツールは、スタッフ同士が効率的に情報を共有し、業務を円滑に進めるために設計されています。このタイプのツールは、内部業務の効率化や、チーム間のコミュニケーション促進を目的としています。
たとえば、社内Wikiやドキュメント管理システムは、プロジェクトごとに情報を整理し、簡単にアクセスできる環境を提供します。これにより、情報の分散や検索にかかる時間を削減し、より生産的な業務運営を実現します。
社外向けナレッジマネジメント
社外向けのナレッジマネジメントツールは、顧客が自己解決を図るためのオンラインFAQページやチャットボットに利用されます。このタイプのツールは、顧客が簡単に回答を見つけられるように設計されており、問い合わせ対応の負担を軽減することを目的としています。
たとえば、柔軟なデザイン性や検索機能を備えたFAQツールは、顧客体験を向上させるだけでなく、企業にとってもコスト削減効果をもたらします。さらに、アクセスデータの分析機能を活用することで、顧客のニーズを的確に把握し、サービス改善に役立てることができます。
コールセンター向けナレッジマネジメントツールの選び方
コールセンター向けのナレッジマネジメントツールを選ぶ際には、ツールが組織の業務内容や目標に合致しているかを見極める必要があります。また、スタッフや顧客の利便性を向上させるために、いくつかの重要なポイントを検討することが求められます。
使いやすさと検索性の高さ
ナレッジマネジメントツールは、頻繁に使用されるため、直感的に操作できるインターフェースと高い検索性が求められます。特に、検索キーワードを入力するだけで瞬時に関連情報を提示する機能は、業務効率の向上に直結します。
知識の蓄積と更新管理の簡便さ
情報は常に更新が必要です。ナレッジマネジメントの肝はいかに最新かつ正確な情報を得られるかであり、更新せずにいると誤った情報を拡げてしまう恐れさえあります。そのため、ツールはナレッジの追加・編集が簡単に行える機能を備えていることが重要です。また、変更履歴を確認できる機能があれば、情報の正確性を保証する助けになります。
FAQページのデザイン性と柔軟性
利用者がアクセスしやすいデザイン性と、あらゆるデバイスからアクセス可能な柔軟性を持つツールは、利用者体験を考えると重要な要素の一つです。例えば、PCからだけではなく、スマートフォンからのアクセスも想定されるような場合には、モバイルデバイスに対応したレスポンシブデザインが求められます。ナレッジマネジメントの目的を果たすためにも、利用者体験を意識することが重要です。
分析機能
特に社外向けのナレッジマネジメントツールは、問い合わせ削減を目的とすることが多いですが、その効果を測定するための分析機能も欠かせません。例えば、どの質問が最も多く参照されているかや、解決率のデータを基に、FAQの改善ポイントを特定することが可能です。さらに、Google Analyticsなどの外部分析ツールと連携することで、ユーザー行動や閲覧パターンを詳細に把握し、最適なFAQコンテンツの提供につなげることができます。
社内向けナレッジマネジメントツールおすすめ3選
ここからは社内向けナレッジマネジメントツールでおすすめのツールを3つご紹介します。
Qast
Qastの最大の特徴は、組織の知識を効果的に循環させるための多彩な機能です。従来型の単なる情報共有にとどまらず、Q&Aや「こましり」といったニーズ起点での知識共有の仕組みを実装しています。また、社内の専門家を可視化するユーザータグ機能や、投稿へのリアクション機能により、知識共有のモチベーションを高める工夫も施されています。
また、シンプルで分かりやすい画面設計により、ITリテラシーの高低に関わらず、誰でも直感的に操作することができます。投稿機能においては、ファイルプレビューや見出し設定、引用表示など、読みやすさを重視した機能が実装されており、スムーズな情報共有体験を提供します。
さらに、情報へのアクセシビリティも重視した設計となっているのも特徴です。キーワード検索における完全一致検索・同義語検索に加え、添付ファイル内のテキストまでもが検索対象となります。さらに、AIを活用した検索機能により、ユーザーの意図に沿った検索結果を提供します。タグによる絞り込みやフォルダ分類との組み合わせにより、必要な情報への到達がより確実になります。
Note PM
Note PMの最も際立った特長は、その強力な検索機能です。Microsoft Office製品(Word、Excel、PowerPoint)やPDFなど、様々な形式のファイル内容まで含めた全文検索が可能です。キーワードを入力するだけで、必要な情報にすぐにアクセスできる環境を提供します。これにより、従来の階層型フォルダ管理では難しかった横断的な情報検索が実現され、業務効率の大幅な向上が期待できます。
