あふれ呼とは?│発生要因・企業に与える影響とその解決策を解説

2024/09/12

現代のビジネス環境において、顧客サポートの重要性はますます増しています。その中で、コールセンターの運営効率化と顧客満足度の向上は企業にとって大きな課題です。

しかし、多くの企業が直面している問題の一つに「あふれ呼」があります。あふれ呼は、入電が多すぎて対応できない状態を指し、顧客の不満や機会損失を引き起こすリスクがあります。

本稿では、あふれ呼の基本概念から発生要因、そして企業や顧客に与える影響を詳しく解説します。また、具体的な対策を通じて、企業がどのようにしてこの問題に取り組み、競争力を高めるかについても考察します。
これを機に、あふれ呼対策の重要性と実践方法を理解し、顧客対応のさらなる改善を目指しましょう。

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あふれ呼とは?|その定義と概要

あふれ呼とは、コールセンターに入電が集中し、オペレーターやガイダンスに繋がらない状態を指します。この状況では、顧客が電話をかけた際に話し中(ビジー音)や「ただいま電話が混みあっています」というアナウンスが流れることが一般的です。

あふれ呼が発生すると、顧客はオペレーターにつながるまで待たされ、顧客満足度の低下や機会損失が懸念されます。このような状況が続くと、顧客からの信頼を失い、サービスへの不満が増加しやすくなります。最終的には企業イメージが悪化し、新規顧客の獲得や既存顧客の維持が困難になる可能性が高まるでしょう。
顧客満足度の低下や機会損失を防ぐためにも、適切なあふれ呼対策を講じることが重要になります。

あふれ呼と放棄呼・待ち呼との違い

「あふれ呼」と類似した用語で、「待ち呼」・「放棄呼」があります。
それぞれの違いを見ていきましょう。

コールセンターによっては、あふれ呼と待ち呼は同じ意味で扱っていることもあり、オペレーターにつながっていないあふれ呼状態の顧客数を「待ち呼数」と呼ぶこともあります。

あふれ呼が発生すると、顧客は待ち呼の状態に置かれます。その後、顧客が我慢できずに電話を切ってしまったり、システム側がキャンセルしたりすることで放棄呼が発生します。
つまり、あふれ呼を発生させないことが重要なのです。

▼放棄呼に関する解説記事はこちら
放棄呼とは|あふれ呼との違い・放棄呼率の改善方法を徹底解説!

あふれ呼の主な発生要因

では、なぜあふれ呼は発生するのでしょうか?
本稿では、主に挙げられる2つの発生要因について解説します。

入電数の増加

入電が増えることでオペレーターが対応しきれず、あふれ呼が発生します。
入電数が増加する背景として、以下の2つが挙げられます。

Webサイトで解決ができない

多くの企業は、顧客の自己解決手段としてWebサイト上にチャットボットやFAQを設置しています。しかし、操作性が悪かったり、顧客の求める具体的な情報が掲載されていなかったりすることがあります。また、メールやお問い合わせフォームを設置していても、返信が遅かったり、返信内容が不十分で問題が解決しなかったりするケースもあります。
その結果、問題を迅速に解決できる可能性が高い「電話」を選択するユーザーが増加し、入電数が増加してしまうのです。

イベントや休み明けによる一時的な入電集中

特定のイベントや休業明けのタイミングでは、入電が一時的に集中することがあります。
例えば、年末年始やゴールデンウィークの休業明けには、休業期間中に問い合わせをしたいと考えていた顧客が一斉に連絡するため、通常時と比べて入電が増加する傾向にあります。
また、新商品の発売やセール期間中にも、「一刻も早く商品を購入したい」という顧客心理から入電が集中することが多く見られます。
このような状況では、問い合わせ内容が多岐にわたり、対応が複雑化することも一般的です。その結果、オペレーターが対応しきれず、あふれ呼が発生しやすくなります。

オペレーターのスキル不足

オペレーターのスキル不足も、あふれ呼の発生要因の一つです。オペレーターが必要な知識やスキルを十分に持っていない場合、顧客対応に時間がかかり、業務効率が低下します。その結果、他の顧客への対応が遅れ、あふれ呼が発生しやすくなります。

また、スキル不足のオペレーターは一度で顧客の問題を解決できないことが多く、再入電の可能性が高まります。このような状況が続くと、オペレーターの負担が増え、さらなる非効率が生じるばかりか、顧客満足度も低下します。
したがって、オペレーターに対する教育や研修を定期的に行い、スキルを向上させることが重要です。

