カスタマーサポートとは|目的・役割やCS向上のカギを徹底解説

2025/05/20

かつて、「コストセンター」とよばれていたカスタマーサポート業務は、今や「プロフィットセンター」と呼ばれるようになりました。顧客満足度向上を課題とする企業にとって、カスタマーサポートは単なるコストではなく、重要な価値を提供する部門となっています。

本稿では、カスタマーサポートの運営目的や役割、具体的な業務内容やオペレーターに必要なスキルを網羅的に理解できるよう解説します。

あわせて、カスタマーサポート運営を成功させるポイントについても詳しく解説します。
これからカスタマーサポートを立ち上げる企業ご担当者様や、運営改善を図りたい企業ご担当者様にとってお役に立てる情報をまとめましたので、ぜひご覧ください。

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カスタマーサポートとは│意義や役割を解説

カスタマーサポートは顧客が製品を正しく、かつ効果的に使用できるよう支援するためのカスタマーサービスの一種です。商品購入前から購入後のサポート、担当部署との連携など、対応は多岐にわたります。

カスタマーサポートの目的

カスタマーサポートの目的は、顧客の不満や疑問を解消することです。その結果、顧客満足度が向上し、企業の売上・利益に直接的に貢献する重要な役割を担っています。ただ電話対応をするだけに留まらず、顧客満足度調査の実施やVOC(顧客の声)データの収集・分析、関係部署へフィードバックを行うなど、さまざまな業務を担います。

カスタマーサポートの業務内容

次に、カスタマーサポートが果たす具体的な役割について見ていきましょう。

■カスタマーサポート業務(コンタクトセンター業務全般)

カスタマーサポート業務は、主に顧客からの問い合わせ対応が中心です。電話対応に加え、昨今では時代や顧客ニーズの変化に伴い、チャットやメール、SMSなど多様なチャネルでの対応が求められるようになっています。

顧客からの問い合わせの内容は多岐に渡ります。以下に、購入前から購入後に至るまでの各フェーズのカスタマーサポート業務をまとめましたのでご参考ください。

購入前

製品の機能や購入前の問い合わせ、購入店舗、在庫確認など

購入時

商品注文受付、受付に伴うシステム入力、注文方法の問い合わせなど

購入後

使用方法の説明やセッティングのサポート、返品・交換・修理対応、
クレーム対応、契約内容の変更手続きなど

その他

顧客からの要望・意見の受付、応対履歴の入力やシステム処理、
間接部門への連携、顧客アンケート調査のための架電業務など

■顧客管理・VOCデータ収集・データ分析

カスタマーサポート業務は、顧客対応のみならず、顧客情報の管理や対話履歴の保存、商品・サービスに関する要望や意見などの蓄積も含まれます。
業務責任範囲によっては、VOCデータの収集や分析を行い、その結果をもとに顧客満足度向上にむけた施策の展開を担う場合もあります。

■関係部署への連携

カスタマーサポート業務は、顧客と直接接点が持てる重要な業務を担います。顧客からの製品やサービスに関するフィードバックを、製品開発部門などの関連部署に適切に伝達し、品質改善に役立てることも大切な役割です。

カスタマーサポート担当者に必要なスキル

この項目では、カスタマーサポート業務を担当するオペレーターに必要なスキルをまとめます。一般的な視点での解説に加え、実際にカスタマーサポートの現場で、フィールドサポーターとして勤務経験のある筆者の考えもまとめておりますので、ぜひご参考ください。

■コミュニケーション能力

カスタマーサポートにおいて最も重要なスキルは「コミュニケーション能力」です。
この能力が不足すると、電話対応への苦手意識や対人コミュニケーションへの不安が生じ、長期的に働き続けるのが難しくなることがあります。
筆者の経験から言うと、「人と話すのが好き」「誰かの役に立ちたい」「電話対応が得意」といった素養を持つ方が、能力に関わらず現場で活躍しています

コミュニケーション能力とは、顧客の声を傾聴し、相手の気持ちや要望を理解して、適切な提案や対応を行う力です。
この能力は研修を通じて徐々に鍛えられるため、初めから完璧に備える必要はありません。

■ロジカルシンキング(論理的思考)

ロジカルシンキング(論理的思考)は直感で物事を捉えるのではなく、物事を道筋立てて考え、結論を導き出す力のことであり、カスタマーサポート担当者にとって必須のスキルです。
このスキルは顧客対応や、SV(スーパーバイザー)へのエスカレーション時に大きな役割を果たします。

ロジカルシンキングを活用することで、顧客の問題を明確にし、適切な対応を導き出せます。
例えば、顧客からクレームがあった場合、まず要望を簡潔に伝え、その後に問題の背景を説明することで、SVの理解が早まり、迅速な対応が可能になります。

■事務処理能力

カスタマーサポート業務には、顧客対応だけでなく、パソコン操作のスキルも必要です。
顧客管理や履歴入力、場合によってはメールやチャットでの対応が求められます。特に、タイピングスピードは業務効率を大きく左右します。

