コールセンターでの顧客満足度(CS)とは?定義から向上方法まで徹底解説

2024/09/04

顧客満足度(CS)は、コールセンターにおいて最も重要な指標の一つです。顧客満足度の達成こそがコールセンターの至上命題と言っても過言ではありません。高い顧客満足度を実現することで、企業は長期的な成功を収めることができます。

本記事では、CSの基本的な定義から、その重要性、代表的な指標、具体的な向上方法を詳しく解説します。顧客満足度を高めることで、リピーターの増加やブランド力の向上など、多くのメリットが期待できます。コールセンター運営を成功させるために、ぜひお読みください。

顧客満足度(CS)とは

顧客満足度(Customer Satisfaction、略してCS)は、企業が提供する製品やサービスに対する顧客の満足度を表す指標です。

コールセンター業界において、CSは顧客との関係の質を測る重要な尺度となっています。顧客満足度は、顧客の期待と実際に受けたサービスの質との差によって決定されます。つまり、顧客の期待を上回るサービスを提供できれば、高い顧客満足度を得ることができるのです。

顧客満足度を高めることは、顧客との長期的な関係構築、ブランドロイヤリティの向上、そして企業の持続的成長を支える基盤となります。顧客は再購入や他者への推奨を行う可能性が高くなり、結果として企業の収益向上にも繋がります。

コールセンターにおける顧客満足度の役割

多くのコールセンターにとって、顧客満足度の向上は存在意義そのものです。実際、コールセンター白書2020によると、コールセンター設立の理由として最も挙げられているのが「顧客満足度の向上」です。

コールセンターは、多くの企業にとって顧客とのタッチポイントとなります。ここでの顧客体験が、企業全体に対する印象を左右すると言っても過言ではありません。

顧客満足度を測定する方法

顧客満足度を効果的に向上させるためには、まず現状を正確に把握することが重要です。コールセンターにおける顧客満足度の測定方法には、主に以下の3つがあります。

指標CSATNPSCES
概要顧客満足度を直接的に測定する一般的な指標顧客ロイヤリティを測定する指標顧客がサービスを利用する際に感じる労力や困難さを測定する指標
計測方法アンケート形式で
5段階や10段階で評価
アンケート形式で
推薦度を11段階で回答
アンケート形式で
5段階や7段階で評価
利点・シンプルで理解しやすい
・即時的なフィードバックが得られる
・改善点が特定しやすい
・顧客ロイヤリティと企業の成長との相関関係が高い
・シンプルな質問で幅広い顧客体験を捉えられる
・具体的な改善点を特定しやすい
課題・一時的な感情に左右されやすく長期的なロイヤリティを必ずしも反映していない・NPSだけでは具体的な改善点を特定しづらい・全体的な顧客体験を把握するには不十分

CSAT(カスタマー・サティスファクション・スコア)

CSATは、顧客満足度を直接的に測定する最も一般的な方法です。通常、顧客とのやりとりの後に「サービスにどの程度満足しましたか?」といった質問を5段階や10段階で評価してもらいます。

CSATの利点は、シンプルで理解しやすく、即時的なフィードバックが得られることです。また、特定のオペレーターによるやりとりや製品に対する満足度を測定できるため、改善点を特定しやすいという特徴があります。

一方で、CSATは一時的な感情に左右されやすく、長期的な顧客ロイヤリティを必ずしも反映しないという課題もあるため、他の指標と組み合わせて使用しましょう。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)

NPSは、顧客ロイヤリティを測定する指標として広く使用されています。「当社のサービスを友人や同僚に薦める可能性はどのくらいですか?」という質問に対し、0(全く薦めない)から10(強く薦める)の11段階で回答を得ます。

回答者はスコアに応じて、以下の3つに分類されます。

  • 推奨者(9-10点):ロイヤルティが高く、積極的に他者に推奨する顧客
  • 中立者(7-8点):満足しているが、積極的ではない顧客
  • 批判者(0-6点):不満を持っており、他者に悪い評判を広める可能性がある顧客

NPSのスコアは、推奨者の割合から批判者の割合を引いて算出します。この指標の利点は、顧客ロイヤリティと企業の成長との相関関係が高いことです。また、シンプルな質問で幅広い顧客体験を捉えられることも特徴です。

ただし、NPSだけでは具体的な改善点を特定しづらいため、追加の質問や他の指標と組み合わせて使用することが効果的です。

NPSについてはこちらの記事も参照ください。

CES(カスタマー・エフォート・スコア)

CESは、顧客がサービスを利用する際に感じる労力や困難さを測定する指標です。「当社のサービスを利用するのはどの程度簡単でしたか?」といった質問に対し、通常5段階や7段階で評価してもらいます。

