コールセンターの応対品質向上ガイド|オペレーターのモニタリング項目や改善施策を解説
2025/05/21
- 品質向上
- 生産性向上
- 顧客満足度向上

コールセンターは「企業の顔」として、顧客から寄せられるさまざまな問い合わせに迅速かつ的確に対応する役割を担っています。製品に関する質問、購入や保証手続き、返品対応、技術サポート、さらには顧客の要望やクレームへの対応まで、その内容は多岐にわたります。
このような多忙な環境で、コールセンターのオペレーターが常に意識しなければならないのが「応対品質」です。応対品質は顧客満足度(CS)や業務の生産性向上に直結する重要な要素ですが、オペレーターの応対にばらつきがあったり、KPIの改善が思うように進まなかったりと、悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
本記事では、オペレーターの応対品質を向上させるための具体的な施策について、詳しく解説します。
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コールセンターにおける「応対品質」とは
コールセンターにおける「応対品質」とは、オペレーターが顧客と接する際のスキルや態度、言葉遣いの質を指します。具体的には、以下の要素が含まれます。
- 言葉遣い: 適切な表現を使っているか
- 商品知識: 商品に関する知識を持ち、スムーズに問い合わせに対応できているか
- 気遣い: お待たせした際に感謝やお詫びの言葉を述べられているか
- 顧客理解: 顧客のニーズを理解し、親身になって対応できているか
1人ひとりの顧客に寄り添った対応が、企業イメージを向上させます。コールセンターの品質が向上することで、既存・新規顧客がファンとなり、結果的に企業の売り上げに貢献することでしょう。
さて、誰しも一度は問題を解決するためにコールセンターに電話をかけた経験があるかと思います。忙しい時間帯に電話が混んでいて、5分以上も待たされていると、どうしてもイライラしてしまいます。しかし、オペレーターが「大変お待たせいたしました。担当の〇〇でございます。」と丁寧に気持ちを込めて言ってくれた瞬間、気持ちが和らぐこともあるでしょう。
状況に応じた適切な言葉やトーン、そして気遣いの表現を使うことが、オペレーターや企業に対する印象を大きく変えます。顧客の課題が解消されるだけでなく、オペレーターの応対によって顧客が気持ちよく電話を終えられることが大切です。そして、「またこの企業の商品を買いたい・サービスを利用したい」と思ってもらえることが、まさに応対品質の高いコールセンターの証なのです。
コールセンターで応対品質を向上させるメリット
応対品質の高いオペレーターがいることによるコールセンターのメリットをみていきましょう。

顧客満足度・ロイヤルティの向上
応対品質が高まることで、顧客は「この企業なら安心できる」と感じるようになります。迅速かつ的確な対応は、顧客の不満や疑問を即座に解消し、ポジティブな体験を提供します。その結果、顧客満足度が向上し、リピート利用や継続的な取引へとつながります。特に、満足度の高い顧客は口コミやレビューを通じて他の顧客を呼び込む可能性が高く、企業の信頼性向上に寄与します。
業務効率の向上
応対品質が向上すると、1回の問い合わせで顧客の問題を解決する一時解決率が高まります。これにより、同じ顧客からの重複問い合わせやクレームが減少し、オペレーターの負担も軽減されます。また、明確な応対フローやナレッジの整備により、効率的な対応が可能となり、全体の生産性向上やコスト削減が実現します。
ブランドイメージの強化
顧客がコールセンターで受ける対応は、企業の印象を大きく左右します。応対品質が高い企業は、顧客から「信頼できる」「顧客を大切にする」というイメージを持たれやすくなります。この良い印象は口コミやSNSを通じて広がり、新規顧客の獲得にも貢献します。また、信頼できるブランドイメージが定着することで、競合他社との差別化が図れるでしょう。
収益性の向上
応対品質の向上は、単に顧客満足を高めるだけでなく、企業の収益性向上にも直結します。質の高い対応により、顧客との信頼関係が深まり、クロスセルやアップセルのチャンスが増加します。また、顧客離れを防ぎ、長期的な収益の安定化を実現します。さらに、クレーム対応やトラブル解決のコストが削減されることで、間接的なコスト削減効果も得られます。
従業員満足度と定着率向上
応対品質向上は、従業員にとってもプラスの効果をもたらします。明確な品質基準やトレーニングの充実により、オペレーターは自身の成長を実感しやすくなります。また、クレームの減少や効率的な業務フローの確立により、従業員のストレスが軽減され、モチベーションが向上します。結果として、離職率の低下や従業員エンゲージメントの向上につながります。
