今知るべきBPaaSとは?BPOとの違いやメリット、成功事例を分かりやすく解説

2024/08/01

競争が激化する現代のビジネス環境において、企業はコア業務により集中するため、ノンコア業務の効率化が急務となっています。従来、ノンコア業務はBPOベンダーがマンパワーを駆使して請け負うことが一般的でした。

しかし、近年ではIT企業が自社のシステムを活用し、より効率的なBPOサービスを提供する動きが広がっています。この新しい形態のサービスは「BPaaS」と呼ばれ、数年前から北米を中心に普及してきました。そして、ここ最近では日本でもその名前を耳にする機会が増えています。

本記事では、BPaaSについての基本的な情報とその利点について解説し、今知っておくべきポイントを詳しくご紹介します。

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BPaaSとは何か

BPaaSとは、クラウド上で提供されるビジネスプロセスのアウトソーシングサービスであり、ITシステムを活用して業務の効率化を図る新しい形態のサービスです。まずはその基本的な概念についてご紹介します。

BPaaSの基本概念

BPaaSとは、バックエンドの業務などを対象に、業務プロセスをアウトソーシングし、そこにクラウドシステムを利用することで、業務効率化を実現するサービスを指します。「Business Process as a Service」の略称で、読み方は「ビーパース」と呼ぶことが一般的です。アウトソーシングの対象となるのは、主に人事、財務、カスタマーサポート、給与計算などのノンコア業務です。

BPaaSの特徴は、アウトソーシングサービスを提供するにあたりクラウド上でシステムまで提供する点にあります。従来の人手によるアウトソーシングに比べて高効率で運営できるため、人材不足が深刻な日本でもその概念が徐々に浸透してきています。これにより、企業はより重要なコア業務に集中することが可能となり、全体の業務効率を向上させることができます。

BPaaSが活用されているセグメンテーション

BPaaSは多岐にわたる業務プロセスにおいて活用されています。主なセグメンテーションとしては、「人事管理」「財務および会計」「販売・マーケティング」「カスタマーサポート」「調達・サプライチェーン」「オペレーション」などが挙げられます。この中でも特に「人事管理」が最も利用されており、具体的には「給与計算」「従業員のオンボーディング」「経営管理」などの業務で利用が広がっています。

業界としては「IT・通信」「製造」「ヘルスケア」「小売」などで広く利用されていますが、「金融」業界が最も活用が進んでいると言われています。実は金融の中でも、特にセキュリティ等が厳しく、クラウド化が進んでいないイメージのある銀行ですが、市場調査コンサルティングを手掛ける株式会社SDKIが2023年8月に発表した調査レポートによると、約80%の銀行機関が何らかの形でクラウド・テクノロジーを利用しており、75%以上の銀行機関がサービスを強化するために、クラウドベースのサービスを導入することを計画しています。

現在の市場規模と成長の予測

同じくSDKIの調査レポートによると、BPaaSの市場規模は2017年の402億米ドル(約6.0兆円)から、2022年には687.6億米ドル(約10.3兆円)へと成長しています。成長の勢いは止まらず、年平均成長率は11.3%と予測されており、2035年までには約2156億米ドルに達すると言われています。

現在の最大の市場は北米地域ですが、最も成長しているのはアジア太平洋地域で、日本でもIBMやトランス・コスモス、チャットワークスといった企業がBPaaSを活用してビジネスを拡大しており、さらなる市場拡大が期待されています。

BPaaSがビジネスに与える影響

BPaaSは、日本では新しい概念とされていますが、海外ではすでにメジャーなビジネスモデルとなっています。2009年に調査会社であるGartnerが「BPaaS」という用語を提案し注目されました。海外では日本以上にクラウドサービスのエコシステムが進んでおり、企業はサービスのコア部分のみに集中し、それ以外を全て外部サービスにアウトソーシングすることで競争力を確保しています。BPaaSの拡大もその一環で、BPaaSを利用することでビジネスプロセスの構築が容易になり、少人数でもスケール可能となりました。

一方、日本では雇用規制などの制約から高コストな国内オペレーションを維持していますが、国際競争力の低下や労働力の減少により、アウトソーシングの需要が高まっています。数年前からSaaSによるバックオフィスの効率化が進んできましたが、中小企業が大半を占める日本ではシステム普及率がまだ低い状況です。日本の企業は人月課金には比較的柔軟ですが、ID課金には厳しい傾向があります。そこで、プロセス全体を請け負い、ITの力で効率化を図るBPaaSへ移行していくのでないかと予想されています。BPaaSが普及すれば、日本でも少人数でスケールするような企業が出てくるかもしれません。

