カスタマーサポートでの顧客ロイヤルティ向上施策│メリットと注目の背景とは?
2025/04/03
- 品質向上
- 顧客満足度向上

企業の成長において、既存顧客との関係を深め、継続的に利用してもらうことは、売上の安定化やブランド価値向上につながる重要な要素です。そのカギを握るのが「顧客ロイヤルティ」です。
単なる顧客満足度(CSAT)の向上だけでは、リピートや売上拡大には直結しません。顧客との長期的な関係を築き、競合に流出しない仕組みを作ることが、企業の持続的な成長には不可欠です。
本記事では、顧客ロイヤルティの基本から、カスタマーサポートがどのように貢献できるのか、具体的な施策や成功につなげるためのステップを詳しく解説します。
✔ 顧客満足度を高めても、リピート率が上がらない理由とは?
✔ 顧客ロイヤルティ向上のために、カスタマーサポートはどう活用すべきか?
✔ サポート業務が売上拡大にどう結びつくのか?
このような疑問をお持ちの方は、ぜひ最後までご覧ください。
顧客ロイヤルティを高め、リピーターを増やしたいとお考えのご担当者様へ。
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顧客ロイヤルティとは?
顧客ロイヤルティの定義とカスタマーサポートとの関係
顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して持つ継続的な愛着や信頼を指す言葉です。「この会社の商品やサービスをまた利用したい」「他人にも勧めたい」と思う心理状態を表します。
カスタマーサポート運営は、顧客ロイヤルティの形成に大きく影響しています。例えば、問題が発生した際に迅速かつ丁寧な対応を受けた顧客は、「この会社は信頼できる」と感じ、リピートにつながります。逆に、対応が遅かったり不親切だったりすると、顧客は他社に流れてしまう可能性が高まります。
カスタマーサポートを単なる「問い合わせ対応」ではなく、顧客との関係を深める「ロイヤルティ向上の場」として捉えることが、競争の激しい市場で生き残るカギとなるのです。
顧客満足度(CSAT・NPS)との違い
顧客ロイヤルティと似た意味合いを持つ「CSAT(Customer Satisfaction Score)」と「NPS(Net Promoter Score)」という指標がありますが、これらは顧客ロイヤルティとは異なる概念です。
CSAT(Customer Satisfaction Score)
直近の取引や問い合わせに対する顧客の満足度を測る指標です。「今回の対応に満足しましたか?」といったアンケートが該当します。
NPS(Net Promoter Score)
企業やブランドを他者に推薦したいかどうかを測る指標です。「この会社を友人や同僚に勧めたいですか?」という質問をもとに、ロイヤルティの度合いを分析します。
一方、顧客ロイヤルティは、短期的な満足度ではなく、長期的な関係性を築く指標となります。CSATはその時点の評価に過ぎず、NPSも将来的なロイヤルティを示唆するものの、実際のリピートや継続利用には直接結びつかないこともあります。そのため、CSATやNPSのデータを組み合わせて活用し、顧客ロイヤルティを向上させる施策を組み立てることが重要となります。
カスタマーサポートにおいて顧客ロイヤルティが注目される背景
近年、市場の成熟化、競争の激化、価格競争の限界などの要因から、顧客ロイヤルティの重要性が高まっています。特に、新規顧客の獲得コストが上昇し、「いかに既存顧客を維持し、リピート利用を促すか」 が企業の成長に直結するようになりました。
ここでは、顧客ロイヤルティが注目される3つの背景について解説します。
CS(顧客満足度)では不十分? ロイヤルカスタマーを生む視点へ
かつては CS(顧客満足度)が重視されていました。しかし、CSは「その時点の満足度」に過ぎず、顧客が次回も同じ企業を選ぶとは限りません。
例えば、購入直後に「満足」と答えた顧客でも、次回の購入時に価格が安い競合に流れてしまうことがあります。一方で、顧客ロイヤルティは「このブランドを継続的に利用したい」「他人に勧めたい」という長期的な関係を築く指標です。
そのため、多くの企業は「短期的な満足度の向上」ではなく、「継続的な関係を築く」ことに重点を置くようになっています。
価格や利便性だけでは選ばれない時代に
