【活用事例】AI-OCR導入で業務効率化に成功した企業の成功ポイントを徹底解説

2024/10/08

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AI-OCRは、業務効率化とコスト削減を実現する強力なツールとして、様々な業界で注目を集めています。特に日本企業にとっては、DX推進の第一歩として重要な位置づけにあります。しかし、多くの担当者が具体的な導入方法や効果的な活用法に不安を感じているのが現状です。

本記事では、AI-OCRの概要からメリット、成功事例を詳しく解説します。業界別に各事例において、導入背景、導入ソリューション、導入効果などを紹介することで、読者のAI-OCRの検討の一助になれば幸いです。

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AI-OCRとは

AI-OCRとは、AI技術を活用した最新のOCR(光学文字認識システム)のことです。

従来のOCRと比べ、AI-OCRではより高精度で柔軟な文字認識が可能になりました。機械学習やディープラーニングを用いることで、さまざまなフォントや手書き文字、複雑な背景を持つ文書でも効率的に文字を抽出し、デジタル化できます。また、コンテキストを理解する能力も向上し、文脈に応じた適切な解釈ができるようになりました。これにより、ビジネス文書の処理や古文書のデジタル化など、幅広い分野で活用されています。

AI-OCRが注目される背景

AI-OCRが注目される背景には、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速があります。企業や組織が業務効率化を追求する中、紙文書のデジタル化需要が高まっています。従来のOCRでは対応が困難だった複雑な文書や手書き文字も、AI技術の進歩により高精度で認識できるようになりました。

さらに、リモートワークの普及で、場所を問わず文書処理が必要となり、AI-OCRの重要性が増しています。コスト削減や人的ミスの軽減、データ活用の促進など、多様なメリットがAI-OCRの注目度を高めているのです。

AI-OCR導入の現状と市場動向

日本のAI-OCR市場は、生産年齢人口減少に伴う生産性維持の必要性から急速に拡大しています。経済産業省がDX推進の一環としてOCR技術導入を推奨していることも、市場成長を後押ししています。

2022年度のOCRソリューション市場は532.7億円に達し、前年比106.3%増と大幅に成長しました。この成長は、企業全体のDX推進だけでなく、非定型・準定型帳票の読み取りニーズの拡大にも起因しています。AI-OCRは、効率化とデジタル化を同時に実現する重要なツールとして、今後さらなる普及が見込まれています。

AI-OCR導入のメリット

AI-OCRを導入することで得られるメリットについて紹介します。ここでは主に5つのメリットを紹介します。

生産性の向上

AI-OCRの導入により、企業の生産性は飛躍的に向上できます。

具体的には、従来の手作業による文書デジタル化が自動化されることにより、処理時間を大幅に短縮することができます。また、24時間365日稼働可能なシステムにより、作業負荷を分散し効率的な業務フローを構築することもできます。さらに、従業員はデータ入力などの単純作業から解放され、本来時間をかけたいより付加価値の高い戦略的業務に注力できるようになり、全体の生産性向上が実現できます。

コスト削減

AI-OCRを導入することで、直接的・間接的なコスト削減をもたらします。

人手によるデータ入力作業の削減で直接的な人件費が大幅に減少し、高精度な文字認識により入力ミスや手戻りも減少します。ヒューマンエラーが逓減することで、作業のスピードや精度が上がり、支払い遅延や法的リスクなどの間接的コストも回避できます。

長期的には、紙文書の保管・管理コストも削減可能です。デジタル化により物理的保管スペースが不要になり、文書の検索・取り出しコストも大幅に減ります。さらに、AI-OCRを起点とした業務プロセス全体の最適化により、総合的なコスト削減効果が期待できます。

業務品質の向上

AI-OCRの導入は、生産性の向上やコスト削減だけではなく業務品質を大幅に向上させます。

AIを使った画像認識の精度はすでに人間を超えているとも言われています。そのため、高精度のAI-OCRを利用することで人為的ミスを最小限に抑え、データの正確性を担保することができます。これは金融取引や医療情報管理など、高精度が要求される分野では特に重要です。