BPaaS、SaaS、BPOとの違い

似た言葉や概念としてSaaSやBPOがありますが、これらとBPaaSはどのような点が異なるのかを解説します。

SaaS(Software as a Service)との違い

SaaSとは、インターネット経由でクラウド上のソフトウェアを利用するサービスを指します。ここ数年で、日本でもオンプレミスからクラウドへの移行が進んでおり、国内でも上場を果たすSaaS企業が増えています。

しかし、前述した通り、日本の企業は人月への投資には寛容なものの、IT投資に対しては厳しく見られています。企業が求めているのは、ソフトウェアそのものではなく、ソフトウェアによって得られる結果です。その結果が人によって行われているのか、ITの力によるものなのかは本質的に関係ありません。

そこで、業務プロセス全体をサービスとして提供するBPaaSが注目され始めています。単にソフトウェアのみを提供するSaaSと違い、BPaaSは、企業が求める結果を効果的に達成するための包括的なソリューションを提供することができます。

BPO(Business Process Outsourcing)との違い

BPOは、業務プロセスを外部に委託し、自社のリソース負担を軽減するアウトソーシングサービスです。BPOでは一般的に、外部の業者が業務の一部を人手によって実行します。

一方、BPaaSは、BPOのように業務を外部で引き受ける点は同じですが、SaaSを活用して業務プロセス全体を実行するという特徴があります。オペレーションの裏側にあるソフトウェアが高品質・低コストを実現する手段であり、競争優位の源泉となります。BPaaSは、単なる外部委託にとどまらず、ITの力を最大限に活用して業務全体を最適化する点でBPOとは一線を画しています。

BPaaSのメリット

これまでのBPOやSaaSより進んだサービスとして、市場シェアが拡大してきているBPaaSですが、そのメリットについて詳細を解説します。

コスト削減と効率化

BPaaSは、SaaSを駆使して業務そのものを自動化・効率化するという特徴があります。そのため、従来のBPOと比較しても、少ないリソースで高いパフォーマンスを得ることができ、結果的にコスト削減につながります。これは、自社でSaaS製品を個別に導入するよりも高い効率を発揮することがあります。

BPaaSを利用することで、企業はSaaSを活用したい業務プロセス全体を外部委託し、デジタル化を進めることができます。これにより、自社でサービスの互換性をチェックしたり、業務環境の整備にリソースを割く必要がありません。結果として、内部リソースをコア業務に集中させることができ、全体的な業務効率が向上します。このように、BPaaSはコスト削減と業務効率化の両面で大きなメリットを提供します。

運用の柔軟性とスケーラビリティ

BPaaSは従来のBPOよりも人的リソースへの依存度が低いため、柔軟かつスケーラビリティの高い運用が可能です。従来のBPOでは、人手不足が深刻化する中で採用が難しくなり、柔軟な運用が困難になることが予想されます。一方、BPaaSはITシステムを活用するため、業務の拡張や縮小が容易で、迅速な対応が求められるビジネス環境に適しています。

また、SaaS製品を自社に導入する場合、社内でそのソフトウェアを利用できる人材の教育やトレーニングが必要となります。この点においても、業務プロセス全体をアウトソーシングできるBPaaSは優位性があります。BPaaSを利用することで、企業は内部リソースを教育やトレーニングに割く必要がなくなり、専門知識を持つ外部のサービス提供者に業務を任せることができます。

データ・ノウハウの蓄積

従来のBPOでは、委託先の現場でシステムや業務が完結することが多く、プロセスが不透明になることがあります。そのため、社内にデータやノウハウが蓄積されないという問題がありました。しかし、BPaaSではクラウドを経由してデータやナレッジを蓄積することが可能です。

さらに、データは今後のAI活用においても重要な要素となります。BPaaSを利用することで、データ活用とアウトソーシングによるコスト削減を同時に実現することができる点は、BPaaSの大きなメリットになるでしょう。

