コールセンター自動化の4つの手法|導入メリット・注意点と成功のポイント

2025/03/27

コールセンターは、顧客対応において重要な役割を担っています。しかし、「人手不足で応答率が低下している」「オペレーターの負担が大きく、離職率が高い」「コスト削減が求められている」など、さまざまな問題を抱えているのも事実です。そこで注目されているのが、コールセンターの自動化です。
IVRやチャットボット、AI音声認識、RPAなどの技術を活用することで、業務効率化や顧客満足度の向上を実現できます。

本記事では、コールセンターにおける課題と自動化の重要性を解説し、さらに自動化を進めるための4つの手法、導入のメリット・注意点、成功のポイントについて紹介します。 コールセンターの運営をよりスムーズにし、オペレーターの負担を軽減しながら、顧客満足度を向上させるためのヒントをぜひ参考にしてください。

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コールセンターにおける課題と自動化の重要性

コールセンターでは、オペレーターの負担軽減、コスト削減、人材採用など、多くの課題を抱えています。特に人材の確保が難しいため、オペレーター1人あたりの対応件数が増加し、応答率低下やあふれ呼放棄呼による顧客満足度の低下が深刻化しています。

さらに、業務負担の増加はオペレーターのストレスを高め、離職率の悪化やサービス品質の低下を招く要因ともなり得ます。また、24時間対応のニーズが高まる一方で、深夜や休日の対応はコスト負担が大きく、簡単には実現できないのが現状です。 これらの課題を解決する方法として、コールセンター業務の自動化が注目されています。自動化により、オペレーターの負担が軽減され、業務の効率化顧客満足度の向上が期待できるのです。

コールセンター自動化の4つの手法

コールセンターの自動化にはさまざまな手法がありますが、すべての業務を一括で自動化するのは現実的ではありません。そのため、対応の種類や目的に応じて適切な技術を組み合わせることが重要です。 本章では、コールセンターにおいて代表的な自動化システムとして「IVR・ビジュアルIVR」「チャットボット・ボイスボット」「AI音声認識」「RPA」の4つの手法について紹介します。

IVR・ビジュアルIVR

IVR(Interactive Voice Response) は、自動音声ガイダンスを活用し、問い合わせ内容に応じて適切な対応へ誘導するシステムです。

電話をかけた際に、「〇〇に関するお問い合わせは1を、△△については2を押してください」といった音声案内を聞いたことがある方も多いでしょう。顧客は案内に従って番号を押すことで、適切な部署やオペレーターへスムーズに接続されます。

最近では、ビジュアルIVRも注目されています。これは、従来の音声ガイダンスとは異なり、スマートフォンの画面上で選択肢を表示し、タップ操作でスムーズに案内を行えるシステムです。 音声だけでは分かりにくい複雑なメニューでも、視覚的に案内することで、顧客がスムーズに目的の情報へたどり着けるようになります。

★ IVRのメリット
● オペレーターの負担軽減
● 適切な部署やオペレーターへスムーズに接続できる
● 自動案内により、営業時間外の一次対応も可能

★IVR導入時の注意点
● メニューが複雑すぎると顧客が選択に迷う
● すべての問い合わせを自動化できるわけではない(オペレーター対応との連携が必要)

▼IVR・ビジュアルIVRに関する記事はこちら
IVR(自動音声応答システム)とは│コールセンターでの活用メリットと導入ポイントを解説
ビジュアルIVRとは|IVRとの違いやメリット、導入ポイントを徹底解説

チャットボット・ボイスボット

チャットボットは、Webサイトやアプリ上で顧客とのテキストベースの会話を自動化するツールです。
顧客が「電話するほどではないけれど、ちょっと聞きたい」といったニーズを持つ場合にも対応でき、電話がつながらない問題を解消する役割を果たします。
一方、ボイスボットは音声を使ったAI自動応答システムです。電話での問い合わせに対して人を介さず、システムが直接回答を完結させます。

活用例として、FAQで解決できるような簡単な問い合わせをチャットボットに任せることで、オペレーターが対応する前に多くの問い合わせを迅速に解決することができます。
また、ボイスボットを導入すれば、予約や注文受付のようなシンプルな電話対応も自動化が可能です。

「コールセンター/CRM デモ&コンファレンス2024 in 東京」のレポートによると、ボイスボットがIVRに代わって一次対応として利用され、適切なチャネルへ接続するケースが増えてきており、ボイスボットの注目度が高まっていることが伺えます。

