顧客ニーズとは?コンタクトセンターにおける顧客ニーズや分析手法を紹介

2024/03/12

「顧客が何を求めているのか」を理解することは、マーケティングや製品開発、質の高いカスタマーサポートを提供する上で欠かせません。しかし、顧客のニーズをどのように把握すればよいか、その具体的な方法が分からないという方も少なくありません。

この記事では、顧客ニーズの概要から始め、その具体的な種類やニーズを分析する必要性、そしてその分析手法について詳しく解説していきます。顧客満足度を高めるための第一歩として、まずは「顧客ニーズとは何か」を理解することから始めましょう。

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顧客ニーズの基本概念と重要性

まずは「顧客ニーズ」の基本概念とビジネスにおける重要性について、具体的なコンタクトセンターでの対応例と共に解説します。

顧客ニーズとは

顧客ニーズとは、顧客が製品やサービスに対して望む「理想的な状態」を指す欲求のことです。これは単に物理的な商品やサービスそのものではなく、顧客がその製品を通じて得たい満足感や経験を含みます。

例えば、スマートフォンを購入する際、顧客は単に電話としての機能だけではなく、使いやすさやデザイン、ステータス感など、さまざまな「理想」を求めています。これらは全て顧客の内面にある心理的な欲求であり、製品やサービスを通じてそのニーズを満たそうとします。ビジネスにおいてはこれらのニーズを理解し、それに応えることが顧客満足と継続的な関係構築へと繋がります。

なぜ顧客ニーズを理解することが重要なのか

顧客ニーズを理解することは、ビジネスにおいて非常に重要な意味を持ちます。最も大きな理由は、顧客に強いインパクトを与え、それによって購買意欲を喚起するためです。顧客の深層心理にあるニーズを的確に捉え、それに応える商品やサービスを提供することで、顧客にとって忘れがたい経験を提供し、強い購買意欲と共に企業やサービスへのロイヤルティを生み出します。

また、顧客ニーズの把握はマーケティング戦略やカスタマーサポートの質を向上させ、顧客満足度を高めることに直結します。顧客がまだ意識していない深いニーズを見つけ出し、それに応えるサービスを提供することで、顧客は深い感動と満足を得ることができます。

ニーズとウォンツの違い

ニーズとウォンツは顧客の欲求を示す用語ですが、その意味には重要な違いがあります。

ニーズは、顧客が理想とする状態への深層心理に根ざした欲求を表し、基本的なものから高度な精神的満足まで幅広い範囲を含みます。

一方で、ウォンツはそのニーズを満たすために顧客が具体的に求める手段や解決策を指します。例えば、安全というニーズに対し、ウォンツは耐久性の高い車かもしれませんし、保険サービスかもしれません。

1つのニーズに対して、ウォンツは多数存在するのが一般的です。多くの顧客は具体的なウォンツは語れても、背後にあるニーズは明確に語れないことがあります。だからこそ、ビジネスでは顧客の言葉に耳を傾けるだけでなく、その背後にある真のニーズを探り出す洞察力が求められるのです。

コンタクトセンターの顧客ニーズへの対応

コンタクトセンターは、顧客と企業が直接やり取りする重要なタッチポイントであり、顧客ニーズを把握するための貴重な情報源になります。VOC分析や顧客満足度調査を通じて、顧客が抱える問題点や要望を収集し、それらを分析することで、顧客ニーズの把握と理解が行われます。

コンタクトセンターで顧客ニーズを把握するには、多くの顧客から寄せられる意見はもちろん、少数の意見にも目を向けることが重要です。なぜなら、そこには大多数が気づいていない潜在的なニーズが隠れている可能性があるからです。

コンタクトセンターにおける7つの顧客ニーズ

コンタクトセンターでの顧客体験をデザインする際、最も重要なことは相手のニーズを深く理解することです。CXの専門家であり、CXpertの創業者でもあるBen Motteram氏は、企業とのやり取りにおいて顧客が持つ7つの基本的な欲求を指摘しています。(出典:THE 7 NEEDS OF A CONTACT CENTER CUSTOMER

