コンタクトセンターにおけるブラックボックス化│解消方法を徹底解説

2024/12/12

コンタクトセンター業務が「ブラックボックス化」していると感じたことはありませんか?コンタクトセンターは運営状況が見えにくく、業務が属人的になり、チーム全体での効率化が進まない問題が起こりやすい業務です。問題を放置してしまうと、業務効率や従業員満足度の低下、品質低下、顧客満足度の低下といった問題を引き起こしてしまいます。

本稿では、「ブラックボックス化」の原因やデメリットについて深掘り、解決方法について詳しく説明します。コンタクトセンターの課題解決を目指す方はぜひご参考ください。

ブラックボックス化とは

ブラックボックス化とは?

ブラックボックス化とは、業務内容やプロセスが外部から見えない状態を指します。まるで黒い箱の中で業務が行われているかのようで、周りから見るとどのように業務遂行しているのかが分からないため、「ブラックボックス」と呼ばれています。

コンタクトセンターにおけるブラックボックス化の問題

コンタクトセンターで起こるブラックボックス化は、属人化や情報共有の不足が大きな要因です。たとえば、特定のベテラン社員にしか対応できない複雑な案件が多い場合、後継者が育たず、業務が停滞するリスクが高まります。また、対応履歴やノウハウが十分に共有されていない場合、対応品質にばらつきが生じ、顧客対応の一貫性が失われる可能性があります。

さらに、外部のコンタクトセンター運営企業に業務を委託した際、アウトソースの場合だと運営状況が見えづらくなり、成果が把握できない不透明さに悩む担当者も少なくありません。

このような状態が続くと、管理者が現場の状況を正確に把握できなくなり、必要な改善施策を立てづらくなります。

ブラックボックス化が起こる原因

そもそも、なぜブラックボックス化になるのでしょうか。本章ではコンタクトセンター運営で考えられる原因について見ていきましょう。

人手不足による属人化

コンタクトセンターでは慢性的な人手不足が問題となっており、限られた人数で業務を回さなければならない状況です。特定の社員に重要な業務や特定の業務が集中し、属人化が進みます。その結果、他の社員が同じ業務を引き継ぐことが難しくなり、対応の幅が狭まります。ベテラン社員が突然退職するような場合、業務が停滞したり遅延したりすることになるので、顧客対応にも支障をきたします。

マニュアル整備不足や引き継ぎ不足     

人手が足りないと業務マニュアルの整備が間に合わず、業務の引き継ぎ不足が原因でブラックボックス化になることが考えられます。この状態を放置すると新人社員がスムーズに業務を習得することができなくなり、引き継ぎ不十分により、適切な顧客対応ができなくなる恐れがあります。

複雑な業務やイレギュラーな対応ほど、ブラックボックス化のリスクが高まるため、早期に対策を考えたいところですが、目の前の業務に追われて整備が追い付かない・・・と嘆く担当者も少なくありません。

業務やシステムの複雑化

コールセンターの業務は、顧客ニーズの多様化や対応範囲の拡大により複雑化しています。その結果、社員が業務全体の流れを把握しにくくなるケースも考えられます。さらに、複数のシステムを併用している場合、それぞれが連携していないことで、情報の入力ミスやデータの取りこぼしが発生することも考えられます。

例えば、CRMシステムとチャットツールが分断されていると、顧客情報がリアルタイムで共有されず、同じ問い合わせへの重複対応や対応遅延の原因となります。このような状態が続くと、業務改善に必要なデータ分析や意思決定が困難になり、ブラックボックス化が進行するリスクが高まるのです。

ブラックボックス化によるデメリット

業務効率の低下

ブラックボックス化が進むと、業務が属人的になり、他の社員がカバーできる範囲が狭くなります。その結果、問い合わせ対応のスピードが落ち、業務が全体的に滞ることがあります。

特に、クレーム対応や複雑な問題の解決が遅れると、顧客満足度に大きな影響を与えます。現場でのトラブル対応が日常化すれば、社員の負担も増加し、さらに効率が低下する悪循環に陥ることも・・・。

従業員満足度の低下

ブラックボックス化により、業務効率が低下したり特定の社員に業務が集中したりすると、負担が偏ることで社員の不満が生じやすくなります。特に、クレーム対応や複雑な業務を一部の社員が担当する場合、精神的な負荷が大きくなります。

