コールセンターの放棄呼とは?原因・計算方法・改善策を解説
2025/04/03
- 品質向上
- 生産性向上
- 顧客満足度向上

コールセンター運営において、多くの方が抱えている問題のひとつに「放棄呼率の増加」があります。放棄呼が増えると、機会損失や顧客満足度の低下といったさまざまな問題を引き起こすため、決して見過ごせない重要な要素です。
本記事では、「放棄呼」の基本的な定義や発生要因を解説し、放棄呼がもたらす影響についても考察します。また、放棄呼を減らすための対策も紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
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放棄呼の基礎知識 — 認識と計算方法をマスターしよう
放棄呼(Abandoned Call)とは、顧客が電話をかけた後、オペレーターと接続する前に自ら通話を中断してしまうことを指します。この現象は、待ち時間が長すぎる場合や、問題解決に至らないと感じた場合に発生します。
放棄呼が増えると、顧客満足度の低下や機会損失といった問題が生じるため、コールセンター運営において放棄呼を減少させる対策が重要です。
放棄呼率とは?
放棄呼率(Abandon Rate)は、総入電数に対する放棄呼数の割合を示す指標であり、コールセンターの応答効率や顧客対応能力を評価する↑で重要な要素です。この数値管理は、コールセンターのパフォーマンス向上にもつながります。
放棄呼率の計算方法は、以下となります。

コールセンター白書2022によると、多くのコールセンターが放棄呼率(応答率)を最重要KPIとして重視しています。

放棄呼率を重視するコールセンターが多い理由として、放棄呼率が顧客満足度や業績に直接影響することが挙げられます。高い放棄呼率は顧客に対してネガティブな印象を与え、顧客満足度の低下や新規顧客獲得の難しさを引き起こす恐れがあります。
放棄呼率を適切に管理することで、業務効率を向上させ、リソースの最適化が可能になります。
その結果、より質の高い顧客サービスを提供し、長期的なビジネス成功につながるでしょう。
あふれ呼・待ち呼との違い
放棄呼と類似する用語に「あふれ呼」と「待ち呼」があります。それぞれの意味や関係性について見ていきましょう。

センターによっては、あふれ呼と待ち呼を同じ意味で扱っている場合が多く、オペレーターにつながっていないあふれ呼状態の顧客数を「待ち呼数」と呼ぶこともあります。
あふれ呼や待ち呼が発生し、顧客が我慢できずに電話を切ってしまったり、システム側がキャンセルしたりすることで、結果として放棄呼が発生するのです。
▼あふれ呼に関する記事はこちら
「あふれ呼とは?│発生要因・企業に与える影響とその解決策を解説」
放棄呼の発生要因
放棄呼が発生する背景にはさまざまな要因が考えられますが、本記事では主に2つの要因を解説します。
電話以外の自己解決手段の複雑さによる入電数の増加

大手BPO企業であるトランス・コスモス社が、ユーザーに対して「カスタマーサポートを利用する際に最初に選ぶ手段」について調査したアンケート結果によると、チャットやチャットボットを選ぶユーザーは増加傾向にありますが、依然として電話を選ぶユーザーが多い状況です。
この背景には、電話以外の手段の操作性の複雑さがあり、ユーザーが望む選択肢にたどり着けないケースや、チャットやチャットボットの回答が遅いことへの不満が存在しています。
その結果、迅速に問題を解決できる可能性が高い「電話」を選ぶユーザーが増え、入電数の増加が放棄呼のリスクを高めています。しかし最近では、電話以外の手段でも解決率が向上しており、複数の手段を組み合わせて問題解決を図るケースも増えています。
この状況を踏まえ、コールセンターは入電数を適切に管理し、放棄呼を減少させるための対策を講じることが重要です。
コールセンター側のリソース不足
オペレーター不足や入電数の予測ミス、適切な人員配置ができていないことなど、コールセンターのリソース不足も放棄呼の発生に大きく寄与しています。さらに、オペレーターのスキル不足も放棄呼の増加に直結する深刻な問題です。
スキルが不足しているオペレーターは、平均応答時間(ATT)や後処理時間(ACW)が長くなる傾向にあります。オペレーターが効率的に対応できなければ、1時間に対応できる通話数(CPH)が低下し、全体の応答効率にも悪影響を及ぼすでしょう。
その結果、顧客の待ち時間が増加し、オペレーターの応答時間が遅延することで、放棄呼が発生しやすくなります。これに対処するためには、オペレーターのスキルアップや効果的な人員配置計画など、既存リソースの最適化が重要です。
放棄呼が発生することによる問題点