これらは「親しみやすさ」「共感」「公正さ」「主導権」「代案」「情報」「時間」という要素で構成されております。これら7つのニーズについて、それぞれどのような意味があり、コンタクトセンターがどのように対応すべきかについて詳しく説明します。

親しみやすさ

「親しみやすさ」は顧客ニーズの中で最も基本的な要素です。顧客が接するオペレーターやサービス担当者は、礼儀正しく丁寧であることが求められます。この基本的な心地よさが顧客との信頼関係の構築へと繋がり、ポジティブな顧客体験を形成する土台となります。

共感

「共感」は、顧客が自身の状況や感情が理解され、尊重されていると感じることができる顧客ニーズです。顧客は自分の欲求や問題に対して共感的な耳を傾け理解を示し、適切な反応をしてくれるサービス担当者を求めています。

公正さ

「公正さ」は、顧客がサービスを受ける際に公平で合理的な扱いを受けていると感じることが重要なニーズです。顧客は自分が十分な配慮を受け、他の顧客と差別なく公正に扱われていると感じたいと望んでいます。

主導権

「主導権」は、顧客が自分の要望や意見がサービスの結果に実際に影響を与えていると感じることができる重要なニーズです。顧客は単に受動的な受け手ではなく、サービスの過程や結果に積極的に関与し、自らの声が聞き入れられ、重視されていると感じたいと望んでいます。

代案

「代案」とは、顧客が提供されるサービスや商品に対して、選択肢と柔軟性を求めるニーズです。顧客は自分の状況や要望に合った様々な解決策や代替品が存在することを知りたいと望んでいます。彼らは、自分にとって最も適した選択をする機会を持つことで、満足度が高まると感じます。

情報

「情報」は、顧客が商品やサービスについて正確で役立つ知識を得たいというニーズです。顧客は、自分の判断に必要な情報を適切な量で提供されることを望んでいます。過剰な情報や強引な販売戦略は顧客を遠ざける可能性があるため、情報提供は慎重かつ客観的に行う必要があります。

時間

時間は、顧客が自分の時間を大切にし、効率的に使われることを望むニーズです。顧客は、自分が関与するタスクやサービス利用において、その時間が最小限に抑えられ、迅速かつ効果的に物事が進むことを期待します。コンタクトセンターは顧客の時間を尊重し、待ち時間の短縮や迅速な対応を常に心がける必要があります。

顧客ニーズ分析のメリット

顧客ニーズ分析を行うことは、ビジネス全体およびコンタクトセンターにとって多大なメリットをもたらします。この分析により、ターゲットの明確化、サービスの質の向上、さらには顧客とのタッチポイント改善などの具体的なメリットが得られます。これらのメリットについて詳細に解説します。

ターゲットの明確化

顧客ニーズ分析を行うことによって、企業は自社のターゲット層をより明確に理解し、必要に応じて再検討することが可能になります。この分析を通じて、従来の想定とは異なるニーズが存在することが明らかになることがあります。

このような発見は、ビジネス戦略の修正やマーケティング活動の再調整に直結します。企業は顧客ニーズ分析によって、より適切なターゲット層に焦点を当てることができ、リソースの効率的な配分やマーケティング戦略の最適化が可能となります。

サービスの改善

顧客ニーズ分析は、商品やサービスの質を向上させるための重要なツールです。顧客のニーズを正確に把握することで、顧客が実際に求めている機能や特性を明確にすることができ、それに基づいて製品開発やサービスの改善を行うことができます。

また、顧客ニーズ分析を通じて、提供中の商品やサービスが顧客の期待や要望とどのように一致しているか、または一致していないかを把握することができます。この情報を活用することで、企業は顧客にとっての価値を高めるための具体的な改善策を講じることができます。

タッチポイントの改善

顧客ニーズ分析を行うことで、顧客との各タッチポイントでの経験を改善し、より個別化されたサービスを提供することが可能になります。顧客の期待やニーズに応じて、コミュニケーション方法やサービス提供の方法を調整することにより、顧客の満足度を高めることができます。

