コールセンターのセキュリティ対策ガイド|運営形態別に知っておきたいリスクと対策
2026/01/15
- アウトソーシング
- 品質向上
- 在宅勤務
コールセンターでは、顧客の個人情報や通話データを日常的に扱うため、セキュリティ対策は避けて通れないテーマです。一方で、運営形態の多様化やシステムのクラウド化により、「どこにどのようなリスクがあるのか分かりにくい」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、コールセンターで想定されるセキュリティリスクを整理したうえで、運営形態や体制に応じた対策の考え方を解説します。
自社の対策を見直す際の参考としてご活用ください。
コールセンターのセキュリティ対策にお困りの方へ
在宅運営やシステムのクラウド化が進む中で、リスクは認識しているものの、「人手不足や運営負荷の中で十分な対策が取れていない」と感じていませんか。
ウィルオブ・ワークでは、セキュリティ対策を含めたコールセンター運営の課題解決に向けて、体制設計から人材採用まで多角的にサポートしています。
コールセンターにセキュリティ対策が欠かせない理由
コールセンターでは、顧客の氏名や連絡先、契約内容といった個人情報に加え、通話データや応対履歴などの重要な情報を日常的に扱います。
そのため、コールセンターでセキュリティ事故が発生すると、顧客からの信頼低下や企業イメージの悪化など、企業全体に影響が及ぶ可能性があります。特に、顧客との接点となる部門であるため、影響が表面化しやすい点も特徴です。
また、現在のコールセンターでは、IP電話やクラウド型システム、CRMなど、ネットワークにつながった仕組みが前提となっています。「電話業務だから安全」とは言えず、外部からの攻撃や管理不備によるトラブルが起きる可能性もあります。
こうした背景から、コールセンターにおけるセキュリティ対策は、特別な取り組みではなく、業務を安定して続けるための前提条件として捉える必要があります。
コールセンターで想定されるセキュリティリスクの全体像
コールセンターのセキュリティリスクは、一つの原因だけで発生するものではありません。 本章では、リスクを3つの視点から整理します。

外部攻撃と内部不正によるセキュリティリスク
外部からの攻撃によるリスク
コールセンターでは、外部からの攻撃によってシステムへの侵入を許し、顧客情報や通話データが漏洩するリスクがあります。
代表的な攻撃の例としては、以下が挙げられます。
- 不正アクセス
IDやパスワード管理が不十分な場合、管理画面やシステムへ侵入されるおそれがあります。
- なりすまし
正規のオペレーターや管理者になりすましてログインされ、情報を不正に扱われるケースです。
これらの攻撃を起点としてシステムへの侵入を許すと、顧客情報や通話履歴の漏洩につながる可能性があります。コールセンターは情報が集約されているため、被害が一部にとどまらない点も特徴です。
実際に、独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表している「情報セキュリティ10大脅威 2024(組織編)」では、ランサムウェア被害やサプライチェーンを悪用した攻撃が、組織向けの主要な脅威として挙げられています。コールセンターも例外ではなく、対策が不十分な場合には同様のリスクにさらされる可能性があると考えられます。
内部不正・ヒューマンエラーによるリスク
コールセンターでは、外部からの攻撃だけでなく、内部要因によって情報漏洩や事故が発生するリスクもあります。内部起因のセキュリティ事故と聞くと、悪意のある内部不正を想像しがちですが、実際には操作ミスやルールの理解不足といった「うっかり」が原因となるケースも少なくありません。
代表的な内部要因のリスクには、次のようなものがあります。
- 業務目的外での利用
業務上付与された権限を使い、対応に必要のない顧客情報を確認したり、私的な目的で閲覧・利用したりするケースです。
- 操作ミス
誤送信や設定変更ミスなど、意図しない行為によって情報が漏洩する可能性があります。
- ルール逸脱
利便性を優先し、本来定められている手順や手段とは異なる方法で業務を行ってしまうことで、事故につながるケースです。
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)が公表している「内部不正による情報セキュリティインシデント実態調査」では、内部不正の多くが故意ではなく、不注意によって発生していることが示されています。
コールセンターは多くの人が関わり、人の入れ替わりも起きやすい環境です。そのため、内部不正やヒューマンエラーを前提とし、人の注意力に依存しすぎない管理や仕組みづくりが重要になります。
運営形態別のセキュリティリスク
出勤型(センター常駐)運営におけるリスク
出勤型のコールセンターは、同じ拠点で業務を行うため管理しやすく見えますが、センター内で完結するからこそ生じるリスクもあります。
主なリスクは次のとおりです。
- 端末・画面管理の不備
