放棄呼とは|あふれ呼との違い・放棄呼率の改善方法を解説
2024/10/09
- 品質向上
- 生産性向上
- 顧客満足度向上
コールセンター運営において、多くの管理者やスタッフが抱えている問題のひとつに「放棄呼率の増加」があります。放棄呼が増加すると、機会損失や顧客満足度の低下など、さまざまの問題を引き起こすため、見過ごせない重要な要素です。
本記事では、「放棄呼」の基本的な定義や発生要因を解説し、その影響について紐解いていきます。また、放棄呼を減らすための対策も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
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放棄呼とは?
放棄呼(Abandoned Call)とは、顧客が電話をかけた後、オペレーターと接続する前に自ら通話を中断してしまうことを指します。この現象は、待ち時間が長すぎる場合や、問題解決に至らないと感じた場合に発生します。
放棄呼が増えると、顧客満足度の低下や機会損失といった問題が生じるため、コールセンター運営においては放棄呼を減少させる対策が重要です。
あふれ呼・待ち呼との違い
放棄呼と類似する言葉で「あふれ呼」「待ち呼」があります。
それぞれの言葉の意味や、関係性を見ていきましょう。
センターによっては、あふれ呼と待ち呼を同じ意味で扱っている場合が多く、オペレーターにつながっていないあふれ呼状態の顧客数を「待ち呼数」と呼ぶこともあります。
あふれ呼や待ち呼が発生し、顧客が我慢できずに電話を切ってしまったり、システム側がキャンセルしたりすることで、結果として放棄呼が発生するのです。
▼あふれ呼に関する記事はこちら
「あふれ呼とは?│発生要因・企業に与える影響とその解決策を解説」
放棄呼率とは?
放棄呼率(Abandon Rate)は、総入電数に対する放棄呼数の割合を示しており、コールセンターの応答効率や顧客対応能力を評価する重要な指標となります。
放棄呼率の計算方法は、以下となります。
コールセンター白書2022によると、放棄呼率(応答率)のKPIを最重視しているセンターが多いことがわかります。
放棄呼率を重視するコールセンターが多い理由として、放棄呼率が顧客満足度や業績に直接影響することが挙げられます。高い放棄呼率は顧客に対してネガティブな印象を与え、顧客満足度が低下したり、顧客獲得が難しくなったりする可能性があります。
放棄呼率を適切に管理することで、業務効率を向上させ、リソースの最適化が可能になります。
その結果、より質の高い顧客サービスを提供し、長期的なビジネス成功に繋げることができるでしょう。
放棄呼の発生要因
放棄呼が発生する背景には様々な要因が考えられますが、本記事では主に2つの要因を解説していきます。
電話以外の自己解決手段が複雑で入電数が増えてしまう
こちらは、大手BPO企業であるトランス・コスモス社が、ユーザーに対して「カスタマーサポートを利用する際に最初に選ぶ手段」について調査したアンケート結果です。
チャットやチャットボットを選ぶユーザーは増加傾向にありますが、依然として電話を選ぶユーザーが多い状況です。これは、電話以外の手段が操作性において複雑であり、ユーザーが希望する選択肢にたどり着けないことや、チャットやチャットボットの回答が遅いなどの不満が指摘されていることが背景にあります。
その結果、問題を迅速に解決できる可能性が高い「電話」を選択するユーザーが増加し、入電数が増えることで放棄呼の発生リスクが高まります。
しかし、最近では電話以外の手段でも解決率が徐々に向上しており、複数の手段を組み合わせて問題を解決するケースも増加しています。これを踏まえ、コールセンターは入電数を適切に管理し、放棄呼を減少させる対策を講じることが重要です。
コールセンター側のリソース不足
オペレーター不足や入電数の予測ミス、適切な人員配置ができていないことなど、コールセンターのリソース不足も放棄呼が発生する主要な原因の一つです。さらに、オペレーターのスキル不足も放棄呼の増加に直結する重大な問題です。