CESの背景にある考え方は、顧客の労力を最小限に抑えることが顧客満足度とロイヤリティの向上につながるというものです。特にコールセンターにおいては、問題解決の容易さや迅速さが重要な要素となるため、CESは有用な指標となります。

CESの利点は、具体的な改善点を特定しやすいことです。例えば、高いCESスコアが出た場合、そのプロセスや対応方法を他の領域にも適用することができます。

一方で、CESは特定のプロセスに焦点を当てているため、全体的な顧客体験を把握するには不十分な場合があります。そのため、CSATやNPSと組み合わせて使用しましょう。

顧客満足度を向上させるための具体策

コールセンターにおける顧客満足度を向上させるためには、様々なアプローチが考えられます。ここでは、効果的な6つの戦略について詳しく解説します。

応答率の改善

いつの時代もコールセンターの一丁目一番地は「繋がること」です。これができていないセンターは、この後に紹介するどんな施策を行なっても、顧客満足度を高めることはできません。

少なくとも通常時であれば、応答率を90%以上は保てるようにしましょう。これが一歩目です。

エフォートレスな顧客体験

コールセンターにおける顧客満足度向上の重要な要素として、エフォートレスな顧客体験の提供があります。これは、顧客がサービスを利用する際の労力や困難さを最小限に抑えることを意味します。

具体的には、IVRシステムの最適化によるメニューの簡素化、混雑時にコールバックオプションを提供する仕組み、FAQページの拡充やチャットボットの導入によるセルフサービス機能の充実などが挙げられます。最近ではボイスボットを利用してエフォートレスな顧客体験を創出する企業も増えています。(事例を見る

これらの施策により、顧客の待ち時間や問題解決にかかる時間を短縮し、ストレスのないスムーズな体験を提供することが可能となります。

エフォートレスな顧客体験についてはこちらの記事も参照ください。

パーソナライズされた顧客対応

顧客一人ひとりのニーズや過去の接触履歴を踏まえた、個別化(パーソナライズ)されたサービスを提供することも、顧客満足度を向上させる施策の一つです。

パーソナライズを実現するには、CRMシステムを活用した顧客情報の一元管理が不可欠です。過去の問い合わせ履歴や行動情報を確認できるようにすることで、的確な対応が可能となります。

また、年齢、行動傾向などに基づく顧客セグメンテーションを行い、それぞれに適したアプローチを取ることも効果的です。各顧客が重視するポイント(例:価格、品質、スピード)を理解し、それに合わせた対応を行うことで、顧客は自分のニーズが理解され、大切にされていると感じることができるでしょう。

オムニチャネル戦略の導入

顧客は、電話だけでなく、メール、チャット、SNSなど、様々なチャネルを通じて企業とコンタクトを取ります。オムニチャネル戦略とは、これらの多様なチャネルを統合し、シームレスな顧客体験を提供することを目指すアプローチです。

具体的には、チャネル間でのデータ連携を行い、顧客が別のチャネルに移動しても、それまでの対応履歴を引き継げるようにします。また、全てのチャネルで統一された企業イメージと対応品質を維持することも必要です。

さらに、チャネルの特性を活かした対応、例えば複雑な問題は電話で、簡単な確認はチャットで対応するなど、効率的なチャネル活用を図ることも必要です。これらの取り組みにより、顧客は自分の好みや状況に合わせて最適なチャネルを選択でき、一貫性のある高品質なサービスを受けることができます。

オムニチャネルについてはこちらの記事も参照ください。

定期的な顧客フィードバックの収集と分析

顧客満足度を継続的に向上させるためには、定期的に顧客からフィードバックを収集し、それを分析して改善につなげていくことが重要です。アンケート、インタビュー、フォーカスグループなど、複数の手法を組み合わせて幅広い意見を収集することが効果的です。

また、対応直後に簡単なアンケートを実施し、即時的な評価を得るリアルタイムフィードバックの導入も有効です。収集したデータは、テキストマイニングなどの技術を活用して分析し、顧客の本音や潜在的なニーズを抽出することが重要です。特に不満を持つ顧客の声に注目し、問題の根本原因を特定して改善を図ることで、大きな効果が期待できます。このように、定期的なフィードバック収集と分析により、顧客ニーズの変化や新たな課題をタイムリーに把握し、迅速な対応を行うことができます。

