コールセンターのワークフォースマネジメント(WFM)とは?その重要性と導入メリットを徹底解説
2024/11/18
- コスト削減
- 品質向上
- 従業員満足度向上
- 業務効率化
- 顧客満足度向上
コールセンター業界では、顧客からの問い合わせに迅速かつ的確に対応することが求められています。しかし、オペレーターの労働環境やコスト管理など、多くの課題が存在するのも事実です。そこで注目されているのが「ワークフォースマネジメント」です。
本記事では、コールセンターにおけるワークフォースマネジメントの基本概念から、主要な機能、導入によるメリット、導入時の選定ポイントや注意点までを徹底解説します。業務効率と顧客満足度の向上を実現するワークフォースマネジメントについて、まずは全体像が掴める記事となっていますので、ぜひご一読ください。
ワークフォースマネジメント(WFM)とは
ワークフォースマネジメント(Workforce Management:WFM)とは、組織の人材リソースを最適化し、効率的な業務運営を実現するための戦略的な手法です。または、組織内の人材リソースを最適に管理・活用するための手法やシステムのことを指します。
具体的には、需要予測、スケジューリング、リアルタイム管理、パフォーマンス分析などを通じて、人員配置や業務プロセスを調整します。
コールセンターにおける役割
コールセンターでは、顧客からの問い合わせやサポート要求が時間帯や曜日、さらには季節によって大きく変動します。呼量予測に対して、適切な人員を確保することは、センターのコストや応答率といったサービスレベルに直結します。従来では管理者が経験と勘で需要予測を行い、アーランc式などの計算式を用いて適切な人員配置を割り出していましたが、これは予測にブレが生じたり、属人的になったりすることがありました。そんな課題を解決できるのが、ワークフォースマネジメントです。
まず、過去のデータやトレンドを分析して需要を予測し、それに基づいてシフトを組むことで、過剰な人員配置や人手不足を防ぎます。また、オペレーターのスキルや経験に応じて業務を割り当てることで、効率的な業務運営が実現します。
加えて、リアルタイムでの業務状況を監視することで、突発的な問い合わせの増加にも柔軟に対応できるようになります。顧客への迅速な対応が可能となり、サービス品質の向上につながります。これらの要素を総合的に管理することで、コールセンターのパフォーマンスを最大化することができます。
ワークフォースマネジメントの主要な機能
ワークフォースマネジメントの主要な機能について、解説します。
需要予測と計画
ワークフォースマネジメントの核となるのが需要予測です。過去の問い合わせデータや市場のトレンド、キャンペーン情報などを分析し、将来の問い合わせ量を高精度で予測します。これにより、必要なオペレーター数を事前に把握でき、計画的な人員配置が可能となります。
需要予測の精度を高めるためには、多角的なデータ収集と分析が重要です。例えば、過去のデータだけでなく、季節要因や特定のイベント情報も考慮に入れることで、より現実的な予測が可能になります。
スケジューリング(シフト管理)
需要予測に基づき、効率的なシフトスケジュールを作成します。オペレーターの勤務希望やスキルセット、法的な労働条件などを考慮しながら、最適な配置を実現します。これにより、オペレーターの過重労働を防ぎ、モチベーションの維持・向上にも寄与します。
また、フルタイムやパートタイム、在宅勤務など、多様な働き方に対応した柔軟なシフト組みも可能です。これにより、人材プールを広げ、必要なリソースを確保しやすくなります。
リアルタイム管理
業務中はリアルタイムでオペレーターの状況や問い合わせ量を監視し、必要に応じて迅速な対応を行います。例えば、急な問い合わせの増加時には、待機中のオペレーターを投入したり、休憩時間を調整したりすることで、サービスレベルを維持します。
リアルタイム管理により、予測と実績のギャップを最小限に抑えることができ、顧客満足度の高いサービス提供が可能となります。
パフォーマンス分析と改善
業務終了後には、各種KPIを用いてパフォーマンスの分析を行います。応答率、解決時間、顧客満足度などの指標を評価し、業務プロセスの改善点を特定します。
継続的なパフォーマンス分析により、業務効率の向上だけでなく、オペレーターのスキルアップや組織全体の成長につなげることができます。
ワークフォースマネジメント導入のメリット
ワークフォースマネジメント導入のメリットの詳細を解説します。
呼量に応じた適正配置によるサービスレベルの向上