加えて、組織内での情報共有の実態を把握するため、Note PMは詳細な分析機能を備えています。人気コンテンツのランキングや、ナレッジ共有に積極的に貢献している社員の集計など、様々な角度から利用状況を定量的に分析することができます。これらのデータを活用することで、より効果的な情報共有戦略の立案や、ナレッジマネジメントの改善が可能となります。
また、情報セキュリティの観点においても、Note PMは高い信頼性を誇ります。銀行や大学といった、特に高度な情報セキュリティが求められる機関でも採用されているという実績がその証左です。ISO27001(ISMS)やプライバシーマークの取得により、セキュリティ管理体制の信頼性が客観的に認められています。こうした堅牢なセキュリティ基盤により、機密性の高い情報も安心して共有することができます。
flouu
flouuの最大の特長は、文書管理とチャット機能を一体化させた革新的なインターフェースです。画面右側に配置されたチャット機能により、文書を閲覧しながらリアルタイムでのコミュニケーションが可能です。さらに、文書内の特定箇所にピンを打ってコメントを残せる機能により、正確で文脈に即したフィードバックが可能になります。また、既存のメールやチャットツールとの連携もサポートしており、シームレスなコミュニケーション環境を実現します。
情報検索においても、flouuは優れた機能を提供します。プラットフォーム内の文書やチャットの内容、添付ファイルの中身まで含めた横断的な検索が可能で、必要な情報へ素早くアクセスできます。さらに、多様な条件による絞り込み機能を活用することで、より効率的な情報探索が可能になります。これにより、従来の文書管理システムでしばしば発生していた「どこに保存したか分からない」という課題を解決します。
情報共有の促進と適切なセキュリティ管理の両立も、flouuの重要な特長です。文書ごとに公開範囲や編集権限を詳細に設定できる機能により、組織の実情に合わせた情報共有環境の構築が可能です。これにより、オープンな情報共有を推進しながらも、機密性の高い情報を適切に保護することができます。組織の規模や業務内容に応じて、最適な情報共有の仕組みを柔軟に構築できます。
社外向けナレッジマネジメントツールおすすめ3選
続いて、社外向けナレッジマネジメントツールでおすすめのツールを3つご紹介します。
PKSHA FAQ(旧:OKBIZ. for FAQ)
PKSHA FAQの最大の特長は、その高度な検索システムです。約7万種類の概念知識と1,200万語におよぶ言語辞書を搭載した「言語理解エンジン」により、ユーザーの意図を正確に理解し、必要な情報へ素早くアクセスすることができます。この技術により、従来のキーワードマッチングでは実現できなかった、より自然な検索体験を提供します。
また、外部からのアクセシビリティも重視されています。SEO対策用のメタタグやHiddenキーワード設定に対応することで、Googleなどの検索エンジンからFAQコンテンツへの到達を容易にします。これにより、ユーザーは企業のウェブサイトを直接訪問せずとも、必要な情報にアクセスすることができます。システムの導入から活用までを包括的にサポートする体制も、PKSHA FAQの大きな強みです。基礎実習からはじまり、活用促進のためのトレーニング、個社別の相談室の定期開催、さらには活用度に応じたセミナーの実施など、多角的なサポートプログラムを提供しています。これにより、技術的な知識が少ないスタッフでも、効果的にシステムを活用することができます。
helpfeel
helpfeelの特長は、革新的な業務効率の向上とリスク回避を両立したAI活用にあります。FAQや問い合わせフォームでの顧客接点から、ログ分析、質問文の生成まで、幅広い業務プロセスの効率化を実現しています。独自の検索技術に米OpenAI社のAI技術を組み合わせることで、高速な検索と自然な文章での回答精度を両立させています。生成AIと人間の知見を組み合わせることで、質問の予測パターンを約50倍に拡張しています。特筆すべきは、FAQの回答記事とその意図表現を人間が作成する仕組みにより、AIによる誤った回答や偽情報(ハルシネーション)のリスクを排除している点です。この特長により、金融、医療、行政など、特に高い情報の正確性が求められる業界でも安心して利用することができます。
また、helpfeelの技術力は、その応答速度にも表れています。意図予測検索による言葉からの質問探索アプローチにより、文字入力と同時に結果が表示される超高速なFAQシステムを実現しています。従来の一般的なFAQシステムでは約1秒を要していた応答時間を、約100倍となる0.01秒まで短縮することに成功しました。この圧倒的な速度により、ストレスのない快適な検索体験を提供します。
FastAnswer2
FastAnswer2の核となる特長は、コンタクトセンターに寄せられる顧客の声を効果的にFAQナレッジとして活用する点です。実際の問い合わせから得られた情報を体系的に蓄積し、有用なナレッジとして整理することで、より実践的な顧客サポートを可能にします。さらに、FAQ、マニュアル、社内文書、ウェブサイト情報など、問題解決に必要なあらゆる情報を一元管理し、効率的な顧客サービスの提供を実現します。