また、AI-OCRは一貫した認識ルールで動作するため、処理の一貫性も確保されます。人間の個人差や疲労による精度低下も解消され、常に安定した品質でデータ処理が可能です。さらに、大量データの高速処理により、締切に追われての急ぎ作業による品質低下リスクも軽減されます。時間的余裕を持って作業を進められ、全体的な業務品質向上につながります。

デジタルトランスフォーメーション (DX) の加速

企業のDXは、もはや大手企業のみならず、日本企業の至上命題とも言えますが、AI-OCRの導入はDXを加速させる重要な要素です。紙文書のデジタル化はDXの第一歩であり、データの活用範囲を大きく広げます。

デジタル化されたデータは様々なシステムと連携が容易になり、例えば請求書データを直接会計システムに取り込むことで支払いプロセス全体の自動化が可能です。さらに、AI-OCRによりこれまでデジタル化できてなかった大量のデータを活用し高度な分析を行うことで、新たなビジネスインサイトの発見や予測モデルの構築など、データ駆動型の経営判断を行う基盤を築くことができます。

従業員満足度の向上

AI-OCRの導入で喜ぶのは経営者だけではありません。実は、AI-OCRの導入は従業員満足度向上にも大きく貢献します。

従業員は、単調なデータ入力作業から解放されることで、より創造的で価値ある業務に取り組めるようになります。その結果、モチベーションと仕事満足度が向上します。また、創造的で価値ある業務に取り組むことで、従業員は自身のスキルや能力をより発揮できる機会を得られます。さらに、残業時間の削減や休日出勤の減少によりワークライフバランスが改善され、従業員のウェルビーイング(Well-being)にもつながることが期待できるでしょう。

【業界別】AI-OCRの活用事例

次に、業界別にAI-OCRの具体的な導入事例を紹介します。これにより、各業界でどのようにAI-OCRが活用され、どのような効果をもたらしたのかを理解していただきます。

【物流】日本通運株式会社

日本通運株式会社は、世界的なネットワークを持つ大手物流企業です。同社は、全国の物流拠点での事務作業効率化を目的に、AI inside社のDX Suite(Intelligent OCR)を導入しました。

経営層から「定型業務に費やしている時間を100万時間削減する」という目標を与えられており、RPAとの組み合わせで自動化する領域を増やす必要がありました。そこで、注目したのがトラックドライバーから提出される紙の運転日報やアルバイト勤務日報で、導入前は、1拠点あたり毎月平均450件を手入力でエクセルに入力しデータ化していました。アウトソーシングによる効率化も試みましたが、スピード感に課題がありました。

そこで、AI-OCRを活用し、自分たちでデータ化する方法を模索。3社比較の結果、直感的に操作できるインターフェースを評価しDX Suiteを導入しました。DX Suiteの導入により、年間で6万時間弱の事務作業を削減することに成功しており、現在、全国93拠点に導入され、月間最大176万リクエストの読み取りを実現しています。さらに、入力ミスの減少や業務フローの見直しにもつながり、現場の意識改革にも寄与している好事例です。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【自治体】横浜市役所

横浜市役所は、全国で最も人口の多い政令指定都市として、保育所入所に関する申請処理業務の効率化を目指し、オンプレミス版AI-OCR「AI inside Cube」を導入しました。

導入前は、年間約17,000件の保育所入所申請を2ヶ月間で処理する必要があり、職員の超過勤務が常態化し、80名以上の派遣スタッフを採用するなど、人的・コスト面での負担が大きな課題となっていました。AI inside Cubeの導入により、申請書類のデータ化が可能になり、受付簿の作成業務が完全に自動化されました。