BPaaSの注意点

多くのメリットをもたらしてくれるBPaaSですが、従来のBPOに比べて注意すべき点もあります。

ベンダーへの依存度が高くなる

従来のBPOでも、外部委託によるベンダー依存の高まりが指摘されていますが、BPaaSでも同様の問題が発生する可能性があります。特に、システムが絡む場合、データの移行が困難になり、将来的にベンダーのリプレイスが難しくなる可能性があります。もちろん、同じベンダーを使い続けられれば良いですが、突然のサービス終了などが発生するとたちまち事業活動が成り立たなくなります。

これらのリスクを回避するためには、あらかじめデータ移行計画を準備しておくことが重要です。データ移行計画には、データのフォーマットや移行手順、テストプロセスなどを含め、移行時の問題を最小限に抑えるための具体的な対策を盛り込む必要があります。適切な準備と計画を行うことで、ベンダー依存のリスクを管理しましょう。

セキュリティリスクがコントロールできない

近年、多くの企業で使われているクラウドシステムのセキュリティレベルは非常に高くなっています。しかし、外部にデータや業務プロセスを預けるということは、潜在的なリスクを抱えることになります。特に、BPaaSで利用されるシステムはベンダー側の意向で決められるため、セキュリティレベルを発注側がコントロールできないことが多いです。

このため、発注時には自社が求めるセキュリティレベルでの運用が可能かどうかを事前に確認することが重要です。具体的には、クラウドチェックシートなどのツールを用いて、ベンダーのセキュリティ対策が自社の要件を満たしているかを評価します。チェックシートには、データ保護の方法、アクセス制御、バックアップ体制、データの暗号化など、セキュリティに関する詳細な項目を含めることが推奨されます。適切な確認と評価を行うことで、セキュリティリスクを最小限に抑え、安心してBPaaSを活用することができます。

BPaaSの事例紹介

BPaaSを日本で展開しているベンダーの事例をご紹介します。具体的には、freee、チャットワークス、トランス・コスモスの取り組みを取り上げます。

freee

freeeの人事労務アウトソースは、給与計算や労務業務を一括して任せられるアウトソーシングサービスです。オペレーションには、freee人事労務のプロダクトが活用され、高効率な業務運営を実現しています。特にスモールビジネスを対象としており、入退社手続き、身上変更、給与計算、年末調整など、労務に関するノンコア業務を一貫してアウトソースすることが可能です。

このサービスは、企業が労務関連の煩雑な手続きを専門のサービスプロバイダーに任せることで、コア業務に集中できるようにすることを目的としています。freeeのプロダクトはクラウドベースであり、データの一元管理とリアルタイムな更新が可能です。社内に人事労務の機能がない会社でも正常に運用することができます。

詳細は公式サイトをご覧ください。

チャットワークス

Chatwork アシスタントは、必要なタイミングで必要な分だけ業務をアウトソーシングできるオンラインアシスタントサービスです。経理、労務、総務、採用とバックオフィス関連の業務を中心に、様々な業務アウトソーシングサービスを提供しています。Chatworkのユーザーであれば、アプリ上から依頼をすることができます。

Chatworkアシスタントに業務を依頼すると、専任サポートが効率的なSaaSプロダクトを使った業務設計・運用構築を行い、日々の運用も専任サポートが代行します。そのため、SaaSプロダクトに詳しくない中小企業でも業務効率化のメリットを享受でき、より注力すべきコア業務に専念することができます。

詳細は公式サイトをご覧ください。

トランス・コスモス

トランス・コスモスでは、統合人事システム COMPANYをベースとし、業務プロセスやオペレーション人材までを一貫して提供するアウトソーシングサービスを提供しています。

COMPANYは、人事管理、給与計算、勤怠管理などの人事向け業務管理機能を提供するプラットフォームです。そこに、COMPANYを導入できる人材や活用した人事オペレーションができる人材を多く抱えたトランス・コスモスが加わることで、人事業務をワンストップで提供することができます。

詳細は公式サイトをご覧ください。

まとめ

労働人口が減少し、より高い生産性が求められる日本において、BPaaSの需要は今後も拡大すると予想されます。BPaaSは日本企業の生産性向上に寄与する重要なツールとして、今後ますます普及していくでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 濱松 浩志

    2020年4月ウィルオブ・ワークに新卒入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部の福岡支店に新卒配属。
    携帯キャリアのコールセンター半年、営業コーディネーター2年半経験。
    2023年4月から営業推進部へ異動し、新規営業を担当。
    休日は地元の少年野球チームのコーチを行っている。

    趣味:野球観戦、ボードゲーム、ビールを飲むこと
    特技:子供や動物になつかれること

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