タイピングがスムーズだと、顧客と対話しながら顧客の要望や対話内容を記録すること(同時操作)ができ、業務に必要なパソコン操作をスムーズに行えるため、AHT(平均処理時間)の短縮につながります。
筆者がフィールドサポーターとして現場で勤務していた際、タイピングスピードが速いオペレーターほど、業務に早く慣れ、スムーズに対応できることを実感していました。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違い

この章では、カスタマーサポートとよく似た言葉である「カスタマーサクセス」との違いについてみていきましょう。

カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いは、主に目的やアプローチの仕方、担当者に求められるスキルにあります。
カスタマーサポートの目的は、顧客の問題解決でありそのアプローチは受動的です。一方で、カスタマーサクセスの主な目的は、顧客の成功を支援し、その結果として企業の成長や利益の向上を促進することにあります。アプローチの仕方は能動的で、積極的なサポートが必要となります。

▼カスタマーサクセスについて詳しく解説している記事がありますので、ぜひご覧ください。
カスタマーサクセスとは|カスタマーサポートとの違い・基本概念を解説

カスタマーサポートの業界動向

かつて「コストセンター」として扱われていたカスタマーサポートは、現在では「プロフィットセンター」としてその価値が認識されるようになりました。ITツールの発展や顧客ニーズの変化に伴い、その存在意義も大きく変化しています。
本章では、カスタマーサポート業界の動向とトレンドについて解説します。

コロナ渦以降のBPO市場の動向

ミック経済研究所が発表した「BPO総市場の現状と展望 2023年度版」によると、2023年のBPO市場は、コロナ特需の反動により成長率が2.5%増に留まりました。しかし、コールセンター業界の市場は1兆円規模を維持し、ゆるやかな成長を続けています。

2023年度以降、カスタマーサポートは成熟市場へと移行しつつあり、競争の激化と新規案件の獲得難化が予測されています。今後は差別化や効率化がより一層求められるフェーズに入っていくでしょう。

カスタマーサポート業界のトレンド

生成AIの登場による業務効率化

2022年に登場したChatGPTをはじめとする生成AIは、カスタマーサポート業界にも大きな変革をもたらしました。自然な言語処理技術により、問い合わせ対応やナレッジ共有の自動化が進んでいます。

生成AIの種類についてはChatGPT以外にも、MicrosoftのCopilotやAzure OpenAI、GoogleのGeminiなども登場し、2023年にはJR西日本カスタマーリレーションズが国産AI「ELYZA Brain」と外国産GPT系AIを組み合わせた大規模言語モデルの業界最速導入を果たし、注目を集めました。(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000026.000047565.html

導入初期に懸念されていたハルシネーションリスク(誤情報の生成)についても、技術の進化により徐々に克服されつつあります。
今後も
業務効率化と顧客満足度の向上を同時に実現する手段として、生成AIは引き続き注目される存在
です。

▼コネナビ編集部が株式会社ELYZAご担当者へ取材した記事もぜひご覧ください。

【取材】株式会社ELYZA│たった2カ月で導入成功-コールセンター×AI社会実装の秘訣とは-
(2023年4月掲載)

オムニチャネル化によるシームレスな対応

チャットボットボイスボットFAQシステムなどの導入も進み、業務効率と顧客満足の両立を図る企業が増えています。特に注目されているのが「オムニチャネル化」です。

電話、メール、チャット、SNS、店頭など複数のチャネルを横断し、顧客が望む手段でスムーズなサポートを受けられる体制は、顧客体験(CX)の向上に直結します。
さらに、社内の情報共有が進むことで無駄な工数や対応の重複が減り、従業員の負担軽減にも効果があります。

結果として、企業は効率的な運営を実現し、顧客との信頼関係の強化が実現できるようになります。

▼オムニチャネルとは?具体的な解説記事はこちら
オムニチャネルとは?メリットやコールセンターでの推進方法や取り組み事例を解説

カスタマーサポートは“消える”のか?

生成AIや自動化の進展により、「カスタマーサポートは将来なくなるのでは?」という声もありますが、完全に人の手を離れることはないでしょう

定型的な業務は自動化が可能でも、複雑な問い合わせや感情を伴う対応は人の力が欠かせません。
今後も、テクノロジーと人の力を融合させたハイブリッドな体制構築が求められます。
カスタマーサポート業務を取り巻く環境は変化していくため、動向観察を行いながら柔軟な対応をしていきましょう。

カスタマーサポート運営の成功のカギ

顧客満足度向上に向けて、カスタマーサポート運営を成功させるためのカギは、自社内での取り組み外部サービスの活用という2つのアプローチに分けられます。本章では、重要な施策を解説します。

カスタマーサポート業務の標準化

コールセンターでは、「業務マニュアルが整備されておらず、応対が均一化されていない」「オペレーターの対応が均一でなく、応対品質が安定しない」といった問題が挙げられます。
特に、業務立ち上げ当初はマニュアル整備が後回しになりがちです。このような課題に対処するためには、業務の標準化が必要です。