★チャットボット・ボイスボットのメリット
● 営業時間外の問い合わせにも対応可能
● オペレーターの負担軽減
● 即時対応による顧客満足度の向上

★導入時の注意点
● 対応範囲が限られる:複雑な質問には不向き
● AIの学習データが不十分だと、適切な回答ができないリスクがある

▼チャットボット・ボイスボットに関する記事はこちら
チャットボットとは│基礎知識と導入ステップ・メリットを簡単に解説
ボイスボットとは|仕組みと導入業界一覧・国内主要ベンダー6社を比較

AI音声認識

AI音声認識は、顧客との通話内容をリアルタイムでテキスト化するシステムです。この技術を活用することで、通話後に発生する対応履歴の入力作業を省力化し、分析にも役立てることができます。

また、最近のAI音声認識では感情分析機能が搭載されており、リアルタイムで顧客の感情を把握することが可能です。これにより、適切な対応がしやすくなります。
まだ研究段階の部分も多く、今後の進化が期待されるシステムです。

★AI音声認識のメリット
● 通話内容のテキスト化:オペレーターの業務負担を軽減
● データ分析への活用:応対品質向上も期待できる
● 感情分析機能:顧客の感情を把握し、迅速で適切な対応が可能

★AI音声認識導入時の注意点
● 音声認識の精度:環境や話し方によって影響を受けてしまう
● データの継続的な学習・改善が必要

▼AI音声認識に関する記事はこちら
AI音声認識とは│業務効率化のポイントと国内主要ベンダーを紹介

RPA

RPA(Robotic Process Automation)は、PC上での定型業務を自動化するシステムです。
このシステムは24時間365日稼働することができ、顧客情報の入力、対応履歴の記録、注文処理などの単純作業を自動化します。これにより、ヒューマンエラーの防止にもつながります。

具体的な活用例として、SVが行っていたレポート作成や勤怠記録の管理、オペレーターが手作業で行っていたデータ入力や転記作業があります。これらをRPAで自動化することで、業務効率化や人件費削減が期待できます。

★RPA導入のメリット
● 単純な事務作業を自動化し、業務効率化や負担軽減が期待できる
● ヒューマンエラーの防止
● 人件費削減により、コールセンターの運営コスト削減が可能

★導入時の注意点
● 業務フローが変わると、RPAの設定変更が必要になる
● メンテナンスや運用管理の体制を整えることが重要

▼RPAに関する記事はこちら
RPA導入メリット|導入時の注意点と対策方法を徹底解説

コールセンター自動化の導入メリット

業務効率向上とコスト削減

コールセンターでは、オペレーターの応対時間を短縮しながら、より多くの問い合わせに対応することが重要です。
自動化を活用することで、定型業務をシステムに任せ、オペレーターは複雑な問い合わせに集中できるようになるため、生産性向上が期待できます。

たとえば、IVRを導入することで、問い合わせ内容に応じて適切な部署へ振り分けることができるため、オペレーターの応対時間を削減できます。
また、RPAを活用すればデータ入力などの単純作業を自動化し、リソースをより有効に活用できるでしょう。 このように、自動化を適切に活用することで、業務効率を向上させながらコスト削減を実現できるのです。

顧客満足度の向上

顧客は、コールセンターに「スムーズで正確な対応」を求めています。
しかし、オペレーターの負担が大きくなると、応対品質のばらつきが生じ、顧客満足度の低下につながるリスクがあります。
そこで、チャットボットボイスボットを導入することで、FAQレベルの問い合わせに即時対応が可能になり、待ち時間を短縮できます。

また、IVRやビジュアルIVRを活用することで、顧客が必要とする情報を確認し、適切な部署に振り分けることができます。これにより、顧客が直接オペレーターと対話する前に、多くの基本的な問題を解決することができ、より一層の顧客満足度の向上が期待できます。
こうした技術を活用することで、顧客の「待つことのストレス」を減らし、満足度のさらなる向上を図ることができます。

▼顧客満足度に関する記事はこちら
コールセンターでの顧客満足度(CS)とは?定義から向上方法まで徹底解説
CSATとは│コールセンターで必須のKPI計測方法と施策を紹介

24時間対応の実現

近年、ライフスタイルの多様化に伴い、「営業時間内に電話ができない」と感じる顧客が増えています。しかし、深夜や休日にオペレーターを配置するのはコスト面での負担が大きく、実現が難しいのが現状です。