機会損失
契約や購入を目的とした電話で放棄呼が発生すると、貴重なビジネスチャンスを逃してしまうリスクがあります。一度不満を抱いた顧客は、再度電話をかけ直す可能性が低く、他社に流れる可能性が高まります。この状況は見込顧客にも悪影響を及ぼし、将来的なリピーターの獲得にも影響を与えるでしょう。
さらに、顧客が他社に流れるリスクが高まることで、市場での競争力も低下します。一度失われた信頼や機会は取り戻すのが難しいため、初回の対応が極めて重要となります。
顧客満足度や企業・商品のイメージ低下
放棄呼が増えることで、顧客満足度の低下が懸念されます。顧客が問題を解決できずに通話を放棄すると、不満が蓄積し、商品やサービス、さらには企業への信頼を失ってしまうことになります。また、電話がつながらないことにより顧客ロイヤルティが低下し、ネガティブな印象を持たれるリスクもあります。
このように放棄呼は、顧客満足度や企業イメージの低下を引き起こし、長期的には深刻な影響を及ぼすこととなります。
オペレーターの負担増
放棄呼が発生すると、再入電の際にクレーム対応やカスタマーハラスメントを受けるリスクが高まります。これにより、オペレーターは負担が増加するだけでなく、精神的なストレスや疲労が蓄積されます。また、対応の質が低下することでてさらなる放棄呼を引き起こす悪循環に陥る可能性もあります。こうした状況は、オペレーターのモチベーション低下や離職率の増加といった問題にもつながるでしょう。
放棄呼を減らすための対策
電話以外の方法での解決方法を整備し、入電数を減らす
電話以外の解決手段を導入することで、顧客からの問い合わせを分散させ、入電数を減少させることが期待できます。顧客が問題を自己解決できる環境を整えることが重要です。
IVR(自動音声応答システム)やビジュアルIVRの導入
IVR(自動音声応答システム)は、顧客からの受電に対し、事前設定された音声案内で適切な部署に繋げたり、簡単な手続きを自動で完了させたりすることができます。これにより、顧客の待ち時間が短縮され、たらい回しの回避が可能になるため、放棄呼の減少にもつながります。
また、ビジュアルIVRは視覚的なメニュー案内を通じて顧客が直感的に適切な解決方法を選択できるようにします。これにより自己解決率が高まり、オペレーターへの負担も軽減されます。オペレーターがより複雑な問い合わせに集中できるため、応答率が向上し、全体的な業務効率も改善されます。さらに、入電の分散や24時間対応が可能になるため、人手不足の解消にも役立つでしょう。
既にIVRやビジュアルIVRを導入している場合でも、操作が複雑であれば顧客が利用しない可能性があります。そのため、定期的にシステムを整備し、操作性を向上させることが重要です。
▼IVR・ビジュアルIVRについて詳しくはこちら
「IVR(自動音声応答システム)とは│コールセンターでの活用方法を解説」
「ビジュアルIVRとは│コンタクトセンターでの利用シーンや導入効果」
ボイスボットやチャットボットを導入
ボイスボットは、AIによる音声認識技術と自然言語処理を用いて、顧客の問い合わせにスムーズに対応します。特に、高齢者層や電話でのやり取りを好む顧客に対して有効です。顧客が音声で問い合わせできるため、心理的な負担も軽減されます。
チャットボットは、テキストベースでのサポートを提供し、即座に回答することで顧客の待ち時間を短縮し、満足度を向上させます。多くの問い合わせに迅速に対応可能なため、効率的な運用が期待できます。
導入後も、定期的なシステム整備とメンテナンスが不可欠です。音声認識の精度向上や、シナリオベースの回答の最適化、操作性の改善を図ることで、常に利用しやすい状態を保ちましょう。
▼ボイスボット・チャットボットについて詳しくはこちら
「ボイスボットとは|仕組みと導入業界一覧・国内主要ベンダー6社を比較」
「チャットボット(chatbot)とは?今さら聞けない基礎から簡単に解説」
FAQページの設置・整備
FAQページを設置することで、顧客はよくある質問や疑問を自ら解決できるようになり、問い合わせの必要性が減少します。これにより、コールセンターへの呼量が削減され、高い応答率を維持することが可能となります。充実したFAQページは顧客満足度の向上にも繋がり、再入電を減少させる効果が期待できます。