かつては「安さ」や「利便性」が企業選びの決め手でしたが、現在では 「気持ちよく取引できる企業を選びたい」 という傾向が強くなっています。
特に、SNSや口コミサイトの影響力が増し、サポート品質が低い企業はすぐにネガティブな評価を受けるため、価格競争だけでは勝てません。顧客体験(CX)を向上させ、ブランドとしての価値を提供できる企業が選ばれる時代になっているのです。
カスタマーサポートがLTV向上のカギに
ロイヤルカスタマーを増やすには、カスタマーサポートの対応品質を向上させることが重要です。
問題が発生した際に、迅速で丁寧な対応を受けた顧客は、「この会社は信頼できる」と感じ、リピート購入につながり長期的な関係を築きやすくなります。さらに、ロイヤルカスタマーは企業の「ファン」となり、ポジティブな口コミを広めたり、企業の製品やサービスを他者に紹介したりすることで、ブランドの成長を加速させます。
このような背景から、カスタマーサポートは単なる「問題解決の場」ではなく、「顧客との関係を深める場」として活用されるようになっています。
顧客ロイヤルティ向上のメリット
顧客ロイヤルティの向上は、企業の売上拡大・ブランド価値向上に直結します。特に、カスタマーサポートの質を高めることで、継続利用・単価向上・口コミ効果・コスト削減・オペレーター負担軽減といったメリットを享受できます。
本章では、具体的な5つのメリットについて解説します。

リピート率の向上
ロイヤルティの高い顧客は、企業やブランドへの信頼を基に、継続的に商品やサービスを利用する傾向があります。
特に、カスタマーサポートの対応がスムーズで信頼感がある企業は、「またこのサービスを利用しよう」と思われやすくなります。 反対に、対応が悪かったり問題が解決しなかったりすると、顧客はすぐに他社へ流れてしまいます。
優れたサポート体制を構築することは、単なる顧客満足だけではなく、リピートにつながる施策といえるでしょう。
購入単価の向上
ロイヤルティの高い顧客は、価格ではなくブランドへの信頼で購買を決定するため、高単価商品や追加サービスを利用しやすくなります。
例えば、ECサイトでは、ロイヤルカスタマーに対してパーソナライズされた商品を推奨することで、アップセル(単価の高い商品の購入)やクロスセル(関連商品の追加購入)の機会を増やせます。
また、カスタマーサポートが顧客のニーズを的確に把握し、適切な商品やサービスを提案することで、「自分に合った提案をしてくれる企業」として信頼され、購入単価の向上につながります。
口コミ・紹介の増加
ロイヤルティが高い顧客は、積極的に企業の口コミや紹介を広める傾向があります。
例えば、「問い合わせ対応が迅速で丁寧だった」といったポジティブな体験がSNSやレビューサイトで共有されると、新規顧客の獲得につながります。特に、信頼性の高い口コミは新規顧客の意思決定に大きな影響を与えるため、広告以上の効果を生むこともあります。
ロイヤルカスタマーの育成は、口コミマーケティングの強化につながる重要な施策なのです。
問い合わせコストの削減
ロイヤルティの高い顧客は、企業のサービスや利用方法を理解しているため、不要な問い合わせが減少する傾向にあります。
また、適切な情報提供やサポートの質を向上させることで、「問い合わせなくても自己解決できる」環境を整えられます。 具体的には、FAQやチャットボットを活用し、顧客自身で問題を解決できる仕組みを導入することが有効です。
この結果、オペレーターの負担が軽減され、より高度な問い合わせ対応に集中できるようになり、サポート全体の品質向上にも貢献します。
オペレーターの負担軽減による離職率改善
カスタマーサポート業務では、クレーム対応の頻度や過重労働が、オペレーターのストレスや離職の大きな要因となっています。
顧客ロイヤルティが向上すると、FAQやセルフサービスが充実し、問い合わせ件数自体が適切にコントロールされるため、業務負荷が軽減されます。 さらに、オペレーターが対応する顧客が、企業に対して一定の信頼を持っている場合、円滑なコミュニケーションが可能になり、精神的な負担も軽減されます。
結果として、オペレーターのモチベーション向上や定着率の改善につながり、サポート体制の安定化と長期的なサービス品質向上が期待できます。
顧客ロイヤルティ向上のための施策