応対品質低下により起こりうる影響
次に、応対品質が低下した場合に生じる可能性のあるデメリットを見ていきます。
顧客からのクレーム
オペレーターの知識不足により、顧客の質問に適切に回答できなかったり、調査に時間がかかって待たせてしまったりすると、顧客の不満が募ります。度重なる保留や遅延は、顧客のフラストレーションを高め、信頼感を損なう原因となります。
さらに、マナーに欠ける言葉遣いや気配りのない対応、誤った案内や手続きミスが重なると、クレームが発生するリスクが大幅に増加します。こうしたクレームの頻発は、企業の信頼性やブランドイメージに深刻なダメージを与えかねません。
▼クレーム対応について詳しく知りたい方はこちら
「元CS担当者が解説│クレーム対応の心得・NG対応・発生させない仕組みづくり」
生産性の低下
オペレーターが問い合わせ内容に対して即答できない場合、マニュアルやシステムを参照する必要が生じ、その時間が対応全体を長引かせます。この結果、AHT(1件あたりの対応時間)が延び、生産性の低下を招きます。
また、クレーム対応が頻発したり長引いたりすると、他の顧客の待ち時間も増え、エスカレーション対応が必要になった際にはスーパーバイザー(SV)のリソースも消耗します。
応対品質の低下は、このように業務全体の効率に悪影響を及ぼし、企業のリソースを圧迫します。オペレーターが基本的な応対スキルに加え、業務知識の向上を図ることで、マナーの向上と生産性の向上が同時に実現可能です。
企業イメージダウン
オペレーターが適切かつ迅速に対応できなかったり、頻繁にクレームが発生したりすると、企業の評判に致命的なダメージを与えるリスクがあります。ネガティブな体験が口コミやSNSで拡散され、ブランドイメージが悪化する可能性が高まります。
その結果、既存顧客の離脱や新規顧客獲得の機会損失を招く恐れも考えられるため、応対品質の維持・向上は企業経営において極めて重要なのです。

コールセンターでの応対品質向上に効果的な3つの施策
コールセンターにおける応対品質は、顧客満足度や企業の信頼性を左右する重要な要素です。本では項目では、応対品質向上に役立つ3つの具体的な施策について解説します。
応対品質均一化
コールセンターでは、オペレーターごとのスキルや対応レベルにばらつきが生じることが少なくありません。中には高評価を得るオペレーターがいる一方で、品質向上に課題を抱えるオペレーターもいます。このばらつきを放置すると、以下の問題が発生する可能性があります。
- 顧客体験に一貫性が欠ける
- 特定のオペレーターへの依存が発生
- 企業全体のブランドイメージが低下
これらを防ぐためには、応対品質を均一化する取り組みが欠かせません。たとえば、以下の方法が効果的です。
- 標準化されたトレーニングプログラムの導入
- ベストプラクティスを共有する仕組みの整備
- 応対マニュアルの作成と定期的な更新
オペレーター全員が同じ基準で応対できる環境を構築することで、顧客満足度の向上や効率的な運営が実現します。
システム導入
応対品質向上には、適切なシステムの導入も有効です。以下は具体的な導入例です。
- FAQシステム:顧客が自己解決できる仕組みを整備することで、簡単な問い合わせへの対応負荷を軽減し、オペレーターがより重要な業務に集中できるようになります。
- IVR(ビジュアルIVR):音声案内だけでなく、顧客が画面上で選択肢を確認しながら対応を進められる仕組みで、利便性と効率性を向上させます。
- CTIシステム:顧客情報を瞬時に検索できる環境を整えることで、オペレーターの対応時間を短縮し、顧客満足度を向上させます。
さらに、近年注目を集めているのがAIを活用したシステムです。たとえば、LINE AiCallでは、AIオペレーターが人間のように自然な応対を行います。このような先進技術の導入は、応対品質の向上だけでなく、コスト削減や効率化にも寄与します。
コールセンターアウトソーサーへの業務委託
高い応対品質を保つためには、専門のコールセンターアウトソーサーを利用することもひとつの選択肢です。アウトソーサーへ依頼する場合、以下のような運営形態があります。
コールセンターアウトソーサーの運営形態 |
|
インソース運営 |
【運営方法】 【メリット】 |
チーム派遣・チーム委託 |
【運営方法】 【メリット】 |
アウトソーシング |
【運営方法】 【メリット】 |