VOC分析についてはこちらの記事も参照ください。

従業員の教育とモチベーション向上

コールセンターの最前線で顧客と接する従業員の能力とモチベーションは、直接的に顧客満足度に影響を与えます。そのため、継続的なスキルトレーニングを通じて、製品知識、コミュニケーションスキル、問題解決能力などを定期的に強化することが重要です。

また、一定の範囲内で従業員に判断権限を与えることで、柔軟な顧客対応が可能になります。パフォーマンス評価においては、単なる処理件数だけでなく、顧客満足度や問題解決率など、質的な指標も重視することが大切です。さらに、長期的な成長ビジョンを示すキャリアパスの明確化や、快適な労働環境の整備によって、従業員の満足度とモチベーションを高めることができます。これらの取り組みにより、従業員は高いスキルとモチベーションを持って顧客に対応することができ、結果として質の高いサービスの提供につながります。

顧客満足度向上のための実践ガイド

ここからは実際に顧客満足度を高めるためにどのような手順で進めていけば良いかを説明します。

CS向上施策の計画と実行

顧客満足度向上のための施策を効果的に実施するためには、現状の正しい理解と、計画的な実行プランが必要です。

まず、現状分析から始めます。現在の顧客満足度レベルや主要な課題を、CSAT、NPS、CESなどの指標を用いて定量的に把握します。各指標の特徴を理解した上で指標を選定するようにしましょう。

次に、具体的で測定可能な目標を設定します。例えば、「6ヶ月以内にNPSを10ポイント向上させる」といった形で明確化します。リソースや時間の制約を考慮し、最も効果的と思われる施策から優先的に着手することが重要です。各施策について、担当者、スケジュール、必要なリソースを明確にしたアクションプランを作成し、全面展開の前に小規模なパイロットテストを行って効果や課題を検証します。施策の実施中も継続的に効果を測定し、必要に応じて調整を加えましょう。

最後に、定期的に結果を評価し、成功事例や学びを組織全体で共有することで、継続的な改善サイクルを確立することができます。

CRMツールの導入

顧客関係管理(CRM)ツールの効果的な活用は、コールセンターにおける顧客満足度向上の鍵となります。CRMツールを導入する際は、まず自社のニーズや規模に合ったツールを選定することが重要です。使いやすさ、拡張性、他システムとの連携性などを考慮しましょう。

次に、顧客情報、問い合わせ履歴、購買情報などを一元管理し、オペレーターが必要な情報に素早くアクセスできるようにします。既存のシステムやワークフローとの統合を図り、業務効率を最大化することも大切です。

従業員がCRMツールを効果的に活用できるよう、十分なトレーニングを提供することも忘れてはいけません。また、正確で最新の顧客データを維持するためのプロセスを確立し、CRMツールの分析機能を活用して顧客トレンドや行動パターンを把握することで、より深い顧客理解につながります。

CRMについてはこちらの記事も参照ください。

スタッフ教育とチームビルディング

コールセンターの心臓部とも言えるのが、日々顧客と直接対話するスタッフです。まず、新人研修から始まり、スキルレベルに応じた段階的な教育プログラムを構築しましょう。製品知識、コミュニケーションスキル、問題解決能力などを網羅的に強化します。実際の顧客対応を想定したロールプレイングを定期的に実施し、スキルの実践的な向上を図ることも効果的です。経験豊富なスタッフが新人や中堅スタッフをサポートするコーチングとメンタリング体制を整えることも重要です。

また、定期的なチーム活動や朝会などを通じて、コミュニケーションとチームワークを強化しましょう。パフォーマンス評価とフィードバックを定期的に実施し、改善点だけでなく、優れた点も積極的に評価することで、モチベーション維持につながります。高ストレスな環境下で働くコールセンタースタッフのメンタルヘルスケアにも注力し、AI、チャットボット、新しいCRMツールなど、最新技術の導入に合わせたトレーニングを提供することで、常に進化する顧客ニーズに対応できる体制を整えることができます。

まとめ

本記事では、CSの基本概念から測定方法、具体的な向上策まで、幅広く解説してきました。

顧客満足度を高めるために重要なのは、顧客満足度向上を一時的なプロジェクトではなく、継続的な改善プロセスとして捉えることです。顧客のニーズや期待は常に変化しており、それに柔軟に対応していく姿勢が求められます。

また、顧客満足度向上の取り組みは、単にコールセンター部門だけの問題ではありません。企業全体で顧客中心の文化を醸成し、各部門が協力して総合的な顧客体験の向上に取り組むことが重要です。顧客の声に真摯に耳を傾け、常に顧客視点でサービスの質を向上させていく。そのような姿勢こそが、長期的な企業の成功につながる道筋なのです。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
    産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
    ・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
    ・特技:タスク管理

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