従業員体験(EX)とは?カスタマーサポートにおける重要性とEX向上戦略についてご紹介

2024/11/12

コールセンターやカスタマーサポートの現場では、従業員の満足度やモチベーションが業務の質に直結します。従業員体験(EX)を考えることは、従業員が企業でどのように感じ、働くかを総合的に捉え直すことであり、センター運営を考える上で欠かせない概念になりつつあるでしょう。

本記事では、従業員体験の基本的な定義とその重要性を解説し、特にコールセンター業界における影響について詳述します。さらに、従業員体験を向上させるための具体的な方法や戦略、最新トレンドも紹介します。
従業員体験を向上させることで、業務効率や顧客満足度を高めるための具体的なヒントを得ることが可能です。

従業員体験(EX)とは?

従業員体験(EX)とは、従業員が会社との関わりにおいて経験する全てを示す概念です。これは、採用プロセスから退職に至るまでの従業員のジャーニー全体を指し、職場環境、企業文化、上司や同僚との関係、仕事内容、成長の機会、報酬や福利厚生など、多岐にわたる要素が含まれます。

従業員体験は、従業員の視点から企業との関係性を捉え直す試みであり、従来の人事管理や従業員満足度調査よりも広範かつ深い概念です。この概念は、従業員を単なる労働力としてではなく、企業の成功に不可欠な存在として捉え、その体験を総合的に最適化することを目指しています。

従業員体験の重要性

従業員体験が注目される背景には、労働市場の変化や従業員の価値観の多様化があります。単に高給を得るだけでなく、意義ある仕事、成長の機会、柔軟な働き方など、さまざまな要素が重視されるようになっています。転職が当たり前の手段になりつつある今、優秀な人材を獲得、定着してもらうためには、従業員体験の最適化が重要です。

また、従業員が企業でポジティブな体験を持つと、彼らはより高いパフォーマンスを発揮し、顧客に対してもより良いサービスを提供することができます。特にコールセンターでは、従業員の満足度が直接顧客対応の質に影響を与えるため、従業員体験を向上させることが顧客満足度の向上にもつながります。

従業員体験が企業に与える影響

従業員体験の質は、特にコールセンターにおいては業務にも大きな影響が考えられるでしょう。
詳細を解説します。

コールセンターにおける従業員体験の影響

コールセンターは、従業員体験が企業パフォーマンスに直接的に影響を与える典型的な例です。コールセンターは近年、人材不足を背景に人材の獲得競争が激化しています。獲得競争の激化は、単に人が獲れないという問題だけではなく、人材が流出しやすくなることを指します。特に、非正規雇用者の比率が高い都市部のセンターでは顕著です。

元々、コールセンター業界はストレスが高く、離職率も高い傾向にあります。従業員体験を疎かにすると、センターから人材流出が起き、残った人材に負担の増え、さらなる従業員体験の悪化に繋がるという負のスパイラルが起こります。これらを防ぐためにも、従業員体験の見直しが必要です。

顧客満足度と従業員満足度の関係

また、顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)には密接な関係があります。この関係は「サービスプロフィットチェーン」として知られており、従業員の満足度が顧客満足度を通じて企業の収益性に影響を与えると考えられています。

多くのコールセンターでは、顧客満足度の向上が至上命題です。「サービスプロフィットチェーン」の考え方からも、顧客満足度の目標を達成するためには、従業員満足度の向上が不可欠であることを認識する必要があります。「従業員満足度の向上」を「顧客満足度の向上」と同等に重要な目標として位置づけ、両者のバランスを取りながら戦略を立てることが成功の鍵となります。

従業員満足についてはこちらの記事も参照ください。

従業員体験向上のための戦略

従業員体験の向上は、計画的かつ継続的な取り組みを必要とします。以下では、従業員体験向上のための主要な戦略について詳しく説明します。

効果的なコミュニケーション

効果的なコミュニケーションは、良好な従業員体験の基盤となります。

組織内でオープンで透明性の高いコミュニケーションを促進することで、従業員の帰属意識や信頼感が高まります。朝礼や夕礼などの全体的なコミュニケーションはもちろん、SVやメンターとの1on1などの様々な形式のコミュニケーションチャンネルを設けることが重要です。

また、社内SNSや定期的なニュースレターの発行など、デジタルツールを活用したコミュニケーション方法も効果的です。従業員の声に耳を傾け、フィードバックを積極的に求めることで、組織の課題や改善点を早期に把握し、対応することができます。