ログインしたまま席を離れる、画面が第三者から見える位置にあるなど、基本的な管理不足が情報漏洩につながるおそれがあります。
- 物理的な情報持ち出し
メモ用紙や印刷物、USBメモリなどを通じて、意図せず情報が社外へ持ち出されるリスクがあります。
- アクセス権限の管理漏れ
業務に不要な権限が付与されたままになっていると、不正利用や事故の原因になります。
在宅(テレワーク)運営におけるリスク
在宅(テレワーク)でのコールセンター運営では、業務環境が社外に広がるため、企業側が直接管理しにくいリスクが生じます。
主なリスクは次のとおりです。
- 自宅ネットワークの脆弱性
会社から支給される端末を利用している場合であっても、セキュリティ設定が不十分な家庭用ルーターや回線を利用することで、通信内容が狙われる可能性があります。
- 家族・第三者によるのぞき見
業務スペースが十分に分離されていない場合、通話内容や画面情報が第三者の目に触れるおそれがあります。
いずれの運営形態でも注意すべきリスク
出勤型・在宅運営のいずれであっても、共通して注意すべきセキュリティリスクがあります。特にコールセンターでは、人の入れ替わりが多く、日々の運用が忙しいことから、管理の抜け漏れが起きやすい点に注意が必要です。
代表的なリスクは次のとおりです。
- 人材の入退社が多い体制
短期間で多くの人が業務に関わることで、誰がどの業務・システムに関与しているのか把握しづらくなり、管理の抜け漏れが発生しやすくなります。
- 管理の属人化
特定の担当者に管理業務が集中すると、不在時や引き継ぎ時に対応漏れが発生しやすくなります。
- アカウント削除・権限変更のタイムラグ
退職や異動後もアカウントが残ったままになると、不正利用や情報漏洩のリスクが高まります。
利用システム別のセキュリティリスク
IP電話・クラウドPBX利用時のリスク
IP電話やクラウドPBXは、ネットワークを介して利用するため、管理が不十分な場合に外部からの侵入を許すリスクがあります。
主なリスクは次のとおりです。
- ソフトフォンへの不正アクセス
PC上のソフトフォンに第三者がログインし、オペレーターになりすまして通話を行うことで、顧客が詐欺被害などに遭うおそれがあります。
- 管理画面への不正アクセス・データ漏洩
設定用の管理画面に不正にアクセスされると、通話設定の変更や録音データ・通話履歴の閲覧が行われ、結果として顧客情報を含む通話データの漏洩につながるおそれがあります。
CRM・顧客管理システムのリスク
CRMや顧客管理システムは業務効率を高める重要なシステムですが、「誰が・どこまで見られるのか」を明確に管理しなければ、セキュリティ上のリスクを抱えることになります。
特に注意したいリスクは次のとおりです。
- CTI連携による情報集中
電話と連携することで、顧客情報や履歴が自動表示されるため、権限管理が甘いと不要な情報まで閲覧できてしまう可能性があります。
- 権限設定ミスによる情報漏洩
本来アクセス不要な項目まで操作できる状態になっていると、内部不正や操作ミスによる情報漏洩につながります。
コールセンターで押さえるべき3つのセキュリティ対策
コールセンターのセキュリティ対策は、特定の施策だけを強化しても十分とは言えません。
本章では、「システム・技術」「運用・ルール」「人」の3つの観点から、基本的な対策を整理します。
システム・技術面でのセキュリティ対策
ネットワーク・通信面の対策
コールセンター業務では通話データや顧客情報がネットワークを通じてやり取りされるため、通信経路を安全に保つことが重要です。
- VPN
社外や在宅環境から社内ネットワークへ安全に接続するための仕組みで、通信内容を暗号化します。
- ファイアウォール
不要な通信を遮断し、許可された通信のみを通すことで、外部からの攻撃を防ぎます。
- 閉域網
インターネットと切り離された専用ネットワークを利用し、外部攻撃の影響を受けにくくします。
アカウント・権限管理の対策
コールセンターでは、多くの人がシステムにアクセスするため、アカウントや権限の管理がセキュリティ対策の基本となります。
- 最小権限の原則
業務に必要な範囲に限定して権限を付与し、不要な情報へのアクセスを防ぎます。
- 退職者アカウントの管理
退職や異動が発生した際に、速やかにアカウント削除や権限変更を行うことが重要です。
- ID・パスワード運用
使い回しを避け、適切な管理ルールを設けることで、不正利用のリスクを下げます。
ログ管理・監視体制
万が一のトラブルに備え、操作履歴を把握できる状態を維持することも重要な対策です。
- 操作ログの取得
誰が、いつ、どのような操作を行ったのかを記録することで、不正やミスの早期発見につながります。
- インシデント発生時の追跡
ログが残っていれば、問題発生時の原因特定や影響範囲の把握がしやすくなります。
運用・ルール面でのセキュリティ対策
セキュリティポリシー・ルールの整備
セキュリティ対策を運用として定着させるためには、考え方や対応方針を明文化することが欠かせません。
- セキュリティポリシーの明文化