その結果、全職員の業務時間が500時間削減され、他部署からの応援も不要になりました。さらに、申請書類のデジタル化により、各区役所からオンラインで申請情報を確認できるようになり、業務効率が大幅に向上しました。横浜市は今後、AI-OCRとRPAを本格導入し、さらなる業務効率化を目指しています。同時に、デジタルディバイドに配慮しつつ、AI-OCRを「アナログとデジタルの橋渡し役」として活用し、行政サービスの公平な提供と業務のデジタル化の両立を図っていく方針です。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【通販】再春館システム株式会社

再春館システムは、再春館製薬所のシステム会社として1985年に設立された企業です。同社は、コールセンター業務の効率化とペーパーレス化を目指し、LINE WORKS OCRを導入しました。

再春館製薬所のドモホルンリンクル事業は、9割以上がリピート顧客という高い顧客満足度を誇っています。しかし、1日7,000件を超えるコールセンター業務では、手書きの帳票を使用しており、紙の保管問題やデータ活用の課題がありました。

そこで同社は、タブレット端末を活用したDX推進やペーパーレス化を支援するサービス「タブレットお客様カルテSHIORI」を開発し、LINE WORKS OCRを組み込みました。これにより、手書き文字の高精度な読み取りが可能になり、特に課題であった名前の認識精度が大幅に向上しました。

導入の結果、ペーパーレス化による紙の保管問題の解決、デジタル化した情報のデータ活用、お客様対応の品質向上と作業効率化の両立を実現しました。幅広い年齢層のお客様に対応できる、使いやすいインターフェースを提供することで、DXの恩恵を多くの人に届けることができるようになりました。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【不動産】TRUSTART株式会社

TRUSTART株式会社は、不動産業界のDX化を目指して2020年5月に創業した企業です。同社は、不動産登記データを活用したマーケティングソリューション「R.E.DATA」と不動産調査サービス「R.E.SEARCH」を展開しています。

同社は、不動産登記受付帳のデジタル化のために、LINE WORKS OCRを導入しました。導入前の課題は、膨大な量の不動産登記受付帳を手作業でデータ化する必要があり、時間と人的コストがかかっていたことでした。また、以前使用していた他社のOCRでは、読み取り精度が不十分で、エラーの修正に多くの時間を要していました。LINE WORKS OCRの導入により、読み取り精度が大幅に向上し、読み込みミスは0.1%程度にまで減少しました。

その結果、毎月3人で2日間かけて行っていた入力・確認・補正作業が、1人で10〜15分で完了するまでに効率化されました。さらに、毎月20万件以上の全国の不動産情報を自動でデジタル化できるようになり、不動産業界のインフラ整備に大きく貢献しています。この効率化により、人材リソースを新たな営業や新規サービス開発に振り向けることが可能となり、同社の事業拡大にも寄与しています。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【製造】タキゲン製造株式会社

タキゲン製造株式会社は、創業112年の歴史を持つ産業用金具メーカーです。同社は、業務効率化と組織改革を目指し、ハンモック社のAnyForm OCRを導入しました。

導入前は、全国12拠点から送られてくる紙の注文書や納品書を手作業で入力しており、大量の事務作業に時間を取られていました。また、入力ミスによる出荷トラブルも課題となっていました。

AnyForm OCRの導入により、年間5,000時間もの入力作業時間を削減することに成功しました。高精度な文字認識により、入力ミスも大幅に減少し、出荷トラブルの解消にもつながりました。さらに、事務作業の効率化により、社員が本来の業務に集中できるようになり、組織全体の生産性向上にも寄与しています。同社は今後も、AI-OCRを活用した業務改革を進め、さらなる効率化と顧客満足度の向上を目指しています。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【建設】株式会社四電工

株式会社四電工は、四国電力グループの一員として建築設備工事や電力供給設備工事を手がける総合設備企業です。同社は、積算業務の効率化を目指し、インフォディオ社のスマートOCRを導入しました。

導入前の課題は、積算業務における大量の見積書の手入力作業に多くの時間を費やしていたことでした。1案件につき10〜15種類のメーカー見積書を全て手作業で入力する必要があり、業務効率の低下や入力ミスのリスクが問題となっていました。