さらに、業務フローが不透明な環境では、他の社員がサポートできず、チームの一体感も損なわれることもあります。このような状況が続けば、社員の離職率が高まり組織全体の安定性が揺らぐリスクが考えられます。

品質低下

ブラックボックス化が進むと、業務品質が低下する恐れがあります。特定の社員が持つスキルや知識が共有されていない場合、他の社員が同じ水準の対応を行えず、顧客対応にバラつきが生じます。また、属人化によってチーム全体の研修や教育が不足すると、問題解決能力が低下し、対応の質が落ちてしまいます。その結果、顧客からの信頼を失う恐れもあります。

顧客満足度の低下

対応品質やスピードの低下は、顧客満足度に直結します。問い合わせがスムーズに解決されない場合、顧客はストレスを感じ、クレーム対応が頻繁に起こると信頼低下につながることもあります。こうした状態が続くと、顧客離れが進み、企業イメージの低下や売上低下につながる恐れがあります。

ブラックボックス化解消のメリット

ブラックボックス化を解消することで多くのメリットが享受できます。この章では、どのようなメリットがあるのか確認しましょう。

業務効率の向上とコスト削減

ブラックボックス化を解消すると、業務の流れが可視化され、属人化が減少します。その結果、誰でも同じ品質で対応できる体制が整い、業務効率が大幅に向上します。さらに、効率化により社員一人当たりの生産性が向上し、人件費や対応時間の削減が可能になります。

従業員の満足度と定着率の向上

属人化が解消されると、社員間での業務負担の偏りが軽減され、チーム全体の働きやすさが向上します。特に、新人教育がスムーズになることで、不安なく業務に取り組める環境が整い、従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下や長期的な定着につながります。

顧客満足度の向上と信頼関係の強化

コールセンターにおけるブラックボックス化を解消することで、顧客対応がスムーズかつ的確になります。業務プロセスを標準化し、ナレッジや対応履歴を一元管理することで、どのスタッフでも同じレベルの対応が可能となります。

例えば、顧客の過去の問い合わせ履歴や要望を即座に確認できる環境が整えば、顧客の状況に応じた適切な対応が迅速に行えます。一貫性のある対応により、顧客の安心感が高まり、長期的な信頼関係の構築に結びつくのです。

持続可能な運営体制の構築

ブラックボックス化を解消することで、業務の透明性と効率性が向上し、長期的に安定した運営が可能となります。特定の人に依存しない体制は、社員が異動や退職をしても業務が滞るリスクを抑えることができます。また、継続的な改善を行いやすい環境が整うため、競争の激しい市場でも柔軟に対応できる持続可能な組織を作ることが可能となります。

ブラックボックス化の具体的な解消方法

本章ではコンタクトセンターにおけるブラックボックス化の解消方法について解説します。

属人化を防ぐ対策

• 業務の標準化とマニュアル化

業務のプロセスを標準化し、マニュアルを整備することで、誰でも一定の品質で業務を行える環境を作ります。具体的には、日々の業務手順や対応方法を文書化し、新入社員でも迷わず対応できるようにすることが重要です。定期的な見直しと更新を行うことで、業務の最新化を維持することができるようにしましょう。

参考記事:
ナレッジマネジメントとは│コンタクトセンターにおける最適な導入ステップを解説

• ナレッジ管理ツールの導入

ナレッジ管理ツールを活用して、問い合わせ対応の履歴やノウハウをデータベース化します。これにより、情報がスムーズに共有され、新人からベテランまで一貫性のある対応が可能になります。

• 教育体制の強化

定期的な研修を実施し、スタッフのスキルアップを促進します。特に、ロールプレイングやOJTを活用することで、現場に即したスキルを短期間で習得させることが可能です。また、オンライン学習ツールを活用することも有効な手段です。

参考記事:
【SV必見】コールセンター教育のポイント|主な研修の流れについても解説

システム・プロセスの可視化

• 業務プロセスの見える化

フローチャートやプロセスマッピングを通じて業務フローを可視化します。可視化することで、どのプロセスが属人化しているのか、改善が必要な箇所を特定しやすくなります。さらに、RPAの導入により、反復的な業務を自動化することも有効な手段です。

• データ活用とリアルタイム管理

リアルタイムダッシュボードを活用し、問い合わせ件数や応答時間(AHT)などのKPIを可視化することも有効です。未対応案件や繁忙時間帯の課題を早期に発見し、リソース配分を適切化することができます。