トランスコスモスの調査によると、購買後の体験が想像していたものよりも良い場合、約84%の顧客がその商品を継続して使用したいと考え、約82%がその会社の他の商品の利用を優先的に検討することがわかっています。このデータからも明らかなように、顧客体験の質はリピート購買やクロスセリングの可能性を高めるために非常に重要です。

顧客ニーズ分析のステップ

顧客ニーズ分析は、効果的なデータ収集、ニーズの分析とインサイトの抽出、そして分析結果の実践的活用の3つの主要ステップに分けられます。これらのステップについて詳細に解説します。

効果的なデータ収集

顧客ニーズ分析の初めのステップとして、効果的なデータ収集が非常に重要です。このステージでは、データの量だけでなく、その質も同様に大切です。日々のコンタクトセンターからの顧客の声や収集される顧客データは基本的な情報源となります。リアクティブな調査に加えて、SNSの分析やアンケート調査など積極的にこちらから情報を取得しにいくことも重要です。

特に潜在ニーズの把握は、市場での競争優位を獲得するために貴重です。そのためには、大多数からのフィードバックだけでなく、マイナーな意見や少数派の声にも注目する必要があります。これらのデータは、他では見落とされがちな貴重なインサイトを得ることができます。

ニーズの分析とインサイトの抽出

データが収集できたら、分析をしてインサイトを得るのが次のステップです。データの量や質に応じて、適切な分析手法を選択する必要があります。現在では、様々なフレームワークや分析手法が開発されており、これらを利用することでデータから価値ある情報を抽出することができます。

特に人工知能(AI)や機械学習のような先進技術を活用することで、人間の手による分析よりも効率的に、または新しい視点でのインサイトを得ることが可能になります。これらの技術は、データのパターンを認識し、人間では気づきにくい関連性や傾向を明らかにすることができます。

また、分析が完了した後、得られたデータを効果的に活用するためには視覚化することが大切です。視覚化によって、データの中から情報を直感的に把握し、意思決定に役立てることができます。エクセルなどの基本的なツールから、CRMやテキストマイニングツールのような専門的なソフトウェアまで、さまざまな方法でデータを視覚化することが可能です。分析結果の中には、求めていた情報以外のデータも多く含まれますが、これらを効率的に整理し、必要な情報だけを抽出して可視化することで、製品やサービスの改善に直接活用することができます。

分析結果の実践的活用

最後には、分析結果を製品やサービスに実践的に反映させることが大切です。このプロセスでは、分析によって明らかになった顧客のニーズや期待に基づいて、具体的な製品改善やサービスの最適化を行います。

例えば、顧客のフィードバックに基づいて新たな機能を追加する、サービスプロセスを改善する、顧客体験を高めるための新しいアプローチを採用するなどが含まれます。

重要なことは、これらの改善が一度限りで終わるのではなく、継続的なプロセスの一環として捉えることです。製品やサービスに変更を加えた後も、その効果を定期的に分析し、さらなる改善点がないかを評価します。このようにして、顧客ニーズに対応し続けることで、企業は持続的な競争優位を築くことができます。

顧客ニーズ把握の手法

顧客ニーズを把握するためには、様々な手法があります。適切に活用することで、企業は顧客の期待や要望をより深く理解することができます。具体的な分析手法について詳しく解説します。

ソーシャルリスニング(SNS調査)

ソーシャルリスニングは、SNSを通じてユーザーの意見を収集し分析する方法です。この手法では、キーワードやハッシュタグを用いてソーシャルメディア上の投稿を追跡し、顧客の感情や意見、傾向を把握します。顧客が好むもの、不満に感じている点、市場の流行など、リアルタイムでのフィードバックが得られる点が大きなメリットです。

ただし、ソーシャルリスニングには限界もあります。SNS上で共有される情報は必ずしも全ての顧客の意見を代表するわけではなく、特定の層や傾向が強調されることがあります。また、情報の正確性や信頼性には常に注意を払う必要があります。そのため、ソーシャルリスニングの結果は他の調査手法と組み合わせて利用することが望ましいでしょう。