あふれ呼が企業に与える問題点

あふれ呼が発生すると、企業にどのような影響を与えるのでしょうか。

顧客満足度・企業イメージの低下

大手BPOサービス会社トランス・コスモス社が実施した「カスタマーサポートに最もストレスを感じる状況」に関する調査では、60%以上の顧客が「電話がつながりにくい点」と回答しています。

【参照:Cotra/カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024】

あふれ呼が発生し、顧客が「待たされる」ことで、企業への不信感が生じ、顧客満足度が低下します。電話が繋がらない状況が続けば、顧客は迅速な対応が期待できないと判断し、他社へ乗り換える可能性が高まるでしょう。さらに、企業の対応力に欠けているという印象が広がり、企業イメージが損なわれ、新規顧客の獲得や既存顧客の維持が難しくなる可能性もあります。

機会損失のリスク

前述の通り、顧客は「待たされること」に大きなストレスを感じます。あふれ呼が発生すると、顧客は長時間待たされるため、通話を放棄したり、サービスに対する不満を抱いたりします。一度不満を持った顧客は、再度かけ直す可能性が低くなり、他社に流れる可能性が高くなります。これは見込顧客にも悪い印象を与え、将来的なリピーターの獲得にも影響するでしょう。
あふれ呼が発生すると、ビジネスチャンスを逃すリスクが高まり、企業の売上にも影響してしまうのです。

オペレーターの負担増

あふれ呼が発生すると、オペレーターの負担が大幅に増加し、さまざまな問題を引き起こします。
まず、顧客を長時間待たせることで、クレーム対応やカスタマーハラスメントを受けるリスクが高まります。これにより、オペレーターは精神的なストレスや疲労が蓄積しやすくなります。
さらに、限られたリソースで次々と対応しなければならない業務過多の状況は、業務効率の低下やミスの増加を誘発します。その結果、従業員満足度は低下し、離職につながる可能性が高まるでしょう。
このような状況を防ぐためには、早期に適切な対策を講じることが重要です。

あふれ呼対策を行うメリット

顧客満足度UPによる企業価値の向上

あふれ呼対策を行うことで、顧客は企業に対して信頼感を抱き、満足度が向上します。スムーズな電話対応は顧客の期待に応え、迅速にサポートができるため、顧客体験(CX)も向上します。その結果、企業は顧客との関係を強化し、長期的な信頼を築くことが可能です。
顧客満足度が高まることで、企業のブランド価値が向上し、他社との差別化にもつながるでしょう。

機会損失の軽減で売上UPの可能性

あふれ呼を減らすことで、顧客が電話を放棄するリスクが低下し、ビジネスチャンスの損失を防ぐことができます。
特に新規顧客や見込み客からの問い合わせに迅速に対応することで、ビジネスの成約機会を最大化することが可能です。これにより、企業は顧客の満足度を維持しつつ、新たなビジネスチャンスを積極的に取り込み、売上の増加につなげることが期待できます。

オペレーターの負担減・従業員満足度UP

あふれ呼対策により、オペレーターの負担が軽減され、業務効率が向上します。過度な電話対応から解放されることでストレスが減少し、従業員満足度も高まるでしょう。働きやすい環境が整うことで離職率が低下し、優秀な人材を長期間維持することが可能です。さらに、従業員満足度の向上はチーム全体のパフォーマンスを引き上げ、企業全体の生産性向上にもつながります

効果的なあふれ呼対策

IVR・ビジュアルIVR・FAQシステムの強化

IVR(自動音声応答システム)とビジュアルIVRの活用は、あふれ呼対策の1つとして有効です。
IVRは顧客が音声案内に従って自己解決したり、適切な窓口へスムーズに接続できたりすることで、オペレーターの負担を軽減します。
また、ビジュアルIVRを活用すれば、スマートフォンやPCの画面上で視覚的にメニューを選択でき、顧客は効率的に自己解決が可能です。

これらのシステムは過度に複雑化せず、顧客にとって使いやすい設計にすることが重要です。導入後も定期的にシステムメンテナンスを行うようにしましょう。

▼IVR・ビジュアルIVRに関する記事はこちら
IVR(自動音声応答システム)とは│コールセンターでの活用方法を解説
ビジュアルIVRとは│コンタクトセンターでの利用シーンや導入効果