FAQページの内容は必要に応じて更新することが重要です。新商品やサービス変更に併せて定期的に整備し、顧客からのフィードバックに基づいて検索性や回答精度を高めることが求められます。検索機能の精度向上や使いやすさを改善することで、より多くの顧客にとって利用しやすいページに仕上げることができます。
▼FAQについて詳しくはこちら
「コンタクトセンターFAQ5選│導入メリットや注意点・システム比較ポイントを解説」
オペレーターのスキル向上や既存リソースを最適化する
リソース不足を解消するために人員を増やすだけでは、オペレーターのスキル向上や業務効率の改善にはつながりません。まずは、日々の入電数予測と適切な人員配置が重要です。このために、WFM(ワークフォースマネジメント)システムの導入を検討することが有効です。
また、オペレーターには定期的な研修を実施し、スクリプトの最適化やスキル向上に努めることが大切です。これによって、平均応答時間(ATT)や後処理時間(ACW)を短縮し、1時間あたりの通話数(CPH)の向上を図ります。その結果、現場の効率が向上し、既存リソースの最適化が実現します。
これらの対策を講じても放棄呼が減少しない場合は、オペレーターの採用も視野に入れることが必要です。
▼ オペレーター研修/CPH・ATT・AHTに関する記事はこちら
「【必見】コールセンター教育のポイント|オペレーター研修やおすすめ施策を解説」
「【徹底解説】CPH・ATT・AHTとは?|コールセンターの生産性指標と改善方法」
アウトソーシングを利用
イベントや繁忙期など、入電数が増えると予測されるタイミングでは、業務の一部をアウトソーシングすることが有効です。アウトソーシングとは、業務の一部を外部の専門会社に委託することを指します。
アウトソーシングを活用することで、自社のリソースを効率よく活用できるだけでなく、電話対応のプロによる高い応対品質を実現できます。また、複数拠点で運営することで、災害時にもリソースを確保し続けることが可能です。これにより、放棄呼の増加リスクを抑えることができます。
▼コールセンターの委託/BCP対策に関する記事はこちら
「コールセンター委託11社│失敗しない選び方とメリットを徹底解説」
「コールセンター業務を守るBCP対策とは│必須の知識とステップについて解説」
まとめ
本記事では、放棄呼の定義、発生要因、問題点、そして対策について解説しました。放棄呼は顧客満足度の低下や機会損失を引き起こすため、コールセンターにとって重要な指標です。
入電数を分散させるために、IVRやボイスボット、チャットボットの導入が効果的です。また、FAQページの整備やオペレーターのスキル向上、アウトソーシングを活用することで、放棄呼の減少が期待できます。
放棄呼の管理は、顧客との信頼関係を築き、競争力を維持するために欠かせません。本記事で紹介した対策を踏まえ、より良いコールセンター運営を目指しましょう。
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Writer編集者情報
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コネナビ編集部 上原 美由紀
従業員1万人以上の企業の5社に1社が導入している採用支援・求人広告会社にて、アルバイト・パート採用や中途採用を中心に、約3年間にわたり企業の採用支援に従事。
2019年9月より株式会社ウィルオブ・ワークに入社し、コールセンター・オフィスワークに特化した人材サービスの事業部でキャリアアドバイザーを担当。現場で培った知見をもとに、コンタクトセンター領域はもちろん、採用・人材分野に関する実践的かつリアルな情報発信を心がけている。
現在は子育てと仕事を両立しながら、日々奮闘中!
趣味:音楽、ゲーム、ディズニー、お酒
特技:タスク管理
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