オペレーターの業務効率と生産性の向上を重視した直感的なユーザーインターフェースを提供します。同時に、サイト管理者向けの充実した支援機能により、FAQナレッジの鮮度維持を容易にします。「見つけやすい」「作りやすい」「育てやすい」という三つのコンセプトに基づき、情報の検索性、コンテンツ作成の効率性、ナレッジの継続的な更新という従来のFAQシステムが抱える課題を解決します。
FastAnswer2は、社内向けFAQと一般公開用FAQの両方に対応し、複数のサイトを単一のシステムで一元管理することができます。これにより、情報の整合性を保ちながら、効率的な運用が可能になります。また、CRMシステム「FastHelp」との連携により、マスタ情報、製品・FAQ情報、権限設定などを共通のデータベースで管理できます。過去の問い合わせ履歴を容易にナレッジ化できる点も、システムの大きな強みとなっています。
ナレッジマネジメントツール導入の注意点
初期導入時のコストと手間
ナレッジマネジメントツールを導入する際には、初期費用や設定作業にかかるコストや時間を慎重に検討する必要があります。導入にはライセンス費用やカスタマイズ費用、さらには社員向けトレーニングコストが発生する場合があります。これらを適切に見積もり、予算を事前に明確にしておくことが重要です。また、ツールを自社の業務に適合させるためには、初期設定やカスタマイズが不可欠であり、このプロセスにはベンダーのサポートや専門知識を必要とすることもあります。そのため、導入の際には十分なスケジュールを確保し、社内のプロジェクトチームを編成して調整を図りながら進めることが求められます。
ツールの運用体制の確立
ツールを導入しただけではその効果を最大化することはできません。効果的な運用体制を整えることが、ナレッジマネジメントツールの成功を左右します。具体的には、運用担当者や管理者を明確に指定し、日々の更新作業やトラブル対応を一手に引き受ける役割を担ってもらうことが必要です。また、ツールの利用を推進するために、社内全体での使用ルールを整備し、社員が積極的に参加できる環境を構築することも重要です。さらに、ツール運用が始まった後も、定期的に利用状況をモニタリングし、改善点を洗い出すことで、運用の質を向上させ続けることが大切です。
社内・社外での運用ルールの明確化
ナレッジマネジメントツールは、社内向けと社外向けで異なる役割を果たす場合が多いため、それぞれに適した運用ルールを明確にする必要があります。社内向けのツールでは、情報の更新頻度や責任者を定め、社員が常に最新の情報を利用できるようにすることがポイントです。一方で、社外向けのFAQ管理ツールでは、顧客にとって使いやすく、有益な情報が提供されることが求められます。FAQの内容は、顧客の視点に立って定期的に見直し、必要に応じて改良を加えることが大切です。また、季節や製品リリースなどに合わせて柔軟に更新計画を立てることで、顧客満足度の向上につながります。さらに、社内向けと社外向けで異なるツールを使用している場合でも、データの一貫性を保つためにツール間の連携方法を事前に検討しておくことが重要です。
▼関連記事はこちら
「ナレッジマネジメントとは│コンタクトセンターにおける最適な導入ステップを解説」
まとめ
ナレッジマネジメントツールは、コールセンター業務の効率化と顧客満足度向上に欠かせない存在です。社内向けのツールでは「使いやすさ」「検索性」「更新管理の簡便さ」がポイントであり、社外向けのFAQ管理ツールでは「デザイン性」「問合せ削減効果」「分析機能」が重要です。自社の課題や目的を明確にし、最適なツールを選びましょう。
コンタクトセンターの運営課題をお持ちのご担当者様へ
「コンタクトセンターの運用がなかなかうまくいかない」「顧客満足度を高めたい」「生産性を高めたい」とお悩みのご担当者様、まずはお気軽にウィルオブ・ワークにご相談ください。コールセンター専門特化25年以上、実績多数のウィルオブ・ワークが、お客様の運営課題にカスタマイズのご提案をさせていただきます。ご相談・お見積りは無料!下記ボタンよりお気軽にご相談ください。
Writer編集者情報
-
2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービス事業部に配属。フィールドサポーター、営業コーディネーター、キャリアアドバイザー、新規営業、転職支援など幅広い業務を経験。2020年には転職支援サービスにおいて自己最高売上を記録し、育児中の時短勤務ながら成果を上げた実績が評価され、全社月間MVPノミネートおよび事業部内MVPを受賞。同時期に、西日本営業部MVPも2か月連続で受賞。現在は、6歳と4歳の子どもを育てるワーキングマザー。
・趣味:森林浴、神社巡り
・特技:細かい点に気が付くところ