また、通話録音や顧客データをAI分析することで、頻発する問い合わせ内容や不満点を抽出し、FAQ改善やトレーニングに役立てます。

さらに、過去データを基にピーク時を予測し、シフト計画を最適化することで、応答遅延を防ぎます。パフォーマンスデータの収集とフィードバックにより、スタッフのスキル向上にもつながります。

参考記事:
コールセンターのワークフォースマネジメント(WFM)とは?その重要性と導入メリットを徹底解説

チーム内の情報共有と連携

• 定例会議や情報共有ツールの活用

チーム内での情報伝達を円滑にするため、SlackやMicrosoft Teamsといった情報共有ツールを活用しましょう。定例ミーティングを設定し、対応ノウハウや課題を共有する機会を設けることで、チーム全体のスキル向上を図ることができます。

• 部門間連携の強化

営業部門やマーケティング部門など他部署と連携し、顧客情報を一元管理する仕組みを整備することも有効です。問い合わせ対応時に必要な情報を迅速に共有でき、顧客対応の質が向上します。

また、部門間でのデータ共有がスムーズになることで、業務フローの透明性が高まり、各部門でのブラックボックス化を防ぐことが可能になります。

コンタクトセンター特有の解決策

• AIやチャットボットの活用

簡易的な問い合わせや繰り返し対応が必要なケースには、AIやチャットボットを導入することで対応スピードを向上させ、スタッフの負担を軽減します。AIの導入により、夜間やピークタイムの対応力も強化できます。属人化の問題を解消するために有効な手段になるのでぜひ導入を検討してみましょう。

参考記事:
コンタクトセンターでの生成AI活用方法と具体的な事例の紹介
チャットボットとは│基礎知識と導入ステップ・メリットを簡単に解説

• オムニチャネル対応の推進

電話、メール、チャット、SNSなど、複数のチャネルを統合し、顧客情報を一元管理するオムニチャネル化の推進も有効な取り組みです。オムニチャネルは、どのチャネルからの問い合わせにもシームレスに対応でき、顧客体験の向上を目的とした施策です。これにより、社員の負担が軽減されることに加え、顧客満足度の向上や企業ファン増加が期待できます。

参考記事:
オムニチャネルとは?メリットやコールセンターでの推進方法や取り組み事例を解説記事

• コンタクトセンターのアウトソーシング(インハウス運営)の活用

コンタクトセンターのアウトソーシングの活用も、ブラックボックス化解消の有効な手段です。アウトソーシングにはアウトソーサーへ完全に委託する「アウトソース」と、企業内でアウトソーサーに運営してもらう「インハウス」の2種類 運営方法があります。

インハウス運営の場合だと、全プロセスを自社で管理するため、業務の透明性が確保され、迅速な改善が可能です。特に、ナレッジの蓄積や共有がアウトソーサーとスムーズに行えるため、長期的な運営体制の安定化に寄与できるでしょう。

参考記事:
コールセンター業務委託のメリットとは?委託化におけるポイントも徹底解説!

まとめ

ブラックボックス化を解消することは、コンタクトセンター運営における重要な課題です。原因を正確に把握し、属人化や業務の複雑化といった問題に対策を講じることで、効率的で透明性の高い運営を実現できます。ブラックボックス化を解消すると業務効率や顧客満足度の向上だけでなく、社員が働きやすい環境づくりやコスト削減にもつながります。

まずは現状を見直し、どの部分がブラックボックス化しているのかを特定することから始めましょう。全ての問題に一度に取り組むのではなく、優先順位を明確にし、解決策を段階的に実行する計画を立てることが大切です。

本稿が、ブラックボックス化に課題を抱える担当者様の問題解決に少しでもお役立ていただければ幸いです。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービス事業部に配属。フィールドサポーター、営業コーディネーター、キャリアアドバイザー、新規営業、転職支援など幅広い業務を経験。2020年には転職支援サービスにおいて自己最高売上を記録し、育児中の時短勤務ながら成果を上げた実績が評価され、全社月間MVPノミネートおよび事業部内MVPを受賞。同時期に、西日本営業部MVPも2か月連続で受賞。現在は、6歳と4歳の子どもを育てるワーキングマザー。

    ・趣味:森林浴、神社巡り
    ・特技:細かい点に気が付くところ

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