顧客アンケート

顧客アンケートは、ウェブ上や紙媒体を用いて顧客から直接情報を収集する手法です。このアプローチには、主に二つの形式があります。一つは、複数選択式の質問やスケールに基づく質問を用いた定量的な調査で、ここでは統計的に有意なデータを収集します。もう一つは、顧客に自由に意見や感想を記述してもらう定性的な調査です。これにより、顧客の思考や感情、意見の背後にある理由を深く理解することができます。大規模な顧客調査を行いたい場合は、専門の調査会社に依頼することも一つの選択肢です。

しかし、アンケート調査には限界もあります。定量的なアンケートでは、顧客の深層的なインサイトや、設問外の新たな課題を発見することが難しい場合があります。また、定性的なアンケートは利き方によっては回答にバイアスがかかる可能性があります。

キーワード調査

キーワード調査は、検索エンジンで頻繁に入力される単語やフレーズを特定する手法です。グーグルトレンドなどの特定のツールを利用してトレンドを探る方法やキーワードをシークレットモードで検索し、自社のウェブサイトや製品が検索結果の中でどの位置にあるかを確認する方法もあります。一般的に、自社のウェブサイトが検索結果の1ページ目に表示されない場合、顧客に見つけてもらう可能性は低くなります。

ただし、キーワード調査だけでは、検索者の意図や背景を完全には理解できません。なぜなら、どのようなコンテキストで検索が行われたのか、検索者が本当に求めているものは何かといった詳細な情報は分からないためです。そのため、キーワード調査は他の顧客ニーズ把握の手法、例えば顧客アンケートやインタビュー、ソーシャルリスニングなどと組み合わせて使用することが効果的です。

インタビュー

インタビューは、自社の製品やサービスを購入した顧客に直接話を聞く手法です。インタビューによりアンケートなどでは捉えられない質の高いデータを収集することが可能です。インタビューでは、顧客の体験や感想、製品やサービスに対する具体的な意見など、より深い洞察を得ることができます。

ただし、インタビューにもいくつかの限界もあります。まず、実施には時間と労力がかかり、大量のデータを収集することは難しいです。さらに、インタビューの結果は必ずしも代表的ではなく、特定の顧客群の意見に偏る可能性があります。また、既存の顧客を対象にしたインタビューの場合、彼らがすでに自社サービスに好意的である可能性が高いため、フィードバックにバイアスが生じる可能性があります。そのため、インタビューで得られた情報は、他のデータソースや調査結果と併せて分析し、より広範な顧客ニーズの把握に努めることが重要です。

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップの作成は、顧客が自社の製品やサービスと関わる全過程を視覚的に表現する手法です。ジャーニーマップにより、顧客の視点から購入前の認知段階から購入後のフォローアップに至るまでの顧客体験を全体的に理解することができます。ジャーニーマップには、顧客が直面する可能性のある障壁や問題点、重要なタッチポイント、顧客の感情や思考が記録されます。

カスタマージャーニーマップの作成自体は、他の顧客ニーズ把握の手法と組み合わせて利用することでより大きな効果を発揮します。例えば、アンケートやインタビューの結果をジャーニーマップに組み込むことで、より具体的で実践的な顧客体験の改善策を導き出すことが可能になります。

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カスタマーサポートを強化するカスタマージャーニーマップの活用方法について解説

まとめ

本記事では、コンタクトセンターにおける顧客ニーズ分析の重要性とその方法について詳しく解説しました。

顧客ニーズを適切に把握して分析し、活用することによって、コンタクトセンターは単なるコストセンターから、価値を生み出すプロフィットセンターへと変貌を遂げることが可能です。この進化は、顧客満足度の向上、リピートビジネスの増加、さらには新しいビジネスチャンスの創出につながります。顧客ニーズの理解と対応は、現代のビジネスにおいて不可欠な要素であり、その重要性は今後も高まることでしょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属。フィールドサポータや営業コーディネータ、キャリアアドバイザー、新規営業、人材紹介(転職支援)などを経験。
    2020年 人材紹介にて自己最高売上を記録、時短勤務×妊娠中での実績が評価され全社月間MVPにノミネート。現在5歳と2歳を育てるパワフルワーママ!

    ・趣味:断捨離、森林浴、岩盤浴
    ・特技:細かい事に気が付く点

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