業務マニュアルの整備による業務の標準化

なぜ業務の標準化を行う必要があるのでしょうか?それは、業務プロセスや、製品・サービスの品質について一定の基準を設けることで、次のようなメリットがあるからです。

■業務効率化
マニュアル整備により業務フローを明確にすることで、無理・無駄・重複作業がなくなり円滑なセンター運営を行うことが可能になります。

一貫性が保たれ品質が向上する
業務標準化により、センター全体に一貫性が保たれるようになります。これにより、誰が対応しても同じ結果が得られ、応対品質が安定し、顧客に対して高品質なサービスを提供できるようになります。

オペレーターやSV育成による応対品質の均一化

カスタマーサポート運営で一番のカギを握るのが、実際に顧客対応を行うオペレーターの応対品質です。オペレーターの応対品質が悪ければ、企業のブランド価値が低下し、顧客離れにつながる恐れがあります。

そこで、現場最前線で対応するオペレーターの教育と、オペレーターを管理するSVの育成について必要なポイントをまとめます。

■オペレーターの育成
カスタマーサポート業務を担うオペレーターには、顧客対応における事前研修が不可欠です。業務内容や業務難易度に応じて、研修内容や期間などは変動します。
研修担当者は、オペレーターが顧客対応できる合格ラインを決め、それに基づいた研修マニュアル作成を行いましょう。
以下は一般的なカスタマーサポート業務の研修ステップです。

OJT(On-the-Job Training):トレーナーが研修対象者に対して実務を通して知識やスキルを習得させる方法です。コールセンターでは、トレーナーが顧客対応をしている研修対象者に対して、適宜アドバイスをします。

▼具体的な研修方法については関連記事をご覧ください。
コールセンター教育のポイント|主な研修の流れについて解説

■SV(スーパーバイザー)の育成
カスタマーサポート業務の第一線で対応するオペレーターを統括するSVの教育についても、円滑なセンター運営を行う大事な要素です。SVの役割はオペレーターのマネジメントから、センター全体の運営管理など多岐に渡ります。
特に対オペレーターの育成や指導法に一貫性がない場合、センター全体の応対品質低下につながる恐れが考えられます。

▼SVの役割や必要スキル、育成のコツについて知りたい方は関連記事をご覧ください。
コールセンターSVの必要スキルとは│効果的な教育方法について解説

顧客自身で問題解決できる仕組みづくり

顧客自身で問題解決できる仕組みづくりを行うことも、重要な要素です。特に、企業のWEBサイトに掲載されているFAQ(よくある質問集)の見直しや、製品・サービスのマニュアルを充実させることが効果的です。

コールセンター白書2022によると、直近で問い合わせをしたケースにおいて、コールセンターに電話する前にその会社の「よくある質問集(FAQ)」などを確認した人の約6割が、問題解決に至らなかったことが分かっています。

このデータが示すように、顧客の自己解決率をあげる施策は、顧客満足度向上や、呼量の削減、コスト削減につながるメリットがあるため、注力したいポイントです。

外部サービスを利用する

自社のノウハウだけでカスタマーサポート業務を運営することに限界がある場合は、外部サービスの利用を検討されることをお勧めします。 この項目では「アウトソーシングサービスの活用」について解説します。

カスタマーサポートのアウトソーシング

カスタマーサポート業務をアウトソーシングすることも、カスタマーサポート運営を成功させるための一つの手段です。
カスタマーサポート業務をアウトソーシングすることで、業務効率化、応対品質の向上や顧客満足度の向上、コスト削減、BCP対策など多くのメリットが得られます。
ただし、大切なカスタマーサポート業務をアウトソーシングする際は、デメリットについても十分に考慮し、アウトソーサーを選定するためのポイントを押さえておく必要があります。

▼アウトソーシングを検討される方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。
【最新】カスタマーサポート代行10選│メリットと費用・選定ポイントを徹底解説

まとめ

本稿では、カスタマーサポートの基本的な知識をまとめ、オペレーターに必要な能力や業界動向、顧客満足度向上のヒントとなるカスタマーサポート運営のカギについてご紹介しました。
カスタマーサポート業務を運営するとなると、考えることや対応すべきことが多く、担当者の手を煩わせることもしばしばあります。

本稿を通して現状の見直しや、外部サービスの利用を含め、自社にとって最適な改善策を見つけるためのヒントを得ていただければ幸いです。

カスタマーサポート運営をアウトソーシングしたいとお考えのご担当者様

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 平井 美穂

    2012年、株式会社セントメディア(現:株式会社ウィルオブ・ワーク)へ入社し、コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービス事業部に配属。大手携帯キャリアのコンタクトセンターにて、カスタマーサポートを行いながら、自社派遣社員のサポートやフォローに努める。CSを2年経験した後、営業コーディネーターやキャリアアドバイザー、転職支援など幅広い業務を経験。現在は、2人のこどもを育てるワーキングマザー。

    ・趣味:森林浴、神社巡り、アートに触れること
    ・特技:細かい点に気が付くところ

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