顧客ロイヤルティを高めるためには、単なるサービス改善ではなく、顧客との関係を深める施策が不可欠です。本章では、カスタマーサポートの視点から、具体的な5つの施策をご紹介します。

オペレーターの育成と顧客対応スキルの強化
オペレーターは、企業と顧客を直接つなぐ重要な存在です。そのため、「ただ対応する」のではなく、「顧客ロイヤルティを高める応対」ができるよう、スキル強化が求められます。
例えば、オペレーターが「顧客の期待を超える対応をする方法」を学ぶことで、サポート品質が向上し、ブランドへの信頼も深まります。また、ナレッジ共有を徹底することで、どのオペレーターが対応しても、標準化された高品質なサポートを提供できる体制を構築できます。
▼オペレーター育成に関する記事はこちら
「CS向上させるオペレーター育成法とは│具体的な研修内容やポイントについて解説」
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「ナレッジマネジメントとは│コンタクトセンターにおける最適な導入ステップを解説」
VOC(顧客の声)の活用とサービス改善
顧客ロイヤルティ向上には、VOC(Voice of Customer)を活用し、サービスや商品を継続的に改善することが不可欠です。
例えば、「この製品のマニュアルがわかりにくい」という声が多ければ、マニュアルを改善し、問い合わせ件数を減らし、顧客の自己解決率を向上させることが可能となります。
さらに、VOCを分析することで、新商品や新サービスの開発にもつながります。顧客からの要望を分析し、それを反映した新機能や新プランを導入すれば、「この企業は自分たちの声を反映してくれる」と評価され、ロイヤルティ向上につながるのです。
VOCは単なるフィードバック収集ではなく、企業の成長戦略の一環として活用するべき重要なデータといえます。
オムニチャネル対応の強化による顧客体験向上
顧客は、電話・メール・チャット・LINE・SNSなど、複数のチャネルを使い分けながら企業とコミュニケーションを取ります。このため、どのチャネルでも一貫したサポートを提供するオムニチャネル対応の強化が重要です。
例えば、顧客が電話で問い合わせをした後に、チャットで続きを相談できる仕組みが整っていれば、対応がスムーズになり、ストレスが軽減されます。問い合わせ履歴が各チャネルで共有されていることも、顧客満足度を高めるポイントです。
オムニチャネル対応を強化することで、利便性の向上だけでなく、ブランドに対する信頼感の醸成にもつながります。
CRM活用によるパーソナライズド対応
顧客ごとに最適な対応を提供することで、「この会社は自分のことを理解してくれている」という実感を持ってもらうことができます。
例えば、CRM(顧客関係管理)を活用し、過去の購買履歴や問い合わせ履歴をもとに、顧客ごとに適切なフォローを行うことが有効です。
• 「前回〇〇の件でお問い合わせいただきましたが、その後問題なくご利用いただけていますか?」
• 「〇〇をご購入された方には、△△もおすすめです。」
このような個別対応を行うことで、「画一的なサポート」ではなく、「自分のことを理解してくれている企業」 という印象を与えられます。
また、顧客の購入履歴を活用し、関連商品やアップセルの提案を行うことで、顧客にとっても有益な購買体験を提供できます。適切なタイミングで最適な商品を提案すれば、満足度の向上だけでなく、売上アップにも貢献できるのです。
セルフサービスの充実による問い合わせ数の削減
FAQやチャットボットを活用し、顧客自身がスムーズに問題を解決できる環境を整えることで、問い合わせの手間を削減し、サポートの質を向上させることができます。
例えば、FAQの検索性を向上させたり、動画マニュアルを導入したりすることで、自己解決率が向上し、問い合わせ件数が減少します。 これにより、オペレーターの負担を軽減し、より重要な問い合わせ対応に集中できるようになるため、結果的にカスタマーサポート全体の品質向上にもつながります。
顧客ロイヤルティ向上のためのステップ
顧客ロイヤルティを向上させるには、単発の施策ではなく、継続的な改善プロセスが不可欠です。以下の4つのステップを実施することで、効果的なロイヤルティ向上の仕組みを構築できます。
現状分析(NPS・CSAT・リピート率の測定)
まず、現在の顧客ロイヤルティの状態を正確に把握することが重要です。主な指標として、以下のデータを活用します。