スキル不足のオペレーターは、平均応答時間(ATT)や後処理時間(ACW)が長くなる傾向があります。オペレーターが効率的に対応できなければ、1時間に対応できる通話数(CPH)が低下し、全体の応答効率にも悪影響を及ぼすでしょう。
その結果、顧客の待ち時間が増加し、オペレーターの応答時間が遅延することで、放棄呼が発生しやすくなります。これに対処するためには、オペレーターのスキルアップや効果的な人員配置計画など、既存リソースの最適化が不可欠です。
放棄呼が発生することによる問題点
機会損失
契約や購入目的の電話で放棄呼が発生した場合、ビジネスチャンスを逃してしまうリスクがあります。一度不満を持った顧客は、再度かけ直す可能性が低くなり、他社に流れる可能性が高くなります。これは見込顧客にも悪い印象を与え、将来的なリピーターの獲得にも影響するでしょう。
さらに、顧客が他社に流れるリスクが高まることで、市場での競争力も低下します。一度失われた信頼や機会は、後から取り戻すのが難しいため、初回の対応が重要になります。
顧客満足度や企業・商品のイメージ低下
放棄呼が増加することで、顧客満足度の低下にもつながるでしょう。顧客が問題を解決できずに通話を放棄すると、不満が蓄積し、商品やサービス、さらには企業に対する信頼を失うことになります。
また、電話がつながらないことで顧客ロイヤリティが低下し、ネガティブな印象を持たれる可能性もあります。放棄呼は、顧客満足度と企業イメージの低下を引き起こすため、長期的に見ても深刻な影響を及ぼします。
オペレーターの負担増
放棄呼が発生すると、再入電の際にクレーム対応やカスタマーハラスメントを受けるリスクも高まります。これにより、オペレーターは負担が増加するだけでなく精神的なストレスや疲労が蓄積します。また、対応の質が低下し、さらなる放棄呼を引き起こす悪循環に陥る可能性もあります。このような状況は、オペレーターのモチベーション低下や離職率の増加といった問題にもつながるでしょう。
放棄呼を減らすための対策
電話以外の方法での解決方法を整備し、入電数を減らす
電話以外の解決手段を導入することで、顧客からの問い合わせを分散させることができます。その結果、入電数が減り、放棄呼数の減少が期待できます。
以下のような、顧客が解決しやすい環境を整備しましょう。
IVR(自動音声応答システム)やビジュアルIVRの導入
IVR(自動音声応答システム)は、顧客からの受電に対し事前設定された音声案内で適切な部署に繋げる、あるいは簡単な手続きを自動で完了させることができます。これにより、顧客の待ち時間が短縮され、たらい回しの回避が可能となり、放棄呼の減少にもつながるでしょう。
また、ビジュアルIVRは視覚的なメニュー案内を行うことで、顧客は直感的に適切な解決方法を選択でき、自己解決率が高まるとともに、オペレーターの負担も軽減されます。オペレーターは複雑な問合せに集中できるため、応答率が向上し、全体的な業務効率も向上します。さらに、入電の分散や24時間対応が可能になるため、人手不足の解消にも役立ちます。
既に導入済みの場合でも、操作が複雑であれば顧客に利用してもらえないため、定期的にシステムを整備し、操作性を向上させることが重要です。
▼IVR・ビジュアルIVRについて詳しくはこちら
「IVR(自動音声応答システム)とは│コールセンターでの活用方法を解説」
「ビジュアルIVRとは│コンタクトセンターでの利用シーンや導入効果」
ボイスボットやチャットボットを導入
ボイスボットは、AIによる音声認識技術と自然言語処理技術を用いて、顧客の問い合わせにスマートに対応します。
音声でのやり取りが主流である高齢者層や、電話対応が求められる場面での有効性が高まっています。使い慣れた電話で問い合わせることができるため、顧客の心理的な負担も軽減されます。
チャットボットは、テキストベースでの簡単なサポートを提供し、即座に回答することで、顧客の待ち時間短縮と顧客満足度を高めることが可能です。また、多数の問い合わせに迅速に対応することができるため、対応効率が向上します。