適切な人員配置ができるかどうかは、応答率などの主要なコールセンターKPIに大きな影響を与えます。ワークフォースマネジメントを活用し、適切な人員配置ができれば、過剰な投資なく、適切な応答率を維持することができ、結果的に顧客満足度の向上に繋がります。コールセンターが「いつでも繋がる」という一貫したサービス品質を提供することで、顧客からの信頼も獲得できます。
人員の適正配置による人件費の削減
需要に応じた最適な人員配置により、無駄な人件費を削減できます。また、スキルや経験に応じた適切な業務が割り当てができれば、教育コストが最適され、離職率の防止にも繋がります。離職率の防止は採用コストなどにも影響します。ワークフォースマネジメントを活用し、限られたリソースで最大の効果を生み出すことで、センターの経営効率を向上することができるのです。
適切な労務管理による従業員満足度の向上
ワークライフバランスを考慮したシフト管理により、オペレーターの労働環境が改善されます。過重労働の防止や公平な業務割り当てにより、従業員のモチベーションや定着率の向上が期待できます。また、スキル開発やキャリアパスの明確化を通じて、従業員の成長を支援します。
従業員満足度の重要性についてはこちらの記事を参照ください。
最新のワークフォースマネジメントツールの活用
近年ではクラウド化やAI技術を活用したワークフォースマネジメントシステムも登場しております。
クラウド技術を活用
クラウド技術の発展により、コールセンターにもあらゆるシステムを導入しやすくなりましたが、ワークフォースマネジメントツールにおいても導入・運用が容易になっています。
クラウドベースのツールは、初期投資を抑えつつ、スケーラビリティやセキュリティを確保できます。また、場所やデバイスを問わずアクセスできるため、リモートワークや多拠点展開にも柔軟に対応できます。
AI技術を活用
ここ数年であらゆる産業に大きなインパクトをもたらしているAI技術ですが、AIが最も得意なものの一つは過去のデータからパターンを発見し、未来を予測することです。そのため、ワークフォースマネジメントとの相性がよく、AIを搭載することで需要予測の精度が飛躍的に向上し、予測困難なトレンドやパターンも捉えることができるようになっています。AIはリアルタイムでデータを学習・更新し、状況の変化に迅速に対応できるため、より柔軟で効果的な人員管理が可能です。
ツール選定のポイント
ワークフォースマネジメントツールを選定する際には、以下のポイントを丁寧に検討することが重要です。これらのポイントを総合的に検討し、自社のニーズや将来のビジョンに最も適したワークフォースマネジメントツールを選定することが、導入の成功と効果の最大化につながります。
機能の充実度
まず、機能の充実度が不可欠です。自社の業務要件を詳細に洗い出し、それらを満たす機能がツールに搭載されているかを確認します。例えば、需要予測の精度やカスタマイズ性、シフト管理の柔軟性、リアルタイムモニタリングの機能、詳細なパフォーマンス分析など、自社が求める要件に対して機能が合っているかを確認しましょう。
使いやすさ
次に、使いやすさも選定の重要な要素です。ツールのユーザーインターフェースが直感的であり、オペレーターや管理者がスムーズに操作できることが望まれます。操作が複雑であったり、学習コストが高いと、現場での活用が進まず、導入効果が半減してしまう可能性があります。そのため、導入の段階では実際に現場で利用する担当者が、実際の操作画面をデモンストレーションで確認したり、試用期間を設けて使い勝手を評価することが推奨されます。
拡張性と統合性
また、拡張性と統合性も考慮すべきポイントです。既存のシステムや将来的に導入を検討しているシステムと連携できるかを確認します。例えば、CRM(顧客関係管理)システムとの統合が可能であれば、データの一元管理が実現し、業務効率がさらに向上します。APIの提供やカスタマイズの容易さも、システム間の連携や機能拡張を行う上で重要な要素となります。
サポート体制
最後に、サポート体制の充実度も忘れてはなりません。ツール導入後の技術的なサポートやトレーニングがしっかりと提供されるか、トラブル発生時に迅速かつ的確な対応が受けられるかを確認します。さらに、定期的なアップデートや機能改善が行われているか、ユーザーコミュニティやフォーラムが活発であるかも、長期的な視点でのツール活用において重要です。信頼性の高いベンダーを選ぶことで、安心してツールを活用し、最大限の効果を引き出すことができます。
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「コールセンターのワークフォースマネジメント(WFM)徹底比較:最適なシステムの選び方」