スマートOCRの導入により、見積書の約2割をAI-OCRで読み取り、そのままCSVで自社システムにインポートできるようになりました。その結果、積算業務における入力作業の時間が半分以下に短縮され、大型案件では2週間かかっていた作業が1週間以内で完了するようになりました。さらに、数字の入力ミスも大幅に減少し、合計金額のチェック・修正にかかる時間も削減されました。現在、同社では設計・積算関係の社員50名のうち10名弱がスマートOCRを活用しており、今後は全社的な利用拡大を目指しています。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【人材】株式会社ダイブ

株式会社ダイブは、観光施設に特化したリゾートバイト紹介サービス「リゾートバイトダイブ」を中心に労働者派遣・職業紹介事業を展開する人材派遣・人材紹介業の企業です。

同社は、毎月3,000名を超える派遣スタッフの勤怠関連業務の効率化を目指し、AI-OCRサービス「eas」を導入しました。導入前の課題は、4,600施設以上の宿泊施設から送られてくる多様なフォーマットの勤怠表を、営業担当者が手作業で入力していたことでした。これにより、月初に作業負荷が集中し、本来の営業活動に支障をきたしていました。

「eas」の導入により、勤怠情報の締め作業にかかる時間が大幅に減少し、営業担当者の残業時間削減を実現しました。具体的には、6割以上の営業担当者が月初の残業時間を3時間ほど削減でき、全社的に年間約2,000時間の残業時間カットにつながりました。

さらに、「eas」の高精度なデータ化能力と柔軟な対応により、多様な勤怠表フォーマットや手書きデータの処理が可能になりました。これにより、営業担当者がコア業務である営業活動に専念できる環境が整い、業務効率化と生産性向上を実現しています。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

【金融】みずほ銀行

みずほ銀行は、金融業界大手として多角的な事業を展開する企業です。同行のグローバルマーケッツカンパニー(GMC)は、「未来化プロジェクト」の一環として、アライズイノベーション社のAI-OCR「AIRead」を導入しました。

導入前の課題は、取引先から受領する決算書(財務諸表)の勘定科目明細をテキストデータ化できていなかったことでした。これにより、営業活動に必要な情報の取得に多大な時間と手間がかかっていました。

AIReadの導入により、決算書の勘定科目明細を高精度でデータ化することが可能になりました。その結果、行内に散在していた財務情報を集約し、効果的に利活用できるようになりました。これにより、営業スタイルの変革が進み、顧客への新たな価値提供の実現に向けた基盤が整いました。さらに、このプロジェクトは非上場企業の財務情報のデータ化にも貢献し、潜在的なビジネスチャンスの発見にもつながっています。みずほ銀行は今後もAIReadを活用したデータマイニングを推進し、グループ全体および金融業界全体のDX推進に寄与していく方針です。

事例の詳細はこちらでご確認ください。

まとめ

AI-OCRは、企業や組織の業務効率化とデジタル化を推進する重要なツールとして注目を集めています。本記事では、AI-OCRの概要、導入のメリット、そして様々な業界での具体的な活用事例を紹介しました。

生産性向上、コスト削減、業務品質改善などの明確なメリットに加え、DXの加速や従業員満足度の向上にも貢献することがわかりました。物流、自治体、通販、不動産、製造、建設、人材、金融など、幅広い業界でAI-OCRが効果的に活用されています。

今後、AI-OCRの導入はさらに加速し、ビジネスプロセスの変革と効率化を促進すると予想されます。各組織の特性に合わせた適切な導入と活用が、競争力強化の鍵となるでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。フィールドサポータや営業コーディネータ、キャリアアドバイザー、新規営業、人材紹介(転職支援)などを経験。
    2020年 人材紹介にて自己最高売上を記録、時短勤務×妊娠中での実績が評価され全社月間MVPにノミネート。現在5歳と2歳を育てるパワフルワーママ!

    ・趣味:断捨離、森林浴、岩盤浴
    ・特技:細かい事に気が付く点

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