ここで役立つのが、チャットボットボイスボットです。簡単な問い合わせや予約受付などの単純な問い合わせを自動化することで、24時間365日の顧客対応が可能になります。
オペレーターがいない時間帯でも一次対応ができるため、機会損失を防ぎながら、顧客満足度を向上させることができるのです。

応対品質の均一化

コールセンターでは、オペレーターの応対品質にばらつきが生じることがあります。このようなばらつきを解消するために、AI音声認識が効果的です。

AI音声認識を導入することで、通話記録をテキスト化され、オペレーター自身が自らの応対を振り返る機会が増えます。これにより、改善点を迅速に把握できる上に、SVも多くの応対内容を効率的にモニタリングしやすくなります。 過去の通話内容を分析することで、トレンドやパターンを把握し、教育に活かすこともできます。これらの取り組みにより、応対品質を均一化し、業務全体の効率化と顧客満足度の向上につながるでしょう。

コールセンター自動化の注意点と成功のポイント

コールセンターの自動化を成功させるためには、適切な設計と運用の工夫が重要です。
本章では、自動化システム導入時に注意すべき4つのポイントを解説します。

コストばかりに目を向けず、長期的な視点で費用対効果を考える

自動化にはシステム導入費用や運用コストがかかります。そのため、「本当に費用対効果が見合うのか?」と悩むことも多いでしょう。

しかし、短期的なコスト削減だけを目的にすると、導入後の運用費が想定以上にかかることや、十分に機能しないシステムを選んでしまうリスクがあります。
どの業務を自動化すれば最も効果が出るのか」を導入前にしっかり分析し、ROI(投資対効果)を見据えた計画を立てることが重要です。

自動化すればすべて解決…ではない!オペレーターとの適切な役割分担を

自動化すれば人手不足が解消できる」と考えがちですが、すべての業務をシステムに任せるのは現実的ではありません。例えば、FAQレベルの単純な問合せは自動化できても、複雑な相談やクレーム対応はオペレーターの対応が欠かせません。
自動化の導入前に、「どの業務をシステムに任せ、どの業務からは人が対応すべきか?」を明確にすることが成功のカギとなります。

自動化の導入は「オペレーターの不安」にも配慮を

自動化システムを導入すると、「自分の仕事がなくなるのでは?」と、オペレーターが不安を感じることがあります。現場が納得しないまま導入を進めると、逆にモチベーションが下がり、離職率が上昇するリスクもあります。
自動化の目的は、「人を減らすこと」ではなく「人がより高度な業務に集中できる環境を作ること」です。導入前にオペレーターへ説明を行い、「自動化によって業務がどう変わるのか?」を明確に伝えるようにしましょう。

自動化ツールは「導入して終わり」ではない!継続的な見直しが重要

システムを導入したからといって、業務が自動的に効率化されるわけではありません。運用の中で課題が出てくることもあり、定期的なメンテナンスや最適化が必要です。 特に、RPAは業務フローが変わると動作しなくなる可能性が高いため、現場の変化に合わせた見直しが欠かせません。導入後もKPIを定期的にチェックし、本当に効果が出ているのかを振り返る仕組みを作ることが大切です。

まとめ|コールセンター自動化で業務を最適化しよう

コールセンターの自動化は、業務効率向上、コスト削減、顧客満足度の向上など、多くのメリットをもたらします。
IVR・ビジュアルIVR、チャットボット・ボイスボット、AI音声認識、RPAなどの技術を活用することで、オペレーターの負担を軽減し、質の高い顧客対応を実現できるようになります。

しかし、すべてを自動化すれば良いわけではありません。適切な業務との役割分担が重要です。特に導入時には、コストと効果のバランスを考え、継続的な見直しを行うことが成功のカギとなります。
コールセンターの運営に課題を感じている方は、まずは自社の業務を分析し、「どの部分を自動化すれば最も効果が高いのか?」を見極めることが大切です。
適切な自動化を進めることで、効率的で高品質なコールセンター運営を実現しましょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    従業員1万人以上の企業の5社に1社が導入している採用支援・求人広告会社にて、アルバイト・パート採用や中途採用を中心に、約3年間にわたり企業の採用支援に従事。
    2019年9月より株式会社ウィルオブ・ワークに入社し、コールセンター・オフィスワークに特化した人材サービスの事業部でキャリアアドバイザーを担当。現場で培った知見をもとに、コンタクトセンター領域はもちろん、採用・人材分野に関する実践的かつリアルな情報発信を心がけている。

    現在は子育てと仕事を両立しながら、日々奮闘中!

    趣味:音楽、ゲーム、ディズニー、お酒
    特技:タスク管理

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