導入時の課題と対策
さまざまなメリットをもたらすワークフォースマネジメントですが、導入時には課題も出てきます。その課題と対策について解説します。
組織内の抵抗
ワークフォースマネジメントの導入に際して、組織内からの抵抗は避けられないものです。特に、長年同じ業務フローやシステムを使用してきた組織では、新しいツールやプロセスへの移行に対する心理的な抵抗が生じやすくなります。この抵抗を克服するためには、以下のステップが有効です。
まず、導入の目的とメリットを明確に伝えることが重要です。経営層から現場のオペレーターまで、組織全体で共有することで、共通の目標に向かって協力しやすくなります。具体的な数値目標や期待される効果を提示することで、導入の必要性を理解してもらいやすくなります。
次に、従業員の意見を取り入れることも大切です。現場で働くスタッフからのフィードバックは、実際の運用において非常に貴重です。ワークショップやミーティングを開催し、疑問や不安を解消するとともに、改善点を取り入れることで、導入時の現場の摩擦を軽減することができます。
また、十分なトレーニングとサポートを提供することで、新しいツールやプロセスへの適応を促進します。具体的な操作方法や活用事例を学ぶ機会を設けることで、従業員が自信を持って新システムを使いこなせるようになります。
データセキュリティの確保
ワークフォースマネジメントでは、オペレーターの個人情報や業務データなど、機密性の高い情報を扱います。そのため、データセキュリティの確保は最優先事項となります。
まず、アクセス権限の適切な設定が必要です。必要最小限の権限のみを付与し、データへの不正アクセスを防止します。管理者、スーパーバイザー、オペレーターなど、役職や業務内容に応じて細かく権限を設定することで、情報漏洩のリスクを低減できます。
次に、データの暗号化と安全な通信が求められます。データベース内の情報は暗号化し、システム間の通信もセキュアなプロトコルを使用することで、外部からの攻撃に対する防御力を高めます。
さらに、定期的なセキュリティ監査とアップデートを実施します。セキュリティホールや脆弱性を早期に発見し、迅速に対処することで、最新の脅威にも対応できます。ツールベンダーが提供するセキュリティパッチやアップデートを適用することも重要です。
最後に、従業員へのセキュリティ教育も欠かせません。フィッシングメールの対策やパスワード管理など、基本的なセキュリティ意識を高めることで、人的要因によるリスクを最小限に抑えます。
スムーズな移行プロセスの設計
ワークフォースマネジメントツールの導入を成功させるためには、計画的でスムーズな移行プロセスが不可欠です。以下のステップを踏むことで、業務への影響を最小限に抑えつつ、効果的な導入が可能となります。
現状分析と要件定義から始めます。現在の業務フローやシステムを詳細に分析し、課題や改善点を洗い出します。その上で、新ツールに求める機能や性能を明確にし、要件定義を行います。
次に、段階的な導入計画を策定します。全ての機能を一度に切り替えるのではなく、まずは一部の部署や機能からパイロット導入を行い、運用上の課題を洗い出します。この段階で得られたフィードバックを基に、プロセスや設定を調整し、本格導入に備えます。
プロジェクトチームの編成も重要です。各部署から代表者を選出し、導入プロジェクトをリードしてもらいます。これにより、各部門のニーズを反映した導入が可能となり、現場とのコミュニケーションも円滑に進みます。
また、従業員への教育とサポート体制の構築も欠かせません。新ツールの操作方法や業務フローの変更点を周知徹底し、疑問や問題が生じた際には迅速に対応できるサポート体制を整えます。
最後に、導入後の評価と改善を行います。KPIを設定し、導入前後の業務効率や顧客満足度の変化を測定します。得られたデータを基に、さらなる改善策を検討し、持続的な業務の最適化を目指します。
まとめ
ワークフォースマネジメントは、コールセンターの業務効率と顧客満足度を同時に向上させる重要な手法です。需要予測やシフト管理、リアルタイムの業務モニタリングを通じて、適切な人員配置と業務プロセスの最適化が可能になります。AIや機械学習を活用した最新のツールを効果的に導入することで、組織全体のパフォーマンスを高め、競争力を強化できます。変化するビジネス環境に対応し、持続的な成長を遂げるためにも、ワークフォースマネジメントの活用は不可欠です。
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