情報の取り扱い方や禁止事項を明確にし、「何がOKで、何がNGなのか」を共通認識として持てる状態をつくります。
- 運用ルールの統一
拠点やチームごとにルールが異なると対応漏れが起きやすくなるため、誰が対応しても同じ運用ができるよう統一します。
ルールは厳しさよりも、現場で実行できる現実性を重視することが重要です。
委託・再委託時の管理体制
コールセンター業務を外部に委託する場合は、委託先を含めた管理体制の整備が欠かせません。
- 委託先管理
委託先がどのようなセキュリティ対策を講じているかを把握し、自社の基準と大きな差がないか確認する必要があります。
- 責任範囲の明確化
事故が発生した際に、自社と委託先のどこまでが責任範囲となるのかを事前に整理しておくことが重要です。
業務を委託しても管理責任がなくなるわけではないため、前提を共有したうえで体制を整えることが求められます。
人の面でのセキュリティ対策
オペレーター教育・意識向上
オペレーター一人ひとりが、なぜセキュリティ対策が必要なのかを理解することが重要です。
- なぜ守る必要があるのかを伝える
ルールを押し付けるのではなく、情報漏洩が起きた場合の影響やリスクを共有することで、納得感を持って行動しやすくなります。
- ルールと現場負荷のバランス
現場の実態に合わない厳しすぎるルールは形骸化やルール逸脱を招きやすいため、業務負荷を考慮した運用が必要です。
教育は一度きりで終わらせず、定期的に見直すことで意識を保つ仕組みを整えましょう。
うっかりミスを防ぐ仕組みづくり
人のミスを完全になくすことは難しいため、ミスが起きる前提で対策を考えることが重要です。
- フールプルーフの考え方
フールプルーフとは、人が誤った操作をしても事故につながりにくいよう、あらかじめ仕組みで防ぐ考え方です。
操作ミスやルール違反が起きにくい仕組みを取り入れ、個人の注意力に依存しすぎない環境を整えます。
- 人に依存しすぎない対策
権限の制限や操作ログの取得など、システム面の対策と組み合わせることで、人的リスクを抑えられます。
人の面での対策は、「守らせる」よりも「自然に守れる状態」をつくることがポイントです。
自社に合ったセキュリティ対策のポイント
セキュリティ対策は、すべてを一律に強化すればよいものではありません。コストや人員、運営体制の制約を踏まえたうえで、自社の業務内容や運営形態に合った優先順位を見極めることが重要です。
出勤型か在宅型か、扱う情報の内容は何かといった点を整理し、「どのリスクを優先的に抑えるべきか」「どこは最低限の対策でよいか」を判断し、段階的に対策を進めることが現実的な考え方と言えるでしょう。
また、セキュリティ対策の水準を考える際には、ISMS認証やプライバシーマークの有無が一つの目安になる場合もあります。これらは、情報管理や運用体制が一定の基準に沿って整備されていることを示すものです。
ただし、認証を取得していれば万全というわけではなく、実際の運用が自社の業務内容や運営形態に合っているかを確認することが欠かせません。認証はあくまで基盤と捉え、日々の運用や体制づくりと組み合わせて考える必要があります。
BPOサービス利用という選択肢
セキュリティ対策をすべて内製で行うことが難しい場合、BPOサービスを活用するという選択肢も有効です。設備やシステム、運用ルールが整った体制を利用することで、自社だけでは対応しきれないリスクを抑えられるケースがあります。
特に、次のような課題がある場合は、外部の専門的な体制を活用するメリットが大きくなります。
- セキュリティ対策に割ける人員が限られている
- 在宅運営や拠点分散により管理が複雑になっている
- ルールや運用の属人化に課題を感じている
BPOは「すべてを任せる手段」ではなく、自社のリソースで無理なくセキュリティを維持するための一つの選択肢と捉えることが重要です。内製と外部活用を組み合わせることで、現実的かつ継続可能な体制を構築できる場合もあります。
ウィルオブ・ワークでは、プライバシーマーク・ISMS認証を取得したBPOセンターを運営しております。
BPOサービスにご興味お持ちいただけましたら、WILLOFの実績・対応範囲・導入事例などをまとめたサービス概要資料をぜひご覧ください。
まとめ
コールセンターのセキュリティ対策は、外部からの攻撃だけでなく、内部要因や運営形態、利用システムなど、複数の視点から考える必要があります。特に、在宅運営やシステムのクラウド化が進む現在では、「これまで問題がなかったから大丈夫」という考え方は通用しません。
重要なのは、すべてを一度に完璧に整えることではなく、自社の業務内容や運営体制に合ったリスクを把握し、優先順位をつけて対策を進めることです。システム・運用・人のそれぞれの観点から、無理なく継続できる形で対策を講じることが、結果的にセキュリティリスクの低減につながるでしょう。
コールセンターのセキュリティや運営体制でお悩みの方へ
自社運営でのセキュリティ対策に限界を感じている場合や、体制の見直しを検討している場合は、ぜひ一度ウィルオブ・ワークへご相談ください。
貴社の運営形態や課題に合わせたご提案が可能です。