たとえば、「自社の文化を維持しながら運営したい」「セキュリティリスクを最小限におさえたい」という場合はインソース運営、「定着率向上による安定したセンター運営」ならチーム派遣、「業務負担を最小限に抑えつつコスト削減を図る」ならアウトソーシングが有効です。
アウトソーサーを活用する場合は、企業の抱える課題ごとに適した運営方法が異なるため、最適な運営方法を選択できるよう検討しましょう。
オペレーターの品質向上施策
ここまで、コールセンター全体の応対品質向上施策について解説しましたが、オペレーター個々の品質向上も欠かせません。どれだけシステムや仕組みを整えても、実際に顧客と対話するのはオペレーターです。
ここからは、オペレーターの対応品質を向上させるための具体的な施策を紹介します。

モニタリング
モニタリングとは、オペレーターの電話応対をチェックし、フィードバックを行う指導方法です。
「適切な言葉遣いができているか」「正確な案内ができているか」「顧客の課題を解決できているか」など、評価項目に基づいて問題点を特定し、改善策を講じます。
モニタリングは、品質管理担当者やスーパーバイザー(SV)が担当するのが一般的です。
モニタリングの方法は、以下の2種類があります。
リアルタイムで応対内容をチェックする方法
リアルタイムモニタリングのメリットは、万が一 間違った案内があればその場で指摘できる点と、オペレーターの表情やシステム操作が確認ができ、適切な指導が可能な点があげられます。
デメリットとしては、オペレーターが緊張してしまい、本来の応対力を発揮できない可能性がある点や、顧客対応の流れを崩してしまう可能性がある点です。オペレーターが安心して応対できるよう事前説明するなどして、配慮しましょう。
録音した内容を後日チェックする方法
録音した音声をモニタリングする場合のメリットは、オペレーターにプレッシャーを与えない点と、何度でも確認することができるので改善点を洗い出しやすい点です。
デメリットとしては、オペレーターの表情やシステム操作の仕方が見られない点と、チェックに時間がかかるので、実施頻度を調整する必要がある点です。
モニタリングを実施する際は、リアルタイムモニタリングと録音モニタリングを組み合わせることで、双方のメリットを活かしましょう。
ミステリーコール(覆面調査)
ミステリーコール(覆面調査)は、第三者に入電を依頼し、オペレーターの応対品質を評価する手法です。外部の調査会社へ依頼するため、通常のモニタリングとは異なり、オペレーターには調査の事前周知はされません。
ミステリーコールのメリットは、社内モニタリングに時間とリソースがない場合に効率的に行える点と、顧客目線での応対品質の課題が発見できる点です。
デメリットは、調査会社への依頼コストがかかる点と調査員の質や判断によって、評価にブレが生じる可能性がある点です。
ミステリーコールを実施する場合は、モニタリングと組み合わせて実施し、定性的・定量的に評価したり、調査内容を事前に明確にし、評価基準を統一するようにしましょう。
顧客アンケートの実施
応対品質向上のためには、実際に電話を受けた顧客の意見を収集することも重要 です。
顧客アンケートには、以下のような方法があります。
アンケート実施方法 |
SMS・メールアンケート: |
電話アンケート: |
顧客アンケート実施によるメリットは、顧客目線のリアルなフィードバックが得られ、製品やサービスの改善点が明確にできることです。また、ポジティブなアンケート内容は、オペレーターのモチベーション向上にも寄与します。
デメリットは、アンケート回答率が低くなりやすい点と、オペレーターによって回答のバラつきが生じる可能性があることです。
顧客アンケートを実施する際は、アンケート回答特典により回答率をあげる仕組みをつくり、定期的に結果を分析し、品質改善に活かせられるよう取り組みましょう。
モニタリングのチェック項目
コールセンターには、受信・発信の違いがあるだけでなく、業務内容も多岐にわたります。そのため、業務ごとに重点的にチェックすべき項目は異なります。
本項目では「ケータイ電話の保証サービス」の手続きを例に、モニタリング時に確認すべきポイントを見ていきます。
【手続きの一例】

モニタリングの評価項目
正確性
- 本人確認が適切に行われているか
- 保証サービスの説明や、顧客が行う必要のある手続きについて説明が漏れなくできているか
- 故障電話機の返送方法や注意事項を正しく案内できているか
- 配送先住所の確認と復唱確認が確実に行われているか
声のトーン・スピード
- 企業の代表としてふさわしい、明るく丁寧な話し方ができているか
- 顧客の感情(怒り、不安など)に応じて適切に声のトーンを調整できているか
- 通話時間を短縮しようと 不自然に早口になっていないか