WFM(ワークフォース・マネジメント)の導入

WFM(ワークフォース・マネジメント)を導入することで、オペレーターのシフト管理や稼働状況の最適化が可能となります。予測される入電数に基づいて適切に人員配置を計画し、ピーク時の対応力を強化できます。
これにより、あふれ呼の発生リスクを軽減し、業務の効率化とコスト削減が実現します。また、オペレーターの負担を分散させ、従業員のストレス軽減にもつながるでしょう。

サポートチャネルの多様化

電話だけでなく、メール、チャット、FAQ、チャットボット、ボイスボットなど多様なサポートチャネルを提供することで、顧客は自己解決を含めた多様な選択肢を持てます。これにより、電話対応が特定の時間帯に集中することを防ぎ、オペレーターの負担軽減が可能です。

チャットを活用すれば、リアルタイムかつ非同期のコミュニケーションが可能となり、エンゲージメントが向上します。また、FAQやチャットボット、ボイスボットによる自動対応は24時間対応を実現し、顧客満足度を高めます。

これらの仕組みを整えることで、顧客満足度を高めるとともに、企業のオペレーション効率を向上させることができるのです。

▼FAQ・チャットボット・ボイスボットに関する記事はこちら
コンタクトセンターFAQ5選│導入メリットや注意点・システム比較ポイントを解説
ボイスボットとは|仕組みと導入業界一覧・国内主要ベンダー6社を比較
チャットボット(chatbot)とは?今さら聞けない基礎から簡単に解説

オペレーターのスキル向上

オペレーターのスキル向上は、あふれ呼対策の要となります。平均応答時間(ATT)や後処理時間(ACW)の短縮を目指し、1時間あたりの対応通話数(CPH)を増加させることで、業務効率を底上げし、リソースを最大限に活用することが可能です。
定期的な研修を通じて、効率的な応対技術や最適化されたスクリプトを習得し、オペレーターのパフォーマンスを向上させましょう。
質の高い対応を提供することで、顧客満足度が向上し、企業の信頼性も高まります。

▼CPH・ATT・AHT、オペレーターの教育に関する記事はこちら
【徹底解説】CPH・ATT・AHTとは?|コールセンターの生産性指標と改善方法
【必見】コールセンター教育のポイント|オペレーター研修やおすすめ施策を解説

アウトソーシングの導入・人員増強を図る

アウトソーシングは、業務の一部を外部の専門会社に委託することで、自社リソースを効率的に活用する手段です。特に、電話対応が集中する時間帯や繁忙期には効果が期待できます。
アウトソーシングによって柔軟な体制を整え、電話対応のプロによる高品質なサービスを提供することで、顧客満足度も向上します。
また、複数拠点で運営することでBCP対策にもなり、災害時や繁忙期にもリソースを確保し業務の安定性を高めます。
アウトソーシングを活用することで、あふれ呼対策だけでなく、企業の競争力の強化や成長促進にもつながるでしょう。

▼アウトソーシングの導入に関する記事はこちら
コールセンター委託11社│失敗しない選び方とメリットを徹底解説

まとめ

あふれ呼は、顧客満足度や業務効率、企業イメージに影響を及ぼすため、迅速かつ効果的な対策が必要です。

IVR・ビジュアルIVRの強化、WFMの導入、サポートチャネルの多様化、オペレーターのスキル向上、そしてアウトソーシングの活用など、さまざまな施策があります。これらの対策を多角的に組み合わせることで、顧客対応の効率化やオペレーターの負担軽減を図り、ひいては企業全体のパフォーマンス向上につながります。特に、早期の段階で適切な対策を講じることは、離職率の低下やクレーム対応の減少にもつながり、健全な業務運営を維持するために重要です。

あふれ呼対策を行うことで、顧客との信頼関係を築き、企業の競争力強化や継続的な成長を目指しましょう。

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Writer編集者情報

  • コネナビ編集部 上原 美由紀

    採用業務支援・求人広告事業会社を経て2019年9月に株式会社ウィルオブ・ワークに入社。
    コールセンターとオフィスワークに特化した人材サービスの事業部へ配属、キャリアアドバイザー職を経験。
    産育休を経て現在子育てにも奮闘中!
    ・趣味:音楽 ゲーム ディズニー お酒
    ・特技:タスク管理

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