一方で、導入後も定期的なシステム整備と、継続的なメンテナンスが不可欠です。定期的な見直しにより、音声認識の精度向上や、シナリオベースの回答の最適化、操作性の向上が期待できます。最新の技術やフィードバックを取り入れ、常に最適な状態に保つようにしましょう。
▼ボイスボット・チャットボットについて詳しくはこちら
「ボイスボットとは|仕組みと導入業界一覧・国内主要ベンダー6社を比較」
「チャットボット(chatbot)とは?今さら聞けない基礎から簡単に解説」
FAQページの設置・整備
FAQページを設置することで、顧客はよくある質問や疑問を自ら解決できるようになり、問い合わせの必要性が減少します。これにより、コンタクトセンターへの呼量が削減され、高い応答率を維持することが可能となります。また、FAQページが充実していれば、顧客満足度も向上し、再入電を減少することにもつながります。
FAQページの内容は、新商品やサービス変更など状況に応じて更新する必要があるため、導入後も定期的な整備が必要です。また、顧客からのフィードバックを基に、FAQの検索性や回答精度を高めることが重要になります。検索機能の精度向上や、使いやすさを向上させることで、より多くの顧客がFAQページを効果的に利用できるようになるでしょう。
▼FAQについて詳しくはこちら
「コンタクトセンターFAQ5選│導入メリットや注意点・システム比較ポイントを解説」
オペレーターのスキル向上や既存リソースを最適化する
リソース不足を解消するために人員を増やすだけでは、オペレーターのスキル向上や業務効率の向上にはつながりません。
まずは、日々の入電数予測と適切な人員配置を行うことが重要です。このために、WFM(ワークフォースマネジメント)システム導入を検討するのも1つの手段として有効です。
また、オペレーターには定期的に研修を実施し、スクリプトの最適化やスキル向上に努めましょう。
これにより、平均応答時間(ATT)や後処理時間(ACW)を短縮し、1時間に対応できる通話数(CPH)の向上を目指します。その結果、現場の効率を底上げし、既存リソースの最適化が可能になります。
これらの対策を実行しても放棄呼が減少しない場合は、オペレーターの採用も視野に入れましょう。
▼ オペレーター研修/CPH・ATT・AHTに関する記事はこちら
「【必見】コールセンター教育のポイント|オペレーター研修やおすすめ施策を解説」
「【徹底解説】CPH・ATT・AHTとは?|コールセンターの生産性指標と改善方法」
アウトソーシングを利用
イベントや繁忙期など、入電数が増えると予測されるタイミングでは、業務の一部をアウトソーシングすることも有効です。
アウトソーシングとは、業務の一部を外部の専門会社へ委託することを指します。
アウトソーシングすることで、自社のリソースを効率よく活用できるだけでなく、電話対応のプロによる高い応対品質を担保できます。
また、複数拠点で運営することで、災害時においてもリソースを確保し続けることが可能です。そのため、放棄呼数の増加リスクが高い場合でも、増加を抑えることができるでしょう。
▼コールセンターの委託/BCP対策に関する記事はこちら
「コールセンター委託11社│失敗しない選び方とメリットを徹底解説」
「コールセンター業務を守るBCP対策とは│必須の知識とステップについて解説」
まとめ
放棄呼は、コールセンター運営において解決すべき重要な課題です。顧客が問題解決に満足できず通話を途中で放棄することは、機会損失や顧客満足度の低下、オペレーターの負担増など多くの問題を引き起こします。
そのため、放棄呼の管理はコールセンター運営の成功に不可欠です。問題を早期に特定し、適切な対策を講じることで、顧客満足度の向上とビジネスチャンスの拡大が期待できます。
これらの対策を総合的に取り組むことで、放棄呼を減少させ、より質の高いサービスの提供ができるでしょう。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 上原 美由紀
採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
・特技:タスク管理
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