- 事務的・機械的な話し方にならず、温かみのある対応ができているか
傾聴力・質問力
- 顧客の問い合わせ内容や質問を正確に聞き取れているか
- 顧客の意図をくみ取り、適切な補足質問や深堀りができているか
電話応対基礎・マナー、コミュニケーション力
- 敬語や尊敬語を正しく使えているか
- 顧客とスムーズな言葉のキャッチボールができているか
- 顧客の発言を遮らず、最後までしっかり聞けているか
- 保留にする際は理由を伝えたうえで実施し、保留解除後にお礼を伝えているか
数値化による評価
モニタリングの評価を数値化することで、オペレーター自身が自身のスキルレベルを客観的に把握できます。また、満点に近づけるように意識して改善に取り組むことが可能になります。
モニタリングのオペレーション方法
モニタリングを実施する際には、事前準備が欠かせません。ここでは、オペレーション全体の流れを紹介します。
1.課題整理
まずはコールセンターの現場で発生している課題を整理します。たとえば、以下のような課題が考えられます。
- オープニングの第一声に元気がない
- クロージングが早口になりがち
- 敬語・尊敬語の使い分けができていない
- 顧客の要望やニーズを適切にくみ取れていない
- 専用システムへの入力ミスが多い
- 必要な場面で復唱確認ができていない
- 1件あたりの応対時間が長すぎる
このような課題を洗い出したうえで、コールセンター全体として解決すべき問題点を特定し、評価項目を設定します。
2.評価基準設定
評価項目が決まったら、それぞれに点数を設定します。評価方法には以下のような形式があります。
- 合計100点方式:各項目に配点を設定し、総合点で評価する方法
- 5段階評価方式:項目ごとに1〜5点で評価し、総合点を算出する方法
どの方式を採用するかは、運用のしやすさや評価の透明性を考慮して決定します。
3.モニタリングの実施
スーパーバイザー(SV)や品質管理担当者がモニタリングを行います。事前に設定した評価基準に基づき、以下の内容をチェックします。
- 各評価項目の点数付け
- 改善すべきポイントの記録
- オペレーターへのフィードバック
評価の際には、単に減点するのではなく、改善点を具体的に伝えることが重要です。
4.結果の活用(改善策策定、実施、効果検証など)
モニタリングの結果をもとに、オペレーターごとの課題を洗い出し、改善策を策定します。
たとえば、以下のようなアプローチが考えられます。
- 声が小さく機械的な応対になりがちなオペレーター → 口角を上げて話す練習、デスクに鏡を置いて表情を意識する
- 応対スピードが遅いオペレーター → 模擬応対を通じてテンポを意識したロールプレイングを実施
改善策を実施した後は、次回のモニタリングでその効果を検証し、さらなるブラッシュアップを行います。
このPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act) を繰り返すことで、応対品質の継続的な向上を図ります。
5.定期的なモニタリングの実施
モニタリングは 一度行って終わりではありません。
2か月ごと、3か月ごとなど 定期的に実施日を設定し、改善サイクルを回すことが重要 です。
スーパーバイザーや品質管理担当者にとっては手間のかかる作業かもしれませんし、オペレーターにとってもプレッシャーに感じることがあるかもしれません。
しかし、この取り組みを継続することで、オペレーターのスキル向上や業務効率化が実現し、最終的には顧客満足度の向上にもつながります。
コールセンター全体の品質向上を目指し、効果的なモニタリングを継続的に実施していきましょう。
コールセンター応対品質についてのまとめ
今回は、オペレーターの応対品質向上に特化して解説しました。
コールセンターの業務は、企業ごとに内容や受信・発信の違いがあるため、抱える課題や必要な改善策も異なります。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 小林 弘明
新卒1年半は銀行にて勤務。その後 株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)にキャリアチェンジし、営業職と支店長を経験。
その後4年間は教育担当者として従事し、本部営業を1年間経験。現在は営業推進部マネージャとしてスタッフキャリア支援を担当。
・趣味:北海道の田舎で育ったので、自然アクティビティが大好き!特にシュノーケリング、川遊び。
・特技:飲み屋でだれとでもすぐ仲良くなること。
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