トレーニングとキャリア開発

従業員の成長とキャリア開発を支援することは、従業員体験向上の重要な要素です。

離職率の高いコールセンターは初期研修に失敗しているケースが多いです。スキル不足や成功体験の不足による業務不安を抱えたままでは長く定着することはできません。

全体的な研修プランに加えて、個々の従業員の進捗に合わせたトレーニングプログラムを提供することで、従業員の能力向上と職務満足度の向上に繋がります。メンタープログラムやe-Learningの導入などが有効でしょう。

また、キャリアパスを明確化し、内部昇進の機会を積極的に設けることで、従業員の長期的なコミットメントを促すことができます。定期的なスキル評価と育成計画の策定を通じて、従業員の成長を継続的にサポートすることが重要です。

適切なフィードバックと評価

公正で透明性の高いフィードバックと評価は、従業員の動機づけと成長に不可欠です。

定期的な1on1ミーティングの場や、必要であればタイムリーにパフォーマンスレビューやフィードバックを実施することで、従業員は自身の改善点を客観的に把握することができたり、業務不安の払拭に繋がったりします。

また、評価結果を報酬やキャリア開発と連動させることで、従業員の努力が適切に認識され、報われる仕組みを構築することが重要です。

快適な職場環境

快適な職場環境づくりも従業員体験の大切な要素です。

まずはオフィスの清潔感や湿度や気温といった当たり前の基準を満たすことが重要です。加えて、コールセンターは長時間座って仕事をするため、体に負担がかからない椅子や机を用意することもポイントの一つになります。休憩室も快適に働くには欠かせないポイントの一つです。きれいで明るい休憩室があれば、従業員の気分転換にもなるでしょう。

従業員体験向上の最新トレンド

従業員体験の向上に関する取り組みは、社会の変化や技術の進歩に伴い常に進化しています。最新のトレンドを取り入れることで、より効果的な従業員体験向上が可能です。

カスハラ対策

カスタマーハラスメント(カスハラ)対策は、特に接客業やコールセンターなど顧客と直接対応する職場において重要な課題となっています。カスハラは従業員のメンタルヘルスに深刻な影響を与え、従業員体験を著しく低下させる要因となるため、適切な対策が不可欠です。

具体的な取り組みとしては、カスハラに関する明確なガイドラインの策定、従業員向けの対応トレーニングの実施、サポート体制の整備などが挙げられます。また、AIを活用した顧客の感情分析や通話録音システムの導入により、カスハラの早期発見と証拠保全を行うことも効果的です。さらに、顧客に対する啓発活動や、カスハラ防止ポリシーの公開を通じて、顧客の意識改革を図ることも重要です。

顧客次第のため完全に防ぐことはできないかもしれませんが、企業側がカスハラに対して真剣に取り組んでいる姿勢を見せることが従業員の安心にも繋がります。

カスハラについてはこちらの記事も参照ください。

テクノロジーの活用

テクノロジーの活用は、コールセンターの従業員体験を大きく改善できます。例えば、入社や退職の手続き、給与の照会、福利厚生の利用などを簡単にするツールを使えば、従業員は必要な情報をすぐに確認でき、手続きも速やかに行えるでしょう。

顧客情報を素早く表示するシステムや、よくある質問への回答を自動で提案してくれるAIツールなど、業務をサポートするツールも重要です。これらを使うことで、従業員は効率よく、正確に仕事ができるようになります。

さらに、研修や継続的なスキルアップをサポートするツールも役立ちます。オンラインでいつでも学べる教材や、実際の電話対応を模擬体験できる生成AIツールなどがあり、これらを活用すれば、従業員は自分のペースで成長できます。

このようなテクノロジーを上手に取り入れることで、従業員の仕事がしやすくなり、満足度も上がります。結果として、お客様へのサービスの質も向上し、コールセンター全体の成果につながります。

まとめ

従業員体験(EX)の向上は、現代の企業経営において極めて重要な課題となっています。効果的なコミュニケーション、トレーニングとキャリア開発、適切なフィードバックと評価システム、快適な職場環境など、包括的な戦略を実施することが重要です。

さらに、カスハラ対策やテクノロジーの活用など、最新のトレンドを取り入れることで、より効果的な従業員体験向上を実現することができます。これらの取り組みは、従業員の満足度とエンゲージメントを高めるだけでなく、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。

従業員体験の向上は一朝一夕に実現できるものではなく、継続的な取り組みと全社的なコミットメントが必要です。従業員体験の向上は、従業員、顧客、そしてセンター全体にとってwin-winの結果をもたらす重要な投資であり、今後も企業経営の中核的な課題として注目され続けるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
    産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
    ・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
    ・特技:タスク管理

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