- NPS(ネット・プロモーター・スコア) → 企業の推奨度を測定し、ロイヤルティの高さを数値化
- CSAT(顧客満足度スコア) → 直近の問い合わせや取引に対する満足度を測定
- リピート率 → 過去の購入履歴から、継続利用している顧客の割合を確認
- 顧客の平均購入単価(ARPU) → ロイヤルティの高い顧客がもたらす収益を分析
例えば、「NPSのスコアは高いが、リピート率が低い」場合、顧客は企業に好意的な印象を持っているものの、実際の購入や継続利用にはつながっていない可能性があります。こうしたデータをもとに、次のステップで課題を特定します。
課題特定(VOCを活用した問題点の可視化)
指標の測定結果をもとに、顧客がどこで不満を感じているのか、具体的な課題を洗い出します。ここで重要なのが VOC(Voice of Customer:顧客の声) の活用です。
例えば、問い合わせ内容やクレームの傾向を分析すると、「配送の遅延が多い」「サポートの対応が機械的」「問題解決までの時間が長い」 などの問題が明確になります。
問題を特定したら、影響度が高いものから優先順位をつけ、改善策を検討します。ここでのポイントは、「どの課題が顧客ロイヤルティに最も影響を与えるか」を見極めることです。
施策実行(適切な施策の導入と運用)
課題が明確になったら、それを解決するための具体的な施策を導入します。
「顧客ロイヤルティ向上のための施策」で解説した手法を参考にしながら、自社の課題に応じた最適な施策を選定し、現場の業務プロセスへ組み込むことが重要です。
施策の実行例
- カスタマーサポート品質の向上 → オペレーター研修の強化、ナレッジマネジメントの導入
- VOCの活用によるサービス改善 → 顧客フィードバックを反映したFAQ強化、新商品の開発
- オムニチャネル対応の強化 → 電話・チャット・メール・LINEなど、チャネルを横断した対応整備
- CRMを活用したパーソナライズド対応 → 過去の購入履歴をもとに、最適なフォローアップの実施
- セルフサービスの強化 → FAQやチャットボットの充実により、問い合わせ数を削減
この段階では、計画を立てるだけでなく、施策を確実に運用し、現場のオペレーターが実践できる形に落とし込むことが大切です。
効果検証と最適化(PDCAサイクルによる改善)
施策を実施した後は、その結果を測定し、継続的に改善を行うことが重要です。ここで活用するのが PDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクル です。
PDCAサイクルの具体的な流れ

1. Plan(計画) → 施策の目標を設定(例:「NPSを5ポイント向上」「リピート率を10%増加」)
2. Do(実行) → 計画に基づいて施策を実施(例:「オペレーター研修を実施」「FAQを強化」)
3. Check(評価) → 指標を測定し、成果を検証(例:「問い合わせ件数が減少」「CSATが向上」)
4. Act(改善) → 成果が出なかった場合は原因を分析し、施策を調整(例:「研修内容を見直す」「FAQの構成を改善」)
例えば、新しいオペレーター研修を導入した場合、その後のNPSスコアや顧客からのフィードバックを確認し、「本当にロイヤルティ向上につながったのか?」を検証します。
また、顧客の行動データを分析し、「施策によって購入単価やリピート率が上昇しているか?」などの具体的な数値をもとに判断することも重要です。
このPDCAサイクルを繰り返すことで、持続的に顧客ロイヤルティを向上させる仕組みを構築できるでしょう。
顧客ロイヤルティのまとめ
顧客ロイヤルティの向上は、企業にとって持続的な成長のカギとなります。単なる顧客満足度の向上ではなく、長期的な関係を築くことが重要です。
本稿では、カスタマーサポートの視点から、ロイヤルティ向上のメリットや具体的な施策、改善プロセスについて解説しました。
具体的には、オペレーターの育成、VOCの活用、オムニチャネル対応、CRMの活用、セルフサービスの強化といった施策を通じて、顧客との関係を深めることができます。また、PDCAサイクルを活用し、継続的に改善を行うことも重要です。
顧客との信頼関係を強化し、企業の成長につなげるために、ぜひ本稿で紹介した施策をご活用ください。
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